2022年10月7日にマイナーチェンジして発売された、ホンダのコンパクトカー「フィット」の公道試乗会に参加しました。今回のマイナーチェンジでは、先代(3代目)、先々代(2代目)に設定されていたスポーティグレード「RS」が復活してラインナップに追加されました。試乗会では、このRSとマイナーチェンジした標準モデル、クロスターの3タイプに乗りました。
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フロントデザインを変更
あのサイゼリヤのキッズメニューにある間違い探しのようですが、上がマイナーチェンジ前、下が新型です。変更点は3つです。さて、どこでしょう?
わかりやすいところから正解をお伝えしましょう。
すぐに気がつくのは、ロアグリル(バンパー下部のグリル)の形状。マイナーチェンジ前はバンパーの両端で折り返すように下から上へとグリルが回り込んでいましたが、新型はすっきりとシンプルな意匠になりました。
フロントバンパーは丸っと新しくされています。ロアグリルの変更部分だけでなく、バンパー上部の山折りの部分の角が丸くなり、全体的に丸みを帯びたデザインになりましたが、バンパー下部両端には、はっきりとしたプレスラインができました。また、ロアグリル両端上部にもプレスラインが与えられてアクセントになっています。
鼻先のホンダのエンブレムからヘッドライトまでのパネルも変更されています。マイナーチェンジ前は、横からみると「く」の字のような折れ曲がりがありましたが、新型は丸くなだらかになりました。また、エンブレム下部からパネルの下端を両方のヘッドライトまでつなぐクロームのモールが追加されています。
ヘッドライトの構造は変わっていませんが、ライト内部のLEDヘッドランプユニットを四角く囲う部分がシルバーからブラックに変更されています。
マイナーチェンジ前後を比較すると、ぱっと見どこが変わったのかわかりづらいですが、かなり手が加えられています。ホンダの開発担当者の話では「フロント部分は丸っと変えた」とのこと。コストもかけられています。
現車を少し引きで見てみると、マイナーチェンジ前後の雰囲気は異なり、新型は親しみやすさが出ていますね。東京モーターショー2019で披露された4代目フィットを見たとき、ちょっとクセのあるデザインだなと筆者は感じました。また、4代目初期型のデリバリーが始まり、街で見かけることが多くなると、フィットデザインに苦言を呈する方がちらほら出てきました。ホンダの開発担当者とデザインについて話をすると、そのことを認識していたようで、ヘッドランプ内部をブラックアウトしたのは、ユーザーの声を取り入れたと思われます。
現行4代目フィットは、2020年2月に発売、今回のマイナーチェンジはその2年8ヵ月後という、近年のクルマでは比較的短いスパンで改良となりました。その背景には、フィットのフルモデルチェンジよりひと足先にフルモデルチェンジしたライバル車、トヨタ ヤリス(ヴィッツからのフルモデルチェンジで車名変更)に人気が集まり、フィットのフルモデルチェンジの10ヵ月後の同年12月にフルモデルチェンジした日産 ノートにも水をあけられ、販売は苦戦していました。そのため、早期のテコ入れとなったようです。
筆者としては、販売台数のテコ入れで、フロントデザインを丸っと変えてしまうのなら、ビッグマイナーチェンジに相当するような大規模なデザイン変更をしてもよかったのではないか、と考えてしまいました。筆者的には、マイナーチェンジ前も後もデザインは嫌いではなかったのですが……。
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e:HEVのモーター最高出力14PSプラスは効く!
日常走行の大部分をモーターのみで走行するハイブリッド「e:HEV」のモーター最高出力は、10kW(14PS)アップし、90kW(123PS)となりました。このパワーアップ分は、速さより、走りの上質さに割り当てられた印象でした。
走り始めの加速感に対するアクセル開度は余裕が出て、1クラス上の走りの質感です。試乗時、足回りも何かセッティングを変えたような印象がありましたが、試乗後にホンダの開発担当者に確認すると、何も変更していないとのこと。パワートレインに手が加わると、足回りにもその影響が体感できるレベルに及ぶことがあります。新型フィットもそうだったのでしょう。
「フィット RS」はちょうどいい速さで良き!
フィット2代目、3代目にラインナップしていたスポーティ・グレード「RS」が、現行4代目にも加わりました。RSとは「Road Sailing(ロード セーリング=航海)のことで、「Racing Sport」ではありません。
ホンダのRSの始祖は、1974年に登場した「シビック RS」。シビックは2005年にフルモデルチェンジした8代目から、1つ上のミドルクラスになり、それまでのシビックのポジションは、フィットが担うラインナップ形態になったので、フィット RSは、シビック RSの流れをくんでいます。
標準モデルと異なる点
エクステリアでは専用のバンパー一体型の大型スカート、サイドシルガーニッシュを採用、冷却効果と空力性能を高めています。
タイヤは、放熱効果が高い16インチ・アルミホイールに、グリップ力が高められたヨコハマのブルーアースGTを履かせています。
サスペンションは、標準モデルと比べてフロントサスペンションのバネレートを下げるいっぽうリアは上げてダンパー減衰力を変更しています。フロントスタビライザーでは、捻り剛性を約4%ほど強化、操縦安定性の向上が図られています。
実際に乗ってみると、ほどよく引き締まった足の印象。乗り心地は悪くないので、ファミリーで乗ってもクレームが出ないレベルに抑えられています。ワインディングを走ると、ボディはロールを許容させながら、しっかりと足を動かして路面にタイヤを追従させる操縦安定性を感じ、連続するコーナリングでは、ひらりひらりと軽く身をこなしてくれる印象でした。
パワートレインにも手が加えられており、走行モードに標準モデルの「ECON」「ノーマル」に加えて「スポーツ」が設定され、アクセルの踏み込み量に対する応答性を早めています。これにより、さらに走りの軽快さがアップしていました。
e:HEVの回生ブレーキの効き具合は、パドルシフトで調整できるのですが、それはついつい、ギアシフトアップ・ダウンのシフトと思いがち。どうせなら、回生ブレーキ調節はギアシフトボタン回りに移動させて、パドルシフトは元来のギアアップ・ダウンになるよう、擬似的なステップを刻んでほしかった……と思いましたが、ぜいたくな要望なのでしょうか……。
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【総合評価】筆者独断と偏見による新型フィットの評価は●点!
筆者が試乗したクルマを10項目×5段階で評価、★1つを2点として100点満点の総合評価として採点します。各項目、評価の理由をお伝えしますが、あくまで筆者のインプレッションによるものですので、ご参考としてご覧ください。
【総合評価】所有して満足度の高いEV
筆者が試乗したクルマを、10項目×5段階で評価、★1個を2点として100点満点の総合評価として採点します。各項目、評価の理由をお伝えしますが、あくまで筆者のインプレッションによるものですので、ご参考としてご覧ください。
No. | 項目 | 評価ポイント |
---|---|---|
1 | 内外装デザイン | デザインの良さ、ボディカラーやインテリアカラーのバリエーションなどを評価 |
2 | エンジン・トランスミッション | パワートレインの良し悪しを評価 |
3 | 足回り | 乗り心地の良さ、操縦安定性などを評価 |
4 | 燃費・電費 | 燃費、電費を評価 |
5 | 居住性 | 室内空間の広さ、静粛性などの快適性を評価 |
6 | 装備・使い勝手 | 装備の充実度、使い勝手の良さを評価 |
7 | 安全装備・運転支援 | 予防安全技術、運転支援システムなどの先進技術装備を評価 |
8 | 価格 | コストパフォーマンスの良さ、お買い得感を評価 |
9 | 乗りやすさ | 小回りが効くなどの取り回し性の良さ、普段使いでの運転のしやすさなどを評価。 |
10 | クルマの愉しさ | スペックを考慮しないで、純粋にクルマを所有するよろこびや、ドライビング・プレジャー(走る愉しさ)を筆者の独断と偏見で評価 |
評価は高く90点!
4代目にフルモデルチェンジしたフィットは、ホンダが思うようには売れなかったがいいクルマ。マイナーチェンジしてさらによくなりました。もっと売れてもいいクルマなのにな、と思いますが、デザインやパッケージングでユーザーが手を伸ばさないのでしょうか……。
1 | 内外装デザイン | ★★★ | 内装は明るくて使いやすくて快適。フロント回りを全刷新するなら、ガラリと印象を変えても良かったかも。そのほうがもっと売れるかも。 |
---|---|---|---|
2 | パワートレイン | ★★★★★ | ホンダのハイブリッド、e:HEVも熟成の域に到達。走りの良さ、上質さが光る。 |
3 | 足回り | ★★★★★ | 最近のホンダ車って、みんな足がいい。 |
4 | 燃費・電費 | ★★★★ | ハイブリッドを燃費だけで見たらトヨタが優勝。走りの良さと燃費の両立でいえばトヨタよりホンダがうまい。 |
5 | 居住性 | ★★★★★ | ライバル、ヤリスより広い。コンパクトカーにしては優秀。後席もきちんと使える広さを確保したフィットは優秀。 |
6 | 装備・使い勝手 | ★★★★★ | 不満のない装備。使い勝手も良い。特にセンタータンクレイアウト&後席ダブルフォールディングの格納といった室内空間を有効活用できるのは素晴らしい。 |
7 | 安全装備・運転支援 | ★★★★★ | 進化したホンダセンシングを全車標準装備。 |
8 | 価格 | ★★★★ | ライバル車と比較して、高くもなく安くもなく。売れ筋のe:HEV HOME(FF)が217万5,800円は、まぁいい値付けか。 |
9 | 乗りやすさ | ★★★★★ | 乗りやすさがスポイルされてしまったBセグ・コンパクトカーは日常の足には使えないでしょ。その点、フィットは満点です。 |
10 | クルマの愉しさ | ★★★★ | 運転する愉しさが光るコンパクトカー。RSだけの評価なら満点。クロスター4WDもいい。 |
【新型フィット開発担当者インタビュー】こんな部署があんなことをしていたとは!
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※この記事は、2022年11月時点での情報で執筆しています