年々厳しくなる規制で、スポーツカーが絶滅危惧種となってきました。軽自動車もしかり。本記事では、新旧織り交ぜて軽スポーツカーを紹介します。
新車で販売中の軽自動車スポーツカー一覧
ホンダ N-ONE RS
N-ONE（エヌワン）は、ハッチバックとトールワゴンの中間くらいの大きさのいわば“セミトールワゴン”です。スポーティーグレード『RS』が設定されています。RSは、軽乗用車では唯一となる6速MTが設定（CVTも選べる）されています。
足回りも標準モデルとは異なり、ダンパーに対してスプリングをオフセットして装着して、ダンパーにかかる応力を低減させ、かつ車重が軽いN-ONEでもサスペンションがスムーズに動くようにされ、素直なハンドリングと乗り心地の向上を実現させています。また、スタビライザーは前後に採用し、コーナリング時のロール量が押さえられています。
さらに、コーナリング時にフロント内輪のブレーキを軽くつまんで、鼻がスッと入る軽快なハンドリングを実現する『アジャイルハンドリングアシスト』も採用、加えて電動パワステの制御を変えて舵角量を直接センシングする方法を採用、ハンドリングも向上させています。
N-ONEは軽自動車では唯一となる、メーカー公式のワンメイクレース『N-ONE OWNER’S CUP』が開催されています。すなわち、本気のスポーツモデルの素質も持っている軽自動車です。
そんなRSの新車価格は、CVT・6MTともに199万9,800円。RSは、「ロード・セーリング」の頭文字。クルマをヨットに例えて滑らかに道を駆け抜けるという意味があります。
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ダイハツ コペン
Cero
Robe
XPLAY
『Robe』『XPLAY』『Cero』と3つの異なるデザインをラインナップするオープン・2シーターのコペン。今や新車で買えるピュアオープンスポーツカーは、コペンだけになってしまいました。
コペンは、気軽にオープンエアを楽しめるスタンダードモデルと、ビルシュタイン製ショックアブソーバー、レカロシート、MOMO製本革ステアリングホイールを装備する『S』グレードも設定しています。
トランスミッションは、7速マニュアルモードのパドルシフト付きCVTと、5速マニュアルを設定。メーカーオプションでLSDも用意されています。
新車車両価格は、188万8,700〜214万7,200円。中古車相場価格は、100〜250万円。
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ダイハツ／トヨタ コペン GR-SPORT
前述のコペン Robeをベースに、トヨタのモータースポーツブランド『GR』が開発に協力したスポーツモデルが『コペン GR-SPORT』です。ダイハツとトヨタの両メーカーから、まったくの同一車種で販売されています。このため、エンブレムはコペンのロゴだけで、メーカーロゴはありません。
パワートレインは、コペン標準モデルと同じですが手が加えられた箇所は多岐に渡ります。フロント・リアバンパーは形状を変更して空力性能を向上、フロア下スパッツとあわせてダウンフォースを効果的に発生させるような作りになっています。また、フロア下にブレースを入れて補強し、ボディ剛性を高めています。さらに、電動パワステをGR-SPORT専用にチューニングし、意のままに操れるハンドリングを実現させています。
新車車両価格はCVT・5MTともに、238万2,200円。中古車相場価格は、190〜230万円。
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【名車も】中古でしか買えない軽スポーツカー
スズキ アルト ワークス
軽自動車に最高出力64PSの自主規制を設定させることのきっかけを作ったのは、1987年、2代目アルトワークスの後期型に追加発売された『アルト ワークス』でした。
アルトワークスは、5代目が生産終了した2004年で最終となりましたが、その後、2015年に8代目アルトで復活します。しかし、年々厳しくなる法規制に耐えられなくなり、2021年11月の9代目へのフルモデルチェンジを期に再び生産終了となってしまいました。
歴代のアルトワークスは、軽量コンパクトなボディに、引き締まった足回りで軽ハッチバックとは思えない痛快な走りを披露するモデルで、多くのファンを有しています。復活を望む声は、自動車評論家の中にもいるほどです。
中古車相場価格はピンキリ。古い世代の10万円を切るタマもあれば、100万円以上のプレミアがついたタマもあります。
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ホンダ S660
ミッドシップ・後輪駆動の2シーター・オープンカーの『S660』。冒頭のミッドシップ・後輪駆動のフレーズだけで、白飯3杯くらいはぺろりといけちゃう方がいるはずです。S660の走りの良さは、いまさら書く必要がないくらいでしょう。
2015年4月にデビューしますが、カーボンニュートラルの大きな波に押され、ホンダは全車電動化を宣言、2022年4月に生産終了してしまいます。
そのため、中古車市場では価格が高騰、プレミアがついて400万円を超えるタマも珍しくありません。
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スズキ カプチーノ
1991〜1998年に生産・販売されていたFRの軽スポーツカーがカプチーノ。アルト ワークスに搭載されていたターボエンジンを縦置きに搭載するフロントミッドシップ・レイアウトでした。当時、軽自動車で唯一のFRスポーツカーで、700kg以下の軽量なボディで痛快な走りを披露しました。
中古車市場では、60万円台からありますが、程度の良いタマは100万円を余裕で超えています。
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ホンダ ビート
1991〜1996年に生産・販売されていた、2シーター・オープンカー。デビューはスズキ カプチーノと同じで好敵手でした。FRでターボエンジンのカプチーノに対してビートは、ミッドシップのNA（自然吸気）でした。エンジンの吹け上がりの良さはNAのほうが上。ビートは当時の軽自動車のNAエンジンで最も出力が高い、自主規制めいっぱいの64PSを発生。さらにその最高出力を発生させる回転数は8,100rpmという高回転型のエンジンでした。速さならカプチーノ、運転の楽しさならビートという性格の違いがありました。
中古車市場では、程度が悪いタマでも4、50万円から、いいタマなら2、300万円というプレミア価格となっています。
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オートザム AZ-1／スズキ キャラ
スズキ キャラ。フォグランプの有無がAZ-1との違い。
カプチーノ、ビートと紹介したのなら、この迷車を忘れてはいけません。マツダが1992〜1995年にオートザムブランドで販売していた、ガルウィングドアを採用した2ドアクーペ『AZ-1』。エンジンは、スズキ アルトワークスに搭載されていたF6A型ターボエンジンが使用されました。これはマツダの開発コストを抑えるためだったそう。このこともあり、スズキはOEMを受けて『キャラ』の名称で販売されていました。
軽自動車でガルウィングを採用したのは、この1台のみ。国産車では、トヨタ セラを含めた2台しかありません。
AZ-1／キャラは、車両価格が高くバブル崩壊の最中にデビューしたというタイミングの悪さと、RRに近いミッドシップレイアウトでバランスが悪く、直進安定性も悪かったことなどがあり販売は低迷、デビューから3年後の1994年に生産終了してしまいました。総生産台数は、4,409台だったそう。
そんな迷車でも中古車相場価格は、150〜300万円台と高値です。タマ数の少なさもありますが、今となってはコレクターズアイテムとして貴重な1台となっている模様です。
軽自動車初のスポーツカー
『スズキ フロンテ』1971年
1971年、駆動方式がRRの2ドア・セダン『フロンテ』に軽自動車初となる2ドア・クーペ『フロンテクーペ』がデビューしました。当時、スズキとホンダは軽自動車のライバル関係にあり、スズキはホンダと差別化を図るために軽スポーツカーを投入したのでした。
スズキ フロンテが中古車市場に出回ることは、まずないと思ったほうがいいでしょう。
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（編集後記）
アルト ワークス初代を取り上げたので、当時最大のライバルだった、ダイハツ ミラ TR-XXを紹介したかったのですが、使える画像がなくあきらめました。
※この記事は、2023年3月時点での情報で執筆しています
