「飛び石でフロントガラスにヒビが入った！」という残念なアクシデントに見舞われた方へ、そのまま放置しても問題がないケース・問題があるケースをまとめてお伝えします。
フロントガラスのヒビは車検に通るのか？
結論から言えば「ケース・バイ・ケース。運転席側のヒビは、小さくても車検に通らない可能性が高い」となります。
その理由は、道路交通法などの法律で、フロントガラスにヒビが入ったら走行してはいけない、車検に通らないという直接的な規制がないためです。しかし、次のような車検の基準が法律で定められています。
「道路運送車両保安基準」 第195条 窓ガラスの強度について
1. 損傷した場合においても運転者の視野を確保できるものであること
2. 容易に貫通されないものであること。
フロントガラスのひびが具体的にどのような状態ならば車検で不合格になる、という明確な基準はありません。 判断基準は検査官に拠るところが大きいといえます。 しかしフロントガラスにひびが入った状態で何も処置しない場合、車検に通るのは難しいと考えておいたほうが無難です。
飛び石を受けて、ガラス面に傷が付く程度なら、車検は通ります（一般的に）。しかし、ヒビの場合は、その後の走行でヒビが広がる可能性があります。
ガラスの特性上、一度ヒビが入ると、わずかな力でもヒビは進行しやすくなります。ヒビが助手席側にあり、ヒビの方向が、運転席側に及ばない角度で付いていたのなら、そのまま車検を通して走行を続けたとしても、運転者の視野の確保を妨げないとして問題ない、と判断されるケースがあります。
逆に、運転席側にヒビが入っているときは、その後の運転で運転者の視野が確保できないとして、車検は不合格になることがほとんどのケースとなります。
入ったヒビの本数が1本だったとしても、肉眼では確認できない微細なヒビが、その後のクルマに与えられる衝撃により、急拡大する可能性も十分にあります。
フロントガラスのヒビで違反キップを切られる可能性は？
結論から言えば、あります。
道交法第62条「整備不良車両の運転の禁止」
車両等の使用者その他車両等の装置の整備について責任を有する者又は運転者は、（中略）交通の危険を生じさせ、又は他人に迷惑を及ぼすおそれがある車両等を運転させ、又は運転してはならない。
この条項の違反となるおそれはあります。違反キップを切られた場合の反則金は普通車の場合、9,000円、点数は2点となります。
フロントガラスにヒビが入っても放置して問題がないケース
結論から言えば、「そんなケースはありません」となります。例えば歩道の段差を乗りこえるような、比較的小さなボディへの衝撃でも、ヒビが拡大する可能性が十分にあります。
フロントガラスもクルマの構造物のひとつで、段差やうねった路面を走行すると、ボディはわずかに歪みます。フロントガラスにも、その力は伝わります。ヒビが拡大しやすいのは、このためです。
フロントガラスにヒビが入ったら、たとえ車検を受けた直後でも、走行するのをやめて修理することを強くおすすめします。
フロントガラスにヒビが入らないようにする予防策
予防策は次の4点です。
1. 凍ったフロントガラスに熱湯をかけない
これは、絶対にやってはいけません。急激な温度変化は、ガラスに急激な膨張を引き起こし、飛び石などで出来ていた小さな欠けなどからヒビが入る原因となります。
2. 熱くなったフロントガラスに水をかけない
真夏の洗車は要注意です。だいたい、真夏であれば水温も上がっているので、そこまでの心配はいらないですが、油断は禁物です。フロントガラスに水をかける前に、ガラス面が触れないほど熱くなっていないかどうか、チェックして下さい。
3. 車間距離を開ける
フロントガラスにヒビが入る最も大きな原因は、飛び石です。飛び石の発生源は、前走車の場合がほとんどです。タイヤが石を跳ね上げたときは、車両後方へ向かって飛んでいくことがほとんどだからです。自動車学校で習う車間距離の基本、一般道（60km/h以下）では、速度の半分の距離、高速道路では速度と同じ距離を前走車と空けていれば、ほとんどの飛び石がフロントガラスを直撃することを防ぐことができます。
また、前走車が車線の中央ではなく、車線の左右などを走る傾向がある場合も要注意です。小さな石などが車線の端に溜まっている可能性があるからです。
4. 複数車線では最右車線を走らない
前項でお伝えしたことの逆になりますが、対向車線を走るクルマのタイヤが石を跳ね上げて、自車のフロントガラスを直撃することはまれです。しかし、対向車線を走る大型トラックが土砂などを積載していた場合、段差を越えた振動や風圧などで小石が舞い上がり、自車のフロントガラスを直撃する可能性があります。複数車線ある道路では、最も右側を走行しなければ、対向車線からの飛び石を受けるリスクを減らすことができます。
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