【シトロエン C4 新型試乗】銚子ドーバーラインから西伊豆スカイラインと、西へ東へロングドライブ

クルマを選ぶ 試乗記

2022年1月7日に日本上陸した、シトロエン『C4』と『E-C4 ELECTRIC』でロングドライブをしてきました。今回は、ディーゼルエンジンモデルの『C4』のレポートです。

これぞフレンチハッチバック。平等性に富むC4シリーズ

前回、EVの『E-C4』のレポートで、シトロエンというブランドや、C4シリーズについて少しばかりの説明をさせていただきましたので、ここでは割愛。今回試乗したモデルの紹介をします。

今回試乗したのは『C4 SHINE BlueHdi(シーフォー シャイン ブルーHDi)』。エンジンは、1.5Lのクリーンディーゼル・ターボを搭載。このエンジンは、シトロエン ベルランゴ、プジョー 308にも搭載されており、『Blue HDi』という名称が与えられています。最高出力は96kW(130PS)、最大トルク300N・mを発生しています。

『C4 SHINE BlueHdi』のエンジンルーム

ここで注目したいのは、C4シリーズのほかの2つのパワートレインのスペック。ガソリンエンジンモデルは、シトロエン C3やプジョー 208などにも搭載されている、直列3気筒1.2Lターボ(グローバルで権威のあるエンジン・オブ・ザー・イヤーを連続受賞した名機)が搭載されていますが、最高出力はディーゼルエンジンと同じ最高出力96kW(130PS)、EVの『E-C4』のモーター最高出力は100kW(136PS)と、3つのパワートレインのスペックが近しいものとなっています。

これは、前回の試乗記事でお伝えした、当時PSAグループの考え方「Power of Choice」に基づくもので、1つのモデルで複数のパワートレインが、ユーザーのライフスタイルにあわせて選べるようにしたラインナップです。スペックは、パワートレインの特性によってトルクは少しの開きがありますが、最高出力は130PSあたりでそろっています。これは、平等を愛するフランス人らしい考え方ですね。

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『シトロエンスマートパッドサポート®』筆者のタブレットはディスプレイの小さいiPad miniでアタッチメントが合わなかったが、ここに固定せず置いて使用した。

「平等」というキーワードは、C4シリーズに共通して採用される装備の数々に顕れています。

助手席側のダッシュボードには、『シトロエンスマートパッドサポート®』が標準装備され、別売りのホルダーを用いて固定することができます。キャッチコピーは「助手席の人にもエンターテイメントを」。対応機種は、Apple iPad第7世代、 第8世代、 第9世代、 iPad Air第3世代、Amazon Fire 7 第9世代などとなっています。

Cセグメントの5ドアハッチバックとはいえ、後席は前席に比べると快適性のヒエラルキーは下になってしまいます。しかし、シトロエンは、後席の同乗者にも開放感を味わってもらうため、後席前方までカバーするスライディングガラスサンルーフを装備しています(「SHINE」グレードに装備)。

スライディングガラスサンルーフ

コンフォート性の高さはクラストップレベル。唯一無二の足まわり『PHC』

2019年5月に日本上陸した、シトロエン『C5 エアクロスSUV』に搭載された「PHC(Progressive Hydraulic Cushions™=プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)」は、C4シリーズにも採用されました。

PHCとは、電子制御ではないメカニカルなダンパーで、ダンパーの中にセカンダリダンパーを有する構造となっています。サスペンションが小さく細かく動く路面状況では、減衰力が低いダンパーが機能して、細かい衝撃を吸収し、大きな衝撃が入力されると、もう1つダンパーへとセカンダリダンパーが押し込まれて衝撃を吸収する構造となっています。

PHCとストロークの長いサスペンションとあいまって、ユルフワな(プレスリリースの表現をそのまま借用)乗り心地が実現しました。

このPHCは、1954年のトラクシオンアヴァンに試験的に導入され、翌1955年に発表された後継車であり、20世紀を代表する名車・シトロエン『DS』に本格採用された「ハイドロニューマチック」の「現代的解釈」だとしています。日本では2015年に販売終了したシトロエン『C5』まで搭載され続けた「ハイドロニューマチック」は、独創的な油圧式のエアサスペンションで、魔法の絨毯と称された独特な乗り心地を誇りました。シトロエンといえば前衛的なイメージの強いブランドですが、ハイドロニューマチックはそのイメージを支え続けたアイコン的なメカニズムです。その「現代的解釈」だとするPHC、期待は裏切りませんでした。

タイヤサイズは乗り心地を重視した「195/60 R18」という細めでエアボリュームの多い扁平60のものを履いている。このサイズは本記事執筆時点では、日本のタイヤ市場には流通していない。タイヤはミシュランで、Economyの意味を持つ「eプライマリー」をC4シリーズ全モデルに装着。

中綿をたっぷりと用いたソファのような座り心地の『アドバンストコンフォートシート』。適度な沈み込みで身体をホールドしてくれ、長時間の運転でもお尻や腰が痛くならず、疲れない。

C4シリーズは、クルマのコンフォート性を司る3大パーツ、タイヤ・サスペンション・シートを徹底的に吟味しています。E-C4の記事でもお伝えしましたが、路面からの入力の吸収が特異な細くてエアボリュームの多いタイヤで乗り心地の下味をつくり、PHCが入力の大きさに応じて衝撃を緩和する調理を行い、たっぷりとした中綿のシートというお皿に乗せて提供される、至高の乗り味のヴィアンド(フランス料理でいう肉料理のメインディッシュ)です。

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ドライブの目的地は西伊豆スカイライン、銚子ドーバーライン

天気が良ければ海に沈む夕日が望めた西伊豆スカイライン

筆者は試乗するとき、クルマに合った目的地を選んでいます。1日目は、快適な乗り心地を、きれいな景色のワインディングで楽しみたいと思い、夕日がきれいに見える西伊豆スカイラインを選びました。天気予報と天気図をにらめっこして、ベストタイミングを狙ったのですが、あえなく天気は急変。厚い雲に覆われたドライブとなってしまいました。西伊豆スカイラインは、文字通り西伊豆の稜線上を走る延長約11kmの、2004年までは有料道路だった観光道路です。

2日目は、フランスにあやかった景色の良いところに行こうと思い、『銚子ドーバーライン』を目的地に設定。千葉県は銚子の犬吠埼の少し南の県道286号線、2003年までは有料道路だった延長約6.5kmの観光道路です。銚子ドーバーラインの「ドーバー」は、フランスとイギリスの間にある『ドーバー海峡』から名付けられたもので、ドーバー海峡の特徴的な断崖絶壁と似ている『屏風ヶ浦』の上を通ります。

遠景の断崖絶壁が『屏風ヶ浦』

前回乗ったE-C4は、充電スポットを気にしなければならず、田舎道をメインで走行するドライブは少々心細くなります。『C4 SHINE BlueHdi』は、ロングドライブはお手のものです。1.5Lディーゼルエンジンは、トルクが太くよく走り、低燃費。平均実燃費で16km/Lほどをマークしていました。燃料タンク容量は50Lですから、800kmの航続距離があったことになります。C4の「Power of Choice」は、長距離ドライブが多いライフスタイルの方にぴったりでしょう。

乗り心地をE-C4とC4ディーゼルで比べるなら、車重が重たいE-C4に軍配が上がりました。車重の重さがPHCとの相性を良くしている、むしろPHCは電動化を前提に開発されたのではないかと思ったほどです。

走行性能においては、どちらも良かったのですが、車重が軽くトルクが太いディーゼルのほうが、走りやすさが目立ちました。PSAの1.5Lディーゼルエンジンとアイシン製8速ATの組み合わせは、ほかのモデルでも定評があり、C4も高評価。トルクは太いが、回転数が稼げないディーゼルは、細かく刻まれたギア比の多段ステップATと相性は機構的に良いものです。C4のギアチェンジは小気味いいタイミングで変速し、加速力が欲しいときにはアクセルを踏みつければ、「あれ?このクルマ、こんなに速かったっけ?」と思わせてくれます。これは、せっかちなフランス人らしいセッティングではないでしょうか。

撮影地は犬吠埼。この日は天気に恵まれた。

総合評価

燃費 ★★★ 高速道路ではカタログ数値を上回る25km/Lも記録。都心部の劣悪な環境でも14km/Lをマークした。
加速 ★★★ 300N・mと8速ATのおかげで、発進と中間加速はかなり走る。
ハンドリング ★★★ コーナリング時のロールは大きめだが、一定のところでしっかりとこらえる絶妙な味付け。好みが分かれるところではあるが、ワインディングでの走りはとても楽しかった。
操縦安定性 ★★★ C4シリーズはフランスでは大衆車。スポーティではないが週末のバカンスで長距離走行しても疲れない操縦安定性はさすが。
乗り心地 ★★★ ★5つあげたい。ぜひ悪路でも走行を。2CVの面影がチラリ。
取り回し ★★ 車幅1,800mmで取り回しが良いというとどのクルマもお世辞。ただ、狭い道でのすれ違い以外は普通に乗り回せる。
NVH ★★ アイドリングや徐行といった住宅街に多い走行、低速域の加速では、ガラガラ音が少し気になる。巡航は静か。
走りの愉しさ ★★★ ずっと乗っていたくなる。そんな愉しさ。
外装デザイン ★★ 個人的には好きだが、好みは確実に分かれるので★2つとした。
内装デザイン ★★ 同上
室内空間 ★★★ 身長180cmの筆者が後席に座っても、頭は天井に付かない(足が短いという指摘覚悟)。大人4人乗って長時間走れる。
ラゲッジ ★★ 必要にして十分。ゴルフバッグはつらい。
快適装備 ★★★ コンフォート性はシトロエンの命です。
安全装備 ★★★ 実は、PSAの先進安全装備は非常に優秀。
運転支援 ★★★ 車線内の任意のところでハンドル支援するのはPSAのお家芸。操作スイッチがやっとステアリングのところに配置されて使いやすくなった。
コスパ ★★★ 本国では大衆車でも、日本で走るとプレミアム感ある輸入車。それが300万円台前半のプライスなら、コスパは良いでしょう。

試乗車:シトロエン C4
グレード:SHINE BlueHd
ボディカラー:ブラン キャラメルi
車両価格:345万円

(撮影・取材・文:宇野 智)

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※この記事は、2022年2月時点での情報を元に執筆しています。

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