エンジンマウントを交換しないとどうなるのか?

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エンジンマウントという部品をご存じですか? エアクリーナーエレメントやスパークプラグのように、パッとカタチが思い浮かぶパーツとは違い、見たことがあるという人はあまり多くはない部品のひとつだと思われます。ここではエンジンマウントの役割や交換の目安を解説します。

エンジンマウントの役割は?

エンジンマウントは金属とゴムで構成される部品です。金属の部分も、多くは黒で塗装されており、はっきり言って見た目はかなり地味です。そんな見た目なのですが、快適な乗り心地や静粛な車内を実現するのになくてはならないパーツとなります。

具体的に、どのように機能しているのかを説明しましょう。

装着されているのはエンジンとボディの間。エンジンが掛かっている状態では、エンジンは激しく振動しています。エンジンの中では、吸い込んだ空気と燃料をピストンで圧縮し燃焼(爆発)させているワケですから、当然燃焼(爆発)の衝撃がエンジン本体を振るわせるのです。

しかもその回数たるや、アイドリングの状態(800回転/分とすれば)でも1気筒あたり400回/分なので、恐らくみなさんが想像する以上の燃焼(爆発)が繰り返されているのです。多気筒による衝撃の相殺や、エンジンメカニズムの工夫によりエンジンの振動はどんどん抑えられてきたのですが、それでも完全に無くなることはありません。

その振動を車体側に伝えないようにするため、ゴムを介してフローティングマウントしてくれているパーツがエンジンマウントとなります。

フローティングマウントとは、浮いた状態での部品同士の結合を意味します。浮いているといっても部品間(エンジンマウントで言えば、エンジンと車体)に何もないわけではなく、ゴムを介して結合された状態のことを指します。振動を伝えづらいゴムを間に入れることで、金属同士が直接結合されるよりも圧倒的にエンジンの振動がボディに伝わらなくなるというワケです。

エンジンマウントが経年劣化するとどうなるのか?

エンジンマウントの役割のキモとなるのがゴム部ですが、ゴムは経年劣化することで硬くなります。ゴムの柔軟性がエンジンの振動を吸収するワケですから、硬くなるということは振動を伝えやすくなるということ。

ゴムに限らずですが、経年劣化というのはじわりじわりと劣化が進んでいきますから、ユーザーは劣化の進行に気付きづらく、気付くことになるのは劣化がかなり進行した状態になってからとなります。

気付くきっかけになるのは、異音が発生し始めるタイミングが多いのではないでしょうか? エンジン振動の伝わる量が増えていくと、車体側に装着された様々な部品を振るわせる量も増大します。例えば内装の内張りもそのひとつで、ある一定以上のエンジン振動が伝わると、内装材が振動しはじめ、異音を発生させるのです。その異音の発生がユーザーにクルマの異変を気付かせることになるのです。

とはいえこの時点では、多くのユーザーはエンジンマウントのゴム部の経年劣化が原因だとわからないかもしれません。しかし修理を依頼した時に、エンジンマウントの経年劣化がかなり進行しているのが原因だと知らされることとなるでしょう。

交換しないまま乗り続けるとどんな悪影響があるの?

エンジンマウントが経年劣化し、車体側に不快な振動や異音が発生するようになってきた。そんな時あなたはどうされますか?

まだクルマが新しい場合なら、「エンジンマウントを交換してもらう」と回答される方が多いと思いますが、エンジンマウントが原因で振動や異音の発生するのは走行距離が10万kmを超えてからというケースがほとんどなのです。つまりクルマが大分古くなった状態ということです。

そういったクルマにメンテナンス費用を潤沢に掛けようと思う方は、残念ながらかなり減ってしまいます。

もちろん趣味的要素の強いクルマで、以後も長く乗り続けたいという場合は「交換しよう」となりますが、移動の道具としてクルマを使われている一般的なユーザーであれば、多少振動や異音があっても「動くから問題ないか?」と修理を見送ることが多いと思われます。

しかもエンジンマウントは、車検時の検査項目に含まれていません。厳密に言えば含まれていますが、劣化していたからといって車検で問題が生じることはまずありません。つまりユーザーにとって不快過ぎる振動や異音が発生するまで交換しない場合もよくあります。

しかしエンジンマウントを劣化したままにしておくと、クルマに思わぬ故障が発生することがあります。振動は人間にとっても不快なものですが、車体本体や車体に付くさまざまな部品にとっても悪影響が大きいのです。特に金属の部品は大きな振動が伝わり続けると金属疲労による破損を招くこともあります。

交換するタイミングはいつ?

エンジンマウント交換の目安は走行距離であれば10万km、期間であれば10年と言われています。もちろんその前に激しい振動や異音が発生すれば交換が必要になります。かつてはその距離や期間が過ぎても「言われてみれば振動が増えているかも?」といったレベルで、そのまま交換せずとも、大きな問題に発展していくことは稀でした。

しかし現在のクルマに装着されるエンジンマウントは、昔のクルマに比べると、高性能なものとなっています。どういった点で高性能かというと、振動の吸収性が圧倒的に高められているのです。明らかに違うのがゴム部の形状で、昔のモノはゴムの体積が大きいゴツゴツした形状が普通でしたが、現在のモノは振動を効率よく吸収できるようにゴムの間の空間を大きくとる華奢な形状(ゴム部の体積は相対的に小さくなっています)を採用しています。そんな形状ゆえに、エンジンの振動を効率よく吸収してくれるのですが、経年劣化が進むと大きく変形したり、ひどい場合は破断したりしてしまうのです。

そうなるとエンジンが本来ある位置から下側に大きくズレることになり、エンジン本体が他の部品に直接触れてしまうこともあります。それにより振動が直に伝わり、しかも大きな異音が発生します。

他の部品に触れない状態でも、振動吸収の主役となるゴム部に間に作られた空間がなくなり、体積の少ないゴム部だけでエンジンを支える部分が生じてしまうため、伝わる振動の量も明らかに大きくなってしまうのです。そんな症状が出ていたら、交換するしかありません。

【まとめ】10年または10万kmを過ぎたらエンジンマウントの交換を検討しよう

10万kmや10年という交換時期と共に、不快な振動や異音を感じるようになったら、その時が交換タイミングといえます。ただしエンジンマウントだけを交換するのは、工賃的にコストパフォーマンスが低くなってしまいます。

できればタイミングベルトやファンベルト、ウォーターポンプといったエンジンの消耗品を交換するタイミングで、同時にエンジンマウントも交換するのが、リーズナブルな交換となります。そう考えると10万kmに近づいた際に行う車検時がエンジンマウントのベストな交換タイミングと言えます。その車検ではプラス10万円前後の整備費用が掛かることになりますが、トータルで見れば、お得な交換となるはずです。

「カープレミアガレージ」とは

「カープレミアガレージ」では、国家資格を持った整備士が点検に対応するため、クルマに関する疑問点や不安点は何でもご相談いただけます。また、定期点検などのサービスも行っているため、長期的なクルマの管理も安心して任せることができます。

また、カープレミアでは「カープレミアパーツ」としてリビルト・中古部品を推奨しており、自社グループ会社においても、リユースの生産から販売まで自社工場を有し低価格の実現を進めています。

「カープレミアパーツ」とは?

カープレミアのグループ会社が提供する自動車パーツです。整備・修理の際に、主に「中古・リビルト部品」といった「リサイクル・リユース部品」などの低価格で安心のパーツを提供しています。

中古・リビルト部品って何?

中古部品(リユース)は、使用済み自動車等から取外され、テスターによる点検、清掃などを行い商品化された部品です。リビルト部品は、中古部品(コア)を分解洗浄、消耗品交換や故障個所の交換を行い、性能をほぼ新品同等に回復させた部品です。

リビルト部品をオススメする理由

1.新品部品を利用するよりもコストパフォーマンスが良い事
2.リサイクル、リユースといった資源の有効活用に繋がること。
3.品質基準をクリアした部品で安心して使用できること。

中古・リビルト部品のメリット

新品部品と比較して部品にもよりますが、20%~30%ほど部品代金が抑えられるケースがあります。

その他、万が一の故障時に0円で修理対応する故障保証や、24時間365日対応可能なロードサービスなどのサポートも充実しています。安心・快適なカーライフは、「カープレミアガレージ」にお任せください。

※故障保証の利用は車両購入時に別途加入が必要です。

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※この記事は、2022年5月時点での情報を元に執筆しています。

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