1993年にデビューした初代は、軽自動車に「スペース効率革命」を起こして大ヒット。日本に軽トールワゴンブームを巻き起こしました。2012年に登場した5代目ワゴンRは数々の低燃費化技術を盛り込み、ハイブリッド車でなくても燃費性能を高められることを実証したモデルです。そんな5代目ワゴンRについて解説します。
【サマリー】軽ナンバーワンの低燃費を達成した新世代エコカー
2009年にエコカー減税とエコカー補助金がスタートしたことで、多くの人が燃費性能に多大な関心を寄せるようになりました。減税や補助金が受けられるかが販売台数に直結したため、自動車メーカー各車は0.1km/Lでも燃費を良くするためにさまざまな技術を投入。5代目ワゴンRも画期的な低燃費化技術が盛り込まれています。
【外観スタイル】スティングレーは横長のクールな表情に
5代目ワゴンRは歴代モデル同様に標準モデルとカスタム系モデルとなるスティングレーの2タイプを用意。スティングレーはエアロパーツでスタイルを派手にする手法ではなく、ライト周りを中心にフロントフェイスが標準モデルとは大きく変えられています。
標準モデルは先代となる4代目ワゴンRのイメージを継承したキープコンセプトデザインになります。ただ、ボディラインに丸みをもたせることで高級感と落ち着いたイメージが強調されました。
【インテリア】標準モデルとスティングレーで異なるイメージ
標準モデルは明るい色を使って広がりのあるデザイン、スティングレーは黒を基調として精悍なイメージを演出しています。スティングレーはピアノブラック調のドアアームレストや専用デザインの縫製シートを採用。シルバー加飾も使って高級感を高めました。どちらもインパネ上面や前面のボリューム感を抑えて圧迫感を減らすとともに前方の良好な視界を確保しています。
【走り・燃費】最大70kgという驚愕の軽量化を実現
多くのスズキ車で使われているR06A型エンジンに改良を加えて摩擦抵抗を軽減。そして現在のスズキ車が採用するプラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」につながる新プラットフォームを採用して最大70kgの軽量化を実現しました。
さらに環境技術、低燃費化技術、軽量化技術などの新技術「スズキグリーン テクノロジー」を初搭載。内容は以下のとおりです。
■エネチャージ
高効率なリチウムイオンバッテリーと高効率・高出カのオルタネーターを併用した減速エネルギー回生機構システム。
■新アイドリングストップシステム
減速時にアクセルを離したときから燃料をカット。そして13km/h以下でエンジンを停止するシステムを軽自動車初搭載。スタート時のエンジン再始動のスムーズさも評判でした。
■エコクール
アイドリングストップでエアコンが停止し送風状態になった時、蓄冷材を通した冷風を室内に送ることで車室内の温度上昇を抑制する機構を軽自動車初搭載。
これらにより軽ワゴンNo.1の低燃費28.8km/L(JC08モード)を達成しました。
【安全装備】低速時に作動するレーダーブレーキサポートを2013年7月に搭載
デビュー時はまだ先進安全装備は搭載されておらず、2013年7月の改良で低速走行時にレーザーレーダーで前方のクルマを監視し衝突の可能性が高いとシステムが判断すると、自動で強いブレーキをかけ、衝突の回避または衝突時の被害軽減を図るレーダーブレーキサポートが搭載されました。
【グレード構成】標準モデルとスティングレー、どちらも2グレード展開
デビュー時のグレード構成は標準モデル、スティングレーともに2グレード展開。それぞれFF車と4WD車が用意されました。トランスミッションはすべてCVTになります。
■ワゴンR
FX FF:110.985万円 4WD:122.745万円
FXリミテッド FF:124.95万円 4WD:136.71万円
■ワゴンRスティングレー
X FF:133.35万円 4WD:145.11万円
T FF:149.625万円 4WD:161.385万円
スティングレーのTはターボエンジンを搭載しています。
【マイナーチェンジ&改良一覧】改良のたびに燃費性能が向上
前述したように5代目ワゴンRが登場した時は、自動車メーカー同士の燃費競争が熾烈だった時代。そのため、ワゴンRの改良は燃費性能の向上の歴史ととらえてもいいほど、改良のたびに燃費数値が上がっていきました。
デビュー時の燃費はNAエンジン搭載車のFFで28.6km/L(燃費性能はいずれもJC08モード)。これは当時の軽ハイトワゴンNo.1の数値でした。ターボのFF車も26.8km/Lという低燃費を達成。これらはスズキグリーンテクノロジー、新プラットフォームなどによる軽量化、エンジンロスの軽減などの賜物です。
翌2013年7月の改良では、NAエンジンを搭載するFF車の燃費が30km/Lに、ターボのFF車は27.0km/Lを達成しています。これはどちらも当時の軽ハイトワゴンNo.1の数値です。そしてこのタイミングでレーダーブレーキサポートがオプション設定されました。
マイナーチェンジでS-エネチャージを搭載
2014年8月、5代目ワゴンRはマイナーチェンジを実際。標準車のヘッドライトやグリルなどエクステリアに手が加えられて、クールなイメージに変わりました。スティングレーもフロントバンパーなどのデザインが変更されています。
マイナーチェンジ最大のトピックは、NAエンジン搭載車で前期型に搭載されたエネチャージから、S-エネチャージに変更されたこと。S-エネチャージは現在のマイルドハイブリッドにつながる技術で、セルモーターの代わりにスターターとジェネレーター(発電機)の機能を併せ持つISGを搭載。減速時にISGが発電し、その電気をリチウムイオンバッテリーと鉛バッテリーに充電するシステムです。
ISGはモーター機能もあるので、15〜85km/hの範囲で加速する際にISGがエンジンをアシストしてガソリン消費を抑えます。また、アイドリングストップからの再始動もセルモーターの代わりにISGがエンジンを始動しますが、セルモーターのようにキュルキュルキュルという音がしないので、再始動が静かに行えるというメリットがあります。
ほかにもR06A型エンジンを改良したことで、燃費性能はNAエンジン・FF車の燃費が32.4km/Lになりました。
このタイミングでスティングレーの先進安全装備も進化。後退時にバックカメラを使って左右から近づく移動物を検知する後退時左右確認サポート機能が備わりました。
2015年8月の改良では標準車のFZとスティングレーに搭載されるS-エネチャージの性能が進化。マイナーチェンジ時はモーターアシストが最大6秒間でしたが、このタイミングで最大30秒のアシストが可能になり、アシスト範囲も発進時から可能になりました。そしてNA車だけでなくターボ車にもS-エネチャージを搭載。NA・FF車の燃費が33.0km/L、ターボ・FF車の燃費が28.0km/Lになりました。
【ワゴンRのおすすめモデル#1】S-エネチャージが進化した最終型FZ
S-エネチャージはスズキが多くのモデルで採用しているマイルドハイブリッドにつながっていく機能。燃費はもちろん、モーターアシストなど街中を快適に走行するために必要な要素が詰まっている技術です。2015年8月に登場した最終型はモーターアシスト時間が約30秒まで拡大。最新のマイルドハイブリッドと同等の性能が与えられているので、満足度は高いはずです。
【ワゴンRのおすすめモデル#2】最終型スティングレーT
今の軽自動車はプラットフォームの進化によりコンパクトカー並み、あるいはそれ以上に走行性能が高いといわれることもあります。実はこの流れを作ったのが5代目ワゴンRでした。このモデルから採用されたプラットフォームが素晴らしく、他メーカーは慌てて既存プラットフォームに補強などを施して乗り心地を高めたほどです。
安定した走りが楽しめるようになったことで高速道路を使った長距離移動も楽にできるようになったので、エンジンもターボによる余裕ある走りがほしいところ。休日に遠くまで遊びに行こうと思うなら、ぜひターボエンジンを搭載したスティングレーTを選んでください。
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【まとめ】今でも通用する基本性能が備わったモデル
おすすめモデルのところでも触れましたが、この代のワゴンRがきっかけとなり軽自動車の乗り味は飛躍的にレベルアップしました。5代目ワゴンRは最新モデルではありませんが、今乗っても十分満足できるクルマとなっています。後期型からS-エネチャージになり燃費性能がよくなっていますが前期型でも燃費性能は高いので、色や装備など、好みのものを探してください。
この記事は2022年9月の情現在報に基づいています。