PHEV(PHV)とはPlug-in Hybrid Electric Vehicleの略で、プラグイン=外部から走行用バッテリーを充電できるハイブリッドカーを意味します。これまでのハイブリッドカーよりも大容量のバッテリーを搭載するため、モーターでの走行距離が長いという特長を持っています。
そんなPHEVの人気を二分するのが、ミドルクラスSUVの三菱アウトランダーPHEVとトヨタRAV4 PHVです。車格的にもライバルとなるこの2台を比較してみましょう。
【外観スタイル】ボクシーなアウトランダー、エッジの効いたRAV4
アウトランダーPHEVは、2012年に登場した2代目アウトランダーの追加モデルとして同年12月に設定。その3代目(PHEVとしては2代目)となるのが現行型で、2021年12月に発売されました。
全グレードがPHEVとなった新型は従来モデル以上に直線基調のデザインとなり、三菱車共通のフロントマスクである「ダイナミックシールド」や、ボンネット直下にデイタイムランニングランプやターンランプ、バンパー内にヘッドライトを配置した個性的なデザインを採用。
ボディサイズは全長4,710mm×全幅1,860mm×全高1,740〜1,745mmと先代モデルよりもひとまわり大きく、20インチの大径ホイールと相まってSUVらしいワイドで安定感のあるスタイルに仕上げられています。ボディカラーは、モノトーン8色、ルーフのカラーが異なる2トーンが2色の計10色を用意しました。
現行型が4代目(グローバルでは5代目)となるRAV4に2020年6月に設定されたのがRAV4 PHVです。
エクステリアデザインはベースとなるRAV4と共通で、エッジを効かせることでアウトドアテイストを感じさせたスタイリングが特徴です。ボディサイズは全長4,600mm×全幅1,855mm×全高1,690〜1,695mmで、全長と全高はアウトランダーよりもやや小ぶり。ボディカラーはモノトーン6色、2トーン5色の計11色から選べます。なお、RAV4に設定のある、オフロードイメージを高めたアドベンチャーグレードはRAV4 PHVには設定されません。
両車のデザインテイストは、同じミドルSUVながら大きく異なります。重厚かつ上質なアウトランダーに対し、RAV4は軽快でスタイリッシュといえるでしょう。
【インテリア】水平基調で質感の高いアウトランダーと立体的な造形のRAV4
エクステリアと同様に、インテリアも対照的なデザインとなるこの2台。アウトランダーはクロカン4WDと呼ばれていた時代からの三菱の伝統といえる、オフロード走行で車体の姿勢変化をつかみやすい水平基調のインパネ、「ホリゾンタル・アクシス」を採用しました。
質感も高く、中間グレードのGにはフェイクレザー、上級のPには本革シートを採用しています。また、GとPグレードはブラック×ライトグレーの個性的なレザーシートをオプション設定。なお、ベースグレードのMは2列シートの5人乗り、Pは3列シートの7人乗りで、Mはその両方を用意しています。
RAV4のインパネは左右対称デザインで、エアコン操作部からセンターコンソールにつながる造形が力強さを感じさせます。
サテンメッキの加飾や手触りのいい合成皮革シートを採用して質感を高めているものの、アウトランダーと比較するとカジュアルさを意識したデザインといえるでしょう。なお、RAV4の内装色はブラックのみで、全車2列シート・5人乗りとなります。
操作系は両車ともにダイヤルも用いており、センターディスプレイとして9インチのディスプレイオーディオを採用するなど共通点もあります。
【ラゲッジ】アレンジではアウトランダー、フラットさではRAV4が勝る
2列シート車同士で比較すると大きな差はありませんが、アウトランダーの7人乗りモデルの2列目は、3列目への乗降のため前後にスライド可能です。また、3列目は後方に反転格納できるため、3列目を格納し2列目を前方にスライドさせればRAV4以上の広さが得られます。
ただし、アウトランダーは2列仕様/3列仕様ともに、2列目の背もたれを倒したときに完全にはフラットにはなりません。一方RAV4はフラットに近い状態を作り出せるため、2人乗車で大きな荷物を積むような状況やラゲッジを使って車中泊するようなときの使い勝手はアウトランダーよりも上といえます。
その2列目背もたれの可倒方法は、RAV4が一般的な6:4分割式、アウトランダーが4:2:4の3分割式という違いがあります。アウトランダーは2列目左右席のアームレストにもなる背もたれ中央部を倒すことで、4人乗車時でも長尺物を積みやすくなるのは利点といえるでしょう。
【装備】4WD性能に秀でたアウトランダーに対し、パワフルな走りを楽しめるRAV4
両車ともに4WDのみの設定なので、オフロードや雪道の走破性の差が気になるという人は少なくないでしょう。
アウトランダーに搭載されるツインモーター4WDには、WRC(世界ラリー選手権)などを戦ったラリーカーのベースモデル、ランサーエボリューションに搭載されたS-AWC(Super All Wheel Control)が組み合わせられています。これは4つのタイヤの駆動力と制動力を最適制御して操縦性と安定性を高めてくれる車両運動統合制御システムです。走行モードも、ノーマル、パワー、エコに加えて、旋回性を高めた乾燥路用のターマック、未舗装路や豪雨時に適したグラベル、雪道や凍結路用のスノー、泥濘路や深雪で走破性や脱出性を高めるマッドの計7モードを備えているのも特徴です。
RAV4の4WDは後輪をモーターで駆動するE-Four(電気式4WDシステム)となります。駆動力と4WD、ブレーキやステアリングを統合制御することで路面を問わず安定した操縦性や走破性を実現し、さらに空転したタイヤにブレーキを掛けることで駆動力を高め、悪路からの脱出をサポートするトレイルモードを装備していますが、アウトランダーほどの高い悪路走破性を持つわけではありません。半面、306馬力のシステム最高出力を使った加速力はRAV4がSUVであることを忘れさせるほどです。ことスポーティな走りではRAV4に分があるといえるでしょう。
【先進安全装備】アウトランダーのマイパイロットは自然な制御が自慢
アウトランダーに標準搭載されるマイパイロットは、アライアンスを組む日産の先進装備、プロパイロットの三菱版です。前走車に追従して走るACC(アダプティブクルーズコントロール)と車線維持支援機能のLKA(レーンキープアシスト)を統合制御したもので、高速道路走行時の負担を大幅に軽減してくれます。
速度標識を認識して設定速度を変更したり、ナビの地図情報を使いコーナーや分岐点で車速を調整したりもできます。渋滞中も車線を維持し、前走車に合わせて停車しても30秒以内であれば自動で発進することが可能です。
RAV4にも全車速追従のレーダークルーズコントロールや車線の中央を維持して走るLTA(レーントレーシングアシスト)は標準装備されますが、マイパイロットほどの柔軟な速度制御は行いません。それでも、高速道路を前走車に追従して走るのであれば十分に有効な機能といえるでしょう。
そのほか、自転車や夜間の歩行者にも対応する追突被害軽減ブレーキや、アクセルとブレーキの踏み間違い防止機能、後側方を走る車両を検知するブラインドスポットモニターなどは両車に標準装備されています。アウトランダーにはさらに、2台前を走る車両を監視する前方衝突予測警報や、斜め後方や隣の車線に車両がいる場合に車線変更したときに警報とともに車線内に戻るようブレーキ制御する後側方衝突被害防止支援システムも装備されます。
【パワートレイン】同じPHEVながらハイブリッドシステムの制御は異なる
両車とも、バッテリー残量があればEV走行可能なハイブリッドシステムを搭載しますが、その制御方法には大きな違いがあります。
RAV4は2.5L直列4気筒エンジンに前後モーターを組み合わせたシリーズ・パラレルハイブリッドシステムを搭載しています。エンジンは177馬力/22.3kgm、フロントモーターは182馬力/27.5kgm、リアモーターは54馬力/12.3kgmの性能を誇り、システム出力は306馬力に達します。
後輪をモーターで駆動する4WDで、モーター駆動を優先するEVモード、パワーがー必要なときはエンジンを始動するオートEV/HVモード、状況によりエンジンも使うHVモードの3つの走行モードを備えています。駆動用バッテリー容量は18.1kWhで、WLTCモードでのEV走行距離は最長95km、同じくハイブリッド燃費は22.2km/Lを誇ります。
アウトランダーも前後にモーターを装備していますが、エンジンで発電しモーターで駆動するシリーズハイブリッドを基本に、高速走行時にはエンジン駆動も行うのが特徴です。
スペックは、2.4L直4エンジンが133馬力/19.9kgm、フロントモーターは116馬力/26.0kgm、リアモーターは136馬力/19.9kgmで、駆動用バッテリーは20kWhの容量を持ちます。走行モードは自動制御のノーマル、できるだけエンジンを掛けないEVプライオリティ、バッテリー残量を維持するバッテリーセーブ、エンジンで積極的に発電させて満充電に近づけるバッテリーチャージの4つを搭載。
WLTCモードでのEV走行距離は83〜87km、ハイブリッド燃費は16.6km/Lと特に燃費性能でRAV4に差をつけられますが、これはRAV4の車両重量が1,900〜1,920kgなのに対し、アウトランダーは2,010〜2,110kgと100kg以上重いことも関係しています。
なお、アウトランダーは普通充電だけでなく急速充電も可能ですが、RAV4は100Vまたは200Vの普通充電のみの対応となります。100V/1,500Wの外部給電システムは両車が搭載しており、アウトランダーはさらにクルマの電力を家庭で使うV2H(Vehicle to Home)にも対応します。
【価格】価格帯は非常に近いが7人乗りが選べるのはアウトランダーだけ
アウトランダーの価格は、ベーシックなMの462万1,100円から最上級のPの532万700円まで。RAV4は同じくGの469万円からブラックトーンの539万円までとなり、価格帯は非常に近いといえます。全車4WDであり、グレード間による走行性能の差がほとんどないのも同じですが、7人乗りを選べるのはアウトランダーだけで、コストパフォーマンスがより高いともいえます。
アウトランダーの人気グレードであるPは、セミアニリンレザーシートや3ゾーン独立温度コントロール式フルオートエアコン、カラードタイプのガーニッシュが標準で、さらにBOSEプレミアムサウンドシステムもと装備されます。
RAV4は中間グレードのG Z(499万円)が人気です。前席のシートベンチレーションやパワーバックドアが備わり、パノラミックビューモニターやパーキングサポートブレーキ、ブラインドスポットモニターも標準装備されています。
【アウトランダーPHEVがおすすめなのはこんな人】充実の安全装備と高い悪路走破性はアウトドア好きに最適
一般路はもちろん、キャンプ場までの悪路や、スキー場までの積雪路などを走らせるときに頼もしい走破性を持つアウトランダーPHEVは、アウトドアレジャーでその真価を発揮してくれます。マイパイロットによる快適な高速走行性能も、目的地までの疲労を軽減するのに役立ちます。また、クルマから家庭への給電システムであるV2Hにも対応しているので、太陽光発電や安い深夜電力を活用することで経済性はさらに高められます。
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【RAV4 PHVがおすすめなのはこんな人】燃費性能に優れるため街乗りから長距離ドライブまで満足できる
ベースモデルのRAV4同様、RAV4 PHVもアウトドアに映える個性的なエクステリアを採用していますが、燃費性能に優れるため特に街乗りでは高い経済性を発揮してくれます。高速道路を使った長距離ドライブも得意ですが、急速充電に対応していないので充電時間がかかることは覚えておいた方がいいでしょう。4WD性能はアウトランダーに及びませんが、通常のレジャーシーンにおけるキャンプ場への未舗装路やスキー場への雪道であれば問題ないはずです。
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【まとめ】経済性が高く、バッテリー切れの心配もいらない理想のエコカー
外部充電に対応することで大容量のバッテリーを生かせるPHEVは、車両価格は高くなりますがその分優れた経済性を備える次世代のエコカーです。モーター駆動による静かで力強い走りはBEVを彷彿とさせますが、発電機となるエンジンを搭載することから電欠の心配がないのもメリット。ぜひ、ガソリン車や従来のハイブリッドカーとは違う、PHEVらしい走りを楽しんでください。
この記事は2022年9月の情現在報に基づいています。