【嶋田智之の目】毎日の生活にときめきを与えてくれる国産MT車10選

クルマを選ぶ テーマ別特集

日本で販売される新車の実に9割以上がATをはじめとする2ペダル車ですが、3ペダルのMTには、2ペダルでは決して味わうことができない独特の楽しさがあります。MTというと敷居が高いクルマのように感じる人も多いはず。でも実はそこまで難しく考えなくても乗ることができるのです。嶋田智之氏が、今だからこそ乗りたい国産MT車を紹介します!

クルマの楽しさを何倍にも膨れ上がらせてくれるMT

こちらのコラムでも何度か触れさせていただいていますが、僕はマニュアルトランスミッション(以下、MT)のクルマを走らせるのが好きです。いや、オートマチック(以下、AT)や無段変速(以下、CVT)、オートメイテッドマニュアル(=ロボタイズドマニュアル、以下AMT)、デュアルクラッチ(以下、DCT)といった2ペダル式もキライじゃありませんし、パドルで能動的にギアを切り換えることができるモデルであれば、なおのこと。それでも手動式のMT+3ペダルが好きなのには、僕なりの理由があったりするのです。

それは自動車という乗り物を自分で操縦する感覚がたっぷりと味わえるから。クラッチを踏んだり離したりシフトスティックをエンゲージしたり、それらとエンジンの回転を合わせたりと面倒なことも多々あるわけですが、それがまた楽しかったりするのです。

自分の一挙手一投足で、クルマが綺麗に動いてくれたりギクシャクしちゃったり。もう何十年もMTを運転しているのだからミスなんてしないと思っていても、疲れていたり気がそぞろだったりすると、完璧にとはいかないこともあります。コンマ数秒タイミングが狂ったりコンマ数ミリ操作が甘かったりで、出さなくてもいい微細な振動や揺れを生み出しちゃったりすることが、恥ずかしながらあったりします。それだからして、1日ひとつもミスなく走れた日には、達成感にも似た歓びすら感じることがあるくらいです。

それがスポーツカーともなると、MTというものの性質をフルに活用しながら積極的に走っていくことで、クルマ持ち前の楽しさが何倍にも膨れ上がるところがあったりするわけです。それだからして、「スポーツカーとMTはセットであるといいな」とひそかに思い続けてきているのです。事情があってMTを選びたくても選べない人がいることも知っているので、あまりクチにしてはこなかったのですけれど。

ところがつい最近、僕より若い後輩から、こんな質問を受けたのです。

いわく、「うちの娘がマニュアルのスポーツカーに乗りたいらしいんですが、先輩、何がいいと思います?なるべく日本車で」。

僕は娘さんのことをよく知らないので「好きになってこれに乗りたいって強く感じるクルマがあったら、それを選ぶのが一番でしょ」と答えたのですが、気になって日本のスポーツカーにどれくらいMTのモデルがあるのか、あらためてチェックしてみることにしました。なぜなら、スポーツカーも絶滅危惧種、MTも絶滅危惧種、という時代が続いていたことがあったからです。

すると、結構あるモノなんですね。意外なことにMTで走らせられる日本車というのは30車種少々あるのですが、およそ3分の1がスポーツカーだったのです。駆け足になりますが、軽く紹介いたしましょう。

「マツダ ロードスター」スピードではなくスピード「感」、ヒラリとした動きは世界屈指

世界に誇るべき、日本生まれのオープンスポーツカーです。しかもフルオープン+後輪駆動。ロードスターはスピードではなく気持ちのいいスピード『感』、コーナリングスピードよりも曲がるときのヒラリとくるクルマの動きそのものを堪能できることに関して、世界屈指のスポーツカーです。

最も軽いモデルは車重990kg。フットワークの軽やかさはピカイチです。どんなときでも『クルマでスポーツしている』感覚を味わっていたい人に、最適の相棒といえるでしょう。

「マツダ ロードスターRF」ロードスターというクルマが持つ楽しさをイージーに味わいたい人に

RFはオープン版のロードスターをベースに、ルーフを電動で開閉できるリトラクタブル式ハードトップにしたモデルです。手動開閉のソフトトップ版より重量は増していますが、それでも1,100kg程度。充分に軽やかな走りを楽しむことができます。

エンジンも500cc大きな2リッターへと換装されていてトルクが太いし、ルーフもボタンひとつで開閉できて面倒がないので、ロードスターというクルマが持つ楽しさをイージーに味わいたい人にもピタリとマッチすると思います。

「ダイハツ コペン」1psたりとも無駄にせずしっかり使い切って走る楽しさ

軽自動車唯一のオープンスポーツカー。同じコペンの中にガラッと印象が異なる3つのスタイルが用意されていて、好みで選べるうえに、飽きたらボディパネルを交換してほかのスタイルに着せ替えができるのが面白いところ。ただし前輪駆動+64psの660ccターボというメカニズムは共通です。

見た目以上に本格的なスポーツカーで、ハンドリングの楽しさもなかなかのもの。パワーは限られていますが、それを1psたりとも無駄にせずしっかり使い切って走る楽しさというのも格別。「軽だから」とナメるようなことなんて、とてもできません。とにかく小さいスポーツカー、かわいらしいスポーツカーがお好みの人には、これ以外の選択肢はないでしょう。

「トヨタ コペンGRスポーツ」違いのわかる大人なドライバーに

そのコペンをベースにして、トヨタのGAZOOレーシングカンパニーとダイハツが共同で仕立て直したのがこのモデル。コペンのスポーツ性にフォーカスし、車体の強化やサスペンションのチューンナップでハンドリングの気持ちよさとコーナリングにおけるコントロール性を高めています。

車体の剛性が上がっている分、サスペンションがよく動いてくれて、乗り心地までよくなっています。ミニマムなスポーツカー特有の面白さと妥協のない乗り味のどちらも欲しい、違いのわかる大人なドライバーにぜひ試していただきたいクルマです。

「トヨタ GRヤリス」競技へのこだわりが凝縮されたクルマ

ヤリスであってヤリスじゃない、世界ラリー選手権で勝利するためのマシンのベースとして設計開発されたモデル。基本設計の段階から軽量高剛性化や低重心化、エアロダイナミクスなどがしっかり考えられていて、競技へのこだわりが凝縮されたクルマです。272psのハイパワーを4WDで路面に伝えられる、今や皆無に等しい存在でもあります。

競技車両ベースのクルマのタイトな雰囲気とすべてがパフォーマンスに向いている乗り味。ラリーの国内戦に出場しようとしている人にもラリーマシンの雰囲気を日常的に味わいたい人にも、走ってエキサイティングな気持ちになれるクルマに乗りたい人にも、見事なくらいにはまるモデルです。

「トヨタ GR86」走ることが好きな人が望むほとんどの要素をギュッと凝縮

スポーツカーらしいクーペスタイル、比較的コンパクトで扱いやすい車体、持て余さない程度に速いパワートレーン、重心の低い設計、コントロールするのが楽しいシャシーと後輪駆動。走ることが好きな人が望むほとんどの要素をギュッと凝縮したようなスポーツカーです。

姉妹に当たるスバルBRZと較べて、腰の動きの軽い曲がりっぷりは、好き者にはたまりません。しかも価格がリーズナブル。300万円くらいからこんな素晴らしく刺激的なスポーツカーが買える国なんて、この日本しかありません。スバルBRZと並んで、誰にでもおすすめしたい1台なのです。

「スバル BRZ」GR86よりもちょっと大人っぽい乗り味

スバルとトヨタの共同開発ゆえ、基本的な構成はGR86と一緒ではあるけれど、スバルならではのこだわりの味つけがなされているBRZ。フロントの過敏さのない適度な反応の良さとリアの安定感、つまりスタビリティを重視した、GR86よりもちょっと大人っぽい乗り味が特徴的です。

もちろん元気のいい走りにもしっかり応えてくれるけれど、乗り心地も少ししなやかだったりして、よりグランドツーリング志向の強い人に向いているといえるかもしれません。これもGR86同様リーズナブルな値付け。日本の自動車メーカーって、実はクルマ好きに優しいのだな、なんて感じます。

「トヨタ GRスープラ」排気量大きめの多気筒エンジンをMTで走らせる快感

排気量大きめの多気筒エンジンをMTで走らせる快感。それはそのカテゴリーにある数少ないクルマでしか味わえない桃源郷のようなものです。当初はATのみで登場したスープラですが、当初から多かった要望に応えるかたちで追加されたMTモデル。3リッター直6ツインターボの387psの気持ちよさと楽しさを、常に自分の意志だけで引き出せる歓びは格別のものといえるでしょう。

サーキットでタイムを競うならATに分があるかもしれませんが、味わいの贅沢さでは圧倒的にこっち。ドライビングという行為を純粋に楽しみたい人へのGRブランドからの贈り物です。僕がスープラを買うとしたら、絶対にこっちを選びます。

「日産 フェアレディZ」自分の自動車人生を振り返りながらゆとりを持って楽しむ

 

いろいろな意味でスープラのいいライバルとなるのが、『日本にこのスポーツカーあり』のフェアレディZです。こちらは同じ3リッターながらV6ツインターボで、パワーは405psとさらに強力。そのエンジンと見事に煮詰められたシャシーを、MTのシフトスティックで指揮していく歓び。スープラと同じことをいうようですが、これは本当にとても贅沢な体験なのです。ATの出来が素晴らしいので気持ちが揺らいだりすることもありますが、手足を駆使して日本のスポーツカーの最高峰を操縦し、制御しているときの高揚感。それに尽きると思います。

ドリフトをバリバリしたい人にも応えてくれるクルマですが、実はいろいろなクルマに乗ってきた大人が自分の自動車人生を振り返りながらゆとりを持って楽しむ、なんていう乗り方が似つかわしいと思っています。……自分がそうなりたいだけなのかもしれませんが。

「スズキ ジムニー」悪路のスポーツカー

これをスポーツカーとして扱うかどうかは人それぞれだと思いますが、この小さなオフローダー、僕は悪路のスポーツカーだと思うのです。ジープのラングラー同様、「走れないところはないんじゃないか?」と思える走破性の高さが生む高揚感は、車高の低いクルマでサーキットを攻めて走るときの気分にまったく負けてないと思うから。

そうした悪路を走るとき、イージーなのはATの方ですけど、自分の力量でデコボコと対峙する面白さがあるのは、やっぱりMTの方。微妙なコントロールを受け付けてくれやすいのも、やっぱりMTの方。ファッションで乗るのもいいけれど、たまに悪路のコースに遊びに行きたい人にこそ乗って欲しい1台ですね。

MTは敷居が高いも乗り物ではない。ちょっと踏み込んでみませんか?

 

今どきはAT限定免許の人も多いようですが、MTへと限定解除をするのは、実はそれほど難しいことではありません。技能試験を受けて一発でというのは経験がないと厳しいところはありますが、実は自動車運転教習所の所内での限定解除教習を4〜6時間程度受けて、審査に合格すれば、あとは運転免許センターで手続きを行うだけ。最初はATと較べてやることが多くて戸惑ったりすることもあるでしょうが、要は慣れ。慣れてさえしまえば、誰でも普通に転がせるようにはなるものです。

今回のきっかけを作ってくれた友人の娘さんは、MTをサラリと楽しそうに運転する同級生の助手席に乗って自分でも走らせてみたくなり、教習所に通って4時間の教習で限定解除をしたのだとか。

どうでしょう? MT未体験の方がいらしたら、ちょっと踏み込んでみてはいかがですか? 何か新しい扉が開くかもしれませんよ。

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この記事は2022年9月現在の情報に基づいています。

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