【DS 9 試乗】“サヴォアフェール”が紡ぐ世界観を堪能せよ

クルマを選ぶ 試乗記

2022年4月9日に発売された「DS 9」の試乗レポートをお届け。「DSってなに?」という方向けの解説もあわせてお伝えします。

「DS」とは?

「DS」のブランド正式名称は「DSオートモビルズ(DS Automobiles)」で、現在は、ステランティスの傘下ブランドになっています。ステランティスは、旧グループPSA(プジョー・シトロエン・DSなど)と旧FCA(フィアット・クライスラー・ジープ・アルファロメオなど)が2021年1月に合併した自動車メーカー。

「DS」が独立したブランドになる前は、2009年にデビューしたシトロエンのコンパクト・ハッチバック「C3」の派生モデル「DS3」が、「DSライン」と呼ばれる高級モデルの第一弾として発売されていました。

それまでシトロエンの高級ブランド扱いだった「DS」は、2015年から「DSオートモビルズ」の独立したブランドになりました(公式では、ブランド設立日が2014年6月1日になっている)。

ボンネットには、サーベル(剣)。こんな装飾のあるクルマ、ほかにはない。

クルマ好きの方であれば、DSといえば、1955年のパリモーターショーでセンセーショナルなデビューを果たし、1975年までの20年間に145万台以上を生産し、今でも世界中で無数のコレクターから愛されているシトロエンのアイコニックモデルのことを思い浮かべることでしょう。

斬新なスタイルとユニークなハイドロニューマチックで自動車の進化を二世代飛び越えたと評されたシトロエンDS。写真はヘッドライトなどが変更された後期型

しかし、DSの名の由来については明らかにされておらず、「シトロエン DS」の車名なのか、「Different Spirit」または「Distinctive Series」の略(いずれも、シトロエンとは異なる別のシリーズの意)など諸説ささやかれています。

そもそも、名車「DS」の名の由来も明らかにされておらず、開発コードの省略形説、“特別な憧れ”の意味のフランス語「Désirée Spéciale(デズィへ スペシアレ)」説や、フランス語で女神の「Déesse(デエス)」説などがあります。

1955年にデビューした「DS」も、現在の「DS」に共通するのが、独創的なデザインと高いコンフォート性能。DSオートモビルズの各モデルは、時代を超えても「DS」であることを感じさせるクルマです。

「DS 9」とは?

「DS 9」は、ブランド独立後の第3弾となる、Eセグメント・セダン。このセグメントには、メルセデス・ベンツ Eクラス、BMW 5シリーズ、アウディ A6などがあります。

DS 9のワールドプレミアは2019年、日本市場導入は2022年と約3年離れています。DS 9の主なターゲットは中国市場。日本ではセダン離れが進んでいますが、中国では今でもセダンが人気です。

そんな中、なぜDS 9を日本市場に導入したのか、ステランティス広報担当に尋ねると「DSブランドの全モデルを日本市場でもラインナップさせたかった。ブランドとしてフラグシップモデルを販売することに意味がある」とのことでした。販売台数より、日本市場でもDSブランドのフラッグシップが販売されていることのほうが重要という解釈でいいのでしょう。

ボディサイズは、全長4,940mm・全幅1,855mm・全高1,460mm・ホイールベース2,895mm。ボディサイドを見ると、とても伸びやかで大きく見えますが、全幅はEセグにしてはそこまで広くなく、デザインの妙も相まって、見慣れてくるとそんな大きく感じなくなる不思議がありました。

エンジンは、旧グループPSAではおなじみの1.6Lガソリンターボと、このエンジンにモーターを組み合わせたPHEVの2タイプ。トランスミッションもおなじみのアイシン製8速AT。ちなみに、プジョーのEセグ、508にラインナップされているディーゼルターボは、ラインナップされていません。これは、ゼロエミッション対応のようです。

日本市場導入されるグレードは「RIVORI(リボリ)」と上級の「OPERA(オペラ)」の2種類で、ガソリンモデルとPHEVモデル「E-TENSE(イーテンス)」にそれぞれ設定されています。グレードの格差は後席の豪華装備ぐらいで、そこまで開きはありません。

DSは夜が似合う。深夜の首都高をドライブ

試乗車は、ガソリンモデルの「OPERA」。

「DS 9は、運転するより後席に乗りたいクルマ」が試乗後の正直な感想。ドライビングフィールが悪いという意味ではありませんが、最高出力225ps・最大トルク300N・mの4気筒エンジンでは、正直もの足りません。本命・大トロモデルはPHEV「E-TENSE」でしょう。E-TENSEには、同じエンジン(最高出力は200psに。最大トルクは同じ)に最高出力110ps・最大トルク320N・mを発生するモーターが組み合わせられます。

乗り心地は至高。特に後席。電子制御サスペンション「DSアクティブスキャンサスペンション」を採用。前方の路面状況を捉えて分析、足の動きを最適化する機構で乗り心地を向上させています。

走りがどうのこうのというより、DSがいう「サヴォアフェール(匠の技)」が光る内外装デザインの数々に酔いしれたいクルマです。DS 7 クロスバックですでにDSの世界観を体感していましたが、DS9はさらにその上を行きます。

DSは夜が似合うクルマ。DS 3 クロスバックの試乗会は夜の都心を走る部があったほど。DS 9もさらに夜が似合うクルマです。

【総合評価 70点】そもそも万人ウケしないクルマ。しかしこんなクルマがあってうれしい

筆者が試乗したクルマを、10項目×5段階で評価、★1個を2点として100点満点の総合評価として採点します。各項目、評価の理由をお伝えしますが、あくまで筆者のインプレッションによるものですので、ご参考としてご覧ください。

No. 項目 評価ポイント
1 内外装デザイン デザインの良さ、ボディカラーやインテリアカラーのバリエーションなどを評価
2 エンジン・トランスミッション パワートレインの良し悪しを評価
3 足回り 乗り心地の良さ、操縦安定性などを評価
4 燃費・電費 燃費、電費を評価
5 居住性 室内空間の広さ、静粛性などの快適性を評価
6 装備・使い勝手 装備の充実度、使い勝手の良さを評価
7 安全装備・運転支援 予防安全技術、運転支援システムなどの先進技術装備を評価
8 価格 コストパフォーマンスの良さ、お買い得感を評価
9 乗りやすさ 小回りが効くなどの取り回し性の良さ、普段使いでの運転のしやすさなどを評価。
10 クルマの愉しさ スペックを考慮しないで、純粋にクルマを所有するよろこびや、ドライビング・プレジャー(走る愉しさ)を筆者の独断と偏見で評価
1 内外装デザイン ★★★★ ボディサイドのデザインは満点。顔つきはDSのアイデンティティだから仕方ないところだが、もうひと工夫あってもよかった。しかし、フロントフードのサーベルや、他のDSにも共通の凝ったリアコンビネーションランプなどの「サヴォアフェール」に敬意を評して満点。
2 パワートレイン ★★ このクラスの純内燃機関なら6気筒ほしい。旧グループPSAにはないが。PHEVが本命か。
3 足回り ★★★★★ 乗り心地最高。ハンドリングも悪くはないがドライバーズカーではないと思ったほうが良い。後席に乗りたいクルマ。
4 燃費 ★★ ボディに対して控えめエンジンなので、どうしても回してしまう。
5 居住性 ★★★★ セダンとしては十分だが、デザイン優先・世界観優先のため★4つにした。「世界観」の項目ならまちがいなく満点。
6 装備・使い勝手 ★★ センターディスプレイは、旧グループPSAでは1世代前。空調操作はタッチスクリーンに内包されるちょっと不便なタイプ。使い勝手よりデザイン・世界観優先は装備面・使い勝手でも。
7 安全装備・運転支援 ★★★★★ 旧グループPSAの安全装備・運転支援は定評あり。ハンドル操作支援は、車線中央ではなく任意のところでレーンキープできるのが◎。
8 価格 ★★★★ Eセグとしては安く感じるが、装備や性能を考えるとこんなものか?
9 乗りやすさ ★★★ 乗りにくくはないが、乗りやすさはそれほどない。
10 クルマの愉しさ ★★★ 運転する愉しさはない。世界観を愉しむクルマ。万人ウケしないが、こんなクルマが売られていることはうれしい。

(撮影・文:宇野 智)

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※この記事は2022年7月現在の情報に基づいています。

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