【嶋田智之の目】『アバルト女子』も盛り上がる、アバルトってどんなクルマ?

クルマを選ぶ テーマ別特集

見た目はかわいいけれど、何かが違う。フィアット500をベースにしたアバルト500が人気です。走り重視のクルマといえば『男の子のオモチャ』と思われがちですが、『アバルト女子』という言葉もあるくらい、女性オーナーもたくさんいるのです。そんなアバルトの魅力を嶋田智之さんが紐解きます。

アバルトというブランドをご存じですか?

アバルト、というイタリアのブランドをご存じですか?ちょっとマニアックといえばマニアックなブランドなので熱心なクルマ好きの間ではしっかりと名前が通ってはいるのですが、これまで積極的に日本車にだけ触れてきて輸入車にはあまり関心がないという人にとっては、今ひとつ馴染みのないブランドであるかもしれません。

けれど、そうした方でも愛らしい姿をしたチンクエチェントことフィアット500はご存じでしょう。そして、チンクエチェントかと思ったら思いのほか勇ましいエンジンのサウンドを聞かせたり、チンクエチェントに見えるのに想像を超えた速さで疾走していたりということがあって、「……あれ?」なんて思ったことはありませんか?あるとしたら、それは十中八九、アバルトです。

ものすごーく簡単に言ってしまうと、アバルトはフィアット500をチューンナップしてスポーツカー仕立てにしたクルマを作っているブランドなのです。チューンナップと聞いて、街の専門ショップが手掛けるちょっとアウトローなクルマを想像してしまう方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。けれどアバルトは立派な自動車メーカー。ステランティスという世界有数の多国籍な自動車メーカーのグループの中で、フィアットの姉妹ブランドのような位置付けにあるのです。

もともとはレーシングカーを開発・製造するファクトリーだった

そもそもアバルトは、レースを戦うチームを運営するため、そしてそのレースに出場するマシンを開発・製造するためのファクトリーとして、1949年に誕生しました。カルロ・アバルトというカリスマ性の高いチューナーを核としてフィアットのお膝元であるトリノを拠点に活動し、最も活発に活動していた1960年代までの間に、アバルトのクルマは記録に残っているだけで7,400以上ものレースで勝利を収めています。それってすごくないですか?

そうしたレース活動と並行して、というよりもレースを戦い続けるための資金を稼ぎ出すため、アバルトは様々な国の様々なクルマのためのチューニングパーツを開発し、販売していました。それらの一つひとつがクルマを速くしたり機能性を高めたりするということが世界中で知られるようになり、アバルト=チューナー、という図式はストリートの世界でも知られるようになります。

フィアットのコンポーネンツを使ったレーシングカーやフィアットをチューニングしたマシンで勝ちまくったりしていたことももちろん大きく関係しているのですが、そうした技術力をイタリアいちばんの自動車メーカーが放っておくはずもありません。アバルトとフィアットの間柄はどんどん密接になり、1971年、アバルトはフィアットの傘下に収まることになります。

何かと予算ばかり要するレース活動に命を賭けていたようなところのあるアバルトの経営は年々厳しくなっていて、それをフィアットが救ったカタチといえるかもしれません。以来、フィアット・グループの高性能モデルを開発したり、グループ全体のモータースポーツ活動を担って結果を残してきたり。

1979年にカルロ・アバルトが亡くなった後もアバルトの名前はフィアット・グループの中に残っていましたが、次第にアバルトの優れた技術者たちは裏方に回って、アバルトの存在感は少しずつ薄れていったのでした。

アバルトの魅力は、破天荒さ

……と、なぜこんな昔の話をながーい枕にしているのかといえば、実はアバルト、売れているのです。アバルトは2007年に長い沈黙──といってもファンは延々とモータースポーツの分野での動向などをチェックしていたのですけれど──を破り、フィアット・グループのひとつのブランドとして正式に復活を遂げました。そして復活後の第2作目であるフィアット500をベースにしたモデルが、2008年のデビュー以来ずっと好調なのです。もうじきデビューして15年なのに、ですよ。それってすごくないですか?

こうしたスポーツモデルというのは、最初はマニア層に支えられるところからスタートするのが常だったりします。アバルトにもそういう側面は確かにあったのですが、今では──重度なマニアの人ももちろんいるけれど──マニアでも何でもないフツーの人が選んで乗って楽しんでハマっていくケースの方が多数派なくらいなのです。

しかも、昔だったら『男の子のオモチャ』以外の何者でもない存在だったでしょうに、女性ユーザーもビックリするくらい多いです。

実はまったく別の仕事で、アバルトのユーザーを訪ねてインタビューさせていただく機会が多く、その関係でディーラー周りの方々とお会いすることも少なくなく、その状況の変化はここ何年もの間にヒシヒシと感じてきていました。

僕は自分ではマニアでも何でもないフツーのクルマ好きだと思っているけれど、どちらかといえばもともと重度なマニアと見られがちな仕事をしてきているし、2008年のフィアット500をベースにしたアバルトのデビュー時に現地のテストコースで試乗して衝撃を受けて以来ずっと見つめ続けてきてもいるので、今の状況は改めて考えてみると軽い驚きを伴った喜びだったりします。

 

でも、いったいなぜこうなった?

それを文字にしてしまうと実にオモシロ味に欠けるものになっちゃうのですが、要は小さなクルマ=実用車という一般的な方程式からはちょっと外れて、破天荒と感じられるくらい走らせるのが楽しいクルマだから、というのが最も大きな要素でしょう。

味わいは、まるで小型爆弾とでも形容したくなるくらい。少々古典的といえなくもないのですが、ここまで痛快な弾けっぷりを見せてくれるスモールカーなんて、ほかには見当たりません。

しかもそれは、ディテールこそ異なるものの、チンクエチェント譲りの『愛されデザイン』のクルマが解き放つ強烈なエネルギー。ギャップ萌え、というのが今風の言い方なのかもしれませんね。とにもかくにも、独特の立ち位置にいる唯一無二の存在、なのです。

クルマの根源的な楽しさを『半強制的に』体験させてくれるモデルたち

今どきの自動車の世界は、やれハイブリッドだEVだという流れが明らかです。それはそれでいいんじゃないか?という気持ちと並行して軽く違和感のようなものを感じている人も少なくないわけで、そんな中で昔ながらのクルマ好きにはストレートに突き刺さり、この手のクルマを体験してきたことのない人にはヒックリ返りそうになるくらい新鮮な、クルマの根源的な楽しさを半強制的に(?)味わわせてくれるのがアバルトという存在。キラリと輝いて感じられる人がいるのも、当たり前といえば当たり前ですね。今のこの時代に生き残っていてくれてありがとう、とすら感じます。

その『ストレートに突き刺さる』とか『ヒックリ返りそうになるくらい新鮮』ってどういうこと?と訊ねられると、実はちょっと困ります。なぜならそれは気持ちのどこか、感覚のどこかに訴えかけてくる類のモノで、ちょっとばかり言葉に置き換えづらいから。

いや、「かわいい見た目と違って速い」だとか「サウンドが迫力たっぷり」だとか「加速感が気持ちいい」だとか、お伝えできることはたくさんあるのです。けれど、それだけのものでもないんですよねぇ……モノ書きとして語彙力のなさにわれながら呆れちゃうのですが。もっと一瞬にして気持ちを鷲づかみにされちゃうような瞬間というのが、アバルトにはあるのです。

アバルト──現在は『595』というシリーズです──には、4つのグレードがラインナップされています。そしてぜんぶ同じような姿カタチをしているのですが、実はちょっとずつ特徴や乗り味などが違っています。

F595

今のラインナップの中で最もベーシックな仕様です。パワーは165ps、トルクは230Nmと、1.4リッターターボにしてはなかなか強力ですが、それもそのはず。F595の『F』はフォーミュラマシンの『F』。イタリアで開催されるFIA-F4選手権のマシンに使われているエンジンと、ほぼ同じ仕立てなんです。

とはいえ、低回転域から中回転域での力強さもたっぷりあって、扱いづらさは皆無。日常領域からスポーツ走行まで、バランスよくこなせるのがこのモデルといえるでしょう。

ホールド性はいいけどやわらかなファブリックのシートとクルマの姿勢の変化を感じとりやすいしなやかめの味つけのシャシーで、乗り心地も良好な部類です。ただしこのF595は、ハンドル位置は右か左かを選べますが、トランスミッションは5速のMTのみ。実はアバルト、もともとMT比率が約50%と高いのです。MTを選びたい人には、最もリーズナブルにアバルトの世界を堪能できる、いい選択肢になるでしょう。

595ツーリズモ

デビューはこちらの方が先ですが、これもF595と同じパワーユニットを持ち、ごくわずかにシャシーを締め上げたモデル。ハンドルは右のみで、トランスミッションもATモードが備わる変速パドル付き2ペダルMTのみの設定です。

最も特徴的なのは、F595とほぼ同等のパフォーマンスを持ちながら、ロングツーリング向きの座り心地のいいレザーシートや少々上質な各種装備が与えられていること。

ガンガン飛ばすというより、街中主体、ロングドライブ主体、といったちょっとグランツーリスモ的な使い方が似つかわしい595ですね。

595Cツーリズモ

こちらは595ツーリズモの『C』、つまりカブリオレ。基本はツーリズモと一緒ですが、電動式のオープントップが備わっていて、想像以上に開放感のあるドライブが楽しめます。パフォーマンスとオープンエアの両方が堪能できる、最も快楽主義的な595といえるかもしれません。

595コンペティツィオーネ

595シリーズで最もパフォーマンスの高いモデルです。5速MTの右ハンドルと左ハンドル、ツーリズモと同じ仕組みの2ペダルの右ハンドルから選ぶことが可能です。

エンジンは180ps、250Nmまで高められていて、フロントにはブレンボ製の4ポッドキャリパーが備わり、サスペンションも全体的にかなり強化されています。1.4リッターターボとしてはかなりチューニングが高く、中回転域からのパワーの盛り上がり感とトップエンドにかけての伸びの良さは最強。といいつつ、低回転域でも充分なトルクがあるので、乗りづらさもありません。この辺りのチューニング、アバルトは実に巧みです。

乗り心地は結構ハードなので路面の荒れたところでは助手席や後席の人はちょっとツライと感じることもあるかもしれませんが、ドライバーはなんだかものすごいクルマを転がしているような気分になれて楽しかったりするし、このブレーキとこのサスペンションの組み合わせだからこそ瞬時にクルリとターンが決められると感じられる瞬間も多々あって、そうした楽しみではシリーズの中でピカイチ。

ちなみにスポーツ志向が強い男性ドライバーだけじゃなく、おもしろいことにアバルト女子にもこのコンペティツィオーネを選ぶ人が多かったりもします。

「クルマって生き物みたい」この感覚を体験してみよう!

といったところが現在のアバルトのラインナップ、595シリーズのざっくりした紹介です。「……えっ?これだけ?」と思われました?そう、あえてのこれだけ、です。4つのモデルの違いをお知らせするだけに、ここではとどめておこうと思うのです。

なぜならば、ぜひともディーラーに遊びにいってアバルトというブランドのクルマを体験してみていただきたいな、と考えているから。だいじょーぶです。今どきの輸入車ディーラーは昔の都市伝説のような言い伝えとは違って、何が何でもこの客に売るぞ、というようなガツガツした雰囲気などどこにもありません。気軽に試乗したい旨を伝えれば、優しく対応してくれること多々、なのです。

こうして試乗をおすすめするのはインポーターへの忖度でもなんでもなくて、まだ体験したことのない皆さんに、「へぇー、こんなおもしろいクルマがあるのか」「クルマって生き物みたいじゃん」「こういうクルマに乗ったら何かが変わりそう」と感じていただきたいから。クルマって楽しい、ということを思い出していただいたり深く感じ入ったりしていただきたいから。

自動車って確かに生活の道具ではあるのですが、それだけじゃありません。時として人生を大きく左右しちゃうことだってあるのです。大抵の場合は楽しい方向に。クルマにまつわる仕事を生業にしている身として常々そんなことを感じているので、今回は徒然なるままにアバルトという最強のアイテムをご紹介しようと考えたのでした。

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この記事は2022年9月現在の情報に基づいています。

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