走行距離 5万kmと8万kmの中古車は何が違う? 選び方やメンテナンス方法を解説

クルマを賢く買う クルマの購入ノウハウ

中古車を購入する際、5万km未満とか、8万km未満で探したいなど思う人は多いはず。しかしその「5万km」や「8万km」という目安には、果たしてどれだけ意味があるのでしょうか?走行距離にあまりとらわれなければ、お買い得な中古車が見えてきます。

中古車の価格を決める大きな要素は「走行距離」と「年式」

メーカーが価格を決める新車と異なり、中古車の価格は市場での需要、つまり人気によって決まります。人気があればそれだけ多くの人が求めますが、そうではなければ中古車販売店は人気のある中古車よりも価格を下げて、人々の興味を惹かざるをえません。そのため同じクラスのSUVでも人気の高いモデルや、同じ車種・グレードでも人気色のクルマ、コンディションが良い中古車ほど価格が高くなります。このように中古車は需要と供給のバランスで価格が決まるのです。

多くの人は「あまり使われていない」「使用感が少ない」といった中古車を求めます。あまり使われていなければ、内外装のダメージも少なく、エンジンなど動力性能の劣化が少ないと考えられるからです。

実車を見て確認する前に、こうしたコンディションを判断する大きな材料が、「走行距離」と「年式」です。一般的に走行距離が少なければあまり使われていないことになります。また年式が新しい、つまり高年式車であるほど低年式車より使用頻度は低いと考えられるからです。

5万kmは価格が大きく下がるポイント

特に年式では、5万kmを超えるか超えないかが大きな価格の分水嶺になっています。多くの人は5万kmを超えている中古車と、超えていない中古車では、超えていない中古車を求めがちだからです。4万5000kmでも4万8000kmでも、5万1000kmよりは程度が良さそうに感じてしまいます。

こうした傾向があるため、中古車販売店も5万kmを超えた中古車に魅力を、つまり安いという付加価値をつけがちです。そのため中古車販売店は、たいてい仕入れる際に5万km超はそれなりに価格を抑えて下取りします。もし今の愛車を手放すなら、5万kmに満たないうちに下取りや買い取りをしてもらったほうが賢明です。

5万km超と、ギリギリ超えていないものは大差がない

しかし、本当に5万kmを超えている中古車と、超えていない中古車では、コンディションが違うのでしょうか。

例えばおもに1回につき10分程度の、近場の買い物や送り迎えを頻繁に繰り返すことで4万5000kmに達したクルマの場合、エンジンが暖まりきらないうちにエンジンを切るため、ずっとオイルや機関系に負荷をかけたままで4万5000kmに達したことになります。

一方で、いつも走るときはエンジンが暖まる目安の130分以上はゆっくり走り、高速道路でたまには高回転まで回してあげる、という丁寧な乗り方のため距離が延びがちになって5万5000kmに達したクルマは、あまりオイルや機関系にストレスがかかっていません。またそういった乗り方をする人は、得てしてメンテナンスにも気を使い、まめにオイル類を変えていたりします。

そのためコンディションで言えば、5万5000kmの中古車のほうが良いと考えられます。もちろん5万5000kmでも、エンジンが暖まりきらないうちにエンジンを切る運転を繰り返していたクルマも当然あるでしょう。

つまり、走行距離でコンディションを推し量るのは難しいのです。走行距離はあくまでも目安のひとつ、ととらえたほうがいいでしょう。

10年落ちの平均的な走行距離は8万kmで、1〜2世代前

よく「多走行車」という言葉を耳にすると思います。多走行車とは文字どおり多く走ったクルマのことですが、ではどれくらい走ると「多走行車」になるのでしょう。

一般的に、普通の家庭で使われるクルマの場合、1年間で約8000km走るといわれています。これを目安とすると2年落ちで3万kmの中古車は8000×2=1万6000kmよりも多いので、多走行車と考えられます。

一方、10年落ちで8万kmというと、5万kmを3万kmも超えているので多走行車ととらえられがちですが、先の年間8000kmという目安で考えれば、8000×10=8万kmですから年式相応の走行距離、と考えることができます。

ただし、一般的にクルマは5〜6年程度でフルモデルチェンジしますから、10年落ちであれば現行型と比べて1〜2世代前のクルマであることには留意が必要です。

同様に5万kmなら年間8000kmで考えると6.25年ですから、平均的に走ったクルマならば6〜7年落ちということ。こちらも1世代前のクルマが多くなります。

今どきのクルマは、状態がひどく悪いという可能性は低い

クルマが世の中に登場してから100年以上が経ちます。モーターとエンジンの両方を制御しながら走れる複雑な機構を持つハイブリッドカーが登場してからでも、20年以上は経ちます。

これまでの不具合に対しては数え切れないほどの対策が行われ、最近のクルマは故障がどんどん減ってきています。エンジン車に加えてハイブリッドカーが登場するようになった2000年以降、つまり21世紀のクルマであれば、走行距離が多いといってもコンディションがあまりにも悪いという可能性は低いと言えます。

実際、かつてのように道端で白煙を上げて止まっているクルマをほとんど見かけることはなくなりました。このようにクルマが突然止まってしまい、動けなくなるような故障は、10年落ち程度の最近のクルマではほぼ考えにくくなっています。

とはいえクルマは機械です。使えば必ず消耗しますからいずれ故障します。そのためメーカーもエアコンやカーナビなどは「新車から3年間または6万km走行時点のいずれか早いほう」までは保証し、それまでに交換することを推奨しています。またエンジンやトランスミッションといった動力系の重要部品は「新車から5年間または10万km走行時点のいずれか早いほう」まで保証し、同様に部品の交換を促しています。

先進安全運転支援機能がなかったり、旧式だったりする可能性は大

乗り方やメンテナンス次第でコンディションの変わる中古車。そのため「年式」はコンディションの良し悪しを推し量る要素としては、実はあまり機能しません。ただし走行距離と違い、明確にわかることがあります。それはそのクルマに備わる機能です。

例えば衝突被害軽減ブレーキを含む先進安全運転支援機能です。完全停止する衝突被害軽減ブレーキが初めて登場したのは2009年のボルボXC60から。続いてスバルも完全停止するアイサイトをレガシィシリーズに搭載しました。ボルボやスバルの各車、他メーカーの車に搭載されるようになったのは、2010年以降になります。また最初は高級セダンなどから採用されました。

さらに、例えばアイサイトもver.1、2……と機能が進化していき、現在の最新バージョンは「アイサイトX」です。それに伴い一定条件下でステアリング操作をクルマが行うなど、ブレーキ以外の機能も増えています。また世代が変わる度に、例えば加速や減速などの制御もどんどんスムーズになっています。

こうした機能が備わるかどうかを判断する材料が「年式」です。ほかにも2020年4月以降の新車にはオートライト(周囲が暗くなると自動で点灯、明るくなると消灯)機能が義務化されていますし、その他燃費や装備は高年式になるほど向上しています。

先ほど述べたように10年落ちで8万kmは年式相応の走行距離ですが、10年落ちとなると車種によっては衝突被害軽減ブレーキを含む先進安全運転支援機能が備わっていないことがあります。備わっていたとしても、この手の技術は日進月歩のため、最新の車と比べると備わっていない機能があったり、制御がスムーズでなかったりすることがあります。

安全装備にこだわるなら高年式を、価格にこだわるなら低年式がおすすめ

これまで述べたように10年落ちの8万kmの中古車や、6年落ちの5万kmを少し超えた中古車は、コンディション面でいえば、購入してすぐに故障することはほとんどありえません。

ただし注意したいのが「年式」による機能の違いです。特に衝突被害軽減ブレーキを含む先進安全運転支援機能は装備の有無だけでなく、最新モデルとの機能の差にも注意が必要です。今時衝突被害軽減ブレーキがついているクルマは当たり前になってきましたし、昨今の不幸な事故のニュースを見て「これから買うなら衝突被害軽減ブレーキがついているクルマだな」と思うのであれば、走行距離よりもまず年式に注意する必要があります。

またこの手の技術の進化は目まぐるしく、予算の許す限りなるべく高年式車を選んだほうがいいでしょう。もし予算内で走行距離が多い中古車か、年式が古い中古車かで悩むなら、走行距離が多くてもコンディションに大きな影響はないと思われますから、年式を優先することをオススメします。

逆に予算を抑えたいなら、先進安全運転支援機能など最新の装備はあきらめて、低年式の中古車を選んでみてはいかがでしょうか。人気のボディカラーをした中古車や、走行距離が少なめの中古車を、高年式車より安く手に入れることができます。

走行距離などに囚われすぎず、実車を見て判断を

中古車の価格を左右する「走行距離」と「年式」。5万kmを超える中古車や、低年式車になるほど、人々はコンディションを懸念するため価格が安くなります。しかし、走行距離が多いとどんな不具合が考えられるのか、低年式だとどんな不都合があるのかを知れば、「走行距離が多い中古車や低年式車は安い」という法則を逆手にとって、お買い得な一台を見つけられます。

そのためには、気になる中古車は必ず実車を見て、点検記録簿などで整備状況を確認することをオススメします。

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