3代目プリウスをベースに、ラゲッジ部分を拡大して積載性を高め「プラスα」の機能を持たせたモデルがプリウスαです。広い室内空間を活かして、積載性重視の2列シート仕様と大勢で移動することもできる3列シート仕様が用意されました。プリウスαがどのようなモデルだったか、詳しく解説します。
【サマリー】3代目プリウスに積載性という価値をプラス
環境対策、 対策の一環で2009年にスタートしたエコカー減税。これにより人々の燃費性能に対する関心が一気に高まり、自動車メーカーは熾烈な燃費競争を繰り広げることになりました。一方でこの当時はまだハイブリッドモデルは少なかったこともあり、2009年5月に登場した3代目プリウスは大ヒットしました。
空力性能を高めるために、3代目プリウスはフロントドアとリアドアの境目付近を頂点にルーフが傾斜していくスタイル(トライアングルシルエット)を採用。これは低燃費なハイブリッドを象徴するパッケージングになりましたが、ラゲッジ高が低くなるというデメリットもあります。
そこでトヨタは多様なニーズに応えるためにハイブリッド車で積載性を高めたプリウスの派生モデルを投入。それがプリウスαです。
【外観スタイル】3代目プリウスより一回り大きくなった
3代目プリウスのボディサイズが全長4460×全幅1745×全高1490mmなのに対し、プリウスαのボディサイズは全長4615×全幅1775×全高1575mm。車名にプリウスとありますが、ボディ全体がプリウスより一回り大きくなっています。中でもプリウスに比べて全高が高くなっているのが特徴。そのため、プリウスαは高さ1550mmの高さ制限がある立体駐車場には入庫できないので注意が必要です。
シルエットはプリウスのトライアングルシルエットのイメージを残しつつ、リア周りのボリューム感で広さを感じさせるデザインになっています。
【インテリア】開放感を高めたデザインとパッケージングを採用
3代目プリウスはインパネからセンターコンソールにかけて宙に浮いたようなデザインを採用しているのに対し、プリウスαはベーシックな形状にして開放感を高めています。
乗車人数は2列シートの5人乗り(ステーションワゴン)と3列シートの7人乗り(ミニバン)を用意。着座位置はプリウスよりも高めに設定されているため、運転中の見晴らしがよくなっています。
ただ、7人乗りの3列目席は一般的なミニバンに比べるとかなり狭いので、エマージェンシーシートと割り切ったほうがいいでしょう。
【走り・燃費】パワートレインは3代目プリウスと共通
パワートレインは3代目プリウスと共通の1.8Lエンジンを使用したハイブリッドシステム「THS II」を採用。エンジンスペックは最高出力73kW(99ps)/最大トルク142Nm(14.5kg-m)、モーターのスペックは最高出力60kW(82ps)/最大トルク207Nm(21.1kg-m)となっています。駆動方式はFFのみの設定になります。
燃費はJC08モードで26.2km/L。早朝の住宅街など静かに走りたい場所ではモーターの力のみで走れるEVモードも用意されました。
なお駆動用バッテリーは5人乗りがニッケル水素バッテリー、7人乗りがリチウムイオンバッテリーを搭載していますが、走行性能に差はありません。
【安全装備】先進安全装備の全グレード標準装備化は2017年11月
プリウスαはデビュー時にミリ波レーダー方式のプリクラッシュセーフティシステムとレーダークルーズコントロールを採用。上級グレードとなるG系にオプション設定しました。また、3代目プリウスにも設定された駐車支援機能「インテリジェントパーキングアシスト」はS Lセレクションを除くグレードでオプション設定されました。
そして2017年11月の一部改良でミリ波レーダーと単眼カメラを使った衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を全グレード標準装備しました。内容は以下のとおりです。
■プリクラッシュセーフティ(昼間の歩行者にも対応)
■レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御機能付き)
■オートマチックハイビーム
■レーダークルーズコントロール(ブレーキ制御付き)
【グレード構成】7人乗りが用意されるのは上級グレードのGのみ
前述したように、プリウスαには2列シートの5人乗りと3列シートの7人乗りが設定されました。デビュー時のグレードは大きく分けてS系とLEDヘッドライトやIRカットフロントガラスなどが備わるG系の2種類。7人乗りが用意されるのはGになります。
S系はSを軸に装備を簡素化したLセレクションとエアロパーツでスポーティな印象にしたツーリングセレクション、G系にはGのほか、ツーリングセレクションと樹脂パノラマルーフを標準装備したツーリングセレクションスカイライトパッケージが用意されました。
デビュー時の価格帯は235.0〜330.5万円でした。
【マイナーチェンジ&改良一覧】マイナーチェンジ後にスポーティグレードも追加
3代目プリウスのステーションワゴン版(および3列シートでミニバンとしての機能を備えたモデル)として登場したプリウスα。デビュー時はトヨタ初となる樹脂製パノラマルーフが用意されたことも話題になりました(Gツーリングセレクションスカイライトパッケージに標準装備。S Lセレクションを除くグレードでメーカーオプション)。
7人乗りはG系のみに設定されましたが、Gツーリングセレクションは5人乗りのみに。そして2012年10月にGツーリングセレクションにも7人乗りが設定されました。
マイナーチェンジで押し出し感を高めたデザインを採用
2014年11月のマイナーチェンジでは、エクステリアデザインの変更を中心に改良が行われました。
前期型は3代目プリウスの雰囲気を残し、プリウスの派生モデルというイメージを打ち出しましたが、本家のプリウスが翌年にフルモデルチェンジを行うスケジュールだったこともあり、3代目のイメージを消す狙いがあったと思われます。
フロントアンダーグリルの開口部を大きくしてヘッドライトも切れ長のデザインを採用。この時期、トヨタが各車で展開していたキーンルックと呼ばれる顔つきを採用し、トヨタ車の共通イメージを持たせました。
このタイミングでGツーリングセレクションスカイライトパッケージはカタログから落ち、樹脂パノラマルーフはS Lセレクションを除くグレードでオプション設定になりました。Sツーリングセレクション、G、Gツーリングセレクションには1灯の光源でロービームとハイビームの切り替えが可能なBi-Beam LEDヘッドライトが世界初採用されました。
プリウスα Gスポーツ(G’s)を新設定
トヨタはスポーツカーオーナー以外にも走る楽しさを味わってもらおうと、GAZOO レーシングのテストドライバーがトータルチューニングを施したグレードをハリアーとプリウスαに設定しました。
プリウスα SツーリングセレクションG’sは、専用スポーツサスペンションで全高を15mmローダウン。専用エアロパーツでスポーティさと空力性能を高め、インテリアにはスエード調+合成皮革のG’s専用スポーティシートを装着。黒でまとめたシックなインテリアになっています。
2017年11月の一部改良では、プリウスαも先進安全装備パッケージである「Toyota Safety Sense P」が全グレード標準装備になりました。装備内容は【安全装備】の章でまとめたとおりです。
そして2017年12月にはプリウスα GRスポーツが登場。ボディ剛性を強化し、専用サスペンションを採用してスポーティな走りを気軽に楽しめるモデルになりました。インテリアにはGRログ付きのタコメーターや小径ステアリングホイール、専用のスポーティシートが贅沢に使われました。
【プリウスαのおすすめモデル#1】Toyota Safety Sense P搭載のSツーリングセレクション
プリウスαを中古車で探す場合、まずは5人乗りと7人乗り、どちらを選ぶべきかを考える必要があります。プリウスαは基本がステーションワゴンなので、3列目席はあくまでエマージェンシーシートと割り切った方がいいでしょう。もし多人数乗車をする機会が多いのであれば、迷わずスライドドアを採用した背の高いミニバンを選ぶべきです。そう考えると、無理して3列シート仕様を選ばなくてもいいと思います。
一方でこれから中古車をえらぶのであれば先進安全装備はほしいところです。そう考えると2017年11月以降のモデルを選ぶのが正解。グレードはスポーティな外観のツーリングセレクションがおすすめです。
【プリウスαのおすすめモデル#2】GRスポーツ
プリウスαはベースが3代目プリウスなので、今となってはデザインにもやや古さを感じます。そこでおすすめなのが、2017年12月に設定されたGRスポーツ。
GAZOOレーシングカンパニーが手掛けたスペシャルモデルならデザイン面で差別化ができるし、適度にスポーティなチューニングなので、一人の時はもちろん家族でドライブする際も走りを楽しめます。
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【まとめ】ハイブリッドのステーションワゴンは存在自体が希少!
現在では大型のミニバンやSUVでもハイブリッドシステムを搭載したモデルがたくさんあります。しかしステーションワゴンはそもそも種類が少なく、必然的にハイブリッドの選択肢も少ないのが現状です。
そんな中でプリウスをベースにラゲッジスペースを拡大したプリウスαは、生産が終了した後でも魅力が薄れていないと言えるでしょう。
GAZOOレーシングが手掛けたスポーティ仕様が設定されているのも、若い頃はスポーツカーに乗っていたという人にとって大きな魅力になるはずです。
この記事は2022年8月の情現在報に基づいています。