高速道路はお金を払って走るもの……とは限らなくなりました。どうして無料区間が存在するのでしょうか?そんな質問にカープレミア編集長がお答えします!
というか、そもそも高速道路はいつか無料になるんじゃなかったっけ?
「高速道路はいつか無料になる」と認識しているのは、団塊ジュニア以上の世代に多いのでは?
それもそのはずです。日本初の高速道路、名神高速道路が1965年(昭和40年)に開通、その9年前の1956年(昭和31年)に日本道路公団が設立されました。当時、高速道路の建設費用は、日本道路公団がお金を借りて、利用者から通行料を徴収して返済にあて、建設費が回収されたら無料開放する、という仕組みでした。「高速道路はいつか無料になる」は、都市伝説ではありませんでした。
1990年代に日本道路公団が、天下りや談合、道路族議員と呼ばれる関連企業との黒い結びつきなどで槍玉に上がり、負債も雪だるま式に膨れ上がり続け(2002年時点の道路4公団合わせて約40兆円の債務があったそう)、世論の非難についに耐えきれなくなったこともあり、2005年10月に民営化されます。
その後、2014年に「改正道路整備特別措置法」が国会で可決、成立されました。この改正法では、旧道路公団の民営化時に高速道路の料金徴収期間を2050年までとしていたものを15年延ばして2065年までとしました。高速道路各社は、延長された期間の通行料収入を担保に資金を調達して、道路の老朽化対策費にあてるとのことです。
なんかこの流れ、また何か理由をつけて法律が改正され、高速道路の無料開放が先延ばしにされそうですね……
政府への愚痴はこれぐらいにして、これまでの高速道路の歴史で良かった点に着目しましょう。それは、民営化による自由競争から、サービス品質が向上したことです。
最も顕著なのが、サービスエリア・パーキングエリア。人気のあるお店が集まり、一般道路からもアクセスを可能にして、ショッピングモールのような施設に生まれ変わりました。そういえば、民営化前のサービスエリアの食事といったら、まずいラーメンとおいしくないカレーぐらいしかありませんでした。今では、観覧車を併設したり、地元の産物を販売するマルシェなど、実に魅力あるサービスが集まって、サービスエリアが高速道路走行の単なる休憩所ではなくなり、ついにはサービスエリアに行くために高速道路を利用する人が現れるまでになりました。
話がそれましたね。元に戻しましょう。
高速道路の無料化がはかない夢となりましたが、いっぽうで開通当初から無料の高速道路も続々と出てきています。さて、これはいったいどういうことなのでしょうか?
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無料区間の高速道路はいったい何?
通行料無料の高速道路は「新直轄方式」と呼ばれる制度によるものです。
民営化後の高速道路の建設は、基本的に高速道路各社が行います。
高速道路大手5社
➢東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)
➢西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)
➢中日本高速道路株式会社(NEXCO中日本)
➢首都高速道路株式会社
➢阪神高速道路株式会社
ご覧のとおり、すべてが株式会社です。民営化していますので当たり前ですが……しかし、株式会社が高速道路の建設、維持をしていることがポイントです。
会社ですから、採算が合わない高速道路の建設はしたくありません。無理して建設すると、債務超過になって倒産してしまいます。しかし、自治体や地域住民などの強い要望や、経済効果などを考慮して、採算が合わなくても高速道路の建設を進めたい地域が出てきます。
公団であれば、お金は国が出しますので、採算を度外視した高速道路の建設を進めることができます。
会社として不採算路線になる、すなわち通行料金収入では建設費の回収・維持が困難でも、高速道路が開通することで地域の経済効果が建設費用を上回る場合や、逆に有料の高速道路を開通させても経済効果が建設費用に及ばないが、無料で開通すれば経済効果が建設費用を上回る場合は、公団のときのように国がお金を出してほしいものです。しかし、公団は過去のものです。
このギャップを埋めるのが「新直轄方式」です。
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新直轄方式とは?
新直轄方式とは、高速道路の建設費用を、高速道路会社によらず、国と地方自治体で負担する新たな直轄事業のことをいいます。
「新直轄」と名付けられているのは、新の文字が付かない「直轄方式」が存在するため。直轄方式とは、国(国土交通省)が直轄する道路のことで、より厳密に言えば国土交通大臣が管理者の国道のこととなります(沖縄県だけ例外で管理者が内閣府となっている)。
国道には2種類あり、1つは前述の直轄方式による「直轄国道」で、もう1つは管理者が都道府県ないしは政令指定都市となる「補助国道」。国道なのに自治体が管理するので、都道・県道などと何が違うのかと混乱しますね……
直轄国道には、番号が1桁か2桁の国道が多く、また高速道路と並行する自動車専用の一般国道(高速道路の高架下の自動車専用道)に多い3桁番号の道路があります。現在、国道の約4割が直轄道路となっています。
また話がそれてしまいましたね。まとめましょう。
新直轄方式は、利用者目線でいえば「無料の高速道路」のことです。
【走行注意】新直轄方式高速道路の特徴
無料の高速道路でオトク!と喜ぶのはいいですが、走るときには注意したい新直轄方式ならではの特徴があります。
SA・PAがない=ガソリンスタンドがない
道路公団が廃止されて民営化された後は、SA(サービスエリア)・PA(パーキングエリア)の運営は、高速道路各社になりました。新直轄方式は国と自治体が管理者であり、高速道路各社が手を出さない不採算路線ということもあり、建設費・維持費を安くするためにSA・PAは造られず、代わりにインターから近い道の駅がその役割を担っています。
道の駅にガソリンスタンドが併設されている例を筆者は見聞きしたことがありません。近くにガソリンスタンドがあるかどうか、はじめて新直轄方式の高速道路を使って長距離を走るときは事前のチェックが必要です。
また、道の駅は必ずしも24時間営業ではありません。トイレぐらいは使えますが。
片側1車線が基本
繰り返し書いてますが、新直轄方式は高速道路各社が手を出さない不採算路線。基本1車線です。
新直轄方式高速道路の交通量は多くありません。かといって、ガラガラでもありません。不採算路線といえども、経済効果が見込まれる地域ですから、それなりに交通量があります。もちろん、地域差・時間による違いはありますが。
したがって、高速道路といえども、移動時間は高速道路各社の高速道路と同じように考えたらダメです。最高速度も低く制限されていることがほとんどですし、追い越し禁止の1車線(センターラインにはポールとワイヤーロープが敷設されて、物理的に追い越しができないようにされていることがほとんど)ですから、移動時間には余裕を持ちましょう。
有料の高速道路に直結・一部区間だけ無料
新直轄方式の無料区間が、有料の高速道路に直結していたり、一部区間が有料区間となったりする高速道路があります。少しでも高速道路料金を節約したいのなら、カーナビに頼らず事前の確認をしましょう。
【動画】新直轄方式「中部横断自動車道」走行
2021年5月に収録した中部横断自動車道の走行シーンがこちら。
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※この記事は、2022年12月時点での情報を元に執筆しています。