「トヨタ ヤリス」はなぜ売れ続ける?デビューから2年たって爆売れする理由を徹底検証!弱点はある?

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2019年2月10日に発売されたトヨタ ヤリス。デビュー後2年が経過しましたが、2021年は11月にカローラに抜かれるものの、10月まで登録車販売台数トップでした。なぜそんなにヤリスは売れ続けるのでしょうか?弱点はないのでしょうか?

ヤリスが売れる理由を探ってみます。

数字のカラクリがあるものの国産車トップの人気には違いない

CAP/ヤリス「HYBRID Z」

まずは、本記事執筆時点(2021年1月)で知り得る販売台数実績から見てみましょう。

2021年1月から11月のヤリスの累計販売台数は、19万3,360台。この期間の登録車販売台数累計ではトップの座に君臨しています。2番手は、トヨタ ルーミーの12万4,937台となっています。

ただ、ヤリスの販売台数は、国交省への届出ベースによる統計上、コンパクトカーの「ヤリス」と、SUVの「ヤリスクロス」、スポーツモデルの「GRヤリス」の合計値となります。ヤリスクロスは、ヤリスのグレードの一部としてカウントされているわけです。

この数字のカラクリは、トヨタに限らず他メーカーも使う手法で、日産では「ノート」が「ノート オーラ」「ノート クロスオーバー」といった派生モデルの合算台数、スズキでは

「ワゴンR」が「ワゴンR スマイル」との合算台数などとしています。これは、『販売台数1位!』『販売台数◯台!』などと人気ぶりをアピールするマーケティング手法のひとつです。

では、ヤリスとヤリスクロスの販売台数を分解してみましょう。

ヤリスシリーズモデル別累計販売台数(2021年1〜11月)

合計 193,360
ヤリス 91,700
ヤリスクロス 94,560
GRヤリス 7,100

おっと、ヤリスとヤリスクロスの販売構成比率はなんと約半々!コンパクトカー販売台数1位ではない可能性が出てきましたので、同時期のコンパクトカーの販売台数を調べてみました。

コンパクトカー販売台数ランキング(2021年1〜11月)

順位 メーカー 車名 累計販売台数
1 トヨタ ヤリス 91,700
2 日産 ノート 81,817
3 ホンダ フィット 53,484
4 マツダ マツダ2 21,557
5 スズキ スイフト 10,842
6 トヨタ アクア 9,442
7 日産 マーチ 8,368
8 三菱 ミラージュ 2,372

新型派生モデルを続々と投入、2021-2022 日本カー・オブ・ザ・イヤーの受賞をはじめとした国内主要選考会で史上初の3冠という記録を打ち立てた、日産 ノートが猛追、あと少しでヤリスを抜かんばかりという状況でした(ヤリスはコンパクトカーだけの数字で、ノートが派生モデル合算とはずるい、というようなご指摘は覚悟して書いています)。

とはいえ、発売後2年目の販売台数として、この実績は立派です。5ナンバー・コンパクトカーでは堂々の1位といえます。

もう少し視野を広げて、登録車全車種の販売台数ランキングを見てみましょう。

登録車販売台数ランキングTOP10(2021年1〜11月)

順位 メーカー 車種名 販売台数
1 トヨタ ルーミー 124,937
2 トヨタ ヤリスクロス 94,560
3 トヨタ ヤリス 91,700
4 トヨタ アルファード 89,687
5 日産 ノート 81,817
6 トヨタ ライズ 74,786
7 トヨタ ヴォクシー 64,048
8 日産 セレナ 55,970
9 トヨタ シエンタ 54,347
10 ホンダ フィット 53,484

※トヨタ カローラも複数モデルがマージされているため分けて集計した結果、ランキング圏外になりました。

ルーミーの突出した販売台数が目立ちますが(別途、ルーミーが売れている理由についての考察記事あり)、ヤリスの人気ぶりは確認できるでしょう。

蛇足になりますが、軽自動車販売台数をランキングTOP10に入れてしまうと、半分ほどが軽自動車で占められてしまいます。

それでは、ヤリスがなぜ売れているのかの検証結果をお伝えしていきましょう。

※本記事で「ヤリス」と記述する場合は、ヤリスクロス、GRヤリスを除いた純粋なコンパクトカーのヤリスのことを示しています。

豊富なグレードラインナップで法人需要も獲得

ヤリスのグレード構成は全部で12におよびます。

このうち、3グレードがハイブリッド車、9グレードがガソリン車となり、4WD車はハイブリッド車とガソリン車にそれぞれ3グレードずつ設定しています。

さらに、ガソリン車には6速MTもラインナップするという広い布陣がなされています。

車両価格は、ハイブリッド・2WD車が約200〜232万円、ガソリン・2WD車が約140〜197万円、ハイブリッド・4WD車が約224〜252万円、ガソリン・4WDが約183〜217万円となっています。

グレード構成は、シンプルな装備のベーシックグレードの「X」系、中間グレードの「G」系、上級グレードの「Z」という3タイプの展開となっています。また、1.5Lガソリン車には、6速MTも用意され、幅広いニーズにも対応しています。

CAP/ヤリス「G」

グレードと価格の関係で注目したいのが、ベーシックグレード「X」系2WD車の車両価格が、139万5,000〜159万円というリーズナブルな設定であることと、中間グレード「G」系2WD車の価格が163〜177万3,000円に設定されているという点です。

エントリーグレード「X“Bパッケージ”」は140万円を切っており、営業車をはじめとした法人需要に対応しています。また、売れ筋モデルとなっているはず(統計データを入手していないため、筆者の推測)の中間グレードは、一般消費者だけでなくレンタカー業者やカーシェア業者からの需要にも対応しています。

「X」系のエンジンは1.0Lとなり、日常生活の使用でもパワー不足を感じてしまうことは否めないでしょうが、走りにこだわらず生活の足としてクルマを使う方には不自由はありません。エントリーグレード「X“Bパッケージ”」は、予防安全技術「トヨタ セーフティ センス」の装備が省略されているため、一般消費者向けとはいえませんが、買いやすい価格設定と豊富なグレード展開は、ヤリスの販売台数を支えている理由といえます。

CAP/ヤリス 「HYBRID Z」

トヨタディーラー全店全車種取り扱いも販売台数を押し上げる

東京地区では2019年5月から、全国では2020年5月から、それまで4系列あったトヨタの取り扱い車種別ディーラー販売体制は、全店全車種取り扱いに統合されました。もともと車種ラインナップ数の多いトヨタでは、全ディーラーが「クルマのデパート」状態となりました。

これは、ヤリスだけが恩恵にあずかったわけではなく、トヨタ車全体の販売台数押し上げに貢献、ミニバンにおいてはアルファードの販売シェアが急進するいっぽう、姉妹車だったヴェルファイアが風前の灯となってしまう、という現象も生み出しました。

これにより、ヤリスを取り扱うディーラー数は、全国約4600店舗となり、ライバルの日産とホンダがそれぞれ約2100店舗台というダブルスコアも、ヤリス人気を維持している要因といえるでしょう。

やっぱり低燃費は売れるクルマになる

ヤリスのハイブリッド車の燃費は、35.4〜36.0km/L(2WD車/WLTCモード燃費)とクラストップ。かつてに比べると、新車選びの基準に燃費性能の重要度は低くなってきていますが、経済性が重視されるコンパクトカーではやっぱり低燃費なクルマが選ばれやすいでしょう。

ライバルの日産 ノート(全車ハイブリッドの「e-POWER」)では28.4~29.5km/L(同)、フィット e:HEVは27.2~29.4km/L(同)となり、ヤリスは2割以上燃費が良いというアドバンテージをもっています。

ヤリスに弱点はないのか?

ヤリスにも弱点がありました。それは、後席の狭さです。Twitterを見れば、ヤリスの後席の狭さを指摘する声が散見されます。筆者も何度か試乗していますが、お世辞にもヤリスの後席は広いとはいえず、ライバルの日産 ノート、ホンダ フィットのほうがユーティリティに優れている印象です。

CAP/「X“Bパッケージ”」のインテリア。エントリーグレードでも卑屈な思いをしないクオリティだ。

しかし、これはトヨタが戦略的にヤリスに与えた弱点である、と筆者は見ています。

ヤリスのデビューから1年半後の2020年8月、ヤリスをベースにしたコンパクトSUV「ヤリスクロス」が登場しました。

ヤリスクロスは「ヤリスの後席が狭い!」というユーザーをしっかり受け止めるモデルでした。この点でもトヨタの「クルマのデパート」ぶりを発揮したのでした。

さすが!世界のトヨタ!

関連記事に「ヤリスクロスはなぜ売れるのか?」を執筆しています。どうぞあわせてご覧ください。

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