ホンダの軽バンといえば、古くは1972年に発売された「ライフ ステップバン」が有名。当時としては画期的なFF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式を採用し、現在主流のワゴンRやN-BOXなど軽ハイトワゴンの先駆けともいえる存在でしたが、その後MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)方式のキャブオーバー、アクティ バンを経て現在はステップバンの流れをくむボンネットバンのN-VANに進化・発展しています。
ホンダの軽バンの種類と特徴
ホンダの軽バンは長らくMR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)方式を採用しています。その理由は同じ軽商用の軽トラック「アクティ トラック」の成り立ちに関係していて、FF(前輪駆動)方式を採用するNシリーズのコンポーネントを流用しながら、ドライブシャフトに後輪を取り付け、エンジンを前後の車軸の間に配置したMR方式を採用したことに由来しています。
足回りの形式もこの時確立され、マクファーソンストラットのフロントに対し、リアは荷重変化に対応させるために独立式とリジッド式の利点を併せ持つ、ド・デオンアクスル&リーフスプリングを採用。この組み合わせは歴代のアクティシリーズに受け継がれてきました。
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MR方式のアクティ バンの生産が終了し、2018年7月に発売されたN-VANは2代目N-BOXと共通のFFプラットフォームを採用。ホンダが従来採用してきた、エンジンが荷室の床下にあるMR方式や、他社の軽バンが採用するキャブオーバータイプ(前席下にエンジンを配置)は、運転席を前端に配置できて荷室を長く取れる反面、床が高くなるために乗降性や積載性には不利でした。FF化によって荷室長は若干短くなるものの、ホンダ独自のセンタータンクレイアウトやシート設計により、スーパーハイトワゴンのボディに低床・フラットな荷室を確保しています。
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【ホンダの軽バン】N-VAN
軽バン初の助手席側センターピラーレスで実現した「ダブルビッグ大開口」や、燃料タンクを前席下に配すことで荷室の床を極限まで低くできる「センタータンクレイアウト」によって、助手席から荷室まで段差のないフルフラットなスペースを実現。
FF・低床設計で運転席の足元スペースにもゆとりが生まれ、フロントシートに対するフロントタイヤの位置が従来のキャブオーバータイプに比べて前方に移動することで、ペダルの奥行きやペダル同士の間隔が広くなり、ペダル操作をより自然に、スムーズに行えます。さらに、低い床を採用したことでシートの着座位置が低くなり、腰の上下動が少ない、スムーズな乗り降りを可能にしました。
パワートレインも刷新。低速から高トルクを発生させて力強い加速と燃費に優れるロングストロークエンジンに、ホンダ軽バン初採用のCVTと軽バン初の6速マニュアルトランスミッションを組み合わせて、積載時の駆動力とスムーズな加速を実現しています。
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【ホンダの軽バン】狙い目の中古車
3代目アクティ バン TOWN 2001年式以降
アクティ バンの初代モデルは1979年、2代目は1988年、3代目は1999年5月にデビュー。現在中古車市場に流通しているのは3代目で、エアコンが全車標準になった2001年9月のマイナーチェンジ以降のモデルがおすすめです。
最上級グレードのTOWNはスライドドア/リアクォーター/テールゲートのプライバシーガラス、フルホイールキャップ、内装もクォーツグレーのシートやダッシュボードパネルなどが専用色でカラーコーディネートされ、洗練された印象を与えます。また、フロントパワーウィンドウやリアヒーターも備わり、乗用ワゴン並みに装備が充実しているのもおすすめする理由です。
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初代 バモス ホビオ 2003年式~
アクティ バンの乗用車版がバモス。「ホビオ」はバモスより105mm高いハイルーフ仕様で、ゆとりの頭上高に趣味やライフスタイルに合わせて自分流のカーゴアレンジが簡単にできるよう、ボディ内装壁面に穴開け加工なしでφ6mmのボルトを取り付けられるユーティリティナットを28個、カーゴルームフロアに重い荷物を固定できるタイダウンフックを4個装備しています。シートとドアライニングの表皮には撥水処理が施され、アウトドアやアクティビティのギアも気兼ねなく積み込めます。
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【まとめ】どのモデルを選んでもホンダらしさが味わえる
スズキとダイハツの2強の陰に隠れて、今ひとつ存在感の薄いホンダの軽バンですが、アクティ バンは軽バン唯一のMR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)方式を採用し、前後重量配分に優れるために積載時に強力なトラクションが得られるとプロユーザーの評判は高いものでした。パーソナルユースでは流行りのバンライフを先取りして2000年代頭に乗用ワゴンのバモスに「ホビオ」を設定するなど、ホンダらしい独創性が光っていました。
ホンダの軽バンの系譜を受け継ぐ現行モデルのN-VANも他社の軽バンが軒並みキャブオーバーのFR方式を採用するなかで、あえてFF方式を採用することで低床フロアと乗用車ライクな運転感覚を実現。先進安全装備のホンダセンシングの機能も充実しているので、安全性と快適性を求める人はN-VAN、積載性や運転の楽しさ、荷室のアレンジのしやすさを求める人はアクティ バンやバモス ホビオをおすすめします。
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※この記事は、2023年1月時点での情報で執筆しています。