今や日本の自動車のスタンダードになりつつある軽自動車のスーパーハイトワゴン。その中でも特に販売台数を伸ばしているのが、ホンダ N-BOXです。ホンダ特有の「M・M思想」を極限にまで追求し、多くの人に支持された初代モデルをここでは紹介していきます。
【サマリー】販売台数ランキングを覆すほどバズった初代N-BOX
当時市場を席巻していたダイハツ タントの対抗馬として2011年11月に送り出された、ホンダ初のスーパーハイトワゴンがN-BOXです。
2011年11月の発売以来、クラストップの広い室内空間と軽自動車とは思えないほどのクオリティが好評を博し、年間販売台数では2012、13、15、16年で軽自動車のナンバー1となりました。
低床フロア、センタータンクレイアウトなどの独自の技術に加え、ホンダの伝統でもあるM・M(マンマキシマム・メカミニマム)思想を極限まで高めエンジンルームを可能な限り小さくした室内優先のパッケージングは、のちに登場するすべての軽スーパーハイトワゴンのベンチマークとなるほど影響を与えました。
【外観スタイル】ミニバンらしさを表現したスクエアなボディ
ホンダのミニバンらしさをそのまま軽自動車に凝縮した「ミニ・ミニバン」を目指して開発されたN-BOX。スクエアなフォルムに、室内が広いことをアピールするかのようなロングルーフ、厚みのあるロアボディに広いグラスエリアなどで、ミニバンらしさを表現しています。丸目調の大型ヘッドライトが特徴的なノーマルと、押し出し感の強い迫力が魅力のカスタムの2種類からデザインが選べました。
【インテリア】M・M思想の真骨頂!ミニバンより広い一人当たりの室内空間
ボディサイズに制約がある軽自動車だからこそ求められる室内の広さ。N-BOXは、この課題をエンジンルームの最小化と、フロアの低床化により解決しました。その内容はまさに、M・M思想の究極のカタチ。
発売当初クラス最小とうたわれたエンジンルームで室内長を、低床化技術とセンタータンクレイアウトで室内高をそれぞれ稼ぎだし、一人当たりの空間は登録車のミニバン以上の広さを誇りました。さらに多彩なシートアレンジや、大開口部の両側スライドドア、低いフロアならではの荷室の積み下ろし性など、使い勝手の面でも優れたところが多かったことも初代N-BOXの特徴です。
【走り・燃費】F1由来のエンジン技術を惜しみなく投入
ミニマムエンジンルームを作るためには、その狭いスペースに適した小さなエンジンが必要。1980〜90年代にホンダF1第2期のエンジン開発スタッフだった、初代N-BOX開発主査の浅木泰昭氏は、N-BOXをはじめとするホンダ Nシリーズのためにエンジンとトランスミッション、そしてシャシー(プラットフォーム)を新開発しました。
エンジンにはF1でも使用されていたスイングアーム式ロッカーアームや、ホンダ軽には初搭載となるハイドロリック ラッシュアジャスターなどの技術を惜しみなく投入し、組み合わせるトランスミッションは専用のCVTを開発。軽量コンパクトなパワーユニットに仕上げ高効率化とハイパワー化を実現しながら、クラストップレベルの低燃費性能(NA車でJC08モード燃費22.2km/L)も両立させました。
ボディにはインナーフレーム構造を採用。従来の製造工程に比べ10%ほどの軽量化と高剛性を実現し、全高の高さからくるロール感や走行安定感に不安がないサスペンションセッティングも可能としました。
【安全装備】ADASが採用されたのはデビューから2年後
N-BOXに先進安全運転支援システム(ADAS)が備わったのは、2013年12月の一部改良から。それまでは衝突被害軽減ブレーキすらつかず、サイドエアバッグなどが設定される程度でした。
ADASは「あんしんパッケージ」という名で2013年12月に登場。衝突回避支援のシティブレーキアクティブシステムと、前席用サイドエアバッグ・サイドカーテンエアバッグをセットにして一部グレードへ設定しました。
【グレード構成】ターボエンジンはカスタムのみにラインナップ
発売当初のグレード展開は、ベーシックなGと上級グレードのG・Lパッケージの2種が基本でした。それぞれは駆動方式がFFと4WDから選べ、カスタムにはターボエンジンを搭載するG・ターボパッケージもラインナップされていました。
価格は、4グレード展開のノーマルフェイスが、124〜146万円。6グレード展開のカスタムが144〜178万円でした。
【マイナーチェンジ&改良一覧】完成度が高すぎた!?シリーズ全体を通して少なかった改良点
初代N-BOXは年次改良がほぼ毎年入り、次々にアップデートされていきました。しかしその内容はあまり大掛かりなものではなく、いずれも燃費の改善などあくまで小変更にとどまっています。一番大きな変更は2015年2月のマイナーチェンジで、エクステリア&インテリアに小変更が加えられました。モデル全体を通して見ても変更箇所は少なく、いかに初代の完成度が高かったのかがうかがい知れます。
一部改良で毎年少しずつアップデート
デビューから1年後の2012年12月、N-BOXは初めての一部改良を受けます。全グレードの中で一番燃費性能のいいノーマルグレードのGのFF車が、JC08モード燃費を22.2から24.2km/Lへと改善。そして、標準車にもターボ車が追加されました。
外観ではG・Lパッケージに14インチアルミホイールと、ドアミラーウインカーを標準化。緊急ブレーキを後続車に知らせるエマージェンシーストップシグナルを全車で標準装備としました。内装の装備では、Gにフルオートエアコンを装備しています。価格は126〜178万円とされました。
この改良では、モデューロXの追加も発表されています。ホンダ全ラインナップ初となるモデューロのコンプリートカーで、カスタムをベースに専用の15インチホイールやローダウンサスペンション、エアロパーツなどでまとめられた、スポーティな仕様です。価格は178〜188万円とされ、2013年1月に発売しました。
2013年は12月にも一部改良が行われています。ADASのあんしんパッケージを設定し、標準装備もしくはオプションで選べるようになりました。FFのGの燃費は25.2km/Lへと向上し、エコカー減税の対象となっています。この改良ではグレード名も変更を受け、従来のカスタム上級グレードであるLパッケージはAパッケージへと変わりました。価格は124〜186.8万円と設定されています。
マイナーチェンジでは利便性がさらに向上
2015年2月には初めてのマイナーチェンジを実施。外観の変更はこのMCが初めてとなりました。フロントマスクの意匠が変わり、標準車は上質感を、カスタムは重厚感を向上させています。カスタムはシート素材も変更し、合皮のコンビシートを新たに採用しました。
リアシートにスライド機能が追加されたこともトピックでした。従来からのチップアップとダイブダウンの機構に前後スライドも追加し、さらに利便性をアップさせました。シートバックテーブルもこのMCで追加されています。
燃費はさらに向上し、25.6km/Lに。ドアロック連動の自動格納ドアミラーも用意されています。
そして、最後の改良となった2015年11月の一部改良では、新たなベーシックグレードのCを追加。360度全周にわたって赤外線(IR)と紫外線(UV)をカットするガラスをすべてのウインドウに採用しました。価格帯はCの追加で最低価格が下がり、119.8〜185.9万円に設定されています。
【N-BOXのおすすめモデル#1】最後期モデルのG・Lパッケージ以上のグレード
本来なら最後期モデルというのは一番市場に出回っている数が少ないので、おすすめすることはあまりありません。しかしN-BOXは別。その理由は、「360°スーパーUV・IRカットパッケージ」がLパッケージ以上ならば標準装着されているからです。
特に夏の暑い時期。この機能は必ず役に立ちます。窓の面積が必然的に広くなるミニバンタイプや軽スーパーハイトワゴンには、なくてはならない装備といえるでしょう。
季節や天候に関係なく快適なドライブを楽しみたいならば、N-BOXは最後期のLパッケージ以上を購入することをおすすめします。2015年2月改良のモデルでもUV&IRカットガラスが設定されていますが、オプション装備だったことと、フロント&サイドガラスしかカット処理がされていない点からおすすめしづらいのが正直なところです。すべてのガラスに処理を施した、2015年12月登録以降の最後期モデルを狙いましょう。
【N-BOXのおすすめモデル#2】2013年12月以降登録のあんしんパッケージ付きモデル
ADASが最新式のホンダセンシングではないにしろ、せめて緊急時の衝突回避をサポートしてくれるブレーキは欲しいもの。2013年12月発表の一部改良では、これらのブレーキを含めたあんしんパッケージと呼ばれる安全装備が設定されています。
しかもこのあんしんパッケージは、サイドカーテンエアバッグと前席用サイドエアバッグもセットの装備。いざというときの備えはしておいて越したことはありません。
発表日が2013年の12月25日ですので、2014年1月以降の登録モデルを狙いましょう。
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【まとめ】ファミリーユースにも向いているファーストカー的存在
N-BOXは、ホンダの狙いどおりこれまでの軽自動車の概念を覆してくれたモデルです。一度乗れば、その人気の理由がわかるでしょう。
圧倒的な広さを誇る室内空間に、かわいらしく愛嬌のある外観デザイン。十分すぎる加速性能と、乗り心地の良さ。どこをとっても欠点が見当たらないくらいよくできた軽自動車です。ファーストカーとして使いたくなる質感の高さが魅力なので、中古車を選ぶ際には状態のいい個体を選ぶようにしましょう。
※この記事は2022年7月現在の情報に基づいています。