中古車の価格は一般的に高年式(新しい)で走行距離が少ないものほど高く、低年式(古い)で走行距離が多くなるほど安くなります。標準的な使い方からすると走り過ぎ=多走行車は相場よりも安くなり、価格だけで見ればお買い得な感じがします。一方で距離を走ったクルマは壊れないかと心配な人も多いはず。果たして買いなのか、避けるべきなのか、多走行車を安心して選ぶためのポイントを解説します。
多走行車の定義とは
多走行車(過走行車)に明確な定義はありませんが、字面から何となく「普通よりも多く走っている」「走り過ぎ」というイメージが浮かびます。中古車業界では年間走行距離が1万5000kmを超えると走行距離が多いという判断をされがちです。また、総走行距離が10万kmを超えたものも多走行車と呼ぶことがありますが、この記事では年式のわりに走行距離が多い中古車について取り上げます。
自動車メーカーでは年間走行距離が2万㎞以上のクルマを「シビアコンディション」と称していて、油脂類などの消耗品の交換を通常よりも短いスパンで行うように推奨しています。
シビアコンディションに当てはまるのは距離だけではありません。ホンダでは悪路(デコボコ道、砂利道、未舗装路)、雪道、山道のいずれかでの走行が走行距離の30%以上を占める場合、シビアコンディションに該当すると定めています。さらに、短距離での繰り返し走行が多い(目安:8㎞/回)、低速走行が多い(目安:30㎞/h以下)、アイドリング状態が多いなどもシビアコンディションに含まれます。自宅から駅までの送迎や近所の買い物だけにつかう「チョイ乗り」は走行距離こそ短いものの、オイルや冷却水の温度が上がらないままエンジンを止めてしまうので、逆にクルマに負担が掛かります。
標準的な年間走行距離は約8000㎞といわれています。新車登録日から3年なら2.4万㎞、2回目の車検を迎える車歴5年なら4万㎞がひとつの目安となります。
【多走行車のメリット】価格が安い
中古車を選ぶ目安となるのがプライスボードに掲げられた年式と走行距離。賃貸物件で築浅・駅近になるほど家賃が高くなるのと同じ理屈で、中古車も高年式で走行距離が少ないものほど価格が高くなります。
試しに中古車サイトで2019年式のホンダ フィット 13G Lホンダセンシング(3代目)で検索すると、走行距離3.1万㎞・車検整備付きで車両本体価格が139万8,000円なのに対し、同年式で走行距離5.8万㎞・車検整備付きで車両本体価格が109万8,000円。どちらもホンダカーズ系列の中古車店の物件ですが、後者のほうが30万円、21%も安くなっています。
走行距離が2万7000km多い代わりに同グレード・同年式のクルマが2割引で手に入る……手元資金を多く残してクルマを購入したい人にとっては魅力的ではないでしょうか。
では、ガソリン車よりもエンジンが頑丈に作られたディーゼル車の場合はどうでしょうか。
こちらも中古車サイトで三菱 デリカD:5の2019年式・2.2ディーゼルターボP・正規ディーラー系列店・車検整備付きの条件で検索すると、走行距離3.1万㎞が395万円なのに対し、走行距離7.8万㎞が359万8,000円で、その差は35万2,000円と絶対金額は先ほどのフィットよりも大きいのですが、率で見ると約9%と差が小さいことがわかります。10万kmなんてまだまだ序の口のディーゼル車の場合、ガソリン車ほど走行距離による価格差は付きにくいと言えます。
ちなみに、デリカの場合は人気の高い ミニバンとSUVのクロスモデルということも影響していると思われます。
Pグレードの新車価格は421万6,320円ですから、人気車ゆえに3年落ちの中古車でも値落ちが少ないのは特筆すべき点です。
【多走行車のデメリット】コンディションの差が大きい
多走行車で重視したいのはコンディション。エンジンの吹き上がりやトランスミッションの変速フィールなどは、走行距離が延びるほど前オーナーの扱い方や運転の仕方で癖がつきやすくなります。
例えば低速で走る街乗りメインでたまにしか高速に乗らないような使い方だと、エンジンの吹き上がりがシブくなったり、変速がギクシャクしたりといった現象が出ている可能性があります。
逆に多走行でもオイルなどの消耗品をきっちり交換し、適切なメンテナンスが実施されていれば、前述した街乗りメインで走行距離が延びないクルマよりもコンディションが良好に保たれていることは往々にしてあります。
よって、コンディションを知るために購入前に定期点検整備記録簿をチェックしたり、可能であれば試乗させてもらうことをおすすめします。もし公道での試乗ができない場合でも、エンジンの掛かり具合やアイドリング時の回転がピタッと安定するか否か、音、排ガスのニオイや色などでもクルマの状態が推し測れます。
【買っていい多走行車】ワンオーナーの記録簿付きを選びたい
素性のハッキリしたワンオーナー車なら、多走行であっても大切に扱われてきた可能性が高まります。前述のように24ヵ月点検や12ヵ月点検などの法定点検などメンテナンスの内容を記録する帳簿=定期点検整備記録簿が備わっていて、整備履歴を確認できることが必須条件です。
多走行に起因するメカニカル的なトラブルを避ける意味では、前述した高耐久のディーゼル車やアナログな純ガソリン車が有利。
ハイブリッド車にはエンジンの始動やモーターを駆動するメインバッテリーと、メインバッテリーの起動や電装品の給電に使われる補機バッテリーが搭載されています。特に走行距離が延びていると、メインバッテリーが充放電を繰り返すことで劣化が進んでいるケースが考えられます。
このメインバッテリーは高性能・高密度(ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池)で、リビルド品でも交換工賃込で10万円以上と、大変高価なものです。
ちなみに、ハイブリッド車のメインバッテリー、インバーター、コントロールユニットなどは自動車メーカーの「特別保証」に含まれますが、トヨタの特別保証は新車から5年間または10万㎞走行時点のいずれかの早い方までと定めています。
【買ってはいけない多走行車】ノーメンテで乗りっぱなし
オイル交換をせずに継ぎ足しで済ませていたり、ユーザー車検でその場しのぎの適当な整備で済ませていたりしたような、雑に扱われていたクルマは絶対に避けるべき。こうしたハズレ物件を引き当てないためにも前述した記録簿や現車のチェックは必須になります。
走行距離に限らず必ずチェックしたいのが下まわり。クルマの床下を覗き込んで腐食やサビが顕著に見られるようなら避けたほうが無難です。特に雪国で使われていたクルマは融雪剤に含まれる塩化カルシウムによってフレームや足まわりなどの金属部分が腐食していることがあるので注意が必要です。
多走行の電気自動車はハイブリッド車以上にメインバッテリーの状態がシビアになります。初代日産リーフを中古車サイトで検索すると、10万km超えの物件が20~30万円台で見つかりますが、バッテリーの劣化が進んでいると航続距離が極端に短くなり、実用に耐えません。
日産自動車ではリーフの再生バッテリーを使った有償交換プログラムを実施していますが、24kWhが65万円、30kWhが80万円、40kWhが82万円と、中古車がもう1台買えるぐらい高価なもの。バッテリー交換が前提では多走行車を買うメリットはありません。
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今のクルマは適切なメンテナンスをしていれば多走行車でも性能を発揮する
ひと昔前は走り過ぎの多走行車=使い倒されくたびれたイメージでしたが、今は部品のクオリティやクルマの組み立て精度が格段に向上していて、適切なメンテナンスを実施していれば距離を走っていても長期間性能を発揮してくれます。
使い捨てではなく1台のクルマを長く大切に乗り続けるという意味では持続可能な開発目標、SDGsの理念とも合致します。
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