国産コンパクトハッチの代名詞としておなじみのフィット。独自のセンタータンクレイアウトによる多彩なシートアレンジとクラスを超えた室内空間の広さに加え、走る楽しさも兼ね備えています。ここでは2013年9月に登場した3代目について解説します。
【サマリー】「操る楽しさ」も兼ね備えたベストセラーの3代目
燃料タンクをフロントシート部のフロア下に設置する「センタータンクレイアウト」という画期的なパッケージング技術を軸に、取り回しのいい車両サイズと広い室内、低燃費、使い勝手の良さを高次元でバランスさせた国産コンパクトのベストセラー。国内ではミニバンを卒業した子離れ世代やダウンサイザーにも受け入れられ、グローバル市場でも高く評価される、日本を代表するコンパクトカーに成長しました。
初代は2001年にデビューしました。2007年10月に登場した2代目はハイブリッド車の追加などラインナップを拡充。2013年9月にデビューした3代目は「FIT3」の愛称で親しまれ、6速MT+1.5Lガソリンエンジンの「RS」や、1.5Lのハイブリッドモデルにダイレクト感のある加速フィーリングが味わえる7速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)を設定するなど、走りの楽しさも兼ね備えていました。
2020年2月にフルモデルチェンジした現行モデルにはスポーティグレードの設定がなく、中古車市場では手頃なスポーツハッチバックを求めるユーザーを中心に3代目が再評価されています。
【外観スタイル】スポーティさと先進感を表現
ホンダの新しいデザインアイデンティティである「ソリッド・ウイング・フェイス」を体現。シンボルの「Hマーク」を中心に、フロントグリルからヘッドライトまでを1つのつながりとしてデザインすることで、スポーティさと未来感を演出しています。
サイズは全長3955×全幅1695×全高1525㎜(ハイブリッドSパッケージ)でライバルのヴィッツと同等ですが、室内の広さは群を抜いています。
【インテリア】全ての座席で快適性と上質さを追求
センターパネルをドライバー側にオフセットさせるなど、運転に集中できるコクピット空間を追求しながら、開放感のある助手席やロングドライブでも快適なリア席など、それぞれの座席に求められる機能と価値を徹底的に高めることでコンパクトカーの枠を超える快適性と上質さを実現しています。
前席は1クラス上のシートベースを採用し、後席は座面を前モデルに比べて約16㎜延長しながら腰下の高さを低くすることで座り心地を向上させています。シートの仕立てはRSがオレンジステッチを施してスポーティさを強調し、上級グレードの15X/ハイブリッドLパッケージ装着車にはサイド部にレザー調素材をあしらうなど、グレードごとに専用のファブリックを採用しています。
シートアレンジも多彩で、長尺物の積載に便利なロングモード、仮眠に適したリフレッシュモード、背高荷物が積みやすいトールモードなど、用途に合わせて自在にアレンジできます。
【走り・燃費】クラストップの低燃費とスポーティな走りを両立
パワートレインは3種類。13Gは1.3LのアトキンソンサイクルDOHC i-VTECエンジンにCVTもしくは5速MTの組み合わせで、JC08モード燃費は26.0㎞/L(13G FF/CVT)。15XとRSは1.5L直噴DOHC i-VTECエンジンにCVTもしくは6速MTの組み合わせで、JC08モード燃費は21.8㎞/L(15X FF/CVT)になります。
ハイブリッドは1.5LのアトキンソンサイクルDOHC i-VTECエンジンと高出力モーターを内蔵した7速DCT、リチウムイオンバッテリー内蔵IPU(インテリジェントパワーユニット)を組み合わせた1モーターハイブリッドシステムで、JC08モード燃費は36.4㎞/L(FF)になります。
【安全装備】2017年6月から先進安全装備を搭載
2017年6月以降のモデルは安全運転支援システム「ホンダセンシングHonda SENSING」(ホンダセンシング)の全8機能をガソリン/ハイブリッドモデルともに採用。自動ブレーキ、誤発進抑制機能など衝突回避支援機能に加え、車線維持支援システム、前走車との車間距離を保つACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)などの機能が、ドライバーの負担を軽減します。
【グレード構成】ハイブリッドと2種類のガソリンエンジンが選べる
2013年9月のデビュー時は1.3Lガソリンと1.5LハイブリッドがF、L、Sパッケージとベースグレードの4タイプ、1.5LガソリンはベースグレードとLパッケージの2タイプ、RSというラインナップ。
パッケージの内容はL、SがLEDヘッドライトやクルーズコントロール、セキュリティアラームを標準装備、FパッケージはLEDヘッドライトなど一部装備がメーカーオプションになる以外は、L、Sに準じます。
2013年12月にハイブリッドに4WDが追加されました。2017年6月のマイナーチェンジで搭載された安全運転支援システムのホンダセンシングHonda SENSINGは、1.5Lハイブリッドおよび1.3LガソリンのLとS、1.5Lガソリンの15XLとRSに設定されました。
【マイナーチェンジ&改良一覧】2017年6月に安全装備の充実と意匠を刷新
ホンダ伝統のM・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想を具現化した革新的パッケージのセンタータンクレイアウトを採用し、限られた空間でゆとりの広さと多彩なシートアレンジを実現するなど、コンパクトカーに革命をもたらしたフィットの3代目になります。
2001年に登場した初代の設計思想を継承しながら、パワートレインと車体を刷新し、居住性、燃費性能、デザイン、走りのすべてが格段に進化しました。
2017年6月:マイナーチェンジ 安全運転支援システム「ホンダセンシングHonda SENSING」を採用
「10年先でも色褪せない輝きがあること」を目指して、ベースデザインの個性化を図りながら、グレードごとのキャラクターを際立たせる意匠を採用しています。上級グレードのハイブリッドS ホンダセンシングHonda SENSINGとRS ホンダセンシングHonda SENSINGには、スポーティバンパーをフロントとリアに採用。さらに、ブラックドアミラーやサイドシルガーニッシュ、大型テールゲートスポイラー、新色の16インチアルミホイールなどを採用し、スポーティさを強調しています。
目に見えない部分も進化していて、遮音機能付きフロントウインドウガラスの採用で静粛性を高め、ボディ剛性の強化やショックアブソーバーの減衰特性の最適化で上質な乗り心地を実現。パワートレインはガソリン/ハイブリッドともにきめ細かなチューニングを施すことで、燃費向上とスムーズな加速フィールを実現しています。
マイナーチェンジのトピックは、ミリ波レーダーと単眼カメラによる車両前方の状況確認と、ブレーキ、ステアリングの制御技術を協調させて、安心・快適な運転や事故回避を支援する「ホンダセンシングHonda SENSING」をガソリン/ハイブリッドモデルともに採用したこと。内容は以下のとおりです。
■衝突軽減ブレーキ(CMBS)
遠方までの距離計測に強いミリ波レーダーと形状認識に強い単眼カメラにより、車両や歩行者を検知し、衝突の危険がある場合にマルチインフォメーション・ディスプレイの表示やブザーで警告。緊急時には、自動で強いブレーキをかけて衝突回避・被害軽減を図ります。
■誤発進抑制機能
前方に障害物があるにもかかわらずアクセルペダルを踏み込んだ場合に、急発進を防ぎます。
■歩行者事故軽減ステアリング
約10㎞/h~約40km/hで走行中に車線を外れ、路側帯の歩行者と衝突しそうな際、音と表示で警告。ステアリングも制御して回避操作を支援します。
■路外逸脱抑制機能
車線を外れそうな際、マルチインフォメーション・ディスプレイの表示とステアリング振動で警告し、さらにクルマを車線内に戻すようにステアリングを制御。逸脱量が大きいと予測される際はブレーキも併用して、逸脱しないように支援します。
■アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)
アクセルペダルを踏まずに設定した車速を保つクルーズコントロールに、前走車を検知する機能を追加。高速道路などで車速と車間を適切に制御します。
■車線維持支援システム(LKAS)
高速道路など、中・高速走行時に単眼カメラで車線を捉え、車線中央に沿って走れるようにステアリング操作をアシスト。車線を外れそうな際にはマルチインフォメーション・ディスプレイの表示とステアリング振動で注意を促します。
■先行車発進お知らせ機能
前のクルマが発進したことを、ブザーとマルチインフォメーション・ディスプレイの表示で知らせてくれます。
■標識認識機能
走行中に道路標識を認識してマルチインフォメーション・ディスプレイに表示し、安全運転を支援します。
【3代目フィットのおすすめモデル#1】2017年6月以降のハイブリッドS ホンダセンシングHonda SENSING
外観デザインは2017年6月のマイナーチェンジを機に一部グレードにインラインタイプのLEDヘッドライトが採用され、バンパーの形状も低重心かつワイド感を強調したものに変更されるなど、スポーティさと先進性が格段にアップ。さらに、乗り心地の向上や加速フィールの改善といった中身にも手が加えられるなど、メカニズムの進化も見逃せません。
加えて、もはや必須装備である安全運転支援システムのホンダセンシングHonda SENSINGが採用されていることもマイナーチェンジ後のモデルを強くおすすめしたい理由です。
ハイブリッドS ホンダセンシングHonda SENSINGは1.5LのアトキンソンサイクルDOHC i-VTECエンジンに高出力モーターを内蔵した7速DCT、パドルシフトを組み合わせたスポーティモデル。現行の4代目フィットのトランスミッションは電気式の無段変速機とCVTのみで、7速DCTのダイレクトかつスムーズな変速フィールを味わいながら137馬力のシステム出力を堪能する…といったスポーティな走りを楽しみつつ、燃費走行もこなせる万能さは3代目ならではの魅力です。
【3代目フィットのおすすめモデル#2】2017年6月以降のRS(6速MT)
3代目フィットには国産Bセグメントでは希少な6速MTを搭載するスポーツグレードの「RS」が設定されていました。1.5Lのガソリンエンジンは「タイプR」のような過激さはないものの、低回転域から豊かなトルクを発揮し全域で扱いやすい性格。燃費走行からシフトワークを駆使したスポーツドライビングまで幅広い走りを可能にしくれます。7速CVTも選べますが、ここは6速MT一択で操る楽しさを堪能すべきでしょう。
こちらも2017年6月のマイナーチェンジでホンダセンシングHonda SENSINGが搭載されましたが、中古車のタマ数が少ないのがネックです。が、長く乗り続けるならマイナーチェンジ以降のモデルがおすすめ。価格のこなれたマイナーチェンジ前のモデルはスポーツハッチバックのエントリーモデルとして要注目です。
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【まとめ】4代目にはない「スポーティ」さが魅力
ライバルのヴィッツがヤリスに名称を改め、スポーティさが増したのとは対照的に、「居心地のよさ」を重視した4代目の現行フィットはスタイリングも走りも落ち着いたイメージでホンダファンにとっては好き嫌いが分かれるところです。マニュアル車の設定も含めて初代から受け継がれているスポーティな走りを安全に楽しめるのが3代目の魅力。ライバルの大半がCVTを採用するなか、ダイレクトな変速フィールを楽しめる7速DCTも貴重です。