世界的にも珍しいスモールカー規格で、日本独自のカテゴリーでもある軽自動車。わずか660ccの小型エンジンとは思えないほど、昨今の軽自動車はキビキビと軽快に走ります。そんな軽カテゴリーの中でも、多くの車種に設定されているのがターボエンジン搭載車。ターボのついていないクルマとの違いは、何なのでしょう。今回は軽自動車のターボ車に乗ることのメリット・デメリットについてわかりやすく解説していきます。
【サマリー】ターボ車とはどのようなクルマか
ターボチャージャーとはエンジンをパワーアップさせる装置の一種で、過給器ともいわれます。
通常のエンジンはガソリンを燃やして排気ガスを排出しますが、その排気ガスを再利用してタービンコンプレッサーを回し、空気を圧縮。こうしてできた酸素濃度の高い空気をエンジンの燃焼に使うことで、より大きなパワーを引き出します。
ターボは世界的にみても一番ポピュラーな過給器であり、一般の乗用車はもちろんのこと、トラックやバスなどの大型車、レーシングカーなどさまざまなクルマに使用されています。。
【ターボエンジンとNAエンジンの違い】自主規制上限いっぱいの力を発揮するターボ
ターボで過給されていないエンジンをNA（自然吸気）エンジンといいますが、ターボエンジンとはどんな違いがあるのでしょうか？ またどんな人に軽ターボ車はおすすめなのでしょう。ここでは軽自動車での場合について解説します。
先の「ターボ車とは？」の項目でも触れたように、吸気の酸素を圧縮する装置をターボチャージャーといいます。エンジンの馬力とトルクは向上しますが、軽自動車の場合は馬力の上限が自主規制で64馬力と定められているため、ターボ車の馬力は上限いっぱいの64馬力と表記されていることがほとんどです。逆にNA車は50馬力台の最高出力が多く見られます。
最近の軽自動車は、NA車でも力不足を感じることはほぼないくらいパワフルな走行特性を持っています。ただ、ターボ車に比べ不得意な場面もあります。それは、高速道路の走行と、急な上り坂です。この2つの状況が普段から多いのであれば、ターボ車に乗るメリットは大いに感じられるでしょう。特に上り坂では、クルマの進み方がまったくといっていいほど違います。ターボ車の加速の良さを知ってしまったら、もうNA車には戻れないと考えてもいいかもしれません。
【軽ターボ車のメリット・デメリット】ターボとNAにはそれぞれ得意・不得意がある
NA車よりもキビキビした走りが自慢の軽ターボ車ですが、そのメリットやデメリットを具体的に説明していきます。
軽ターボ車のメリット
軽ターボ車のメリットは、おもに下記の点が挙げられます。
①パワーがある
軽自動車という規格上、660ccというエンジン排気量の上限があります。それに加えて、年々厳しくなる衝突安全性能に対応するため、ボディはどんどん重くなっています。
エンジン性能ももちろん向上していますが、加速性能がもう少し欲しいと思う場面はあるはずです。ターボはそんな場面に役立つエンジンで、急な上り坂や高速道路の合流など加速力が必要な場面では頼もしい存在になるでしょう。
②維持費の安さ
軽自動車の最大のメリットといっても過言ではないでしょう。1,000〜1,500ccのコンパクトカーと比べると、自動車税だけでもコンパクトカーが年間3万500円に対し、軽自動車は1万800円と約1/3です。軽であればターボ車でも同じメリットを受けることができます。
使用するガソリンに関しても、ハイオク仕様はなくすべてレギュラー仕様。タイヤサイズも登録車に比べ小さく、価格が安めのものがそろっています。消耗品を安く済ませることができるのは、大きなメリットになるはずです。
③豊富なアフターパーツ
例えば、ホンダ N-BOXやスズキ スペーシア、ダイハツ タントなど軽自動車の販売ランキング上位の車種は、毎月1万台クラスの販売力を持っています。それは当然、アフターパーツを作る側にとってもメリットになります。
純正ではない社外ナビを取り付ける場合など、専用の内装パネルまで揃っていて、さも純正であるかのように綺麗に収めることができたりします。
自分好みの1台に、購入後からじっくりと仕上げるということも楽しみの一つになるでしょう。
④安全装備も抜かりなし
衝突被害軽減ブレーキや、誤発進抑制機能などの先進安全装備も最近の軽自動車には数多く備わっています。老若男女多くの人が乗るから、なおさら装備を充実させる必要があるのでしょう。
高速道路での移動を助ける、ACC（追従クルーズコントロール）まで付いてくるモデルもあります。軽ターボ車は上級グレードであることも多く、安全装備はフル装備されている場合が多く見られます。
軽ターボ車のデメリット
一方で軽ターボ車にはデメリットもあります。詳しく見ていきましょう。
①車両価格が割高
軽自動車のターボエンジン搭載車は、NAエンジン車に比べれば少々割高です。ホンダのN-BOXで例えると、上級グレードのEXでは約15万円の差があります。
多くの車種に設定されているデザイン違いのグレード、いわゆるカスタム系ともいわれているグレードでは、ターボ車だけがホイールサイズが1インチ大きかったりします。そうすると最初の本体価格だけではなく、のちのち消耗品のタイヤも高くなってしまう可能性があります。このあたりもチェックしておくといいでしょう。
②オイル交換が多い
これは軽自動車に限らずですが、ターボ車はNA車に比べるとオイル交換の頻度は高くなります。これは、高速で回転するターボチャージャーのタービンを、エンジンオイルで冷却しているためです。
高温の排気ガスに常時触れているため、タービンは熱を持ちます。それを冷やすオイルの痛み具合は必然的に早くなってしまいます。
クルマによっては5,000kmごとに交換を推奨している場合もありますので、NA車に比べるとオイル交換費用は増えてしまうでしょう。
③燃費が悪い
燃費が悪いのは、ターボが作動してパワーを発揮するとその分、燃料も多く送り込まれるからです。それならターボを作動させない低回転域で走行すればとも思いますが、最近のターボ車は低回転からブーストがかかりますのでなかなか難しいのが現状です。
ただ、最近の軽ターボ車は燃費性能が向上しているため、NA車との差がそんなに大きくありません。例えばNAとターボは、ホンダ N-BOXの場合21.1km/Lと20.2km/L、ダイハツ タントは21km/Lと20km/LとWLTCモード燃費での差はわずかです。昔ほどターボ車の燃費を悪者にすることはなさそうです。
④ターボの作動が唐突
ターボラグともいいますが、車種によってはターボブーストがかかるまでのタイムラグがあります。ターボは効いてしまえば加速のいい走りが楽しめるのですが、ターボが効かない低回転域は普通のNA車よりも加速が鈍く感じる人もいるかもしれません。
ターボの効き方が唐突なクルマですと、スピード域によっては扱いづらさを感じる場面もあるかもしれません。ただ、最近の軽自動車のターボ車の場合はターボラグの少ないものが大半です。新車で検討する場合にはあまり気にしなくて良いでしょう。
【コンパクトカーとどちらを選ぶ？】衝突安全性能と高速走行時に納得できれば軽ターボは買い！
軽自動車と1,500ccくらいまでのコンパクトカーは、車両価格も近いために迷う人も多いでしょう。軽ターボ車ですと加速もいいので、コンパクトカーなどの登録車とそんなに変わらない速度域で余裕を持って走れます。
では、登録車に比べ軽ターボ車が劣っている点はどこなのでしょうか？
それは、衝突安全性能と高速走行時の安定感です。この2つはボディの大きさに制約がある軽自動車は、圧倒的に不利です。
まず衝突安全に関してですが、現代では技術の進歩と安全基準のスタンダード化により、軽自動車の衝突安全性能は飛躍的に進化しています。公の検査期間（NASVAなど）が証明していますので、衝撃吸収の性能は問題ありません。
ただ、吸収力が上がった分クルマ自体へのダメージが大きくなることも考慮しなくてはなりません。キャビン（人間）が守られている代わりに壊れている部分があるということです。軽自動車は登録車に比べると、ボディ構造に余裕がない分ダメージは大きくなります。
事故の状況にもよりますが、いざというとき、修理費が高くついたり廃車となる率が高いのは、登録車よりも軽自動車の方かもしれません。
そして、高速走行時の安定性も登録車が有利な点です。これは、高速道路などで長距離乗ればすぐにわかることですが、軽自動車の方が運転していて疲れます。運転時の直進安定性や横風の弱さなど、ドライバーが知らず知らずのうちに気を付けている部分が、軽自動車の方が多いということです。
今ではACCを備えている軽自動車も増えてきました。このような運転補助機能を使って、疲労を軽減するのも一つの方法です。
このような点でどうしても妥協ができないようでしたら、軽自動車ではなく登録車を選んだ方が快適なカーライフが送れるでしょう。逆に、この2点は重要視しないのであれば軽自動車は魅力的に見えるはずです。
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【まとめ】軽ターボ車は走りや加速力にこだわる人に魅力的な選択肢
軽ターボ車は、特に走りや加速力にこだわる人には魅力的な選択肢です。一般的なNA車に比べ性能的に余裕がありますので、ストレスを感じることも少なく快適なドライブを楽しめるでしょう。「カープレミア」を活用し、あなたのライフスタイルにピッタリのターボ車を見つけてみてはいかがでしょうか。
