ついに、新型日産 サクラの公道試乗会が開催されました!果たして公道での走り、乗り心地はどうなんでしょうか?本記事では、新型サクラの購入検討者へ、所有する上での注意点、おすすめグレードもお伝えします。
試乗コースは横浜市内
新型サクラの公道試乗会は、日産グローバル本社を出発地点とする横浜市内を走るコースでした。みなとみらい地区から、港の見える丘公園へ続く急坂を含む住宅街を抜け、首都高速を走りました。
もはや軽自動車ではない
乗ってすぐに驚いたのは、加速の良さ。EVはICE(ガソリン、ディーゼルなどの内燃機関)よりも加速性能に優れるという既知の特徴ではありますが、軽自動車という規格の中では、特に加速の良さに驚きます。
軽自動車のエンジンは、自主規制で最高出力が64psとなっていますが、最大トルクには規制がありません。サクラのモーター最高出力は、47kW(約64ps)と自主規制内に収まっていますが、最大トルクは軽自動車で群を抜く195N・m!軽ターボ車の最大トルクが約100N・mですので、約倍のトルクを発生しています。
約200N・mという数値は、自然吸気2.0Lガソリンエンジンの標準的な最大トルクに匹敵します。そのトルクが軽自動車にも与えられたのです。その走りは、余裕そのもの。ドライブモードを「SPORT」で、低速時にアクセルを床まで踏みつけると、タイヤが一瞬空転するほどです!(すぐに制御が入るため空転は一瞬)。サクラに大男4人乗って、箱根ターンパイクを上るのも問題ないのでは?と思ったほどです。
また、静粛性の高さ、乗り心地の良さも、登録車(いわゆる普通車)のレベルに余裕で達しています。サクラは、重たいモーターやインバーターを吊り下げ式にするという、たぐいまれなレイアウトで設計された低重心かつ低振動(モーターはそもそも低振動ですが)、さらに最適な重量バランスで、乗り味は軽自動車には思えません。
サクラと基本設計が同じ日産 デイズ、ルークスも軽自動車の枠を超えた上質な走りと乗り心地を実現していました。日産の軽自動車は、三菱自動車との合弁会社「NMKV」で開発されますが(サクラの姉妹車は、三菱 eKクロス EV)、サクラ・デイズ・ルークスの開発の主導は日産です。NMKVができるまで、日産は軽自動車を設計したことがなかったため、登録車の基準で軽自動車を作ったという背景があります。
室内空間の広さ、使い勝手の良さは、デイズ、ルークスですでに定評を得ています。サクラには独自のインパネを与えるなど、さらに利便性、快適性を向上させています。
サクラ購入検討者へ。2つの注意点
サクラに試乗した筆者は、軽自動車もついにここまできたかと、軽EVに死角なし、と評価した次第ですが、サクラとカーライフを楽しく送っていくため、EVであるがゆえの注意点があります。
1.自宅で充電できること
2.1回の走行が100kmを超えないカーライフスタイルであること(もしくは、ほかにICE車を保有しているなど)
この2点が注意点です。
サクラのバッテリー容量は20kWh
20kWh、WLTC航続距離(一充電走行距離)180kmというサクラのスペックは、企画設計段階で行われた調査において、日本の一般ユーザーの1日の走行距離が30km未満という人が全体の約半分であったということと、コスト(バッテリーは非常に高価)から考えられたとのことです。
カタログスペックでの航続距離が180kmですので、実電費を考えると、満充電で出発後の実際の航続距離は、100kmが目安となるでしょう。EVはその特性上、天候や気温、道路状況により大きく電費・航続距離が変化しますので、もっと航続距離が伸びるケース、あるいはその逆もあることにご留意ください。
また、サクラは自宅充電を基本として設計されています。CHAdeMO方式の急速充電口を備えていますが、バッテリー保護のため、充電残量80%以上は極端に充電が遅くなります。このため、サクラで遠出していったんバッテリーがなくなってしまうと、その後はちょっと走ってはすぐに充電を繰り返す(筆者の机上計算では、50〜70km走行毎に充電が必要になるかと推測)ことになるでしょう。
公共急速充電器は、1回の充電が30分という上限があることと、先に充電中のクルマがあったら1時間以上の待ち時間ができてしまう可能性もあることも頭に入れておきましょう。
自宅充電ができて、1日あたりの走行距離が100km未満であれば、問題なく軽EV・サクラライフを、楽しくエコでお財布にも優しく送ることができるでしょう。
購入時の補助金は要注意
EV購入者などに政府、自治体が大きな金額の補助金を出しています。EVの購入のほか、再エネ発電や蓄電池の導入にも大きな金額の補助金を出しています。
有効に活用すればかなりのコストパフォーマンスを発揮するのですが、補助金適用条件には注意が必要です。特に自治体が出す補助金は、自治体ごとのルールがありますし、予算がつきたら補助金が払えない(注文書を出したからといって、すべてに補助金が出るわけではない)ことにもご注意ください。
【総合評価】充電・航続距離問題をクリアすれば万人にオススメだ!
筆者が試乗したクルマを、10項目×5段階で評価、★1個を2点として100点満点の総合評価として採点します。各項目、評価の理由をお伝えしますが、あくまで筆者のインプレッションによるものですので、ご参考としてご覧ください。
No. | 項目 | 評価ポイント |
---|---|---|
1 | 内外装デザイン | デザインの良さ、ボディカラーやインテリアカラーのバリエーションなどを評価 |
2 | エンジン・トランスミッション | パワートレインの良し悪しを評価 |
3 | 足回り | 乗り心地の良さ、操縦安定性などを評価 |
4 | 燃費・電費 | 燃費、電費を評価 |
5 | 居住性 | 室内空間の広さ、静粛性などの快適性を評価 |
6 | 装備・使い勝手 | 装備の充実度、使い勝手の良さを評価 |
7 | 安全装備・運転支援 | 予防安全技術、運転支援システムなどの先進技術装備を評価 |
8 | 価格 | コストパフォーマンスの良さ、お買い得感を評価 |
9 | 乗りやすさ | 小回りが効くなどの取り回し性の良さ、普段使いでの運転のしやすさなどを評価。 |
10 | クルマの愉しさ | スペックを考慮しないで、純粋にクルマを所有するよろこびや、ドライビング・プレジャー(走る愉しさ)を筆者の独断と偏見で評価 |
【総合評価】高得点の96点!
日産が軽EVを現実的なものとした功績は大きいでしょう。特に、今後さらに増加が懸念されるガソリンスタンド空白地帯にお住まいの方の問題解決にも貢献するはず。クルマとしての完成度も高く、前述した購入後の注意点にさえ留意すれば、選んで間違いのない1台となるでしょう。
1 | 内外装デザイン | ★★★★★ | デイズと共通のプラットフォーム、ボディながら、サクラだけの内外装デザインを奢る。高級SUVアリア顔、リアの横一文字のLEDリアコンビネーションランプ、「モノリス」と名付けられたセンターディスプレイなどセンスの良さが光り、高級感もある。満点。 |
---|---|---|---|
2 | パワートレイン | ★★★★★ | 軽ターボの倍のトルクは圧巻。モーター、インバーターからの音もちょうどいい感じ。軽自動車とは思えない上質な走りはEVならでは。 |
3 | 足回り | ★★★★★ | 短い試乗時間だったため、多様な道路状況、路面状況は未確認。試乗した限りでは文句なし。軽自動車としてはトップクラスの出来。試乗車はオプションの15インチタイヤを履いていたが、乗り心地を重視するなら標準の14インチがおすすめ。 |
4 | 燃費・電費 | ★★★★★ | 実電費の計測はできていないが、厳しい条件で走る(だいたいアクセル全開にされるなど)試乗車の電費は、5km/kWh台を示していたので、良好な実燃費といえそう。コストが安い自宅充電で乗れば、ガソリン車より安く走れるので満点とした。 |
5 | 居住性 | ★★★★★ | もはや軽トールワゴンの居住性の高さはいうまでもない。かさばるバッテリーを工夫して搭載。室内空間を犠牲にしていない。静粛性も高い |
6 | 装備・使い勝手 | ★★★★★ | 使い勝手の良さはデイズでも定評を得ている。装備も充実。エントリーグレードでも問題なし。 |
7 | 安全装備・運転支援 | ★★★★★ | ひととおりの先進予防安全技術は全グレード標準装備。上級グレード「G」はプロパイロットが標準装備、エントリーグレード「X」ではメーカーオプションが設定される、 |
8 | 価格 | ★★★★ | 軽EVは300万円を超すのではないかという予測が多かったが、200万円台で出してきたことに拍手を贈りたい。要望として、オートエアコンをはじめとして快適・便利装備を極力簡略化した低価格グレードを設定してほしい。 |
9 | 乗りやすさ | ★★★★★ | そもそも軽トールワゴンで乗りにくい車種はないが、トルクが太いEVは軽自動車としての乗りやすさを格段に向上させている。 |
10 | クルマの愉しさ | ★★★★ | 軽EVのあるカーライフを現実的なものとした日産はさすが。軽EVライフに今後の期待を込めて星4つとした。 |
おすすめグレード
サクラは、ベーシックグレード「X」と上級グレード「G」の2グレード構成。おもな装備差は、プロパイロットと日産コネクトナビ。これらは、Xではオプションで付けられます。
高速道路に乗らないよ、近所ばかりを走るよという方は「X」で十分。オートエアコンをはじめとした快適装備は全グレード標準、LEDヘッドライトは全グレード標準装備、フロントグリル(EVなので「シールド」と日産は呼んでいる)はGに、上質感のあるクリアブラックを採用。そのほかのエクステリア上の目立った差別化はありません。
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(撮影・文:宇野 智)
※この記事は2022年8月現在の情報に基づいています。