脆弱な充電インフラと電力不足というEV普及への高い壁【カープレミア編集長のEV談義Vol.6】

クルマを選ぶ テーマ別特集

前回は現在のEV充電の実情についてお話ししました。今回はその続きとなる、充電インフラと電力不足問題についてお話しします。

前回のEV談議は

実は減っている公共EV充電器。なぜ?

2021年7月、地図制作会社ゼンリンが実施した調査で、2020年度末時点の公共EV充電器の数が、前年度比3.6%減の29,233基となったと発表されました。公共EV充電器の設置数の記録のある2012年度以降で初めての減少となりました。

本記事執筆時点の全国の公共EV充電器は、18,100基(EVsmart調べ)・21,633基(GoGoEV調べ)となっており、調査方法の違いと思われる数の差を考慮しても、さらに減少していることがわかります。

なぜ減少しているのか?

EV充電器数の減少すなわち運用停止・撤去されたものは、そのほとんどが老朽化か、機器更新の費用が出せないことが原因となっています。

その背景には、2010年代前半に国がEV充電インフラ拡充のため、補助金を出していたことがあります。EV充電器の耐用年数は8年前後ですので、寿命を迎えた充電器が更新されずに運用停止となったままの状況です。

EV急速充電器の高額な設置費用

EV充電器は、急速充電器と普通充電器の2種類がありますが、公共の充電設備においては急速充電器の需要のほうが圧倒的に高くなります。長時間滞在できる商業施設や娯楽施設、ホテルなどでは普通充電器の需要はありますが、全体の必要数からすると少なくなります。また、寿命を迎えて運用停止となったEV充電器のほとんどが急速充電器です。

EV急速充電器の設置費用は、300〜500万円、設置条件によっては1,000万円を超えるケースがあります。年間の電気使用量・保守などを含む維持費は、70〜150万円が相場のようです。

EV急速充電器設置の初期費用、ランニングコストを、EV充電使用料金で回収するのは非常に難しいものです。

EV急速充電器の1分あたりの使用料金は、サービス事業者や料金プランによって大きく変わりますが、17円前後が多くなっています。この使用料金が全額、急速充電器設置場所へ支払われるものではありません。

現時点でEV急速充電器を設置、運営して黒字になるケースは、あまり多くないだろうと容易に推測できます。

2022年度は充電インフラ設備費用への補助金制度あり

2022年度のEV急速充電器の設置補助金は、商業施設・宿泊施設が出力50kW以上で上限540万円(一社次世代自動車振興センターの資料による)となっています。

この補助金制度は、老朽化して運用停止になった急速充電器の穴埋めに大きく貢献してくれることでしょう。しかし、その補助金の財源は税金ですので……(財源がどの税金なのかはまた別の機会に調べてみようと思います)。

電力不足問題とEV普及で増加する電力

「電力ひっ迫警報」の発令はすっかり耳慣れてしまいました。ただでさえ日本の電力事情は脆弱。さらに大きな電力を必要とするEVの普及率が高くなれば、このままでは電力不足はさらに深刻なものとなります。

EVはどれくらい電気を食うのか?

現在、最も売れているEV、日産 リーフのバッテリー容量は40kWhと62kWhです。現在、続々と新型EVがデビューしていますが、その多くが60kWh以上のバッテリーを搭載しています。

日本の一般家庭が1日で使用する電力量は、1世帯あたり約11.7kWh(環境省が発表した令和2年度の1世帯あたりの年間エネルギー消費量4,258kWhからの計算)となり、ざっとリーフ1台を満充電するのに、1世帯約4日分の電力が必要になります。

EVが1kmの距離を走行したときに消費する電力量は、条件により大きく変わりますが、筆者があらゆるEVで総計13,000km以上走行した経験から、平均値は0.15kWhほど(電費の平均が6〜7km/kWhほど)となります。1世帯が1日で使う平均電力量を走行距離に置き換えると、80km弱となります。

EVが走るには、かなりのエネルギーが必要になることがわかりますね。

「V2H」が切り札に

「V2H」とは、ビークル・トゥ・ホームの頭文字で、クルマから家に電力を供給することをいいます。

前項で、リーフ1台を満充電すると1世帯4日分の電力を必要とすることを説明しました。これを逆に考えると、リーフ1台で1世帯4日分の電気を蓄えていることになります。

電力ひっ迫警報が出されたら、リーフのバッテリーから家に電力を供給すればいいのです。

日本のクルマの約半分が、1日あたりの走行距離が30km未満とされていることを考えると、これは現実的な切り札になります。また、V2Hの導入時には補助金が出されていますので、国を挙げての電力不足問題の切り札の1つにEVがあるといえます(ただし、すべてのV2Hに対応していません。特に輸入車。特にテスラ)。

太陽光・風力発電も課題が多い

2021年7月3日に発生した、熱海市伊豆山土石流災害は災害関連死1名を含む27名が亡くなり、2022年6月時点で1名が行方不明のまま、避難者数は最大で約580人、136棟の建物が被害を受けました。この土石流が発生した原因は違法な盛り土とされていますが、当初は隣接するメガソーラー(大規模太陽光発電設備)も原因の一つではないかと疑われていました。静岡県林野庁は、その因果関係を否定していますが、多くの人がメガソーラーと自然環境破壊の関係性に注目し、懸念を深めたことは間違いありません。

面積あたりの発電量では、太陽光より効率が高いとされるのが風力発電です。ただ、太陽光より設置コストが高くつく(風力発電1基あたり数億円)、設置・運用開始までの年数がかかる(設置場所を決める前に、風強調査という風の強さなどの測定を1年行わないといけない)などのデメリットもあります。

再エネの普及は加速してほしいところですが、自然環境負荷を考えつつ、EV普及の速度と全国が必要とする電力量に追いつくよう関係各所はバランスを見ていただきたいですね。

次回は、各自動車メーカーのEVシフトへの動きについて

ここまで、なぜEVシフトという流れができたのかについてから電力不足まで、EVを取り巻く情勢について、筆者の独断と偏見でひとしきり語らせていただきました。次は、現在、各自動車メーカーがEVシフトへどのような動きをしているのか、筆者の考察を含めながら現状をお伝えします。

「カープレミア」で愛車を探そう!

「カープレミア」は提携している全国の中古車販売店から自分に合ったクルマを見つけることができるサイトです。車種やメーカーだけでなく、月々の予算からも探すことができます。

「カープレミアディーラー」は厳選された優良販売店

カープレミアに掲載の中古車販売店は、東証プライム上場のプレミアグループが提携している全国の厳選された優良な販売店です。

オートローンやカーリースのファイナンスサービスの提供を始め、買った後も安心できるアフター保証も取り揃えています。支払いや維持費が心配でも、柔軟に対応してくれるので安心して車を購入できます

「カープレミアクレジット」なら自分に合った支払いプランが選べる

「カープレミア」のオートクレジットは、新車・中古車問わず、分割払い、ボーナス併用払いや一部繰上返済などの豊富な支払いプランを用意しています。さらに故障保証に加入すれば無料で修理対応が可能です。

「カープレミア故障保証」など充実したアフターサービスで安心のカーライフを

「カープレミア」は購入後のカーライフを支えるサービスも多数提供しています。例えば「カープレミア故障保証」では最長3年、最大437ヵ所以上の自然故障を修理費0円で対応可能です。わかりやすいシンプルな4プランから、自分にあった最適なプランを選べるので、余分な保証費用がかからず、必要最低限の支出で万が一に備えることができます。

また、365日24時間対応のロードサービスも利用可能で、全国9,500ヵ所の拠点からすぐに駆けつけることができます。そのほか、困ったときの相談役になるコンシェルジュサービスを整えており、安心のカーライフをお過ごしいただけます。

カープレミアなら月々の支払額でクルマを探せる

※この記事は2022年8月現在の情報に基づいて執筆しています。

関連記事

カテゴリ週間ランキング

中古車検索は月額比較のカープレミアがおすすめ!