いろいろなものが値上がりしている今日この頃。2023年のタイヤはどうなるのでしょうか?2022年のタイヤ業界とそれをとりまく社会情勢を振り返りながら、2023年のタイヤ価格がどうなるのか、予想をお伝えします。
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2022年、タイヤの値上げが相次ぐ
2022年の年明け早々、タイヤメーカー各社が値上げの発表を行いました。
皮切りは、ヨコハマタイヤ。正月気分が抜ける間もない12日の発表でした。同年4月からサマータイヤを、9月から冬用タイヤを最大9%値上げする、というものでした。
その2日後、ブリヂストンが値上げを発表。乗用車用タイヤは最大7%、そのほかは10%の値上げを同年4月1日から実施。
その5日後の1月21日に、こんどはミシュランが同年4月1日からタイヤの価格を7〜10%値上げすることを発表しました。
さらに振り返れば、2021年12月20日にダンロップとファルケンの2ブランドを販売する住友ゴムが、サマータイヤを2022年3月から、冬用タイヤを同年4月1日からそれぞれ約10%値上げするというものでした。
ほかにも続々とほぼ同じような内容で値上げが発表されました。
秋にも値上げ
一連のタイヤの値上げは春で終わりませんでした。
2022年6月24日、ブリヂストンは夏・冬タイヤともに3〜8%の値上げを同年9月1日から実施すると発表。
7月15日には、住友ゴム(ダンロップ・ファルケン)が同じく9月1日から2〜8%の値上げを発表。
7月22日には、ミシュランが10月1日から3〜8%の値上げを発表しました。
秋以降にも続々とプレスリリースを打たれます。
ピレリは10月1日に、サマータイヤを翌年4月1日から、冬用タイヤを7月1日から平均6%の値上げを発表。同日、ハンコックが国内倉庫出荷分については翌年5月1日から、それ以外は4月1日から平均5%の再値上げを発表しました。コンチネンタルは11月1日に2度目の値上げを発表しています。
2023年のお正月真っ最中にミシュランが、4〜7%の再値上げを発表しました。
もう、これ以上聞きたくないですね。
2022年を振り返ると、トーヨータイヤを除き年に2度の値上げを発表(トーヨータイヤは1回)していました。
2021年に比べると、タイヤの価格は2〜3割上昇
仮にタイヤ1本が1万円だったとすると、たった1年で1万2〜3千円に値上がりし、4本交換したときの値上げ幅合計はざっと1万円になってしまいます。
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どうしてタイヤは値上がりしたのか?
タイヤ価格高騰の理由は、複合的なものでした。
原油・ナフサ価格高騰
2022年は原油価格が高騰し、タイヤの原材料ナフサも高騰しました。ナフサとは、原油を蒸留分類して得られるもので、粗製ガソリンとも呼ばれており、石油化学製品の原料として用いられています。ちなみに、自動車の燃料のガソリンは、ナフサを精製して得られるものです。
ここでタイヤを生産するときに使われる原料をおさらいしておきましょう。
タイヤの原料
タイヤの原料の約5割はゴムで、そのうち3割が自然由来の天然ゴム、2割が合成ゴムとなっています。次に多いのが、補強材の約2.5割、その次が1割〜1.5割が繊維と鉄(タイヤコードに使用される)、残りの約1割がビードワイヤーや配合剤となっています。
合成ゴムは、ナフサが原料。原油価格の影響を強く受けます。
生産コストの高騰
原材料の高騰のほか、生産に必要な水道光熱費、人件費、物流費のすべてが高騰しました。
新型コロナの影響
原材料の高騰のほか、生産に必要な水道光熱費、人件費、物流費のすべてが高騰しました。
上海ロックダウンの影響
新型コロナ感染拡大は、上海をロックダウンさせました。2022年3月から6月に実施された上海ロックダウンは、世界最大級の貿易港である上海港もロックダウン。海上輸送が大混乱に陥り、船便の確保の困難、海上輸送費の高騰に直結しました。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響
2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻は収まる様子を見せません。タイヤ販売世界シェア2位のブリヂストンは、ロシアに工場をもっていましたが撤退を余儀なくされました。あらゆる資源をもっているロシアに経済制裁を加えたことが、さまざまな資源の高騰に結びつきました。
円安の影響
米国はインフレ抑制のための急速な利上げ、反対にデフレが続く日本はゼロ金利を継続、2022年10月には32年ぶりの1ドル150円の円安を突破しました。高くなった資源は円安によってさらに高くなりました。
自動車の減産
半導体不足により自動車の生産台数が減ると、タイヤメーカーの供給数が連動して減ります。自動車メーカーは増産を発表するも、フタを開けたら減産ということもあり、タイヤメーカーも振り回されてしまいました。
振り返ると、ダブルパンチ、トリプルパンチではまったく足りないフルコンボでした。
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2023年のタイヤ価格はどうなるか?
原油、円安、あらゆるコスト、価格が高止まりしている2023年第1クォーターですが、この先どうなるか、非常に予想しづらい事態となっています。楽観視すればタイヤ価格は高止まり、と予想しますが、世界情勢が不安定なため、さらなる値上げを覚悟しておく必要があるでしょう。
本記事執筆の1週間前には、米国の銀行が相次いで破綻、その破綻規模は米国史上2番目と3番目に大きいものだったとのこと。金融機関への連鎖的な影響がないことを祈るばかりです。
2023年のタイヤ価格予想でひとついえることは、「タイヤ価格は安くならない」ということ。残念なお知らせです。価格というものは、一時的なセールを除き、一度高くなったら安くならないのが世の常です。
賃上げの報道も相次いでいますが、全国民の給与水準が引き上げられるかどうかはかなり微妙ですね。ベースアップするのは大手企業に限られそうな気がしています。そもそも、日本の給与水準がずっと上がらず、欧米諸国との格差が広がっていることも問題です。
タイヤの価格が上がっても、給料がそれ以上に上がっていれば、次のタイヤ交換はもっといいタイヤに…という好循環が生まれるはずなのですが。
筆者の原稿料も、いっこうに上がる気配がしません。
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※この記事は、2023年3月時点での情報を元に執筆しています。