「トヨタ 86(2012~2021年)」“走る楽しさ”を追求し、トヨタとスバルが共同開発したFRスポーツ【人気モデル購入徹底ガイド】

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手頃なFRスポーツカーとして開発された初代86。スバルとの共同開発車で、スバルではBRZとして販売されました。トヨタ車としては珍しく、度々一部改良が行われたほか、GRMNなど走行性能を高めたモデルも発売されました。そんな初代86を解説します。

【サマリー】走る楽しさに加え、イジる楽しさも広めるために開発された

80系スープラ以来途絶えていたトヨタ久々のFRスポーツカー。スバルとの共同開発という道を選び、スバルでは「BRZ」として販売されました。

トヨタの直噴技術を加えた2L自然吸気水平対向4気筒エンジンをフロントミッドに搭載。両社としては世の中のクルマ好きのすそ野を広げる狙いがあり、特にトヨタは乗るだけでなくイジる楽しさも味わってもらおうという狙いがありました。そのため専門ショップ「AREA 86」も同時にオープンさせています。

2021年11月にフルモデルチェンジしましたが、その際「GR86」と名称を変更しました。

【外観スタイル】FRスポーツカーらしいカッコ良さと、力強い走りが表現された

ロングノーズ・ショートデッキというFRスポーツカーの黄金律が採用されました。水平対向エンジンの採用によってフロントフードの高さも抑えられ、安定感のあるワイドなリアのシルエットで力強い走りが表現されています。全長4,240mm×全幅1,775mm×全高1,300mm。

【インテリア】2+2シーターが採用され、着座位置は低く設定された

狭いながらも後席が用意され、2+2シーターとなります。スポーツカーらしくタコメーターがセンターに配置されたスピードメーターやトヨタ最小径のステアリング、ハンドブレーキが採用されました。またシートは、ヒップポイントが地上から40mmという低く、サイドのサポート性が高いスポーツシートが備わります。

【走り・燃費】スバルの水平対向エンジンにトヨタの直噴技術が加えられた

スバルのFB型水平対向エンジンをベースに、トヨタの直噴技術D-4Sが採用されるなどして開発された2L自然吸気ボクサーエンジンは、最高出力200ps/最大トルク205Nmを発揮。これにショートストロークの6速MTまたはパドルシフト付き6速ATが組み合わされます。デビュー時のJC08モード燃費は12.4〜13.4km/L

【安全装備】VSCやエアバッグのみで、衝突被害軽減ブレーキはない

衝突被害軽減ブレーキはありません。車両姿勢を制御してくれるVSCや運転席&助手席エアバッグ・サイドエアバッグ・カーテンエアバッグが全車に標準装備されます。ちなみに後継モデルとなるGR86にはスバルの安全技術「アイサイト」が用意されています。

【グレード構成】カスタム前提から充実装備まで4グレード展開

グレード「RC」

デビュー時のグレード構成は4グレード。スチールホイールや無塗装のブラックバンパー、ヒーターのみなど購入後にイジりがいのある「RC」、RCにマニュアルエアコンやカラードバンパー、16インチアルミホイール等が備わる「G」、GにトルセンLSDやディスチャージヘッドライト、本革巻きステアリング、アルミペダル、17インチアルミホイールなどが備わる「GT」、GTにリアスポイラー、本革×アルカンターラシートが備わる「GTリミテッド」となります。デビュー時の車両本体価格は199〜305万円。

そのほかに2015年12月に100台限定で販売された「GRMN(648万円)」や、2017年1月に追加された「GR(496.8万円)」、2018年7月に追加された「GRスポーツ(378〜384.696万円)などがあります。

【マイナーチェンジ&改良一覧】ニュルの知見を活かした限定車の追加やマイナーチェンジが行われた

トヨタとしては2002年に生産を終了したスープラ以来、10年ぶりとなるFRスポーツカー「86(ハチロク)」。名車「ハチロク」(AE86型カローラレビン/スプリンタートレノ)の名を与えられたように、スープラよりはコンパクトで、手頃な価格のスポーツカーとして誕生しました。

ただしトヨタ単独での開発ではなく、スバルとの共同開発というカタチが取られました。そのためエンジンは水平対向4気筒エンジンが採用されています。

エンジンスペックは最高出力が147kw(200ps)/7,000rpm、最大トルクが205Nm(20.9kg-m)/6,400〜6,600rpmです。

足回りの味付けに両社で違いがあります。またトヨタは「イジる楽しさ」もユーザーに提供しようという狙いがあり、黒バンパーなど装備をできる限り省略したグレード「RC」を用意したり、スポーツカルチャーを根付かせるための専用ショップ「AREA 86」を同時に展開するなどしました。

走りの性能を向上させるための一部改良が頻繁に行われたのも初代86の特徴です。

まず2014年4月にはショックアブソーバーのフリクション特性の見直しなど、サスペンションの再チューニングが施されました。またルーフアンテナはシャークタイプが標準となりました。

2015年2月にはパワーステアリングの特性変更とボディ剛性の強化で、自然なステアリングフィールと乗り心地向上が図られました。同時に最廉価グレードの「RC」が廃止されています。

また86はデビュー直前の2011年10月からニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦していましたが、ここで得た知見を活かしたスペシャルモデル「86 GRMN」が2015年12月に100台限定で販売されました。エンジンや吸排気系、トランスミッションに手が加えられ、樹脂製のリアウィンドウの採用など軽量化・低重心化が徹底的に図られた、おもにサーキット走行を楽しむためのモデルです。

86 GRMN

2016年7月:ニュル24時間耐久レースの知見がフィードバックされたマイナーチェンジ

ニュルブルクリンク24時間耐久レースへの参戦を活かした知見は、86 GRMNというスペシャルモデルだけでなく、2016年7月のマイナーチェンジでも活かされました。具体的にはエンジン吸排気系の改良などによって低回転域でリニアにトルクが立ち上がるようにし、ショックアブソーバーの見直しなどによって操縦安定性が高められています。

これにより最高出力は、6速MT車が5kW(5ps)アップの152kW(207ps)/7,000rpm、最大トルクが7Nm(7kg-m)アップの205Nm(20.9kg-m)/6,400〜6,800rpmになりました。なお6速AT車の数値はそのままですが、同社の狙いどおり低回転域のトルクの立ち上がりがリニアになっています。

エクステリアは空力特性を高めた新しいデザインに切り替えられました。またLEDヘッドランプ&リアランプが全車に標準装備されています。

インテリアではステアリングの径が365mmから362mmへとさらに小さくなり、光の反射を抑える素材の採用など細かな変更が行われています。

2016年11月にブレンボ製ブレーキ+ザックス製アブソーバー等を備える新グレード、GTリミテッドハイパフォーマンスパッケージが設定されました。

2017年9月にはステアリング支持剛性の強化などでハンドリングのダイレクト感の向上が図られました。同時にブレンボ社製ブレーキがG、GT、GTリミテッドにオプション設定されました。

一方で86のモデル後期となる2017年9月に同社はスポーツカーシリーズ「GR」を幅広い車種に設定することを発表。GRMNを頂点にGR、GRスポーツ、GRパーツ(カスタムパーツ)というヒエラルキーも設定されました。

これに併せてまず2017年11月には86にも「GR」が追加されました。2015年に100台限定で販売された「86 GRMN」にも採用されたトルセンLSDや高性能ブレーキなどが装備されたほか、ザックス社製アブソーバーやレカロシートが採用されています。一方で、86 GRMNほどの軽量化等は行われていません。

86 GR

さらに2018年7月にGRスポーツも投入されました。ブレンボ社製ブレーキや専用フロントスポイラー、専用ステアリングなど、ライトチューニングが施されています。またGRMNやGRが6速MTのみだったのに対し、GRスポーツは6速ATも選べます。

2021年4月に新型へのフルモデルチェンジが行われ、初代の生産は終了しました。

【86のおすすめモデル#1】GT

とにかく86の走りを楽しみたい、というのであれば、充実の装備で普段使いにも困らない上級グレードのGTがおすすめです。最上級グレードのGTリミテッドと比べて、ないのはスポーツブレーキパッドやリアスポイラー、パドルシフト(AT車)、走行制御モード(スポーツ/スノー)、本革×アルカンターラシートくらい。他の動力性能や左右独立式フルオートエアコン、6スピーカー(2016年11月以降は8スピーカー。ナビやオーディオはオプション)といった快適装備はGTリミテッドとほぼ同じです。

そのため購入後にあれこれ手を加える必要もあまりありませんが、もちろんアフターパーツが豊富な86ですから、乗っているあいだに「変えたいな」という部分に少しずつ手を加えていくという楽しみもあります。走りの性能が年々向上している86ですから、予算が許すのであれば後期型がおすすめです。

【86のおすすめモデル#2】GR

せっかくスポーツカーを買うのだから、サーキットを走っても楽しいくらいの性能は欲しい、けれど通勤など普段も乗りたい、という人におすすめしたいのが2017年11月に追加設定された新グレード「GR」。トヨタが掲げるスポーツブランド「GR」の中でGRMNに次ぐ本格派スポーツモデルです。

究極モデルのGRMNと比べて、フルオートエアコンや8スピーカーを標準装備するなど日常使いもできるモデルですが、ボディ剛性が高められ、GRMNと同じトルセンLSDやブレーキを装着し、専用チューニングされたザックス社製アブソーバーや専用メーターやレカロシートなどが採用されています。

兄弟車であるBRZにもSTIスポーツというスポーツグレードがありますが、BRZ STIスポーツはどちらかというと一般道での気持ち良さを追求したのに対し、86 GRはサーキット走行を視野に入れたモデル。両社の意思の違いも表れていて、「BRZではなく86」を狙う理由も明確になることもポイントだと思います。

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【まとめ】FRの楽しさ、自分色にする楽しさのある一台

FRというとドリフトを思い浮かべる人も多いでしょうが、駆動輪と操舵輪が分けられていることで得られる自然なステアリングフィールだけでもFRの楽しさは感じられるはず。そこから愛車を操る楽しさを感じ、さらに自分にあう走行フィールを得るために、あれこれイジる……という楽しみもある、貴重な一台です。

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