エンジンオイル交換の目安は？

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2022.07.09
2023.10.11

坪内英樹

クルマにはエンジンオイルが使われていることを聞いたことがある人は多いはず。ではエンジンオイルがどんな仕事をしているかはご存じですか？そしてエンジンオイルが正しく機能するためには、定期的に新しいものへと交換しなければなりません。その交換時期の目安は？詳しく解説します。

オイル交換は愛車メンテナンスの基本

エンジンオイルは、エンジンを長持ちさせる役割を担っています。その仕事はエンジン内を動く部品の間に入りこみ摩擦を減らしたり、部品がさびないようにしたり、汚れを洗い流してくれたり、部品を冷却してくれたりなど多岐にわたります。そんなエンジンオイルは、エンジンを使うことで汚れ、そして劣化していきます。汚れや劣化によりオイルの性能は低下してしまうので、オイルを定期的に交換する必要があるのです。

オイルを交換しないと、どんなことになってしまうのでしょうか？いろいろなデメリットが考えられます。

まずは部品同士の摩擦を減らす性能が落ちるので、摩擦面の摩耗が増えてしまいます。また動きも悪くなるのでパワーダウンし、燃費も悪化してしまいます。汚れを洗い流す洗浄力も低下していきます。低下するだけであればまだいいのですが、汚れたオイルはエンジン内を汚す原因物質でもあるため、オイル交換をしないでいるとますますエンジン内部が汚れるという悪循環を招きます。

オイル交換はどんなタイミングですべき？

エンジンオイルは、クルマをトラブル無く長持ちさせる上で非常に重要な役割を果たしているので、自動車メーカーも交換すべき時期をしっかりと指定しています。

メーカーやエンジンの種類により、推奨交換時期に幅はありますが、一般的な自然吸気のガソリンエンジンであれば、1万～1万5000km走ったら、もしくは1年経ったら交換というものが多いようです。軽自動車の自然吸気ガソリンエンジンは1万kmか1年、ターボエンジンは5000kmか半年という推奨が多いです。これは軽自動車が普通車のエンジンに比べ高回転を使うという特性があったり、高温の排気ガスのエネルギーを利用してタービンを回し高出力を得るターボエンジンであるが故にオイルの劣化が早いことから交換時期を早める必要があるのです。

ディーゼルエンジンは2500～2万km、3ヵ月～1年と、メーカーによりオイル交換の推奨時期の幅が広くなっています。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べ、燃焼時にススを多く発生するので、オイルは汚れやすいのですが、使用されるエンジン回転数がガソリンエンジンに比べ低いことから、その点ではオイルへの負荷が低くなります。そんな違いがメーカーによるオイル交換推奨時期の幅を広げていると思われます。

ちなみにエンジンにとって負荷の多い使い方をシビアコンディションといいます。

負荷の多い使い方の具体例を挙げておくと、高速移動が多かったり、上り坂を走行することが多い（山間地にお住まいの方などはこれに該当します）、未舗装路走行が多い（ホコリを多く含む空気をエンジンが吸い込む）といったシチュエーションになります。また、渋滞の多い都市部で短い時間の使用を繰り返すこともシビアコンディションに該当することもあります。この点は特にクリーンディーゼルエンジン搭載車は注意が必要です。

このようなシビアコンディションでクルマを使用する場合は、より短い期間でオイル交換しなくてはなりません。どのメーカーも推奨オイル交換時期が、上記の半分の距離や時間となっています。

古いクルマはメーカー推奨のオイル交換時期が短い

古いクルマといっても、いわゆるヴィンテージカーやヒストリックカーといったものではありません。ここでは2000年代初頭、2010年ぐらいまでに登場したクルマ全般を指します。

そのあたりまでの車種は、メーカー推奨のエンジンオイル交換時期が、現在のクルマと比べ圧倒的に短かったのです。普通のガソリンエンジンであれば5000km、ターボなどの高性能エンジンであれば3000kmがメーカー指定のオイル交換時期でした。少し旧いクルマにお乗りの方はお間違えのないようにご注意ください（ぜひ取扱説明書をご確認ください）。

3000kmや5000kmという交換サイクルは、昭和の時代から長い間オイル交換時期の目安となっていたこともあり、現在でもクルマ好きなど、愛車を大切に乗りたいオーナー層の間ではオイル交換といえば5000kmや3000kmが常識であったりします。メーカー推奨のオイル交換時期が1万km以上となるクルマなのに、わざわざ半分の5000kmでオイル交換する必要はないと思います。しかし短いサイクルで定期的にオイル交換を行ってきたクルマのエンジン内部は、驚くほどきれいなのも事実です。

前述しているメーカー推奨のオイル交換時期は、その距離、もしくはその時期まではオイルを交換しなくても問題ないという意味ですが、裏返すとその距離までに、もしくはその期間内に、確実にオイルを交換してくださいというメーカーからのメッセージとなります。推奨交換時期よりもある程度短いサイクルでオイル交換を行うのも、愛車を大切に乗り続けたいと思うのであれば、良いことだと思います。

こんな乗り方ならメーカー推奨よりも早くオイル交換を

前述したシビアコンディションでクルマを使われている方は、メーカーが推奨するように短い距離や時間でオイルを交換しましょう。またそれ以外にもオイル交換時期を意図的に早くしたほうがいい乗り方もあります。

まずは、ここを読んでくださっている方にはほとんどいらっしゃらないと思いますが、サーキットなどでクルマのドライビングを楽しんでいるような方。エンジンの力をフルに発揮すると、エンジンオイルの温度は非常に高くなります。エンジンオイルは、高温下で急激に劣化速度を早めますので、早めのオイル交換が必須になります。それと同じ理由で、真夏の高温下で長時間渋滞にハマったりした場合は、オイルの温度は通常よりも高温にさらされることになるので、そんな場合も早めにオイルを交換してあげたほうがいいでしょう。

それとは逆にエンジンの温度が上がりきらず、それが原因でオイルの劣化を早めていることもあります。例えば15分程度の距離の移動を繰り返すような運転の仕方がそれに該当します。具体的には近距離のクルマ通勤をされているような方や、日常の買い物、お子さんの送り迎えなどでクルマを使われる方の乗り方がそれに当てはまります。

そんな運転の仕方がなぜオイルの劣化を早めるのかといえば、エンジン内の空気に含まれる水分が悪さをするからです。特に外気温が低い冬場が問題で、エンジンを始動しエンジンが熱を発するようになると、エンジン内の空気も温まります。エンジンを止めるとその温まった空気に含まれた水分が結露を起こし、エンジン内壁に水となって付着し、それがオイルに混ざるのです。オイルに水が混ざると、オイルの性能は著しく低下します。

エンジンが完全に温まった状態でエンジンを停止しているのであれば、エンジンの余熱で水分を蒸発させられるので、オイルへの影響もほとんどありません。しかし15分程度の移動でエンジンを止めてしまうと、エンジンは完全には温まっておらず、エンジン内に結露で発生した水を蒸発させることができないのです。そのような乗り方をされているのであれば、メーカー推奨のオイル交換時期にとらわれず、暖かくなってきた春に、一度オイル交換を行ってもいいかもしれません。

もちろん自動車メーカーも結露が発生していることを認識しているはずで、15分程度の運転を繰り返すのも想定内。その上で推奨オイル交換時期を設定しているのですから、オイル交換を早めずともクルマが壊れるようなことはありません。とはいえ水の混ざったままのオイルがエンジンにいいわけはありません。

クルマを大事にしたいと思うのであれば、早めにオイル交換してあげましょう。