【エンジンオイルの種類】ベースオイル・粘度・グレード(規格)の3要素で決まる!何を基準に選ぶ?

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無数の種類があるエンジンオイル。「ひとつの製品にもたくさんの種類があって、何をどう選べばいいのか、わからない!」という疑問にお答えするのが、この記事です。エンジンオイルの種類は「ベースオイル」と、オイルの粘度、グレード(規格)の3要素で分かれています。

まずは、ベースオイルの種類について解説します。

ベースオイルは3種類

エンジンオイルは、主成分となる「ベースオイル」と、エンジン内部の保護や洗浄、オイルの劣化を抑止する添加剤で構成されています。

製品によって違いはありますが、おおむね70〜90%がベースオイルとなります。ベースオイルは、次の3種類があります。

鉱物油

この世に初めて誕生したエンジンオイルは鉱物油でした。鉱物油は、原油から不純物を取り除いて精製されるベースオイルのことです。メーカーにより「スタンダードオイル」と表記されることがあります。

3種類のベースオイルの中では、精製方法が最もシンプルで価格が最も安くなります。いっぽう、オイルの劣化は早く、酸化しやすいという性質もあります。品質より価格を重視する方におすすめです。

ちなみに、クラシックカーには基本的に鉱物油を使います。車種によっては、添加剤を一切含まない純粋な鉱物油を使うことがあります。

100%化学合成油

原油からベースオイルを精製する際、最大限不純物を排除し、純度を高くしたのが「100%化学合成油」です。専門的にいえば、オイルを分子化した後に化学的に合成したものとなります。メーカーによっては「フルシンセティックオイル」と表記されることがあります。

不純物が含まれていないため(まったくゼロだとは言い切れないものの)、潤滑性能と耐久性が非常に高く、交換頻度を少なくすることができるメリットがあります。モータースポーツで使用されるエンジンオイルに、100%化学合成油が使用されるのはこのためです。

また、車の環境性能とエンジンの洗浄力に配慮した添加剤も含まれ、3種類あるベースオイルの中では、最も高性能なエンジンオイルです。

価格が高いのがネックですが、性能を求める人からすれば、必要な出費と考えることができます。

合成油(部分合成油と表示されることもあり)

鉱物油に、水素化精製油あるいは化学合成油を20〜30%配合したベースオイルを合成油・部分合成油といいます。メーカーにより「セミシンセティック」「パートシンセティック」などと表記されます。

合成油は、鉱物油と100%化学合成油の中間に位置する、比較的コストパフォーマンスの高いエンジンオイルとなります。

エンジンオイルの粘度とは?

どのエンジンオイルにも「5W-30」という英数字が表示されています。この英数字が、エンジンオイルの「ねばりけ=粘度」を示します。

粘度表示の意味

「W」とは「Winter=冬」の意味で、低温時の粘度を示します。

最も粘度が低いのが、0W。以降、5W刻みで25Wまで設定されています。順番に列記しますと次のとおりです(右から左に向かって粘度が低くなる)。

0W → 5W → 10W → 15W → 20W → 25W

ハイフンの後ろの2桁の数字は高温時の粘度を示します。20から始まり10刻みで60まで設定されています。こちらも順番に列記すると次のとおりです(左から右に向かって粘度が高くなる)。

20 → 30 → 40 → 50 → 60

低粘度オイル

最も粘度が低いオイルは「0W-20」となります。低粘度オイルの特徴は次のとおりです。

  • 寒さに強い
  • エンジンの始動性が良い(特に寒いところで)
  • 燃費が良い

このような特徴から、低粘度オイルは「省燃費オイル」と銘打たれて販売されていることが多々あります。

低粘度オイルは、寒冷地で走行するクルマだけでなく、ハイブリッドカーや軽自動車、コンパクトカーなど燃費、経済性を重視するクルマに向いています。

高粘度オイル

最も粘度の高いオイルは「25W-60」となります。実際の販売では、5W-40以上を高粘度オイルに分類していることが多いようです。高粘度オイルの特徴は次のとおりです。

  • 高温に強い
  • 高速走行に強い
  • 耐久性が高い

このような特徴から、スポーツカーや大型SUVなどハイパワーエンジンを搭載したクルマに向いています。また、スポーツ走行をするときに適しています。レーシングカーに採用されるのは、もちろん、高粘度オイルです。

エンジンオイルの規格(グレード)

エンジンオイルにはさまざまな規格=グレードが設定されています。この規格は国や地域で定められるものや、自動車メーカーが個別に定める規格があります。この項では、国や地域が定める代表的な規格を紹介します。

API規格

API規格とは、API(米国石油協会)・ASTM(アメリカ材料試験協会)・SAE(アメリカ自動車技術者協会)の3つの組織が定めるもので、耐熱性・省燃費性・耐摩耗性などについての性能をアルファベットで示しています。

API規格は、次のSAからSNまでの12段階の規格表示があります。Sの後にアルファベットをAから順番に付けていく命名規則です。

SA:自動車の量産が始まるころの黎明期の規格。添加剤が含まれない鉱物油で、現在のクルマには不適。

SB:最低レベルの添加剤が鉱物油に加えられる。

SC:1964〜1967年型のクルマに使用。

SD〜SI:SC以降、生産年代ごとに設定。

SJ:1996年型以降のガソリン車に対応。

SL:2001年型以降のガソリン車に対応。オイルの耐久性、酸化安定性、省燃費性が向上。CO2削減にも対応した環境保護を重視した規格。

SM:2004年に制定。SLより省燃費性が向上、有害排気ガスの低減、耐熱性・浄化性・耐摩耗性も向上。

SN:2010年に制定。SMより省燃費性、触媒保護性能、低温流動性、耐酸化性が向上。

SP:2020年に制定。現在最も高い性能を有する。

ILSAC規格

日米の自動車メーカー組織、ILSAC(国際潤滑油規格諮問委員会)が定めた規格。前述のAPI規格に、省燃費性能が強化されたもの。

API規格とILSAC規格は対比され、GFの後の数字が大きくなるにつれ、省燃費性などが向上します。

「GF-1/SH」から始まり、現在は「GF-6/SP」規格となります。

JASO規格

JASO(日本自動車技術会)が制定した日本独自の規格。国産クリーンディーゼルエンジンに使用されるオイルの規格として使用されている。規格は次の2つ。

DL-1:乗用車のクリーンディーゼルエンジンなどに対応。オイル中のスス増加に対する洗浄性、バルブなどの部品の耐摩耗性能、高温下で使用時の酸化安定性などが向上。

DH-2:大型トラック、バスなどのディーゼルエンジンに対応する規格。DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の目詰まりを低減。

エンジンオイルは何を基準に選べばいいのか?

エンジンオイルの選び方の基本は、クルマに備え付けられている取扱説明書に記載されたオイルの種類、となります。ただ、必ずしもそれに従わなければならない、ということはありません。オーナーのカーライフスタイル、使い方や好みに応じて、エンジンオイルを選ぶことができます。

そのときに基準となるのが、エンジンオイルの「ベースオイル」と「粘度」の2点です。

規格(グレード)については気にしなくても、現在販売中のエンジンオイルであれば(よほどの型落ちでなければ)、問題のない製品を購入することができます。ベースオイルの種類は、購入価格に大きな影響を及ぼします。燃費性能で選ぶか、スポーツ走行・耐久性で選ぶか、が基準となるでしょう。

粘度は、おもに走行する地域の気候と、クルマの性能が基準となります。寒冷地なら低粘度オイル、高性能エンジン搭載車や負荷の高い走行をするときは、高粘度オイルが選び方の基準となります。もし、何を選べばいいのか悩んだら、取扱説明書記載のとおりにすれば問題なし。お悩みは解決です。

それでは、すばらしいカーライフをお送りください!

※この記事の情報は、2021年11月時点のものです。

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