欧州のプレミアムブランドやポルシェ、ランボルギーニといったスポーツカーブランドまでこぞってSUVをラインナップする時代。世界的なSUVブームのなかでトヨタが欧州などグローバル市場でのシェア拡大を狙って開発したコンパクトクロスオーバーがC-HR。
2014年のパリモーターショーにコンセプトカーを初出展。翌年のフランクフルト国際モーターショーなど欧州を中心にプロモーションを行い、2016年5月にはドイツで開催された第44回ニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦し、完走を果たすなどデビュー前から話題を集めました。日本での発売開始は2016年12月。SUV販売台数でトップになるなど、独創的なスタイリングと走りのよさで人気モデルとなりました。
【サマリー】走りもデザインもスポーティなクーペ風SUV
グローバル戦略車として一定のポジションを獲得するためには、デザインが個性的で走行性能にも優れた欧州車と肩を並べる必要があります。
C-HRは「もっといいクルマづくり」の実現に向けて、トヨタ自動車が全社を挙げてグローバルに取り組むクルマづくりの構造改革「TNGA=トヨタ ニューグローバル アーキテクチャー」の第2弾として、プリウスとプラットフォームを共用しながら、世界のさまざまな道での走行テスト、欧州の一般道を走り込んでステアリングやショックアブソーバーのチューニングを行うなど、運動性能を徹底的に鍛え上げました。
SUV離れした走りのよさに加えてスタイリッシュなデザインもC-HRの訴求ポイント。大径タイヤとボディのリフトアップ感を強調する力強い足回りとスピード感あふれるボディ、エッジの利いたフロントデザインで唯一無二の個性、存在感を放ちます。
【外観スタイル】軽快さと力強さが融合した圧倒的な存在感
エクステリアのデザインコンセプトは「センシュアル スピード−クロス」。スピード感のあるコンパクトに絞り込んだキャビン、彫刻的な面造形、「ダイヤモンド」をモチーフに強く絞り込んだボディと、SUVのタフネス感を表現する大きく張り出したホイールフレアの対比など、デザイナーの想いをそのままカタチにした独創的なスタイルを追求しています。
SUVらしいリフトアップ感を強調するのが、ブラックアウトしたクラッディングパネルとアーチモールでアンダーボディを薄く見せるデザイン手法。17/18インチの大径タイヤと相まって、足回りの力強さが際立ちます。
フロントはTOYOTAエンブレムからフロントタイヤ上部まで翼形状にエッジの立ったヘッドランプと、左右に大きく張り出した台形バンパーで、ダイナミックなキーンルックを表現。リアはキャビンを内側に絞り込み、ホイールフレアとリアコンビランプを外側に張り出すことで安定感のある後ろ姿を表現しています。
【インテリア】先進感と包まれ感に満ちたコクピット
インテリアのデザインコンセプトは「シームレスで広がりのある空間」と「運転に集中できるドライバーズ空間」を目指した「センシュアル−テック」。
ソフトパッド、金属調オーナメント、ピアノブラック加飾の3種のエレメントを組み合わせて、インパネからドアトリムまでシームレスにつながった、広がりのある空間を表現。運転席はメーターを中心に操作パネルをドライバー側に向けることで、運転に集中できる環境を整えています。
シートへのこだわりも運動性能を高めたC-HRならでは。フロントシートは薄さとホールド性を両立するバケット形状で、薄いショルダー部としっかりと厚みのあるサイドサポート部を重ねてコーナリング中に体をしっかり支えます。
さらに、座面のパッド圧と硬度を最適化して座骨への圧力を分散し、包まれ感を向上。運転中の姿勢崩れが低減し、ロングドライブでも疲れにくいシートに仕立てています。後席は6:4分割可倒式で、シート肩口のレバー操作で荷室を拡大できます。
【パッケージ】パワーユニットの小型化でラゲッジ容量を確保
新世代プラットフォームのTNGAとともにプリウスのメカニズムを踏襲するのが、1.8Lの2ZR-FXE型エンジンと1MN型高回転モーター、モーターのトルクを増幅して大きな駆動力を発生させるリダクション機構を組み込んだハイブリッドトランスアクスル、パワーコントロールユニットで構成されるハイブリッドシステム。
後席下に収まるシステム駆動用のハイブリッドバッテリーも含めてコンパクト化を図ることで、ガソリン車と同等のラゲッジスペースを確保しています。
【ユーティリティ】ハイブリッド車はAC100V給電に対応
トヨタがハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車に設定している外部電源供給システム。C-HRにはメーカーオプションとして設定されていて、AC100V・1500Wのコンセントをコンソールボックス背面に設置。家庭のコンセントと同じAC100Vで最大消費電力が1500W以下の電気製品を使用でき、オートキャンプや災害時の非常用電源として役立ちます。
【走り・燃費】TNGAの採用で「我が意の走り」を実現
パワートレインはシステム出力90kW(122ps)を発揮し、効率配分に優れたハイブリッドシステムTHS-IIと、最高出力85 kW(116 ps)を発揮する1.2Lのダウンサイジングターボエンジンを搭載。WLTCモード燃費はハイブリッド車が25.8㎞/L、ガソリン車(2WD・6速MT)が15.4km/Lで、クラストップレベルの低燃費を実現。
C-HRの「我が意の走り」を実現するのが、高強度キャビンと高剛性ボディ、TNGAプラットフォームをベースに鍛え上げた運動性能。サスペンション形式はフロントに新開発のマクファーソンストラット、リヤにダブルウィッシュボーンを採用し、欧州を10万㎞走り込んでチューニング。操舵やブレーキ、アクセルなどドライバーの操作に対し車両が忠実かつリニアに応答し、意のままの走りを楽しめます。
【安全装備】Toyota Safety Sense Pを搭載
歩行者検知機能付き衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ、全車速追従機能付きのレーダークルーズコントロール、レーンデパーチャーアラート(ステアリング制御付き)、オートマチックハイビームをセットにした衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を全車標準装備。一部にはブラインドスポットモニターやリヤクロストラフィックアラート、クリアランスソナー&バックソナーなどの設定もあり充実の先進安全装備で安全運転をサポートします。
【グレード構成】上級グレードのGと標準グレードのSを設定
C-HRは装備の違いにより2つのタイプに分かれています。
■G-T(写真上)、G
225/50R18タイヤ&アルミホイール、オートワイパー、自動防眩インナーミラー、本革+上級ファブリックシート表皮、革巻き3本スポークステアリングホイール、イルミネーテッドエントリーシステム、LEDフロントフォグランプなどが標準の上級グレードのGとG-T。G-Tはターボエンジン搭載車になります。
■S(写真上) S-T
215/60R17タイヤ&アルミホイール、ファブリックシート表皮、ウレタン3本スポークステアリングホイールなどが備わる標準グレードのS。
【マイナーチェンジ&改良一覧】カラー追加や先進安全装備のアップデート
2017年8月:ツートーンカラーを設定
ホワイトパールクリスタルシャインやブルーメタリック、イエローなどベースのモノトーン8色に、ブラックまたはホワイトのルーフ、ピラー、ドアミラー、リヤスポイラーなどを組み合わせてツートーンに塗り分け。カラーバリエーションを充実させることで、色で選ぶ楽しさが加わりました。
2018年5月:一部改良 1.2Lターボ車に2WDを設定
スポーティな走りを楽しめる1.2Lターボ車に2WDを設定。さらに、すべての光源をLED化した大型ヘッドランプを標準装備。
シーケンシャルターンランプは右左折時に車両内側から外側に流れるように点灯し、先進的なイメージを高めています(前期型はフロント、2019年10月以降のマイナーチェンジモデルはリアがシーケンシャルターンランプ)。
2019年10月:マイナーチェンジ GRスポーツを設定
エアインテークを左右に広げてワイドスタンスを強調するとともに、フロントフォグランプをエアインテーク上部に配置してよりスタイリッシュな意匠に。さらに、TOYOTA GAZOO Racingがモータースポーツ活動を通じて得た知見やノウハウを注いだコンプリート車「GR SPORT」を新設定。1.2Lのターボ車・2WDに6速iMT(インテリジェントマニュアルトランスミッション)車を追加しました。
2020年8月:一部改良 安全装備を充実
予防安全パッケージのToyota Safety Senseにおいて、検知対象に歩行者(夜間)や自転車運転者(昼間)、交差点右左折時に直進してくる対向車、右左折時に対向方向から横断してくる歩行者も加えたプリクラッシュセーフティを搭載。さらに、低速時の事故予防をサポートする低速時加速抑制機能や、トヨタでは国内初となる「緊急時操舵支援機能」も追加。
【C-HRのおすすめモデル#1】G-Tの6速MT
SUVでマニュアルミッションが選べるのは貴重。iMTはクラッチ操作やシフト操作などの変速動作を検出すると、変速後のエンジン回転数を合わせるように制御してスムーズな変速・発進をアシストしてくれるので、マニュアル車の操る楽しさを誰でも手軽に味わえます。
【C-HRのおすすめモデル#2】G
シート表皮がファブリックと本革のコンビになり、運転席の電動ランバーサポートや本革巻きステアリング、18インチアルミホイール&タイヤなど、内外装ともに上級感を味わえるGグレード。先進性あふれるC-HRのキャラクターには、スムーズに走れて燃費のいいハイブリッドが似合います。
【まとめ】デザインも走りも唯一無二のSUV
ヨーロッパを主戦場に見据えて、走りを徹底的に鍛え上げたSUVは国産車のなかでは稀有な存在。意のままのハンドリングやしなやかな乗り心地、思い通りの加速・減速感が得られるペダルフィーリングなど、アイポイントの高さを除けばスポーツカーのような感覚で走れるのも運転好きにはたまりません。加えて、クーペのような華のあるスタイリングもライバルひしめくSUVのなかでキラリと光る個性を放ちます。
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※この記事は2022年6月現在の情報に基づいています。