EV界の新巨人「BYD」って?日本への影響度は?【2022年7月のカープレミア編集長の気になるニュース】

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2022年7月21日、中国の新興EVメーカー「BYD」が日本上陸、EV3車種を販売することを発表しました。ニュースでは「殴り込み」や「黒船襲来」などいうキーワードが目立ちましたが、実際はどうなのか、筆者が丁寧に調べてお伝えします。

時価総額は業界第3位、EV界の新巨人

正式社名「比亜迪股份有限公司」は、略称が「BYD」「比亜迪」、本社を中国広東省深セン市に置く企業で、ITエレクトロニクス、新エネルギー、モノレール、自動車の4事業を行っています。

BYDは、1995年にモトローラやノキアなどの携帯電話のバッテリーを製造する企業として設立され、売上を伸ばして2003年に中国の自動車メーカーを買収、バッテリー事業で得た知見を活かして自動車事業に参入し、2008年に世界初の量産PHEV「F3DM」を販売しています。

現在では、BEV(バッテリーEV)とPHEVの合計販売台数では世界トップに踊りでています。企業規模は、従業員数は29万人以上、2021年の売上は4.1兆円。この規模に近い国産メーカーは、マツダの売上3.1兆円。

2022年6月時点のBYDの時価総額は約20兆円となり、1位のテスラ(約97兆円)、2位のトヨタ(35兆円)に次ぐ3位に。メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンといった自動車界の名門を抜いています。

BYDは、2022年3月に内燃機関車の生産を終了し、小さな自動車メーカーを除く初の全車EV販売を達成した企業となりました。「EV界の新巨人」と筆者が形容したのはこういった背景があったからです。

2022年7月21日の発表会で披露された日本市場へ導入される3モデル。

BYDが日本へ及ぼす影響は?

筆者の推測・予想の範囲にとどまるエビデンスがないものになりますが、BYDが日本のマーケットへ及ぼす影響は、それほど大きくないと見ています。

まず、日本のEV充電インフラ事情、電力事情、車両価格の面から、EVの普及率が欧州に比べると当分の間は緩やかにしか伸びないという推測があります。BYDはEVのみのラインナップですから、日本の乗用車新車販売シェアに及ぼす影響も少なくなるでしょう。

ただ、商用車販売シェアにBYDが食い込んでくる可能性は十分にあります。日本の自動車メーカーは、まだEVバスを量産していません。いっぽう、BYDは日本の道路事業にも合う小型・中型・大型の計4種類のEVバスをラインナップしています。

バス事業社もSDGsやカーボンゼロへの取り組みが進んできており、EVバスの導入はその実践と企業イメージアップの両方に効果的です。

EVの車両価格の大部分はバッテリーの価格が占めますが、大きなバッテリーを必要とするバスに、自社生産できるバッテリーを積めるBYDは価格競争力に優れます。後述しますが、BYDは、EVの基本的なバッテリーが高価なレアメタルを仕様するリチウムイオン式に対して、レアメタルをほとんど使わない「リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)」を採用している点が強みです。

BYDのバス事業は、2015年から日本参入し、現在では約7割のシェアを獲得しています。今後、さらにこれを伸ばす可能性は十分にあります。

2022年3月、BYDの小型EVバス「J6」が美濃加茂市に納入された。ほかにも近鉄バスなども導入済み。

レアメタルをほとんど使わない「ブレードバッテリー」が武器

BYDは、携帯電話のバッテリー製造から始まったノウハウがあり、EV用バッテリーでは「ブレードバッテリー」を開発、市販車に搭載しています。

一般的なEVに搭載されるリチウムイオンバッテリーは、大きめの乾電池のようなバッテリーセルを組み合わせていますが、ブレードバッテリーはその文字どおり、ブレード(刃)のような薄くて細長いバッテリーを集めた構造となっています。

ブレードバッテリーは、リチウムイオンバッテリーよりバッテリー密度が高くコンパクトですむほか、レアメタルの使用量が劇的に少なく安価になり、構造的に強固となり安全性も高いことからシャシーの一部にも使えるメリットがあります。

2019年に、BYDはトヨタとBEVを開発する合弁会社BYD TOYOTA EV Technology Company」を設立していることや、テスラからも興味を示されているというはなしもあり、今後、世界のEV業界をリードしていく可能性を秘めています。

デザイナーは元アルファロメオやアウディのチーフデザイナー

アルファロメオ 8(CC 表示 2.0 / Cornel Pex / wikipedia.org)

BYDのデザイン責任者は、アルファロメオの名車「8C」のデザインを手掛け、アウディのチーフデザイナーも務めたドイツ人のヴォルフガング・エッガー氏。

日本市場参入の発表会で披露された、SEAL・ATTO 3・DOLPHINの3モデルを見ると、十分に商品力のある仕上がりになっています。クルマはなんだかんだいってデザインは大事です。

日本市場での販売はオンラインではなくリアル。100店舗を目指す

BYDジャパンの東福寺社長は、元フォルクスワーゲン・ジャパン販売の社長でした。EV専門のテスラ、日本市場でEV・FCVのみを販売するヒョンデがオンライン販売を主体としていることに対して、BYDジャパンはリアル店舗での販売で展開していくとのことです。

東福寺社長は、フォルクスワーゲン・ジャパン販売で得た経験とノウハウが、リアル店舗の展開にも活かすことができると話し自信を見せています。100店舗が実際にオープンすれば、輸入車ブランドの中では上位のディーラー網を形成することになります。

「BYDは低価格なだけ」は先入観か?日本の金型メーカーを買収

ネット上の記事を見ると、BYDは低価格なだけのような情報が目立っていました。いっぽう、BYDの発表会で実車に触れ試乗したモータージャーナリストのYouTubeを見ると(筆者は残念ながら招待されておらず……)、作り込みの良さ、商品力の高さが評価されていました。

現時点、日本市場に導入する3モデルの車両価格は発表されていませんが、前述したブレードバッテリーで車両価格を抑えて発売される可能性は期待できます。

2020年4月には、日本の金型メーカー、オギハラを買収、高い品質をもったクルマを製造できるようにBYDが随所に力を入れています。

価格競争力だけで日本市場に参入した、という文脈ではないと筆者は思っています。

今後の価格発表やディーラー展開、販売戦略に引き続き注目していきます。

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※この記事は2022年8月現在の情報に基づいています。

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