【嶋田智之の目】2022年は当たり年!今、日産車から目が離せません!

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2022年は国産車、輸入車ともに多くのモデルが登場しました。その中でも嶋田氏が注目したのは日産車。日産はしばらく元気がなく、新型車が出ない年もあったりしました。しかし2021年頃から注目車種が登場し、2022年は話題のクルマが数多く登場。今、もっと最もノッている自動車メーカーといえるでしょう。そんな日産の話題のモデルを嶋田氏が解説します。

日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストに日産車が3モデルもノミネート

つい先日、『日本カー・オブ・ザ・イヤー』最終選考の投票を行いました。悶絶するくらいに悩み込む、年に1度の重責です。前回の悶絶からもう1年経ったのか……と時間が進む速さに軽い驚きを覚えながらも、今回のイヤーカー決定の発表日がくるのを楽しみにしているところです。

前回の『第42回 2021-2022 日本カー・オブ・ザ・イヤー』は、全29車種のノミネートの中から、最終的に日産 ノート/ノート オーラがイヤーカーの座を勝ち取りました。

そして今回、『第43回 2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー』では、何と全48車種という驚くほどの数のニューモデルがノミネートされ、そこから最終選考へと進む10ベストカーという10車種──今回は一次選考の第10位が2車種同点だったため11車種──の中に、日産車が3車種も名前を連ねていました。10車種の中に3車種、ですよ。

この10ベストカーというのも、もちろん60人の選考委員の投票によって決まるもの。それぞれの選考委員が全ノミネート車種の中から10車種を指名し、集めた指名の数の上位10車種が10ベストカーとなるわけです。つまり選考委員たちの評価の高さトップ10、と考えていただいていいでしょう。その中に日産のクルマが3車種も入っていたのです。しかも、日産のノミネート車種は4台で、そのうちの3台が10ベストカー入り。これって本当に凄いことだと思うのです。

いや、何も日本カー・オブ・ザ・イヤーがすべてだというつもりはありません。でも、ここに最近の日産自動車がはっきりと表れているように思えてならないのです。ここのところの日産、何だかとっても元気に感じられてならないのです。

巷では現体制の様々な経営施策が実を結んできて業績が回復してきたことを評価する声も大きいですが、僕は経済評論家じゃないのでそこには触れません。ただ、世に送り出してきている昨今のクルマたちの商品力が高いことは確かだと強く実感しています。

日本でのEVのあるべき姿を提示したサクラ

10ベストカーに残った3台を、あらためて見つめ直してみましょう。

まずは2022年に発表された日本のすべての新車の中で最もインパクトが大きかった、5月発表のサクラ。これは三菱自動車との協業から生まれたもので、古くから電気自動車を本格的に研究し続けてきた、2社の知見や技術、コンポーネントやパーツなど、それぞれが持っている優れたモノを出し合って作り上げた軽自動車のEVです。

EVといえば嫌でも注目されるのが、航続可能距離の長さです。中にはそこが短いというだけでダメなクルマの烙印を押してしまうような人もいたりするのですが、サクラ(と姉妹車の三菱eKクロスEV)は、それを見事なくらいすっきりと割り切っています。

WLTCモードで最大180km、実質的には130〜140kmといったところでしょう。不足を感じる人はほかのクルマをどうぞ、ということですね。

でも、冷静になって考えてみると、実は多くの人の日常生活には、これでも十分にマッチしてしまうのです。

日産が調査したデータによれば、自動車ユーザーの53%が1日あたりの走行距離は30km以内、それも含めた84%が100km以内。充電時間は200Vの普通充電で100%までおよそ8時間、急速充電で80%までおよそ40分ということですから、自宅に200Vの電源さえあれば、仮に1日30km程度の走行なら3日か4日に1度、ひと晩かけて充電すればいいだけ、なのです。

そもそも軽自動車のユーザー、つまりは軽自動車の購入を考える人たちの多くは、買い物、送り迎え、通勤などがメインで、長距離を走ることは少ないという特性のようなものがあったりします。維持費の安さや車体の小ささから、セカンドカーとしての需要も小さくありません。

軽自動車としての大きなメリットがあることは大前提で、軽自動車としての使われ方であればEVのデメリットはそれほど大きなものにはなりにくく、さらにはEVとしてのメリットを享受できる、という考え方です。

何せサクラ(三菱eKクロスEV)は、とりわけ加速の力強さではガソリンエンジンの660ccを軽々と超えていますし、重たいものをすべて床に敷いたことによる低重心が効いてガソリンエンジン搭載車より遙かに気持ちよく素直に曲がってくれるし、バッテリーによる重量増がいい方向に作用して足元がバタつかず乗り心地も良好。走っているときの室内の静けさは、ガソリンエンジン搭載車とは比較にならないほどです。EVとすることで、一般的な軽自動車の概念を大きく超えた軽自動車に仕立て上げることができたのですね。

もちろん都市部のシティコミューターとしてもものすごく優秀な存在ですが、ガソリンスタンドがどんどん減って不便になってきているエリアにだって家に電気は来ているわけで、基本がチョイ乗りに次ぐチョイ乗りのような使い方であれば、逆にEVであることが便利につながったりもするわけです。

僕はこのクルマを軽自動車としての最適解であるように感じているし、現時点の充電インフラの脆弱な日本におけるEVとしての最適解でもあると感じています。(編集部注:日産 サクラは三菱 eKクロスEVとともに「第43回 2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー」の「イヤーカー」と「K CAR オブ・ザ・イヤー」の2冠を獲得しました)

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先進的な技術を贅沢に盛り込んだエクストレイル

そしてEVといえば、7月に発表された4代目エクストレイルです。

エクストレイルは分類するならピュアEV(BEV)ではなく、ハイブリッドモデル(HEV)になるわけですが、初めて走らせたときに感じたのは「ほぼピュアEVじゃん!」という驚きでした。

ご存じのとおり日産は以前から『e-POWER』という、発電用のエンジンで電気を作りモーターのみで駆動するパラレル式のハイブリッドシステムをプロダクションモデルに搭載しています。新しいエクストレイルに採用されているのも、まさしくこのシステム。

ですが、もちろんこれまでのモノをそのまま搭載したりはしていません。発電用のエンジンに、何と1.5リッター3気筒VC(可変圧縮比)ターボユニットを国内で初めて採用しているのです。

可変圧縮比エンジンは日産が長い時間をかけて独自に開発してきたもので、ピストンとクランクシャフトのあいだに複雑なリンク機構を用い、絶え間なく圧縮比を変化させることで効率を徹底追求する仕組み。

海外向けには3気筒版も4気筒版もすでに採用されていて日本への導入も待たれていたのですが、まさか国内初導入がe-POWERの発電専用になるとは思いませんでした。これはマジメにビックリ。

まず、このエンジンがいいのです。最高出力144ps/4400-5000rpm、最大トルク250Nm/2400-4000rpmのスペックを持ち、それをすべて発電用に使うわけですが、街中や高速巡航などのときには始動していてもほとんどその存在を感じることがありません。さすがにアクセルをグッと踏み込んで元気よく走ろうとするとエンジン音が聞こえてはくるのですが、そんなときでもいきなりかまびすしくなったりはせず静かといえる部類だし、振動もなく滑らかに回ってくれるのです。

e-POWERは100%モーター駆動ですから、ガソリンエンジンの音や振動が伝わってこなければ、ドライブ感覚はEVそのもの。「ほぼピュアEVじゃん!」と感じたのは、だからなのです。

モーターはフロントが204psと330Nm、リアが136psと195Nmをそれぞれ発生し、もちろん4輪駆動です。だから力強さにまったく不足は感じられません。極めて滑らかにして重厚にして強力。かなりよく走ってくれるのです。


そしてもうひとつのトピックは、ピュアEVのアリアにも採用されている電動4WD&シャシー制御技術、『e-4ORCE』が採用されていること。これは前後のモーターと4輪のブレーキを路面と車両の状態に合わせてキメ細かく統合制御することで、最大限のトラクションやコーナリング時の安定性などを確保するもの。

今回はドライな状態の一般路と高速道路、ワインディングロードのみの試乗で、雪道などの悪条件下でその性能を試すことはできませんでした──これまでの日産のモーター駆動のクルマでも十分に優秀だったから当然こちらはもっと優秀であることが自然と予想できるのですが。

けれど、ワインディングロードでe-4ORCEのパフォーマンスの片鱗をうかがうことはできました。

例えばコーナーを曲がっている最中にグッとアクセルを踏み込んでみたりすると、通常ならクルマは外側に膨らんでいこうとするものなのに、エクストレイルではそうした動きはほとんどなく、安定したまま思ったとおりのラインを描いて曲がっていけちゃいます。瞬時にシームレスに前後の駆動力配分を変化させながらコーナー内側のタイヤに絶妙にブレーキをかけていくといった制御で、走行ラインを安定させるのです。

クルマが加速でも減速でもコーナリングでも意のままに動いてくれる感覚。それを体感した瞬間に、ドライバーは「楽しい!」「気持ちいい!」と感じるもの。エクストレイルには、実用性の高いSUVでありながら、それがあるってわけなのです。

こうした技術をもっとスポーティな車体に注ぎ込んだらさらに楽しいことになるかもしれない。そんな期待感を抱かせてくれるのも、スポーツカー偏愛者である僕には喜ばしく感じられるところでした。(編集部注:エクストレイルは「第43回 2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー」のテクノロジー・オブ・ザ・イヤーに選出されました)

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走りの気持ちよさを徹底的に追求したフェアレディZ

そして、スポーツカーといえば4月に国内で正式発表された、7代目フェアレディZです。2020年にプロトタイプが発表されるまでは「そろそろZの歴史にも終止符が打たれるのかも」なんて思うところもあったので、2021年の北米向け市販モデルの発表と2022年の日本仕様のアナウンスがあったときには、もう胸アツでした。

誰がどう見ても『フェアレディZ』以外のナニモノでもないスタイリングデザインと、その存在感。やればもっといけるのにあえて405psと475Nmに抑え、単純なスピードよりも気持ちよさとコントロール性を重視した──といっても速いことは速い──3リッターV6ターボ。出来の素晴らしい9速ATと操縦している感覚を高めてくれる6速MT。歴代最高といえる快適な乗り心地。時に大きく時に細かくよく動き、曲がりやすく姿勢を決めやすいハンドリング。ただ走らせているだけでうれしくなる「自分はZに乗っているんだ」という高揚感。

それがすべてそろっているのです。スポーツカーとしてもグランツーリスモとしても一級品で、人生の宝物にすらなってくれるクルマ。新しいフェアレディZとは、そういうクルマなのです。

日産の開発陣は、それをビッグマイナーチェンジという手段で作り上げました。フルモデルチェンジでは型式を変えて認証をやりなおさなければならずコストが膨らむために新型を世に送り出すのは困難。そのためにプラットフォームから車体からサスペンションからと熟成が進んだものに大幅に手を入れたり、エンジンやトランスミッションは別のモデルのものを流用しつつ大改良をして……と、生半可なマイナーチェンジではありません。目標に据えた性能を実現させるためには、フルモデルチェンジのほうが遙かに楽だったかもしれないのです。

そうまでしてでも「Zをもっと育てたい」という強い想いが、開発陣にはあったのです。熱い想いがあったのです。もちろん出来映えがいいということが大前提ではあるのですが、僕はその意思と、意思をカタチにする実行力に感動してしまいました。

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2023年も僕らを驚かせてくれることに期待!

いや、フェアレディZだけじゃありません。サクラ(と三菱eKクロスEV)にも、エクストレイルにも、開発に関わったすべての人の熱い想いが感じられるところは多々あるし、それをキッチリと反映させて素晴らしいクルマに仕上げる『技術の日産』なところも多々あるのです。

そんなところから2022年、僕は日本の自動車メーカーの中では日産自動車が最も気になる存在だったのでした。来たる2023年、日産は僕たちに何を見せ、どう感じさせてくれるのでしょうか? 期待して待っていても、いいんですよねぇ?

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※この記事は2022年12月現在の情報に基づいています。

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