数え切れないほどの種類があるエンジンオイル。「いったい何を選んだらいいのか?」そんなお悩みをもつ方に、6つのクルマのタイプ別におすすめのエンジンオイルを2種類ずつ、合計12製品を厳選しました。
まずは知っておきたい3種類のベースオイル
エンジンオイルの成分は、単なるオイルだけではなく、エンジン内部を保護する添加剤などが加えられています。主成分となる「ベースオイル」には次の3つの種類があります。
100%化学合成油
ベースオイルを精製するときに、不純物を最大限排除した純度の高いエンジンオイル。化学的にいえば、オイルを分子化したあと合成したオイルとなります。「フルシンセティックオイル」と表記されることも多々あります。
不純物が含まれていない(非常に少ないと表現したほうが正確かもしれない)ため、潤滑性能が非常に高く、劣化しにくい(交換頻度を少なくすることができる)といった特長があります。
また、エンジンの洗浄力とクルマの環境性能を考えた添加剤が合成されており、3種類あるベースオイルの中では、最も高性能なエンジンオイルとなります。
デメリットとしては、価格が高いこと。きちんとクルマの性能を引き出して走りたい方におすすめです。
鉱物油
原油から不純物を取り除いて精製されるベースオイル。3種類あるベースオイルの中では、精製方法が最もシンプル。価格も最も安くなるメリットがあります。
しかし、オイルの劣化が早く、酸化しやすいという点でデメリットがあります。クオリティより価格重視の方におすすめです。
ちなみに、クラシックカーには鉱物油を使うのが基本です。なかには、添加剤も一切含まれない鉱物油もあります。
合成油(部分合成油と表示されることもあり)
前述の鉱物油をベースに、化学合成油ないしは水素化精製油を20〜30%配合したベースオイル。エンジンオイルとしての基本性能と価格のバランスがとれています。
ベースオイル3種類のヒエラルキー
鉱物油 → 部分合成油 → 化学合成油という順で価格が高くなり、性能も高くなります。
次項から、クルマのタイプ別におすすめのエンジンオイルを2種類ずつピックアップしていきます。この3種類のベースオイルの特徴を頭の片隅に置いてご覧いただくと、よりわかりやすくなります。
【軽自動車・ハイブリッド・エコカー向け】おすすめエンジンオイル
ハイブリッドカーや軽自動車、コンパクトカーなど燃費を少しでもよくして経済的に乗りたい、そんな方におすすめなのは「低粘度オイル」です。
「低粘度オイル」とは、文字どおり粘度が低い、やわらかくサラサラなエンジンオイルのことをいいます。対義語として「高粘度オイル」があります。これは、粘度が高いネバネバなエンジンオイル。
サラサラな低粘度オイルは、ふれ合う金属同士の動きがスムーズになり、燃費がよくなります。対して高粘度オイルは静粛性に優れ、高温時のエンジン保護に強いという特性がありますが、燃費はよくなりません。
エンジンオイルに表示される「0W-16」などという数字は、オイルの粘度(グレード)を示しています。「0W-16」は低粘度オイルとなります。
経済性重視でエンジンオイルを選びたい方には、次の2つの製品をおすすめします。
ENEOS X 0W-16
合成油
価格:4,500〜5,000円/4L
最もシェアが高いガソリンスタンドのブランドとしてENEOSを選びましたが、ほかのガソリンスタンドブランドの部分合成油・0W-16 (最も安価なもの)もおすすめです。
オートバックス Vantage SPIRIT 0W-16
合成油
価格:5,278円/4L(オートバックス公式通販サイト)
最もシェアが高いカー用品チェーン店のブランドとしてオートバックスを選びましたが、イエローハットやジェームスなどのカー用品店ブランドの低粘度オイルもおすすめです。
【SUV・ミニバンなど一般向け】おすすめエンジンオイル
SUVやミニバンは車重が重く、大人数乗車も多くなりがち。エンジン排気量も大きい部類になり、エンジンへの負荷も高くなるので、ちょっといいエンジンオイルを選ぶのがおすすめです。
カストロール EDGE
合成油
価格:6,000〜9,000円/4L ※グレード(粘度)により異なる。
フルード・チタン・テクノロジー(油膜強化技術)により、強靭な油膜を形成するエンジンオイル。「カストロール史上最高のパフォーマンスを発揮」とうたっている。
イエローハット MAGMAX エクセレント GEX SP 5W-30
合成油
価格:4,360円/4L(イエローハット公式通販サイト)
特殊モリブデンを配合した部分合成油。コストパフォーマンスが高いエンジンオイル。
【ディーゼル車向け】おすすめエンジンオイル
ディーゼルエンジンは、圧縮比がガソリンエンジンより高く、エンジンへの負荷が高くなります。ディーゼルエンジン専用に作られたエンジンオイルを使いましょう。
Shell HELIX HX5 DIESEL AJ 10W-30
合成油
価格:3,500〜4,500円/4L
高度精製ベースオイルにディーゼルエンジンに必要な添加剤を配合した乗用車用ディーゼルエンジン油。
BP vervis DIESEL 5W-30
合成油
価格:4,000〜4,500円/4L
DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の目詰まりや性能低下を防止するディーゼルエンジン専用オイル。
【輸入車向け】おすすめエンジンオイル
ヨーロッパでは、ACEA(欧州自動車工業会)が制定するエンジンオイル規格「ACEA規格」があります。また、各自動車メーカーの認証を受けたエンジンオイルも生産販売されています。これらの規格があり、認証を受けたエンジンオイルがおすすめです。
PENNZOIL アプルーバル
100%化学合成油
価格:7,000〜8,000円/1L
メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲンなどの認証規格を得た高性能エンジンオイル。
MOTUL 8100 X-CLEAN GEN2 5W-40
100%化学合成油
相場価格:9,000〜10,000円/1L
モータースポーツになじみのある方なら、みなご存じのMOTUL。
【多走行車向け】おすすめエンジンオイル
距離を走ったクルマのエンジンはピストンリングなどの隙間が増えるなどの弱点を抱えています。10万キロを超えるような多走行車におすすめのエンジンオイルを紹介します。
WAKO’S アンチエイジングオイル
100%化学合成油
相場価格:5,000〜6,000円/4L
製品名文字どおりのアンチエイジング機能をもつ添加剤を配合。
TAKUMI AID SEAL
非公開
価格:15,000〜16,000円/20L
走行距離が10万kmを超えた車におすすめのエンジンオイル。
【スポーツカー向け】おすすめエンジンオイル
高性能エンジンを高回転で回すことの多いスポーツカーには、やはり性能の高い100%化学合成のオイルが似合います。
SUNOCO SVELT
100%化学合成油
価格:6,000〜7,000円/4L
アメリカのガソリンスタンドがルーツのエンジンオイル。モータースポーツ界では有名。
REPSOL ELITE
100%化学合成油
価格:5,500〜6,500円/4L
ヨーロッパを代表するエンジンオイルブランド。欧州車メーカーが厚い信頼を寄せる。
最もおすすめ?自動車メーカー純正オイル
「エンジンオイル」でネット検索すると、トヨタや日産などの自動車メーカー純正オイルをよく見かけます。
日産車にトヨタのエンジンオイルを入れてはいけない、ということはありません。車の特性や使い方に合わせたエンジンオイルを選べば(最も無難なのは、取扱説明書に記載されるメーカー推奨のもの)大丈夫です。
自動車メーカー純正オイルが最もおすすめ、とは言いがたいですが、最も安心できるエンジンオイルとは言えるでしょう。
エンジンオイルメーカー(ブランド)別の特徴について知りたい方は、下記の記事を続けてご覧ください。
※この記事の情報は、2021年11月時点のものです。商品の価格は、特記事項がなければ実売価格の相場で表記しています。