どこよりも早くクルマの電動化に対応した三菱が送り出した、世界初のプラグインハイブリッドSUVが2代目アウトランダーでした。販売の中心となったPHEVだけでなく、ミドルサイズで貴重な7人乗りSUVとして人気を博したガソリン車も加え、その特徴を見ていきましょう。
【サマリー】PHEVを広く認知させた、SUVでは世界初のPHEV
三菱自慢の最新4WD技術を搭載した、モノコックボディのミドルサイズSUVであるアウトランダー。
3列シートの7人乗り仕様をラインナップする貴重な存在でもありますが、2012年に登場した2代目の特徴はなんといってもPHEVです。アウトランダーPHEVは世界初、SUVのPHEVとしてデビューしました。コンセントで充電もできるハイブリッドカー。トヨタのプリウスPHVと共に、PHEVを一気に身近な存在へと広めた立役者でもあります。
【外観スタイル】SUVらしい水平方向に伸びやかなデザイン
先代とほぼ同じサイズながらも、2代目はよりシンプルで伸びやかなデザインにし上質感を高めています。最新型の3代目にも通ずる、ボディサイドの水平方向へと伸ばしたSUVらしいキャラクターラインは、この2代目から始まっています。最初のころはガソリン車もPHEVも同じテイストのデザインでしたが、後々改良を重ねるごとにキャラクターが分けられることになっていきました。
【インテリア】珍しい存在になった7シーター
インテリアの一番の特徴は、3列シート7人乗り仕様がラインナップされていることです。ミドルサイズSUVでは珍しく、ライバルでは当時日産のエクストレイルしか選べませんでした。外観同様シンプルなデザインで仕上げられ、上質なファブリックシートを標準装備。オプションでは本革シートも選べました。なお、PHEVには3列シートは設定されていません。
【走り・燃費】駆動方式で変わる排気量とPHEVの存在
ガソリン車は4WDが2.4L、FF車が2LのNAエンジンを積み、両エンジン共に可変バルブ機構のMIVECを搭載していました。これにパドルシフト付きの6速CVTが組み合わせられ、4WD車には電子制御4WDをベースにした三菱自慢の車両運動統合制御システム「S-AWC」が設定されました。
電気モーターによるEV走行を主体にするPHEVには、前後のモーターを独自に制御するツインモーター4WDシステムが備わります。2Lエンジンは発電だけでなくフロントの駆動を担う、シリーズ・パラレル方式のハイブリッドを採用。PHEV独自の「S-AWC」も備えました。
ガソリン車、PHEVどちらも三菱車らしい4WDの走破性や安定感を実現しながらも、普段使いでの乗り心地のよさを重視したセッティングとなっています。
【安全装備】先進安全装備は三菱車初採用
三菱車として初採用となる先進安全運転支援「e-Assist(イーアシスト)」を初期型から設定。上級グレードに標準装備しました(改良を経て後に全車標準装備化)。ミリ波レーダーの前方認識により、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報システム、アダプティブクルーズコントロールに対応しています。
【グレード構成】パッケージオプションによるグレード展開
デビュー時のグレードはガソリン車が4種類、PHEVが5種類の展開でした。
ガソリン車は2LのFFが20Gの1グレードのみで、価格は242.7万円。2.4Lの4WDは、24G(269.2万円)、24Gセーフティパッケージ(278.8万円)、24Gナビパッケージ(310万円)の3グレードがラインナップされていました。PHEVも基本はガソリン車と同じ〇〇パッケージというグレード展開で、廉価版にEを、最上級にG プレミアムパッケージを用意。価格は332.4〜429.7万円でした。
セーフティパッケージは先進安全装備のe-Assistが付き、ナビパッケージはセーフティパッケージに加える形でナビを標準装着。PHEVのプレミアムパッケージはさらに、ロックフォード・フォズゲートのプレミアムサウンドシステムを備えた仕様でした。
【マイナーチェンジ&改良一覧】SUVらしさを主張する変更
フルモデルチェンジから2年経った2014年、初めての一部改良が行われました。フロントグリルをより直線状のデザインへ変更(ガソリン車)し、バンパー下のスキッドプレートを新たに追加しました。ほかにも、ガソリン車はテールランプがクリア式LEDコンビランプへ、ルーフレールのオプション設定、サスペンションのセッティング変更などが行われました。PHEV車には前列シートヒーターが標準装着され、オフホワイトのシートカラーを選べるようになっています。
デザインを大幅変更するビッグMCを敢行
初めてのマイナーチェンジは2015年6月に行われ、フロントとリアデザインを一新しています。これは新たなブランドアイデンティティである「ダイナミックシールド」を取り入れるためで、フロントにはそのコンセプトが表現されました。リアはコンビランプを大型化するとともにLED化してイメージを刷新しています。
このマイナーチェンジでは、ガソリン車とPHEV車のデザインが明確に分けられました。ガソリン車はボディ下部やホイールアーチ周りをブラック化し、よりSUVらしさを強調。逆にPHEV車はボディ同色化して、電動車のクリーンさをイメージさせるデザインへと変わっているのが特徴です。18インチホイールもデザイン変更され、ガソリン車とPHEV車それぞれの専用デザインを採用しました。
インテリアでも、ガソリン車はスポーティさ、PHEV車は高級感をそれぞれ強調するようになりました。ガソリン車はブラックに統一し、ピアノブラックやメッキの加飾を新たに採用。PHEVにはブラウンの本革内装が選べるようになりました。
ほかにも、ボディ補強の追加、サスペンションのリセッティング、吸音材・遮音材の追加、新世代CVTの採用(ガソリン車のみ)などにより、操縦安定性や乗り心地、静粛性を大幅に向上。燃費性能も改善されています。
PHEV車には、誤発進抑制装置やマルチアラウンドモニターを新設定。ステアリングヒーターや外部出力コンセントが設定されたのもこのタイミングです。
2018年のPHEV大幅改良に注目
ビッグMCの後は、毎年の年次改良が行われています。
2017年は2月に一部改良を発表。先進安全装備をカメラとレーザーレーダーを併用するシステムへと変更し、オーディオにスマートフォン連携機能「Apple CarPlay」「Android Auto」を新採用しています。PHEV車には、ビルシュタイン製ダンパーを装備した最上級グレード「Sエディション」を追加設定。PHEVシステムもアップデートされ、EV走行を優先するモードのEVプライオリティモードを新たに設けました。
2018年8月にはPHEVの大幅改良とガソリン車の一部改良を実施しました。PHEV車はPHEVシステムを刷新し、エンジンが2Lから2.4Lへ拡大しアトキンソンサイクル化。より低回転での発電効率をアップさせました。モーター出力、ジェネレーター出力、バッテリー容量もそれぞれ向上し、EV走行距離は60.8kmから65kmへ延びています。4WDを中心とした車両運動総合制御システムの「S-AWC」も進化し、ドライブモードにスノーとスポーツを追加。より細かなコントロールを可能にしました。
なお、ガソリン車との共通改良点はおもに外装で、ヘッドライトのハイビームをLED化や、フロントグリル、前後スキッドプレート、アルミホイールのデザインを変更しています。
全車サポカーSワイド該当になったのも、この改良からでした。
2019年9月の一部改良では、オーディオとナビゲーションのアップデートが図られ、外装色にはエクリプスクロスに採用された「レッドダイヤモンド」を新設定。ガソリン車の4WDに「S-AWC」を全車標準装備し、ラフロード用の走行モード「グラベル」を追加設定しました。
2020年10月はPHEV車のみ一部改良が行われています。今まで設定していた廉価グレードの「S リミテッドエディション」を廃止し、全4グレード展開となりました。また先進安全装備の、後側方車両検知システムと後退時車両検知警報システムを全グレードに標準装備。車両接近通報装置の法規に対応するため、車両接近通報のオフスイッチが廃止されています。
【アウトランダーのおすすめモデル#1】2.4Lへ進化後のPHEV
外観が違うのは仕方がないことですが、せめて中身だけは最新版に近いものを選びたいものです。そういった意味では、2.4LエンジンへとPHEVシステムを進化させた2018年モデル以降のPHEVはオススメです。その理由は、2021年12月にフルモデルチェンジした3代目も同じ2.4Lのシステムを採用しているため、見劣りすることが少ないからです。
EV航続距離は65kmありますし、1500Wの外部出力コンセントも備えます。世界のPHEVの中でもトップクラスの実力といって間違いないでしょう。少し新しい分まだ相場は高いと思いますが、新車よりはだいぶお買い得なはず。2代目の後期型を購入して、システム構造を変えた3代目の更なる大幅進化版を待つというのもいいかもしれませんね。
【アウトランダーのおすすめモデル#2】シンプルな顔がお好みなら初期型
アウトランダーPHEVの便利な部分の一つに最大1500Wまで、家庭用コンセントで家電などを使えるという機能がついていることがあります。この機能、輸入車のPHEVにはついていません。また、アウトランダーPHEVには太陽光発電などでつくった電気をクルマに貯めて、使う時はクルマから電気を取り出して家庭に送るV2H(Vehicle to Home)の機能もあります。
しかも、輸入車だとメルセデス・ベンツ以外はCHAdeMOの急速充電にすら対応していません。輸入PHEVは、あくまでも身近に充電設備があっていつでも充電できる人向けなのです。
そう考えると、旅行先などの遠出にも安心なアウトランダーPHEVは頼もしい存在になります。最新のダイナミックシールド顔が好みではないのであれば、迷わず前期型を選びましょう。それでも、世界的に見れば最新型のPHEVシステムを積んでいるのですから!
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【まとめ】旧型とは思えないほど魅力的なSUV
PHEVは世界初のSUV型でしたが、輸入車も含めたライバルと比較してもまだまだトップクラスの実力を持っています。ガソリン車はこのクラスで珍しい、7人乗り仕様があります。2代目アウトランダーは、ニッチな市場かもしれませんが確実に必要な人はいるタイプのクルマです。自分のライフスタイルにぴったりだと思うところがあれば、きっといい相棒になってくれるでしょう。