カスタマイズの祭典、東京オートサロン(TAS)2023。開催3日間で約18万人の来場者が集まり、出展者数341社、出展車両台数789台が会場の幕張メッセを埋め尽くす大人気のカーイベントですが、昨今のアウトドアブームを反映して悪路に強いSUVや4×4、オートキャンプに適したワンボックス車をベースにした車中泊モデルを展示するブースが目立ちました。中でも注目を集めていたのが軽トラックや軽バンをベースにしたカスタムカー。カスタムカーフリークの間でアツい「軽商用車カスタム」に注目してみました。
【サマリー】なぜ今軽商用車のカスタムが流行っているのか
軽自動車の中でも軽トラや軽バンは「働くクルマ」なので、荷物を運ぶことに特化した作りになっていて内装はいたってシンプル。外装もメッキグリルやボディ同色バンパーなど、見栄えを良くする加飾が施されたワゴンに比べてバンパーやドアミラーが黒樹脂の素地のままだったり、ホイールもアルミではなくスチールの『鉄チン』だったりと、いわゆるスッピンの状態です。
じつは地味でシンプルだからこそ、カスタムするのには好都合。積載効率を優先したスクエアで簡素な荷室はベッドやキャビネット、サブバッテリー、走行充電器といった電装系を収めるための架装がしやすく、外装はホイールとタイヤを替えるだけでも格段に映えます。
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【軽商用車カスタムのトレンド】車高をリフトアップする『アゲ系』が流行り
ホンダ N-BOXやダイハツ タントなどスーパーハイトワゴンのカスタムは車高を落とす『ローダウン』が主流ですが、軽トラと軽バンのカスタムは車高を上げる『リフトアップ』が圧倒的に人気です。
車高を上げる『アゲ系』カスタムが人気の理由は、スズキ ジムニーやスズキ ハスラー、ダイハツ タフトといった『四角くて車高の高い』軽自動車が流行っているから。特にジムニーの人気は圧倒的ですが、あまりに数が多過ぎるので『ヒトとは違う』オリジナリティを求めるコアなカスタムフリークやプロショップが軽の商用車でリフトアップを施すようになり、ブームに火が付きました。
リフトアップのメリットは見た目がワイルドになること。トレッドがゴツゴツしたM/T(マッドテレイン)タイヤに履き替え、バンパーガードを装着すると一気にクロカンテイストを醸し出します。さらに、最低地上高(地面から車体までのクリアランス)が増すので、標準車高では車体の底を擦ってしまうような荒れた道にも乗り入れられます。
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【TASで見つけたイケてる軽商用車#1】FAF-EVELER MOTO BASE/WONDER BASE
「MOTO BASE」は、純正バンパーよりもバンパーの丈を短くすることでアプローチアングルを稼いだフロントバンパー、フロントアンダーガード、リアガーニッシュ、リアバンパー、テールランプガードで構成されるエブラーフルキットと、標準車高から約35mm地上高が上がるリフトアップスプリングを装着したエブリイをベースに、ベッドの下に50ccバイク(デモカーはホンダのモトコンポ)を2台搭載できるトランスポーターに仕立てています。
「WONDER BASE」はエブラーフルキットとリフトアップスプリングを装着したエブリイに、オリジナルの木製サンシェード、スリットルーフ、キャンバストップ、MGRカスタムベッドキットを装着して明るく開放的なリゾート感を演出しています。
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【TASで見つけたイケてる軽商用車#2】バグトラックサウナ無番地/ファニーライダー
右はダイハツのハイゼット トラックをベースに、2代目フォード エコノラインをモチーフにした愛らしくもクセのあるファニーフェイスに仕上げたファニーライダー。Blowのフェイスパネルキット(27万5,000円)にクロームメッキ加工を施しています。左は青森ヒバをふんだんに使ったサウナカーで、同じくハイゼット トラックの荷台をサウナルームに架装し、機動力を活かしてアウトドアで「ととのう」軽トラに仕上げています。
ファニーライダーの荷台には観音開きのバックドアを備えたBlow製のシェルキットを架装しています。FRPを使ったカスタムファイバーワークを得意とする同社ならではの作り込みの良さが光ります。
バグトラックサウナ無番地の室内はこんな感じ。温度は70~100℃と本格的なサウナで、サウナストーブには青森のアウトドアギアメーカー「フェニックスライズ」の不死鳥Jr.を搭載。着脱式で屋外でも使用可能です。
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【TASで見つけたイケてる軽商用車#3】アゲトラクルーザー
ダイハツ ハイゼット トラック/ジャンボをベースにした新車コンプリート。車名のとおりランドクルーザー300のGRを意識したフロントフェイスに、3インチリフトアップを施し『アゲ』スタイルを実現。撮影車にはクルーザーバンパー、スキッドプレート、9ミリオーバーフェンダー、14インチのデイトナSS、TOYOオープンカントリーを装着しています。
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【TASで見つけたイケてる軽商用車#4】ジムリィ
東京オートサロン2023と同時開催されていた東京アウトドアショー2023に出展していた横浜のカスタムカーショップT.S.D。軽バンのスズキ エブリイに大人気の軽クロカン、スズキ ジムニーの顔をドッキングした通称『ジムリィ』は4インチのリフトアップや、ボンネット、グリルサポート、フロントバンパー、左右フェンダーなどで構成される『ジムリィフェイススワップキット』でワイルドなジムニーテイストを再現。
車内はシステムラック付きのアンティークベッドキットやアウトドアギアが搭載され、流行りのバンライフをイメージ。屋根上にはルーフラックとルーフトップテントが載せられ、『車上泊』にも対応しています。
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【TASで見つけたイケてる軽商用車#5】オーバーランドスタイル
東京アウトドアショー2023の会場にズラリと並んだダイハツ ハイゼット トラックベースのカスタムカー。EXIZZLE-LINEのオーバーランドスタイルはキャブの居住性を高めた『ジャンボ』の荷台に、ベッドラックシステム、ストレージボックス、シャワータンク、ルーフトップテントを取り付けて荷台のアレンジ方法を提案。サスペンションはノーマルですが、14インチホイールやR/Tタイヤ、バンパーガード、デイライトフォグランプを装着してクロカンテイストに仕立てています。
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【まとめ】安くてシンプルな軽商用車はカスタムの素材に最適
軽トラ/軽バンのカスタムが盛り上がるきっかけになったのが、2021年末にフルモデルチェンジしたダイハツ ハイゼットカーゴ/アトレーの存在。
17年ぶりの刷新で先進安全装備が充実し、CVTや全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)の搭載など、バンでありながら乗用車に匹敵する安全性と快適性が備わりました。
車両本体価格が200万円を超える高価な軽ハイトワゴンを買ってもノーマルのままではつまらない。ならば、あえて車両価格の安い軽トラ/軽バンをベースにしてカスタムを施し、アウトドアで映えるクルマに仕上げていくほうが楽しいし、オリジナリティを表現できる……こうしたユーザー心理が軽商用車のカスタム人気を支えているように感じます。
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この記事は2023年1月現在の情報に基づいています。