2020年8月31日、トヨタはコンパクトカー「ヤリス」の派生モデルとなる「ヤリスクロス」を発売しました。ヤリスクロスの登場から約1年半以上が経過しましたが、その売れ行きは順調すぎるもの。爆売れコンパクトSUVとなりました。さて、なぜそんなに売れているのか?その理由に迫ります。
爆売れコンパクトSUVの販売台数事情
2019年2月10日、トヨタのコンパクトカー「ヴィッツ」がフルモデルチェンジ、グローバル車名の「ヤリス」に変更して発売されました。ヤリスのセールスが快進撃を続ける中、ヤリスの登場から約1年半遅れて派生モデルのコンパクトSUV「ヤリスクロス」がデビューします。ヤリスクロスもデビューするや否や、大ヒットならぬ大ホームランを放ちました。
本記事執筆時点で入手できる最新のデータでは、2021年1〜11月の累計販売台数が19万3,360台となっています。ただ、この台数はヤリスシリーズ(ヤリス・ヤリスクロス・GRヤリス)すべての合算台数。自動車メーカーの届出車種名の制度により、自販連が提供する統計情報は「ヤリス」に集約されてしまいます。
この車名ひとまとめ現象は、ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリスだけでなく、日産では、ノート/ノートオーラ/ノートクロスオーバー/ノートオーラ NISMOが「ノート」にひとまとめ、スズキでは、ワゴンR/ワゴンR スマイルが「ワゴンR」にひとまとめにされています。
ヤリスとヤリスクロスそれぞれの販売台数を調べてみました。
車名 | 台数 |
---|---|
ヤリスクロス | 94,560 |
ヤリス | 91,700 |
※2021年1月〜11月の累計販売台数
僅差でヤリスクロスに軍配があがっているのは注目すべきポイントです。ヤリスの販売台数をバラして、同じ期間の登録車販売台数トップ10をランキングしてみました。
順位 | メーカー | 車種名 | 販売台数 |
---|---|---|---|
1 | トヨタ | ルーミー | 124,937 |
2 | トヨタ | ヤリスクロス | 94,560 |
3 | トヨタ | ヤリス | 91,700 |
4 | トヨタ | アルファード | 89,687 |
5 | 日産 | ノート | 81,817 |
6 | トヨタ | ライズ | 74,786 |
7 | トヨタ | ヴォクシー | 64,048 |
8 | 日産 | セレナ | 55,970 |
9 | トヨタ | シエンタ | 54,347 |
10 | ホンダ | フィット | 53,484 |
※トヨタ カローラも複数モデルがマージされているため分けて集計した結果、ランキング圏外になりました。
トヨタのトールワゴン「ルーミー」が爆売れしていることに目がいってしまいますが(ルーミーが売れている理由については、別の記事をご覧ください)ヤリスクロスが第2位、コンパクトSUVでは第1位の販売台数を誇ります。
興味深いのは、ライズが第6位につけていることです。
ライズは、双子車のダイハツ「ロッキー」とともに2019年12月にデビューしたコンパクトSUV(開発生産はダイハツ)。デビュー当時は、1.0Lガソリンターボエンジンのみのラインナップ(2021年11月にハイブリッドを追加)、全長4mを切るコンパクトなリッターカーで、これも発売されるや否や大ホームランを放ち、発売の翌月2020年1、2月は登録車販売台数トップをマーク、以降ほぼほぼベスト10に入る大人気モデルとなりました。
車格的には、ライズの少し上がヤリスクロスとなり、コンパクトSUVのカテゴリーで見るとかぶってしまうモデル同士とはなりますが、後発ヤリスクロスの発売後もライズの販売台数が顕著に落ちていない、すなわち同じトヨタ車同士で食い合っていない様子です。
この点は、ヤリスクロスの絶妙な価格設定が好影響を与えたと筆者は見ています。
買いやすい絶妙な価格設定
ヤリスクロスの車両価格は、179万8,000円〜281万5,000円とリーズナブルな設定となっていますが、単にこの価格だけが人気の理由ではなさそうです。
ヤリスクロスの弟分となるライズ、兄にあたるカローラクロスとの価格の関係をプロットしてみました、
価格(円) | ライズ | ヤリスクロス | カローラクロス | |||
ガソリン | ハイブリッド | ガソリン | ハイブリッド | ガソリン | ハイブリッド | |
170万 | 170万7,000円 | 179万8,000円 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
180万 | ||||||
190万 | 199万9,000円 | |||||
200万 | 203万9,000円 | |||||
210万 | 216万3,000円 | |||||
220万 | 229万9,200円 | 221万0,000円 | 228万4,000円 | |||
230万 | 232万8,000円 | |||||
240万 | 244万1,000円 | |||||
250万 | 258万4,000円 | 259万0,000円 | ||||
260万 | 264万0,000円 | |||||
270万 | ||||||
280万 | 281万5,000円 | |||||
290万 | ||||||
300万 | 299万0,000円 | |||||
310万 | 319万9,000円 |
※斜体下線の価格は4WD車
売れ筋グレードを車両価格帯の中間と仮定すると、きれいな階段をつくっています。これは、セールス担当も売りやすい価格設定にもなっています。
ライズを買いにきた人が、もう少し大きいクルマが欲しい、あるいは1.0Lエンジンでは物足りない、といった場合には、同価格帯のヤリスクロスをどうぞ……といった具合です。
ヤリスクロスだけではなく、トヨタのSUVラインナップ全体で絶妙な価格が設定されています。
「ヤリスの後席が狭い」というユーザーをしっかりと受け止める
「トヨタ ヤリスはなぜ売れ続ける?」の記事でも書いていますが、コンパクトカーのヤリスは、後席が狭いという弱点がありました。これは、もともとヤリスクロスを発売する計画があり、ヤリスの設計は1〜2名乗車が主軸と考え、後席の空間を犠牲に空力が良いボディ形状にして燃費を良くし、スタイリングも良くするという方向性があったのではないか、と筆者は考えています。
CAP/ヤリスクロス HYBRID Z
ヤリスの先代となるヴィッツのユーザーや、他車種からヤリスへの乗り換え検討者が「後席が狭い」と感じたら、セールス担当は「それでは、後席にゆとりがあるヤリスクロスはいかがですか?」とおすすめできます。
ヤリスクロスは3ナンバー化され、乗員と荷室の両方のスペースがしっかりと確保されています。
ヤリスとヤリスクロスの価格設定の兼ね合いも絶妙です。この2モデルの価格をプロットすると次のようになります。
価格(円) | ヤリス | ヤリスクロス | ||
ガソリン | ハイブリッド | ガソリン | ハイブリッド | |
130万 | 139万5,000円 | |||
---|---|---|---|---|
140万 | ||||
150万 | ||||
160万 | 163万0,000円 | |||
170万 | 179万8,000円 | |||
180万 | 188万8,000円 | |||
190万 | 197万1,000円 | |||
200万 | ||||
210万 | 216万9,000円 | |||
220万 | 221万0,000円 | 228万4,000円 | ||
230万 | 232万8,000円 | |||
240万 | 244万1,000円 | |||
250万 | 252万8,000円 | 258万4,000円 | ||
260万 | ||||
270万 | ||||
280万 | 281万5,000円 |
※斜体下線の価格は4WD車
ヤリスの価格139万5,000〜円は、営業車やレンタカーなどの法人需要にこたえる1.0Lガソリン車のエントリーグレード「X」系、163万〜円は売れ筋中核グレードの1.5Lガソリン車「G」系です。
車体が一回り大きくなるヤリスクロスですが、ほぼ価格帯はかぶっています。同等レベルの装備のグレード同士なら、プラスαでヤリスクロスが買えます。
実に絶妙な価格設定です。
トヨタ全ディーラー全車種取り扱いも追い風
CAP/ヤリスクロス HYBRID Z
東京地区では2019年5月から、全国では2020年5月からはじまったディーラー統合。それまで4系列あったトヨタの取扱車種別ディーラー販売体制は、ひとつにまとまって全店で全車種が取り扱いができるようになりました。
もともと車種ラインナップ数の多いトヨタ。全店が「クルマのデパート」状態となりました。
また、全国約4,600店舗となったディーラー網も追い風。ライバルの日産とホンダがそれぞれ約2,100店舗台という店舗数の違いは、トヨタ車全体の販売台数の押し上げに貢献しています。
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