安全なドライブを楽しむ上でなくてはならないのが、走っているクルマをきちんと止めるブレーキ。ブレーキの重要な部品のひとつがブレーキパッドです。ブレーキパッドは消耗部品なので、定期的に交換しなければなりません。その目安はどのくらいでしょうか。詳しく解説します。
ブレーキパッドは消耗部品
走っているクルマを止めるための重要なパーツがブレーキです。ブレーキが利かなくなってしまったら大きな事故につながってしまいますから、しっかりとメンテナンスを行う必要があるということは、ここで改めて書くまでもなくみなさんご存じでしょう。
そんなブレーキですが、どのようにクルマを止めているのか、まずはその仕組みを簡単に説明します。乗用車であれば、ブレーキは前後4輪のタイヤごとに備わります。フロント用のブレーキはディスクブレーキが採用されていますが、リア用はディスクブレーキとドラムブレーキのどちらかが採用されます。
ディスクブレーキは、タイヤと一緒に回転する金属製のブレーキディスク(円盤)をブレーキパッドで挟み込み、その際に発生する摩擦力でディスクの回転、つまりはタイヤの回転を止めます。パッドをディスクに押し付けているのは、油圧式のピストンで、そのピストンが組み込まれたパーツがブレーキキャリパーとなります。
ドラムブレーキはタイヤとともに回転するドラム(円筒)の内壁にシュー(磨耗材)を押し当てることで摩擦を発生させ、タイヤとともに回るドラムの回転を止めます。シューもパッド同様に油圧で作動しています。
ここではテーマがブレーキパッドとなるので、パッドに絞って話を進めましょう。
前述のとおり、パッドはディスクに押し付けられることで、ディスクとの間に摩擦力を発生させていますから、摩擦により磨耗していきます。磨耗しているのは、パッドの磨材が主で、ディスク側も少しずつ減っていきます。減っていくということは、パッドの磨材やディスクの厚さが薄くなるということ。それぞれの厚さには限界値が設定されており、その厚さまで磨耗が進んだら交換しなくてはなりません。
ブレーキパッドの厚さを目視や実計測で確認するのは面倒
新品のブレーキパッドの厚さは、車種により違いがありますが概ね10mm前後となります。それでは交換しなくてはならない厚さの限界値は何mmなのでしょうか?
これもメーカーや車種により設定値が異なりますが、概ね2mmに近い数値に設定されていることが多いようです。
パッドの厚さを確認するには、最低でもタイヤを外し、キャリパーに組み込まれた状態のパッドの断面を目視する必要があります。正確に確認する場合であれば、さらにキャリパーからパッドを取り外し計測しなければなりません。タイヤを外すといった作業が伴うことになるので、自分で点検するということはなかなか難しいはず。ブレーキパッドの厚さの確認は定期点検の項目にもあるので、車検や法定点検時に整備士さんがしっかり確認してくれています。
しっかりと車検整備や法定点検を整備工場に依頼している方なら、特に残量を心配する必要はないでしょう。しかし法定点検を受けず、車検も問題がなければ検査のみ(格安の車検はこういった内容が多いです)という方は、パッドの厚さが限界値に達したことを判断できません。それが原因でブレーキが利かなくなって事故を起こす可能性もあります。
メカに詳しくない人がブレーキパッドの減り具合を察知する方法は?
パッドの厚さが限界値まで磨耗すると、クルマから警報が鳴るようになっていますので、メカに詳しくない方でもパッドが交換時期になったことがわかるようになっています。その警報というのがキィーという金属がこすれ合うときに発生する嫌な音。
その音を発生させているのが、パッドに装着されているブレーキセンサーやパッドセンサーです。パッドの厚さが2mm前後まで減ると一部がローターに触れる部分を設けているのです。パッドが限界値まで減ったことで、ブレーキをかけるとブレーキセンサーやパッドセンサーがローターに接触するようになり、金属がこすれ合う異音を発生させます。
ブレーキを踏むたびキィーという不快な異音を発するようになったら、パッドの残量が減っているというお知らせなので、できるだけ早く整備工場に車両を持ち込み、ブレーキパッドの交換を行ってもらいましょう。ちなみに不快な異音は発生しますが、パッドの厚さがゼロになってしまっているわけではありません。だからその場で運転することをやめて、レッカーを呼ばなければいけないというような緊急性はありません。しかしそのまま当分乗り続けてもいいかといえば、それはNGです。できるだけ早くパッドを交換してもらいましょう。
ブレーキパッドは前輪が先に交換時期になる
パッドの厚さの警告音がしたら、4輪すべてのパッドを交換する必要があるかというとそうではありません。新車からパッドを交換したことのないクルマであれば、フロント側のパッドのみ交換時期となっている可能性が高いです。
なぜフロント側のパッドの方が先に交換時期となるのでしょうか?これはブレーキがかかった状態ではクルマの重心が前側に移るため。前後同じだけブレーキが利くようにしてしまうと、荷重が少なくなったリアタイヤがロックしやすくなり、スピンしてしまうなど危険な挙動が発生するのです。それを防ぐために、ブレーキは後輪側よりも前輪側のほうが仕事をするように元々設定されているわけです。仕事をしているということは、制動力の元となるパッドの磨耗も多くなりますから、交換時期が先に訪れるのはフロントとなるのです。
もちろんこれまでにフロントのみパッドの交換履歴のある車両であれば、フロントではなくリアのみが交換時期となっている場合もありますし、ちょうどいいタイミングで前後同時に交換となることもあります。
パッド交換に合わせて、ブレーキフルードも交換を
パッドは、使用限界が2mm前後に設定されてはいますが、新品の半分の厚さ(5mm前後)になると制動力が新品に比べると落ちてくるといわれています。制動力が落ちると、ドライバーは無意識にブレーキペダルを強く踏むようになるので、磨耗量はパッドが新品から半分の厚さのときよりも多くなるようです。
つまり半分の厚さまで減っていたら、割と短期間のうちにパッド交換を依頼しなくてはならなくなる可能性が高くなります。リアのパッドは要交換、フロントは半分より少し減ったぐらいというようなケースであれば、前後のパッドを同時に交換したほうが効率がいいはずです。整備をしてもらう効率がいいということでいえば、ブレーキフルードもパッド交換に合わせて行うといい作業になります(ただし、ブレーキフルードの交換サイクルはパッドよりも短く、車検サイクルと概ね一致しています)。
きちんと定期的な整備を受けていたクルマであれば警告音が鳴るまでパッドが減るということはあまり考えられません。前回の法定点検などでパッドの交換を推奨されていながら、まだ大丈夫と見送ったケースや、個人間売買などで手に入れた整備履歴が不明なクルマをそのまま乗っていたなどのケースなどでしょうか。いずれにしても、そのようなクルマは恐らくはブレーキフルードも交換されていないと推測されます。安全性に強く関わるブレーキですから、こういったときにしっかりとメンテナンスしましょう。
「カープレミアガレージ」とは
「カープレミアガレージ」では、国家資格を持った整備士が点検に対応するため、クルマに関する疑問点や不安点は何でもご相談いただけます。また、定期点検などのサービスも行っているため、長期的なクルマの管理も安心して任せることができます。
また、カープレミアでは「カープレミアパーツ」としてリビルト・中古部品を推奨しており、自社グループ会社においても、リユースの生産から販売まで自社工場を有し低価格の実現を進めています。
「カープレミアパーツ」とは?
カープレミアのグループ会社が提供する自動車パーツです。整備・修理の際に、主に「中古・リビルト部品」といった「リサイクル・リユース部品」などの低価格で安心のパーツを提供しています。
中古・リビルト部品って何?
中古部品(リユース)は、使用済み自動車等から取外され、テスターによる点検、清掃などを行い商品化された部品です。リビルト部品は、中古車(コア)を分解洗浄、消耗品交換や故障個所の交換を行い、性能をほぼ新品同等に回復させた部品です。
リビルト部品をオススメする理由
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中古・リビルト部品のメリット
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※故障保証の利用は車両購入時に別途加入が必要です
【まとめ】ブレーキはメンテナンスを怠らないで!
ブレーキを踏んだときに、万が一自分が意図したものより制動距離が延びてしまうと大事故につながりかねません。
走る、曲がる、止まるというクルマの基本性能の中でも“止まる”はもっとも大切なもの。ブレーキのメンテナンスはきちんと行いましょう。
もしクルマからブレーキパッド交換のサインが出ていたら、早めにメンテナンスすることをおすすめします。