【2022年上半期売れたクルマTop10】なぜ売れたのか?編集長が独断と偏見で分析!

クルマを選ぶ テーマ別特集

2022年上半期(1〜6月)の新車販売台数確報が出揃いました。登録車(いわゆる普通車)と届出車(軽自動車)を合わせた販売台数トップ10モデルをカウントダウン形式で紹介、なぜ売れたのかの分析を含めてお伝えします。

【第10位】スズキ ワゴンR(39,728台)

ワゴンR

ワゴンR スティングレー

スズキの軽トールワゴン『ワゴンR』は、前年対比131.4%、前年同月対比では275%という伸び率で10位にランクインしました。この伸び率の立役者は、2021年8月にデビューした『ワゴンR スマイル』(通称『スマイル』)。

ワゴンR スマイル

基準車となるワゴンRは、後席ヒンジドアのトールワゴンですが、スマイルは後席スライドドアとなります。トールワゴンは基本的に後席ヒンジドアで、スーパーハイトワゴンは後席スライドドアとなり、全高はトールワゴンのほうが低くなります。トールワゴンで後席スライドドアをもったクルマは、スマイルが登場するまで、ダイハツ ムーヴ キャンバスのみでした。後席スライドドア・トールワゴンの独壇場を崩したのがスマイルでした。

スズキは、ワゴンRの派生モデルがスマイルという位置づけではなく、車名はワゴンRの名を冠しているが、別モデルの扱いとの説明でした。筆者がスズキの担当者に「車名にワゴンRを付けたのは、販売台数戦略ですか?」と尋ねたところ、明言を避けてニヤリとされた記憶があります。

実際、その戦略がうまくいったのでしょう。現行モデルで6代目となるワゴンRは、2017年にフルモデルチェンジを受けていますので、モデル後期に差し掛かり、新車販売台数も鈍る時期となっています。

スマイルの人気の理由は、筆者が思うに中性的なデザインで万人受けしたこと、なんといっても、車高低めのスライドドア車(スーパーハイトワゴンは全高が高く敬遠する人が少なくない)であったことでしょう。ライバルとなるムーヴ キャンバスは、女性向きの甘いデザインが男性ユーザーを遠ざけていましたが、スマイルは男性ユーザーも取り込んでいるようです。

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【第9位】ダイハツ ムーヴ(42,498台)

ムーヴ

ムーヴ カスタム

もうそろそろフルモデルチェンジの噂も絶えない、ダイハツのトールワゴン『ムーヴ』が、最大のライバル、スズキ ワゴンRを抑えて9位にランクインしました。

現行モデルは2014年にフルモデルチェンジを受けた6代目。かれこれ8年目となるロングセラーモデルです。また、改良が繰り返された熟成モデルとなっています。

この安定的な人気は、運転しやすく室内が広いトールワゴンで、価格もお手頃であることと「みんなが乗ってる」安心感からと筆者は分析しています。また、ワゴンRスマイル同様にこちらもムーヴキャンバスの台数がカウントされており、販売台数を下支えしました。キャンバスもモデルチェンジ間近ですので下半期のワゴンRとの販売合戦は注目です。

※編集部追記:本記事執筆直後、2022年7月5日に『ムーヴ キャンバス』がまずフルモデルチェンジしました。

ムーブ キャンバス 新型2代目

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【第8位】ホンダ フリード(43,827台)

フリード ハイブリッド

やっと登録車がランクインしました。フリード ハイブリッドホンダ フリードもモデル末期のロングセラー。現行モデルは、2016年にフルモデルチェンジを受けた2代目です。

フリードの最大のライバルは、トヨタ シエンタ。シエンタも人気モデルですが、モデル末期ということで登録車販売台数では11位の25,861台(2022年上半期)で本記事では圏外となってしまいました。

ノアヴォクやステップワゴンなどのミニバンではボディサイズが大きすぎる、かといってルーミーやソリオのようなトールワゴンでは小さすぎるし、乗車定員5人では不足する、というニッチ層(ニッチですがけっこうなマジョリティですね)の支持をしっかりと獲得したのが、コンパクト・ミニバンのフリードでした。

シエンタよりフリードのほうが売れている理由は、デザインではないでしょうか。シエンタのデザインは、トヨタにしては珍しい個性が強いもの。スポーツシューズをモチーフにしたデザインは悪くないのですが、万人受けしそうにありません。対してフリードは、節度感あるスポーティーさを残したオーソドックスなスタイルです。

見るからに使いやすそうなボディサイズとデザイン、そして乗り込んでみると外見のイメージより広い室内空間が広がるのがフリードの特徴。このポイントが売れている理由でしょう。

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【第7位】トヨタ ライズ(45,380台)

ライズ ハイブリッド

トヨタ ライズは、ダイハツ ロッキーのOEMとなるコンパクトSUV。ライズ/ロッキーがデビューしたのは2019年11月。大人気のSUVはそれまでミドルクラスが主流で、全長4mを切る(全長3,995mm)新車で買えるコンパクトSUVは不在でした。

コンパクトカーの大きさで、全高が高く使い勝手に優れ、それでいてSUVたるかっこよさもあるとなると売れない理由がありません。さらに販売台数を伸ばしたのは、2021年11月に追加されたハイブリッド『e-Smart』。

e-Smartは、日産の『e-POWER』と同じシリーズ式(エンジンは100%発電に用いたモーター駆動100%のハイブリッド)で、特に燃費を重視(逆に言うと走りは犠牲になった)した経済性の高さが売りです。

ライズはダイハツの企画・設計。しっかりとユーザーが何をクルマに求めているのかを考え抜いています。さすがです。そこにトヨタの販売網の大きさが加わると、鬼に金棒ですね。

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【第6位】スズキ スペーシア(47,675台)

スペーシア

スペーシア カスタム

スペーシア ギア

ここのところ、ずっと軽自動車販売台数2位でその座を固めてしまった、スズキ スペーシア。なんと2022年6月にはライバル、N-BOXの首位の座を奪いました(N-BOXが生産調整していたようで、1ヶ月天下に終わりましたが)。スズキが得意とするデザインの良さと、使い勝手の良さで安定的な人気を獲得し続けています。

筆者個人的には、スペーシア カスタムが軽スーパーハイトワゴンの中で一番かっこいいと思っています。迫力あるフロントマスクですが、いやらしさをそこまで感じないようにまとめあげたデザインは素敵です。

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【第5位】日産 ノート(56,948台)

いろいろあって大変だった日産。ようやく新型車が続々とデビューして、主力のノートがカー・オブ・ザ・イヤー3冠を獲って、販売台数も伸びて、本当に良かったと胸をなで下ろしています。トヨタ一強じゃ、自動車業界は面白くない。かつてのトヨタVS日産の戦いを、もう一度見たいものです。

現行モデルは2020年12月にフルモデルチェンジを受けた3代目。3代目はガソリン車がなくなり、全車『e-POWER』となり車両価格が上昇、2代目のように再びヒットを飛ばせるかどうかが懸念されましたが、どうやらその心配は杞憂に終わりそうです。

ノートの販売台数を     上積みしているのは、派生モデルでプレミアム・コンパクトの『ノート オーラ』。オーラはミニバンやセダンから、ダウンサイザーや輸入車のユーザーを取り込むことにも成功しています。

また、e-POWERも新世代となり、秀逸な走りを見せます。特に、4WD『E-FOUR』は、超絶緻密な駆動力制御で、凍った道でもとてもスムーズに安全に走ることができる感動モノです。

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【第4位】トヨタ ルーミー(65,525台)

ルーミー

ルーミー カスタム

ルーミーもライズと同じく、ダイハツからOEM供給を受けたトールワゴン(ダイハツは「トール」で販売)です。ルーミーは2016年11月のデビューで、発売以降安定した人気を獲得しています。

ルーミーは、軽自動車では乗車定員が足りない・小さい、が不安といったユーザーを取り込んだ上、それまでセダンやコンパクトカーに乗っていたユーザーも取り込んでいます。その理由は、圧倒的な室内空間の広さ。トヨタ クラウンより室内空間は広く、特に後席にたっぷりとられた前後スライド量は、居住性と使い勝手を圧倒的に高めています。

エンジンは控えめな1.0L自然吸気とターボですが、経済性の高さを重視する方にはベストバイ。カスタムを選ぶと、迫力があってかっこいいフロントマスクになり、これも人気となっています。

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【第3位】トヨタ カローラ(70,988台)

カローラ シリーズは全6モデル。画像左上から時計回りにセダン、ツーリング、クロス、フィールダー、アクシオ、スポーツ。このうち、アクシオとフィールダーは併売が続く先代モデル。先代モデルは5ナンバー、現行モデルは3ナンバーというボディサイズの違いによるための併売。

昭和のモータリゼーションを支えた大衆車、カローラ。令和になっても健在です。令和のカローラは、セダン、ステーションワゴン、ハッチバック、SUVと揃い踏み。販売台数を伸ばしているのは、SUVの『カローラ クロス』です。

カローラ クロスは、かつては昭和の大衆車の代表だった国民車であることの面影が一切ない、スタイリッシュで上質なSUVで仕上げてきました。それでいて、価格もお手頃。コスト削減のためか、リアサスペンションはトーションビームにするなど、一定の性能を確保しつつ、押さえるところは押さえる設計はさすが。

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【第2位】トヨタ ヤリス(81,580台)

ヤリス ハイブリッド

ヤリス クロス ハイブリッド

旧車名『ヴィッツ』が2020年2月にフルモデルチェンジして、グローバル車名の『ヤリス』に変わったコンパクトカー。2020年8月にはSUVの『ヤリス クロス』を追加、スポーツモデルの『GRヤリス』を含めた3モデルの合計が、ヤリスの販売台数となります。

販売台数を支えているのは、こちらもSUVのヤリス クロス。ヴィッツと比較すると、ヤリスの後席の狭さがウイークポイントでしたが、セールスの現場では『ヤリスの後席が狭いとお感じになられる方には、ヤリス クロスをご用意してございます』とのことで、大ヒットしています(すみません、ちょっと盛りました。しかし、あながちウソではありません)。

トヨタは、全ディーラー全車種併売化し、クルマのデパート状態となりました。クルマのオールラインナップを実現したトヨタはさすがとしか言いようがありません。クルマを買いにディーラーに行けば、自分にぴったりな1台が選べるようになっています。

スポーツモデルの『GRヤリス』

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【第1位】ホンダ N-BOX(103,948台)

オールラインナップのトヨタも、ホンダ N-BOXには太刀打ちできなかったようです。軽自動車販売台数では、ずっと1位をキープ。登録車を含めて新車販売台数1位を獲得したのは、2022年上半期だけではありません。

筆者も何度かN-BOXに試乗していますが、乗るたびに売れている理由を実感します。新東名の120km/h制限速度の巡航から、街乗り、ワインディングまでそつなくこなします。乗ると「これで十分満足」とうならせるデキの良さをN-BOXは持っています。

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順位 メーカー 車名 販売台数
1 ホンダ N-BOX 103,948
2 トヨタ ヤリス 81,580
3 トヨタ カローラ 70,988
4 トヨタ ルーミー 65,525
5 日産 ノート 56,948
6 スズキ スペーシア 47,675
7 トヨタ ライズ 45,380
8 ホンダ フリード 43,827
9 ダイハツ ムーヴ 42,498
10 スズキ ワゴンR 39,728

 

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※この記事は2022年7月現在の情報に基づいています。

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