【ホンダ ステップワゴン 新型試乗】e:HEVとガソリンを比較!

クルマを選ぶ 試乗記

2022年5月26日に発売された、6代目新型ホンダ ステップワゴンの広報車をお借りして、ハイブリッドの『e:HEV』とガソリン車の比較試乗をしてみました。下馬評の高いハイブリッド車がやはりガソリン車を圧倒するのでしょうか?

「e:HEV」の特徴とは?

「ハイブリッドってどれも同じじゃん!」と思っていた方、ぜひ各社のハイブリッドの特徴とその違いをこの項でご確認くださいませ。既知の方はどうぞお読み飛ばしを。

まず、ハイブリッドは「ストロングハイブリッド(フルハイブリッドとも。Google検索動向では、ストロングハイブリッドがマジョリティ、フルハイブリッドがマイノリティでした)」と「マイルドハイブリッド」の2種類に分かれます。国産車でハイブリッドといえば、ストロングハイブリッドが一般的。なお、軽自動車ではマイルドハイブリッドしかありません。逆に輸入車では、2022年5月にルノーがアルカナに搭載した『E-TECH』が出るまでは、全部マイルドハイブリッドとなります。

Air e:HEV

SPADA ガソリン車。e:HEVのシフトはボタン式、ガソリン車はストレートゲージのシフトレバー。

4種類あるストロングハイブリッド

ストロングハイブリッドは、トヨタ・日産・ホンダ・ダイハツ・ルノーの5タイプあります。新参のルノーは本記事では置いておいて(詳しく知りたい方は、アルカナの試乗レポート記事、ルーテシア E-TECHの試乗レポート記事をご覧ください。)国産ハイブリッド4種の特徴を比較します。

トヨタ『THSII』

「シリーズ・パラレル方式」:動力用兼発電モーターと発電用モーターの2モーター方式で、走行状況に応じてエンジン・モーターの出力割合を積極的に変化させ、最も効率が良い出力配分を行う。エンジンは走行・発電の両方に使う。

・メリット
ストロングハイブリッドの中では最も燃費が良い。

・デメリット
効率・燃費重視の分、走りの楽しさは他社に負ける。

日産『e-POWER(イーパワー)』

「シリーズ式」:エンジンは発電専用。モーター100%で駆動する。

・メリット
EVと同等のクラスを超えた力強い加速、走行フィーリングを楽しめる。

・デメリット
高速走行時の加速、燃費はモーターの苦手分野。これもEVと同じ。

ホンダ『e:HEV(イー・エイチーイーブイ)』

「シリーズ・パラレル式」:走行用と発電用の2モーターと、走行・発電の両方を担うエンジンを組み合わせた方式。ここだけ見るとトヨタ式と同じように見えるが、e:HEVは、低・中速域(発進から街中などのでクルージング)では、日産式と同じようにエンジンは発電専用、モーター100%駆動のEVモードで走行、モーターが苦手な領域となる高速域では、エンジン100%で駆動、アクセルを踏み込み力強い加速をするときは、エンジンとモーターの両方を駆動力とする3つのドライブモードを備えた方式。トヨタ『THSII』と日産『e-POWER』のいいとこ取りをしたようなハイブリッドシステム。ちなみにプラグイン ・ハイブリッド(PHEV)ということで今回は取り上げていませんが、三菱のアウトランダーやエクリプスクロスのシステムも基本的には同じ思想・メカニズム構成です。

・メリット
力強い加速と高速巡航が可能。走りの楽しさがある。

・デメリット
同じシリーズ・パラレル式ならトヨタに燃費で負ける。走りの良さと燃費をトレードオフ。

ダイハツ『e-Smart』

「シリーズ式」:国産4社では最も後発。日産「e-POWER」と同様の方式だが、ダイハツは燃費を重視。

・メリット
低燃費。

・デメリット
加速の良さ、走りの楽しさは日産式に負ける。

SPADA ガソリン車 7人乗り

『e:HEV』VS『ガソリン』

言わずもがなですが、そりゃぁハイブリッドのほうがいいに決まっています。ホンダに限らず、他メーカーでもハイブリッドとガソリンを比べたら、ハイブリッドに軍配があがります。ただ、ステップワゴンはガソリン車も優秀でした。

今回の試乗では、最初にガソリン車に乗ってから『e:HEV』に乗る順番にしました。カタログスペックを見比べれば、スペックはe:HEVのほうが上。e:HEVを先に乗ってしまっては、ガソリン車を公平に評価するのが難しくなるでしょう。

まずは、スペックと燃費の比較から。

SPADA ガソリン車 7人乗り

スペック比較

ガソリン e:HEV
エンジン タイプ 直列4気筒 DOHC 直噴 ターボ 直列4気筒 DOHC
形式 L15C LFA
排気量 1.5L 2.0L
最高出力 110 kW (150 ps) / 5,500 rpm 107 kW (145 ps) / 6,200 rpm
最大トルク 203 N・m / 1,600 – 5,000 175 N・m / 13,500
燃料 無鉛レギュラーガソリン 無鉛レギュラーガソリン
モーター 最高出力 135 kW (184 ps) / 5,000 – 6,000 rpm
最大トルク 315 N・m / 0 – 2,000 rpm

燃費比較

単位 km/L ガソリン e:HEV
WLTCモード 13.1 – 13.7 19.5 – 20.0
 市街地 9.8 – 10.6 19.3 – 20.4
 郊外 13.4 – 14.6 20.7 – 21.3
 高速道路 14.5 – 15.7 18.9 – 19.2

Air e:HEV

走行インプレッション比較

初ステップワゴン試乗は、『Air』ガソリン。乗りはじめてすぐに気がついたのは、上屋の揺れの少なさ。歩道をまたいで車道に出るときに気がつきました。先代は、上屋の揺れが気になりましたが、新型はボディ剛性が大きく向上、そのおかげで足がよく動くようです。

ガソリン車のトランスミッションは先代同様、CVTの組み合わせ。先代よりもスムーズで静かになった印象を受けました。街中の走行では動力性能に不足を感じません。ただ、大人数乗車したとき、上り坂の加速はつらそうではありますが、一部の状況を除けば問題なさそうです。

燃費は都心のストップ&ゴーが多い、平均時速20km台という悪条件で10km/Lを切ることがありましたが、実燃費はカタログ燃費の10%台OFFと見積もってよさそうでした。

ガソリン車の試乗を終えた感想は「ガソリンでも十分」でした。エンジンを高回転まで回したときのエンジン音は、ミニバンでもホンダらしさをしっかりと感じることができました。

SPADA

Air

『e:HEV』はもはやスポーツ・ミニバン

『e:HEV』に乗った瞬間、モーターの力強さに舌を巻いてしまいましたね。ガソリン車に乗った後だからなおさらです。アクセル全開にしたときの加速力は、もはやスポーツ・ミニバン。エンジン走行モードに切り替わったあとのエンジン音は、ガソリン車同様、ホンダらしさを感じます。

正直、e:HEVに乗り慣れてしまうと、もうガソリン車には戻れなくなってしまいますね。燃費も良好で、市街地走行の実燃費が悪くても15km/L、条件がそろうとカタログ燃費同等レベルになりました。

ガソリンとe:HEVの価格差は、38万3,900円。

ステップワゴンのグレード構成は、ナチュラルデザインの『Air(エアー)』、上質感を演出した『SPADA(スパーダ)』とその上級版『SPADA プレミアムライン』の3タイプとなっています。

どのグレードも、e:HEVとガソリン車(FF:前輪駆動)の車両価格の差は、38万3,900円となっています(全モデルの価格は、299万8,600〜384万6,700円)。グレードにより1〜2割差となります。

この価格差をどうとらえるかですが、購入後の満足度、幸福度が高いのはe:HEV。リセールバリューもe:HEVのほうが有利となることも期待できますね。

SPADA

Air

【総合評価】ミニバンでも走りの良さを味わいたいならステップワゴン

筆者が試乗したクルマを、10項目×5段階で評価、★1個を2点として100点満点の総合評価として採点します。各項目、評価の理由をお伝えしますが、あくまで筆者のインプレッションによるものですので、ご参考としてご覧ください。

No. 項目 評価ポイント
1 内外装デザイン デザインの良さ、ボディカラーやインテリアカラーのバリエーションなどを評価
2 エンジン・トランスミッション パワートレインの良し悪しを評価
3 足回り 乗り心地の良さ、操縦安定性などを評価
4 燃費・電費 燃費、電費を評価
5 居住性 室内空間の広さ、静粛性などの快適性を評価
6 装備・使い勝手 装備の充実度、使い勝手の良さを評価
7 安全装備・運転支援 予防安全技術、運転支援システムなどの先進技術装備を評価
8 価格 コストパフォーマンスの良さ、お買い得感を評価
9 乗りやすさ 小回りが効くなどの取り回し性の良さ、普段使いでの運転のしやすさなどを評価。
10 クルマの愉しさ スペックを考慮しないで、純粋にクルマを所有するよろこびや、ドライビング・プレジャー(走る愉しさ)を筆者の独断と偏見で評価

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Air ガソリン車 8人乗り

【総合評価】90点!

ミニバンとしての実力は十分。おすすめです。

1 内外装デザイン ★★★★ ほぼ同時期にフルモデルチェンジしたトヨタ ノア・ヴォクシーのド迫力デザインとは真逆のナチュラルテイスト。インテリアは、リビングのような開放感と落ち着きのあるデザインに仕上げた。
2 パワートレイン ★★★★★ e:HEVは文句なしの動力性能。ガソリン車でも不自由しないが、大人数乗車が多いユーザー、山岳地帯の使用がいいならe:HEVを選びたい。
3 足回り ★★★★ 先代で気になった上屋の揺れが大きく改善され、連続したタイトコーナーでも安定した走りを見せる。乗り心地も良い。
4 燃費・電費 ★★★★ 燃費だけを重視するなら、ライバルのノアヴォクに軍配が上がってしまうが、走りの良さとトレードオフとするなら十分。
5 居住性 ★★★★ さすが6代目。ミニバン作りのポイントをしっかりと押さえている。静粛性もしっかり。
6 装備・使い勝手 ★★★★★ シートアレンジ時の操作性の軽さは特筆すべき。3列目シートの完全床下収納で広大なラゲージスペースが生まれるのはホンダのお家芸。
7 安全装備・運転支援 ★★★★★ ひと通りの先進予防安全技術を装備。ホンダセンシングの運転支援はより賢くなった。
8 価格 ★★★★ 全体的にクルマの価格は年々上がっていくのは仕方ない…エントリーモデルで300万円を切ったのはよくがんばったと思う。
9 乗りやすさ ★★★★★ 街中から高速道路まで、どんなシーンでも乗りやすい。
10 クルマの愉しさ ★★★★ 走りを楽しむクルマではないが、ミニバンの中ではもっとクルマとしての愉しさがあるモデルだと思う。

おすすめグレード

前述したとおり、新型ステップワゴンは、ナチュラルデザインの『Air(エアー)』、上質感を演出した『SPADA(スパーダ)』とその上級版『SPADA プレミアムライン』の3タイプとシンプルな構成。それぞれのグレードに、e:HEVとガソリン車を設定、ガソリン車のみに4WDが設定されます。

一番の売れ筋は、スパーダのe:HEVだそうです。デザインの好みでエアーを選んでも、装備に不足はありません。お好みでグレードを選びましょう。

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※この記事は2022年8月現在の情報に基づいています。

嶋田智之さんの新型ステップワゴン試乗レポートもご覧ください

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