なぜ現在販売中の軽トラにターボ車が設定されていないのでしょうか?過去にはありましたが…その理由に迫ります。
軽トラにターボがないのはなぜなのか?
現在販売されている軽トラにはターボ車がありません。過去をさかのぼれば、スズキ キャリイの9代目(1991〜1999年)、10代目(1999〜2013年)にターボ車が設定されていましたが、10代目の途中2000年5月で姿を消しました。
軽トラは、重いものを積むことや不整地走行をすることを前提に設計され、長距離を走ることを考えて作られていません。ユーザーのほとんどが長距離ではなく近場だけの走行であることから、ターボの需要が非常に少ないのもターボが軽トラに設定されていない理由のひとつです。
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ターボエンジンの特性が軽トラに合わない
ターボは通称名で、正しくはターボチャージャー、日本語では過給器と書きます。ターボは、排気の流速を利用してタービンを回し、吸気の圧力を高めて酸素濃度を濃くしてエンジン出力を高める仕組みです。このため、排気の流速が上がらない低回転域では吸気の圧力が上がらないため、エンジン出力はブーストされません。この、エンジン出力が高まるまでの回転数に達するまでの時差を、ターボラグといいます。
軽トラで不整地を走行するとき、ターボラグがあるととても使いづらくなってしまいます。例えば、果樹園などの不整地の急坂で、重い荷物を積んで発進するとき、低回転時のパワーが弱く、回転数が上がってからパワーが出てしまうと、とても扱いづらくなります。
ターボエンジンは高出力・大トルク化できますが、エンジン回転数に対する力の出方は波があり、高回転は得意ですが逆に低回転は不得意です。自然吸気(ノンターボ)は、ターボのような高出力・大トルクは得られませんが、ターボラグがないため低回転域では扱いやすくなります。また、過酷な状況で使われることが多い軽トラは、高出力化より耐久性のほうが重要視されます。
こういったエンジンの特性が、軽トラにターボが合わない理由となっています。
スーパーチャージャーなら軽トラとの相性良し
スーパーチャージャーは、エンジンの回転力を利用して吸気圧を高めて高出力を得る仕組みで、低回転から高出力化が可能となっています。
排気量660ccの規格になってから唯一の4気筒エンジンを搭載した、スバル サンバーシリーズ6代目には、バンとトラックの両方にスーパーチャージャー車が設定されていました。サンバーシリーズは軽自動車唯一のRR(リアエンジン・リアドライブ=後輪駆動)、四輪駆動独立懸架を持ち、ポルシェ 911と同じレイアウトであることから「農道のポルシェ」の異名をとっていました。
サンバー トラック スーパーチャージャーは生産が終了して12年が経過した今でも、バンとともに高い人気を誇り、中古車相場価格も高めです。
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また、1987年にはスズキ キャリイ 8代目、ハイゼット トラック 7代目、三菱 ミニキャブ トラック 4代目と同年に3車種もスーパーチャージャー搭載車が発売されていました(この時代はまだ各社自社生産だった)。この当時は、軽自動車のハイパワー化が流行りだったという背景もありました。
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軽トラのターボ化はどうよ?注意点は?
サードパーティーから軽トラ用ターボキットが販売されています。ターボ化すれば、ブースト圧をどう調整するかにもよりますが、70〜80PSあたりに出力向上できます。
軽トラのターボ化は違法改造ではありません。ターボ化しても構造変更が不要で車検に通ります。ただ、エンジンに負担がかかりますので、耐久性が落ちるリスクは覚悟したほうが良さそうです。インタークーラーを追加すれば、エンジンへの負荷はある程度軽減されます。
くれぐれも自己責任で。
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※この記事は、2023年1月時点での情報で執筆しています。