「フィアット 500(3代目・2008年〜)」往年の名車のイメージを損なわず、見事に現代へアップデート【人気モデル購入徹底ガイド】

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軽自動車のような小さなボディに愛くるしい表情で、たちまち人気となった輸入コンパクトカー、フィアット500。500のイタリア読みが「チンクエチェント」であることを、このクルマで知った人も多いのではないでしょうか。今回はそんなイタリア生まれの人気車を解説します。

【サマリー】先代をモダナイズしたデザインは、世界中で人気を博した

日本の軽自動車並みのサイズに排気量1L前後のエンジンを搭載した3ドアハッチバックの「500(チンクエチェント)」と、そのオープンモデル「500C(チンクエチェントシー)」。1950年代に誕生した、アニメや映画で有名な同名のコンパクトカー(ヌオーバ500)の、言わば後継モデルです。2008年に登場すると先代モデルにも劣らぬ人気で、世界中で大ヒットしました。

【外観スタイル】ハッチバックもオープンカーも先代のイメージを残すデザイン

フィアットが「500」という車名を使用するのはこのモデルで3度目。2度目の「500」は最初の「500」と区別するためヌオーバ(新しい、の意味)500と呼ばれますが、3度目のモデルは世界的に有名なヌオーバ500のイメージを現代風にアレンジしたデザインでまとめられました。

またオープンカーの500Cはヌオーバ500と同じく、ピラーを残してルーフ先端からリアエンドまで開閉するスライディングルーフ式が採用されました。デビュー時のハッチバックの500の3サイズは全長3,545mm×全幅1,625mm×全高1,515mm。

【インテリア】インテリアも先代のイメージを現代にアップデート

ヌオーバ500の丸メーターを彷彿させるように、運転席正面には大きな丸いメーターパネルが備わります。一見鉄板に見える、シンプルな樹脂製インパネが備わり、その中央に操作ボタンが配置されるなど、これらも往年の名車のイメージを現代風にアレンジしています。

【走り・燃費】エンジンは計3種類。2ペダルMTと、時々3ペダルMTも

デビュー時は1.2Lと1.4Lの直列4気筒エンジンが用意されました。その時の10・15モード燃費は13.8〜15.6km/L。その後875ccの直列2気筒ターボエンジン(ツインエア)搭載車などが追加され、1.4Lエンジン搭載車は次第にフェードアウトしていきます。ツインエアの10・15モード燃費は21.2〜21.8km/L。

トランスミッションはシングルクラッチ式の2ペダルMTである5速デュアロジックがメインで、時折5速MT搭載車が特別仕様車として登場しました。

【安全装備】衝突被害軽減ブレーキの設定はない

運転席&助手席エアバッグをはじめ、7つのエアバッグを装備。またESP(車両姿勢制御システムを備えるなど、デビュー当時のこのクラスとしては高い安全性能が与えられていました。ただ、衝突被害軽減ブレーキなどは搭載されていません。

【グレード構成】エンジンの違いのほか、100近くの特別仕様車がある

500 by Gucci

デビューから10年以上販売された500と500C。主に搭載されるエンジンの違いと、特別仕様車に分けることができます。

搭載されたエンジンは1.2L、1.4L、0.9Lエンジンの3種類がありますが、1.4Lは0.9Lターボエンジンと入れ替わるようにラインナップから姿を消していきました。

それぞれグレード名に「ポップ」が付くグレードがベーシックなグレード、「ラウンジ」が上級グレードです。また一部に「スポーツ」と付くグレードがありますが、これは5速MTを搭載するなどスポーティな装備を備えたグレードです。

さらに特別仕様車が100モデル近くあります。特徴的なボディカラーや装備を備えたモデルから、5速MTを搭載したモデル、ファッションブランドとのコラボモデルまで、そのバリエーションも数多。それぞれの販売台数は少ないのですが、見つけた時のよろこびがあります。

【マイナーチェンジ&改良一覧】10年以上のモデルライフでマイナーチェンジはわずかに1回

往年の名車を現代風にモダナイズして現れた500。2008年3月に1.2L 8Vラウンジから販売が開始されました。その後1.4L搭載車やオープンカーの500Cなど少しずつラインナップが増えていきます。

2010年8月に1.2Lエンジンにアイドリングストップ機能が備わりました。

2011年3月に0.9L直列2気筒ターボエンジンの「ツインエア」が追加されました。

2016年1月:マイナーチェンジ

2016年1月のマイナーチェンジで初めてデザインに手が加えられました。これだけ長い期間販売されていて、マイナーチェンジがわずかに1回ということは、それだけ最初のデザインで完成していたと言えるでしょう。

マイナーチェンジではフロントバンパーにLEDデイライトが追加され、インテリアではオーディオがタッチスクリーン仕様にアップデートされ、それに伴いUSBと外部入力端子が備えられました。

2018年9月に一部改良が行われ、スマートフォンとの連動が可能なタッチスクリーン式インフォテインメントシステムに切り替わりました。スマートフォンの音楽が聴けるだけでなく、地図アプリを表示させることができます。

2021年6月にグレード構成が見直され、1.2Lカルトとツインエア カルト、ツインエア ドルチェビータの3グレードになりました。

【フィアット 500のおすすめモデル#1】ツインエア搭載モデル

011年3月から追加された0.9Lターボエンジン「ツインエア」。直列2気筒とバイクのようなエンジンですが、軽快に回り、バタバタという微笑ましいエンジン音は、このクルマのキャラクターにはピッタリではないでしょうか。

もちろん小さな排気量ですから、エンジン音の割に実際の加速は……ですが、他の1.2Lや1.4Lも同クラスの国産車と比べたら大した動力性能はありません。むしろせっかくこのクルマに乗るのですから、街なかを元気よくキビキビ走り回るキャラクターを味わうほうがオススメです。

時折販売された5速MT搭載車であれば、さらにアニメ『ルパン三世』の世界観を堪能できると思います。

【フィアット 500のおすすめモデル#2】数多ある特別仕様車

500Cドルチェビータ

先述したようにフィアット500には100近くの特別仕様車があります。有名なところではグッチやディーゼルといったアパレルブランドとのコラボレーションモデルもありますし、特別色がおごられただけのモデルもあります。

とはいえあのシートの色がいいとか、このボディカラーは新鮮とか、それぞれに魅力のある特別仕様車に仕上げられています。やはりイタリア人の美的センスはさすがです。

例えば写真は2020年10月に発売された500Cドルチェビータ。イタリアの甘い生活を表現したという特別仕様車で、ホワイトボディに走るピンストライプがちょいレトロで、古いイタリア映画に出てきてもおかしくないデザインです。特別仕様車の数は多いのですが、それぞれの台数自体は少なく、中古車で出会えたらラッキー、と思って探してみると楽しいでしょう。

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【まとめ】惚れたら最後、一生そばに置きたくなる一台

今時の軽自動車と比べても安全装備が見劣りするとか、2ペダルMTの運転にはコツがいるなど、アラを探せばいろいろ出てきますが、それを補うに十分なデザインだったり、バタバタッというエンジン音だったり。これだけキャラクターの際立ったクルマはそうはありません。惚れたら最後、一生そばに置きたくなる一台です。

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