【ホンダ ヴェゼル おさらい試乗】やっぱり優等生だった!i-MMDで始まったe:HEVの歴史を振り返る

クルマを選ぶ 試乗記

ホンダのSUV「ヴェゼル」の現行モデルは、2021年4月にフルモデルチェンジを受けた2代目。その発売から1年半が経過した2022年10月に、フィットがマイナーチェンジ。そのフィットの試乗会に急遽呼ばれたときの足でお借りしたのが、ヴェゼル e:HEV(イー・エイチ・イー・ブイ)でした。

2代目ヴェゼルのe:HEVは、バッテリーセルを増やし、モーター出力を上げた当時最新版のハイブリッドシステムでデビューしましたが、その後、ステップワゴン、シビック、フィットとそれぞれの車種特性に合わせて進化したe:HEVをラインナップに加えています。

「最新こそ最良」という言葉は、100年の歴史を誇る自動車においても当てはまります。たった1年半でもe:HEVは確実に進化していました。今回は、e:HEVの歴史を振り返りつつ、ヴェゼル e:HEVの実力を再チェックします。

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i-MMDから始まったe:HEVの歴史

e:HEVは、2020年1月に先代ステップワゴンに採用されたホンダのハイブリッドシステムの名称で、それまでは「SPORT HYBRID i-MMD(スポーツ・ハイブリッド・アイエムエムディー)通称:i-MMD」の名称が使用されていました。

i-MMDは、2013年に米国で発売されたアコードに初採用されたフル・ハイブリッド(ストロング・ハイブリッドとも)。それまでのホンダのハイブリッドシステムは「Honda IMAシステム」と呼ばれる、エンジンが主動力源でモーターがアシストする、マイルドハイブリッドタイプのものでした。

ホンダのハイブリッドは、現行フリードや先代フィットなどに採用された1モーターの「SPORT HYBRID i-DCD」、レジェンドに採用された3モーターの「SPORT HYBRID SH-AWD」、そして2モーターの「SPORT HYBRID i-MMD」という3種類があります。

このうち、i-MMDがe:HEVに名称変更し、ホンダのハイブリッドの主力システムになり現在に至ります。e:HEVは、車種ごとにセッティングが異なるほか、組み合わせるエンジンも新しく開発するなど進化し続けています。

e:HEVの特徴は、日常走行の大部分をモーターのみで駆動するシリーズ・パラレルハイブリッドシステムで、モーターの効率が悪くなる高回転域になるとエンジンの駆動力を使い、逆にエンジンの効率が悪い低・中回転域をモーターが駆動する、おいしいとこどりをしたハイブリッドです。

ヴェゼル e:HEVを再チェック

最新のe:HEVは、2022年10月にマイナーチェンジしたフィットに搭載されたもので、マイナーチェンジ前よりモーター出力を10kW(14PS)高めています。また、ヴェゼル2代目へのフルモデルチェンジ以降に、ステップワゴン、シビックそれぞれのe:HEVも新しいものが採用されています。

新型フィット e:HEVの試乗会の帰りにヴェゼル e:HEVに乗ると違いを感じました。比べると、ヴェゼルのe:HEVが1世代前のもののように思ってしまいました。パワーの出方、加速、エンジンの回転などのすべてが、フィットの e:HEVのほうが良かった。

ホンダもがんばって改良に力を注いでいますから、新しいフィットのほうがいいというのは、まぁ、当たり前ではありますが、たった1年半でこんなに進化するとは驚きです。

ただ、ヴェゼル e:HEVが悪いのではありません。とてもいいクルマです。クルマのうち、e:HEVというパワートレインだけに着目すると「最新こそ最良」となってしまうだけです。

フィットはコンパクトカーで、ヴェゼルはSUVで、ボディタイプも価格も異なりますから、それぞれのカーライフスタイルや好みでどちらを選んでも問題なし、むしろおすすめということを強調させてください。

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【総合評価】筆者独断と偏見によるヴェゼルの評価は●点!

筆者が試乗したクルマを、10項目×5段階で評価、★1個を2点として100点満点の総合評価として採点します。各項目、評価の理由をお伝えしますが、あくまで筆者のインプレッションによるものですので、ご参考としてご覧ください。

No. 項目 評価ポイント
1 内外装デザイン デザインの良さ、ボディカラーやインテリアカラーのバリエーションなどを評価
2 エンジン・トランスミッション パワートレインの良し悪しを評価
3 足回り 乗り心地の良さ、操縦安定性などを評価
4 燃費・電費 燃費、電費を評価
5 居住性 室内空間の広さ、静粛性などの快適性を評価
6 装備・使い勝手 装備の充実度、使い勝手の良さを評価
7 安全装備・運転支援 予防安全技術、運転支援システムなどの先進技術装備を評価
8 価格 コストパフォーマンスの良さ、お買い得感を評価
9 乗りやすさ 小回りが効くなどの取り回し性の良さ、普段使いでの運転のしやすさなどを評価。
10 クルマの愉しさ スペックを考慮しないで、純粋にクルマを所有するよろこびや、ドライビング・プレジャー(走る愉しさ)を筆者の独断と偏見で評価

筆者の評価は高い!90点!

セールスも堅実なヴェゼル。改めて人気の理由がわかりました。

試乗車のスペック

ホンダ ヴェゼル e:HEV(FF)
グレード:Z
全長・全幅・全高:4,330・1,790・1,590(mm)
車両重量:1,380kg
エンジン:直列4気筒1.5Lガソリン
∟最高出力:78kW(106PS)/6,000〜6,400rpm
∟最大トルク:127N・m/4,500〜5,000rpm
モーター
∟最高出力:96kW(131PS)/4,000〜8,000rpm
∟最大トルク:253N・m/0〜3,500rpm
燃料:レギュラーガソリン
WLTCモード燃費:24.8km/L
車両価格:289万8,500円

1 内外装デザイン ★★★★★ フルモデルチェンジが発表されたばかりのネットの画像だけを見た時は、正直「ん?」と思いましたが、実車は良かった。ネットでも発表直後は騒然となっていたのを思い出した。クラスを超えた高級感あるエクステリア、リビング感あるインテリアは高評価。
2 パワートレイン ★★★★★ 1年半というブランクを感じたが、ヴェゼルe:HEVだけに乗るカーライフならなんら問題なし。むしろ、とてもいいパワートレイン。
3 足回り ★★★★★ 乗り心地よし、操縦安定性よし。日常生活の領域では十二分に満足できるはず。
4 燃費・電費 ★★★ 単純に実燃費だけを見るなら、ライバルのトヨタ カローラクロスに負けてしまう。ドライビング・プレジャーをしっかりさせたe:HEVは、トレードオフで燃費が落ちるが、良好な燃費。ハイブリッドSUVとしては標準的な燃費はしっかり確保。
5 居住性 ★★★★★ 十分。スタイルの良さを保ちつつ、室内空間を犠牲にしないのはさすが。
6 装備・使い勝手 ★★★★★ 十分な装備があり、使い勝手も良い。エアコンの風をやわらげる機構を備えるなど、かゆいところに手が届いている。
7 安全装備・運転支援 ★★★★★ Honda SENSINGを標準装備。一通りの装備・機能あり。革新的。
8 価格 ★★★★ SNSでフルモデルチェンジしてから、ちょっと高くなったよね、という声が散見。仕方ないんですけどね。
9 乗りやすさ ★★★★ 十分に乗りやすい。運転しやすい。いろんな人が運転するファミリーカーに最適。
10 クルマの愉しさ ★★★★ 実用も重視されたSUV。ホンダらしい走りの良さはしっかりと残されている。

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※この記事は、2022年12月時点での情報で執筆しています

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