ご年配の方や体が不自由な方も安心して移動できる福祉車両。ライフケアビークル、ウェルキャブ、トランスケア、ハーティーラン、WITH、フレンドシップなど、メーカーにより名称は異なり、様々なタイプを発売しています。ここではどのような車種にどんな機能を備えた福祉車両が用意されているかを紹介します。
一口に福祉車両といってもいろいろある
福祉車両と呼ばれる車は、大きく2種類に分けられます。1つは介助・介護が必要な方の乗車をサポートするのに適した車、もう1つは体の不自由な方が自ら運転できる車です。
乗車をサポートするのに適した車はさらに、シートが回転したり回転&昇降するタイプと、車椅子のまま乗り込めるタイプの2つに分けることができます。
シートが回転したり回転&昇降するタイプはコンパクトカーから軽自動車、SUV、セダン、ミニバンまで広く用意されています。車椅子のまま乗り込めるタイプは、ミニバンやハイト軽ワゴンなどに用意されています。
体の不自由な方が自ら運転できるタイプは、コンパクトカーからスポーツカーまでありますが、上記の2タイプと比べて車種は限られます。
以上を踏まえて、さらに福祉車両の詳細と、各社の福祉車両について見ていきましょう。
▼カープレミアなら月々の支払額でクルマを探せる▼
カープレミアで「福祉車両」を探す
シートへの乗り降りをサポート〜回転&昇降シート車
介助・介護が必要な方の乗り降りをサポートする福祉車両には、シートが回転するタイプと、回転だけでなく昇降もするタイプがあります。メーカー各社で呼び方は変わりますが、ここではシートが回転するタイプを「回転シート車」、回転&昇降するタイプを「回転&昇降シート車」と呼びます。
まず先に「回転&昇降シート車」について説明します。乗る人の足や腰に負担をかけないよう、乗降時にはシートが車外に向いて回転し、次に座面が両足を地面に着けたままシートに座れる高さまで降りてきます。後は、乗員を乗せたままシートごと車内へ戻すだけです。降車時は乗員を乗せたまま車外に向いて回転し、乗員の両足が地面に着くまでシートを降ろします。
この「回転&昇降シート車」は「杖があれば歩ける」というような方をサポートしたい場合などにおすすめです。
回転&昇降シートが備わる位置は、助手席と助手席側の2列目シートの2通りあります。助手席は乗車時に前方の視界が開けるので開放感がありますが、Aピラーの角度やひざ周りのスペース次第で、足腰が曲がりにくいなど乗員の症状によっては頭や足をぶつけてしまう可能性があります。2列目シートが回転&昇降するほうが、乗員の姿勢の自由度は高くなりますが、開放感や運転手との会話のしやすさは、助手席ほどではありません。
購入前にショールーム等にある実車で確かめてみるといいでしょう。
▼カープレミアなら月々の支払額でクルマを探せる▼
カープレミアで「福祉車両」を探す
日産セレナの回転&昇降シート車「日産セレナ セカンドスライドアップシート」
セレナには写真の2列目シートが回転&昇降するタイプのほかに、助手席が回転&昇降する「助手席スライドアップシート」も用意されています。シートは回転&昇降操作に加え、シートスライドやリクライニングも可能で、すべてリモコンで操作可能です。また誰も座っていない場合にシート格納の時間を短縮できる速度変更機能も備わります。
トヨタ ヴォクシーの回転&昇降シート車「トヨタ ヴォクシー ウェルキャブ 助手席リフトアップチルトシート車」
ヴォクシーには同社独自の技術「リフトアップチルトシート」が助手席または2列目助手席側に備わります。リフトアップチルトシートとは、シートが電動で回転した後、前傾して車外に出るため、シートがすべて車外に出なくても着座できます。そのため車外へのシートの飛び出しが少なく、従来と比べて狭いスペースでの乗降がしやすいのがメリットです。回転が電動ではない「ターンチルトシート」もあります
ダイハツ タントの回転&昇降シート車「ダイハツ タント ウェルカムシートリフト」
助手席側のBピラーのない「ミラクルオープンドア」を備えるタント。その広い開口部を活かして助手席が回転&昇降する車が「ウェルカムシートリフト」です。助手席なので開放感があり、また開口部が広いため乗降時の姿勢の自由度も高くなります。乗員の症状次第では、助手席ドア+後席スライドドアだけでなく、助手席ドアの開閉のみでも使用できます。
シートへの乗り降りをサポート〜回転シート車
もう1つの「回転シート車」は、手動でシートを車外向きに回転させます。「回転&昇降シート車」ほど車任せにしなくても乗降できるけれど、足腰が弱いため片足を上げて乗り込む姿勢が苦痛、といった高齢者などが利用すると便利な装備です。また足を開かずに済むため、着物やミニスカートの女性にも便利です。
基本的には助手席に備わっていて、乗員自らお尻をシートに乗せ、レバー等の操作で乗り込みます。
▼カープレミアなら月々の支払額でクルマを探せる▼
カープレミアで「福祉車両」を探す
日産ノート オーラの回転シート車「日産ノート オーラ助手席回転シート」
日産ノート オーラには車外に向かって45度回転する「オーラ助手席回転シート」車が用意されています。シート座面近くに備わるストラップを引くことでシートを楽に回転できます。
各社の「回転&昇降シート車」「回転シート車」
トヨタの「回転&昇降シート車」「回転シート車」が用意されている車種
・トヨタ ヤリス(ターンチルトシート:助手席)
・トヨタ アクア(ターンチルトシート:助手席)
・トヨタ ルーミー(回転&昇降シート:助手席)
・トヨタ ヴォクシー(リフトアップチルトシート:助手席または2列目)
・トヨタ ノア(リフトアップチルトシート:助手席または2列目)
・トヨタ アルファード(リフトアップチルトシート、回転&昇降シート:いずれも2列目)
日産の「回転&昇降シート車」「回転シート車」が用意されている車種
・日産 ノートオーラ(回転シート:助手席)
・日産 ノート(回転シート:助手席)
・日産 ルークス(回転&昇降シート:助手席)
・日産 セレナ(回転&昇降シート:助手席、2列目)
・日産 エルグランド(回転&昇降シート:助手席、2列目)
ホンダの「回転&昇降シート車」「回転シート車」が用意されている車種
・ホンダ N-WGN(回転シート:助手席)
・ホンダ フィット(回転シート:助手席)
・ホンダ フリード(回転&昇降シート:助手席または2列目)
・ホンダ ステップワゴン(回転&昇降シート: 2列目)
マツダの「回転&昇降シート車」「回転シート車」が用意されている車種
・マツダ MAZDA2(回転シート:助手席)
・マツダCX-5(回転&昇降シート:助手席)
スバルの「回転&昇降シート車」「回転シート車」が用意されている車種
・スバル シフォン(回転&昇降シート:助手席)
・スバル ステラ(回転&昇降シート:助手席)
・スバル フォレスター(回転&昇降シート:助手席)
三菱自動車の「回転&昇降シート車」「回転シート車」が用意されている車種
・三菱自動車 eKスペース(回転&昇降シート:助手席)
・三菱自動車デリカD:5(回転&昇降シート: 2列目)
スズキの「回転&昇降シート車」「回転シート車」が用意されている車種
・スズキ ワゴンR/ワゴンRカスタム(回転&昇降シート:助手席)
ダイハツの「回転&昇降シート車」「回転シート車」が用意されている車種
・ダイハツ タント(回転&昇降シート、回転シート:助手席)
・ダイハツ ムーヴ(回転&昇降シート:助手席)
・ダイハツ トール(回転&昇降シート:助手席)
車椅子での乗車をサポート〜スロープ式車椅子仕様車
車椅子のまま乗り込める福祉車両とは、介助・介護が必要な方を車椅子ごと車内に乗せる車のことです。こちらも各社によって名称が異なりますが、ここでは「車椅子仕様車」と呼びます。日常的に車椅子での生活を余儀なくされている方を介助・介護する際におすすめです。
車椅子仕様車はバックドアを開けて、クルマの後部から乗降しますが、車椅子を乗せる方法によって「スロープ式車椅子仕様車」と「リフト式車椅子仕様車」があります。
スロープ式は車の後部からスロープを引き出して使います。スロープを登る・降りる際に電動ウインチで補助してくれる車や、スロープの角度を緩めるために車体後部が沈み込む車などがあります。
なお、車椅子仕様車での車椅子の乗り心地は、クッション性がないため基本的によくありません。個人で購入を検討している場合、通院など近距離での使用をおすすめします。
▼カープレミアなら月々の支払額でクルマを探せる▼
カープレミアで「福祉車両」を探す
ホンダのスロープ式の車椅子仕様車「N-BOXスロープ仕様」
N-BOXのスロープ式の車椅子仕様車が「N-BOXスロープ仕様」です。車椅子の方を乗せる際にはスロープを引き出して電動ウインチを使いながら乗降させることができます。また普段は4名での乗車が可能で、スロープは不使用時には荷室の床として荷物を載せることができます。
車椅子での乗車をサポート〜リフト式車椅子仕様車
一方、リフト式は車の後部に装備された電動リフトを昇降させて、車椅子ごと乗降させることができます。主に大型バンに用意されていて、多人数乗車が可能で、主に福祉施設の送迎用などに利用されています。
トヨタのリフト式の車椅子仕様車「ハイエース ウェルキャブ車椅子仕様車“Aタイプ”ルーフサイドウインドウ装着車」
ハイエースのリフト式車椅子仕様車は、車椅子の方の乗車定員が1名/2名/4名と複数のタイプが用意されています。またストレッチャーを載せられるタイプもあります。またボディサイズもロング・標準ボディ、スーパーロング・ワイドの2種類があり、ガソリンとディーゼル車、2WD/4WDも選べます。
各社の「スロープ式車椅子仕様車」「リフト式車椅子仕様車」
トヨタの「スロープ式車椅子仕様車」「リフト式車椅子仕様車」が用意されている車種
・トヨタ シエンタ(スロープ式)
・トヨタ ヴォクシー(スロープ式)
・トヨタ ノア(スロープ式)
・トヨタ ハイエース(リフト式)
日産の「スロープ式車椅子仕様車」「リフト式車椅子仕様車」が用意されている車種
・日産 NV100クリッパー(スロープ式)
・日産 セレナ(スロープ式、リフト式)
・日産 NV200バネット(スロープ式)
・日産 キャラバン(リフト式)
ホンダの「スロープ式車椅子仕様車」「リフト式車椅子仕様車」が用意されている車種
・ホンダ N-BOX(スロープ式)
・ホンダ フリード+(スロープ式)
・ホンダ ステップワゴン(スロープ式)
マツダの「スロープ式車椅子仕様車」「リフト式車椅子仕様車」が用意されている車種
・マツダ フレアワゴン(スロープ式)
スバルの「スロープ式車椅子仕様車」「リフト式車椅子仕様車」が用意されている車種
・スバル シフォン(スロープ式)
・スバル サンバーディアス(スロープ式)
スズキの「スロープ式車椅子仕様車」「リフト式車椅子仕様車」が用意されている車種
・スズキ スペーシア(スロープ式)
・スズキ エブリイワゴン(スロープ式)
・スズキ エブリイ(スロープ式)
ダイハツの「スロープ式車椅子仕様車」「リフト式車椅子仕様車」が用意されている車種
・ダイハツ タント(スロープ式)
・ダイハツ アトレー(スロープ式)
・ダイハツ ハイゼット(スロープ式)
運転をサポート
運転をサポートする車とは、手や足が不自由な方が、自ら運転する際にサポートしてくれる装置が備わる車のことです。こちらも名称は様々ですが、ここでは「自走式」と呼びます。
足が不自由な方、手が不自由な方それぞれの症状に沿って、運転をサポートする装置を備えた車がありますが、自動車メーカーが用意しているラインナップは車種が限られています。ただし、各人の症状に沿ってサポート装置を取り付けてくれる自動車関連メーカーもありますので、一度確認してみるといいでしょう。
それぞれ独自の技術ですので、実際にディーラー等で運転しやすいか確かめてから購入するようにしましょう。
▼カープレミアなら月々の支払額でクルマを探せる▼
カープレミアで「福祉車両」を探す
ホンダの運転をサポートする車「テックマチックシステム」「フランツシステム」※足または手が不自由な方向け
ホンダの「テックマチックシステム」や「フランツシステム」とは、同社が開発した運転サポート装置です。症状に合わせて4タイプあり、①両足の不自由な方向けの「テックマチックシステム手動運転補助装置<Dタイプ>」②右足が不自由な方向けの「テックマチックシステム左足用アクセルペダル<Bタイプ>」③両上肢の不自由な方向けの「フランツシステム」④片手の不自由な方向けの「テックマチックシステム ハンドル旋回ノブ<Aタイプ>」、「左手用ウインカーレバー<Lタイプ>」があります。
ホンダの運転をサポートする車が用意されている車種
・ホンダ フィット
※e:HEVとガソリン車どちらにも装着可能
マツダの運転をサポートする車「セルフ・エンパワーメント・ドライビング・ビークル」※両足が不自由な方向け
マツダのMX-30に用意されたのは、押し込むと加速するリング式のアクセル「アクセルリング」や押込式の「レバーブレーキ」です。アクセルリングではなく、アクセルペダルの操作への切り替えも可能で、足が不自由な方とそうではない方で1台を共有して乗ることができます。
マツダの運転をサポートする車が用意されている車種
・マツダ MX-30 EVモデル(上記の「アクセルリング」や「レバーブレーキ」が装着可能)
・マツダ ロードスターF(左手でアクセルとブレーキ操作、右手で変速が可能)
・マツダ ロードスターRF(左手でアクセルとブレーキ操作、右手で変速が可能)
福祉車両はどのメーカーがいい?特徴をまとめ
シートへの乗車をサポートする福祉車両は、各社それぞれラインナップしていますが、中でもトヨタは「リフトアップチルトシート」や「ターンチルトシート」など、利用者の利便性を高めるために積極的に独自技術を開発しています。
またダイハツも、そもそものベース車であるタントを、足腰の弱い人が乗りやすいように改良しているなど福祉車両に力を入れているメーカーのひとつです。また全国のディーラーにも福祉車両に詳しいスタッフをそろえ、例えばクルマの選び方から税金の優遇制度の申請方法まで丁寧に説明してくれます。
一方、自ら運転するための自走式福祉車両は、例えば右手が『どの範囲まで動かせるのか』など、運転する人の症状が個々に異なるため、それに合う装置を開発することは、本来『量産』が得意な自動車メーカーにとっては不得手な分野。それでもホンダやマツダは、多くの人に運転の楽しさを味わってほしいと積極的に開発を続けています。
▼カープレミアなら月々の支払額でクルマを探せる▼
カープレミアで「福祉車両」を探す
「カープレミア」で愛車を探そう!
「カープレミア」は提携している全国の中古車販売店から自分に合ったクルマを見つけることができるサイトです。車種やメーカーだけでなく、月々の予算からも探すことができます。
「カープレミアディーラー」は厳選された優良販売店
カープレミアに掲載の中古車販売店は、東証プライム上場のプレミアグループが提携している全国の厳選された優良な販売店です。
オートローンやカーリースのファイナンスサービスの提供を始め、買った後も安心できるアフター保証も取り揃えています。支払いや維持費が心配でも、柔軟に対応してくれるので安心して車を購入できます。
「カープレミアクレジット」なら自分に合った支払いプランが選べる
「カープレミア」のオートクレジットは、新車・中古車問わず、分割払い、ボーナス併用払いや一部繰上返済などの豊富な支払いプランを用意しています。さらに故障保証に加入すれば無料で修理対応が可能です。
「カープレミア故障保証」など充実したアフターサービスで安心のカーライフを
「カープレミア」は購入後のカーライフを支えるサービスも多数提供しています。例えば「カープレミア故障保証」では最長3年、最大437ヵ所以上の自然故障を修理費0円で対応可能です。わかりやすいシンプルな4プランから、自分にあった最適なプランを選べるので、余分な保証費用がかからず、必要最低限の支出で万が一に備えることができます。
また、365日24時間対応のロードサービスも利用可能で、全国9,500ヵ所の拠点からすぐに駆けつけることができます。そのほか、困ったときの相談役になるコンシェルジュサービスを整えており、安心のカーライフをお過ごしいただけます。
※この記事は、2023年2月時点での情報で執筆しています。