キング・オブ・SUVとして名高いランドクルーザー。圧倒的な4WD性能はもちろん、1989年に登場した80系以降はラグジュアリーモデルとしての性能も持ち合わせています。ここでは2007年9月に登場した200系ランドクルーザーについて解説します。
【サマリー】「どこに出かけても、生きて無事に帰ってくる」がランクルの使命
SUVの頂点に立ち、世界中で愛用されているランドクルーザー。開発では「行きたい時に行きたいところに行って、生きて帰って来られる」という指標が立てられているといいます。砂漠、岩場、ぬかるみなどをものともしない性能は、数多あるSUVの中でもトップクラスです。
1951年に登場した初代BJ型がランドクルーザーの元祖。2021年8月には先代のランドクルーザー200系から最新のランドクルーザー300系へとフルモデルチェンジしました。ただ、300系は早くも長期の納車待ちが発生していることもあり200系は中古車市場では高値で取引きされています。
【外観スタイル】王者にふさわしい威風堂々としたスタイル
200系ランクルは、無骨で威風堂々としたスタイルが特徴。全長4,950×全幅1,980×全高1,880mmという巨体は国産車だとほかに類を見ないサイズです。
巨大なグリルと大きなライトによる押し出し感のあるフロントフェイスからは王者にふさわしい風格を感じます。
【インテリア】シンプルさと高級感が同居。上級グレードは本革仕様に
200系ランクルのインテリアは、シンプルな中に高級感を感じさせる仕立てになっています。
シートは大柄で足回りのスペースも広々。前後とも大人がゆったり座れる仕様になっています。上級グレードのZXとAX Gセレクションには本革シートがおごられ、中間グレードのAXはモケット地のシート、エントリーグレードのGXはファブリックのシートに。
乗車人数はGXが5人乗り、その他のグレードは3列シートの8人乗りです。
【走り・燃費】最大登坂性能は46度! キングにふさわしい実力を備える
2007年のデビュー時は4.7L V8エンジンに5ATが組み合わされましたが、2009年には新開発の4.6L V8と6ATの組み合わせに変更。以降、フルモデルチェンジまでこのパワーユニットが搭載されました。
屈強なラダーフレーム構造はランクルの伝統とも言えるもの。アプローチアングル30°、デパーチャーアングル20°、登坂能力46°と、屈強なSUVとしての実力は折り紙付きです。
上級グレードのZXにはノーマル、ロー、ハイから車高を設定できる4輪アクティブ・ハイト・コントロール・サスペンションが備わります。
【安全装備】2015年8月から先進安全装備を搭載
2015年8月以降のモデルは歩行者にも対応する衝突回避支援パッケージ“Toyota Safety Sense P”が標準装備に。また、この年式から隣の車線を走る車両をレーダーで検知してドライバーに伝えるブラインドスポットモニターがZXで標準装備になっています(AX系でメーカーオプション)。
【グレード構成】2009年6月以降は4グレード体制に
▲写真は3列シート仕様の最大荷室寸法
2007年デビュー時はAXとAX Gセレクションの2グレード展開でした。エンジンが変更された2009年6月からエントリーグレードとして2列シート仕様のGX、上級グレードのZXがラインナップに加わり、4グレード体制になります。以降、2021年のフルモデルチェンジまでこの構成でした。
上級グレードのZXはタイヤサイズが285/50R20に。上で解説した4輪アクティブ・ハイト・コントロール・サスペンションに加え、旋回時やブレーキング時の姿勢変化と不整地での接地性を高めるアダプティブ・バリアブル・サスペンション・システムを搭載。快適装備としてはチルト&スライド式の電動ムーンルーフが標準装備されていました。
2列シートのGXは、ホイールがスチールになるほか、手動格納式ドアミラーやハロゲンヘッドライトなど、装備が簡素化されています。
【マイナーチェンジ&改良一覧】2015年8月に大規模改良。安全性能を強化
2007年9月 100系から200系にフルモデルチェンジ
1951年に登場したトヨタジープBJ型を祖に持つランドクルーザーは、進化の過程で“ステーションワゴン系”“ヘビーデューティー系”“ライトデューティー系”という3つの系統に分かれます。200系ランドクルーザーはステーションワゴン系の流れをくむモデルです。
岩場、急な下り坂、砂地などハードな路面を走行する際に、エンジン出力やブレーキを自動コントロールして低速を維持するクロールコントロールを世界初搭載するなど、タフな環境もものともしない性能が与えられました。
前述したように、デビュー時は100系ランクルに搭載されていた4.7Lエンジンが積まれていましたが、2009年4月には新開発の4.6Lエンジンと6ATに変更されています。
2012年1月:マイナーチェンジ オフロードの走破性が進化
このマイナーチェンジでは、オフロード走行時にトラクションやブレーキを最適にして4WD性能を高めるマルチテレインセレクトを採用(GX以外のグレードで標準装備)。マルチテレインセレクトはロック(岩場)、ロック&ダート(岩石路)、モーグル(凹凸の激しい路面)、ルーズロック(土と石が交じった路面)、マッド&サンド(ぬかるみや砂地)から走行モードを選ぶことができます。
合わせて車両周囲の状況を前後左右4つのカメラでとらえ、ドライバーの死角になりやすい部分の路面状況を確認できるマルチテレインモニターも採用されました(GZ以外のグレードでオプション設定)。
また、クロールコントロールの速度設定が3段階から5段階に変更され、より細やかな速度調整が可能に。さらにタイトコーナーを通る際に回転性を高めるターンアシスト機能が追加されています。
2015年8月:マイナーチェンジ デザイン変更およびToyota Safety Sense Pを標準装備
デビューから8年経ったこともあり、このタイミングでエクステリアデザインに大きな変更が加えられます。最も大きな部分はフロントグリルライトの中に横線が入るデザインになったこと。高い位置でサイドの軸が通ったことで、伸びやかな印象になりました。また、エンジンフードのセンター部分にえぐったようなラインが通されます。これにより大型のSUVらしい塊感が強調されています。
フロントライトはこのマイナーチェンジでLEDタイプに変更。ライトは奥のほうに配置して、ラフロードを走行する際の破損のリスクを低減しています。
インテリアはセンタークラスターやインパネに金属削り出しのような加飾が施され、クールなイメージに。オプティトロンメーターには6眼メーターを採用。車両の状況がひと目で確認できるよう配慮されました。
そしてこのタイミングでトヨタの先進安全装備パッケージであるToyota Safety Sense Pを全グレード標準装備に。内容は以下のとおりです。
■歩行者検知機能付衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ
ミリ波レーダーと単眼カメラを用いて前方の車両や歩行者を検出し、警報、ブレーキアシスト、自動ブレーキで衝突回避支援および被害軽減を図るシステム。自動ブレーキは歩行者に対して約10~80km/hの速度域で作動。
■レーダークルーズコントロール(ブレーキ制御付)
ミリ波レーダーで先行車との車間距離を検知。設定車速内で先行車の車速に合わせて速度を調節しながら一定の車間距離で追従走行できるクルーズコントロール。
■レーンディパーチャーアラート
カメラで走行車線の白線や黄線を認識し、車線逸脱の可能性がある場合はブザーとディスプレイ表示でドライバーに警報を出して車線逸脱の回避を支援するシステム。
■オートマチックハイビーム
カメラによって対向車のヘッドライトや先行車のテールランプを検知し、ハイビームとロービームを自動で切り替えるシステム。
また、隣の車線の斜め後ろから近づく車両を検知して警告を出すブラインドスポットモニター、駐車場から後退する際に接近してくる車両をレーダーで検知してドライバーに注意喚起するリヤクロストラフィックアラートも設定されました。
【200系ランドクルーザーのおすすめモデル#1】2012年1月〜2015年7月のZXおよびAX Gセレクション
最初に触れておくと、200系ランドクルーザーの中古車はかなりの高値で推移しています。今回おすすめする初度登録から10年近く経過しているものでも、新車時とほぼ変わらない価格で販売されているケースも珍しくありません。
それでもランドクルーザーを手に入れたい。そう考える人が多いのも事実。
ランクルの中古車を買う際に、まず見ておきたいのはデザイン。2015年8月のマイチェン前後で顔つきが大きく変わっているので、どちらが好みかを検討してみましょう。派手すぎるのは苦手という人は前期モデルがおすすめです。
前期型でも最初期モデルは古いエンジンなので、4.6L+6ATになってからのモデルに的をしぼりたいところ。そして荒れた路面での走行性能を高めたマルチテレインセレクトも欲しいところです。おそらくほとんどの人は岩場などを走る機会はないと思いますが、自分の愛車がどんな場所でも走れて、そこから生きて帰ってこられる性能を持ち合わせていることは大きな価値になります。それを考えると2列シートのGXはターゲットから外したいところ。さらにシートヒーターなどの快適装備が備わることから、AX Gセレクション以上のグレードに的をしぼって探すのがおすすめです。
【200系ランドクルーザーのおすすめモデル#2】2015年8月以降のZX
押し出し感が強いデザインが好きなら、後期型のランクルがおすすめ。ただ、価格は新車時より高い傾向が当分続きそうなので、そこを理解した上で中古車を探してください。
エクステリアだけでなく、インテリアも6眼メーターを採用するなど大きく変化。これにより機能性が高まったのはもちろん、デザイン的にもモダンなイメージになりました。
デザイン変更だけでなく先進安全装備が前グレード標準装備になったので、オンロードでの安心感が欲しい人にもおすすめできるモデルです。
また、ラフロードを走っている時などに死角になるエリアの状態を確認できるマルチテレインモニターに、車両下の状況やタイヤ位置の確認が行えるアンダーフロアビューが追加されています。マルチテレインモニターはトヨタ純正のT-Connectナビゲーションシステムとのセットオプションなので、購入時はこの機能が備わっているかを店頭で忘れずに確認してください。
この世代に乗るなら、おすすめは上級グレードのZX。ドライブモードセレクトや、4輪アクティブ・ハイト・コントロール・サスペンションに加え、旋回時やブレーキング時の姿勢変化と不整地での接地性を高めるアダプティブ・バリアブル・サスペンション・システムなど、ZXにしか備わらないタフ機能を手に入れてください。
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【まとめ】どれだけ新しいSUVが登場しても、唯一無二の存在であり続けるモデル
空前のSUVブームで、世界中の自動車メーカーがさまざまなタイプのSUVを世に送り出す中でも唯一無二の存在であり続ける、ランクル。この世界観に憧れる人は、中古車がどれだけ高くても手に入れる価値を感じられるはず。時間をかけてでも、条件に合うものを探してみてください。