3つのカーオブザイヤーの違いと2022年の受賞車一覧

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毎年、年の瀬になると盛り上がるカーオブザイヤーの話題。1年が経つのは早いですね。今年もやってきました。さて、日本国内の『カーオブザイヤー』は3つあることはご存じでしたか?本記事では、それぞれの違いと2022年の受賞車を解説とともにお伝えします。

3つあるカーオブザイヤー

2021年は日産 ノートシリーズが、2022年も日産 サクラと三菱 eKクロス EV(姉妹車)が『3冠受賞』と、日産のディーラーでのぼりが立ったり、メディアが報じたりしています。すなわち、カーオブザイヤーは3つ存在します。

その3つとは『日本カー・オブ・ザ・イヤー』と『RJCカーオブザイヤー』、『日本自動車殿堂』。なお、このうち前者2つを『2大カーオブザイヤー』と表現しているところがありますが、日産が前例のない3冠を取り、それを大々的に宣伝していますので、時代が変わったといえるでしょう。

それでは、それぞれのカーオブザイヤーの特徴、選考方法などをまとめてお伝えします。

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日本カー・オブ・ザ・イヤー

はじまりは1980年。正式表記は中黒が入る『カー・オブ・ザ・イヤー』。略称は『COTY(コティー)』。主催者は、自動車雑誌を中心とした40弱の媒体で構成される『日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会』で、媒体を運営する法人に属する常勤役員ないしは社員が実行委員を務める。選考委員はモータージャーナリストを中心に最大60人が、実行委員の推薦と投票によって決まる。

選考は、前年11月1日から当年10月31日までに日本で発表・発売された国産・輸入車の乗用車を対象に、ノミネートされるが、この基準は明確になっていない。ノミネートされたもののうち、上位10台(これは『10ベスト(テンベスト)』と呼ばれている)がカー・オブ・ザ・イヤー各賞受賞の権利を得る。なお、選考期間が年をまたぐため、名称が『日本カー・オブ・ザ・イヤー 2021−2022』と表記されている。

本賞は『カー・オブ・ザ・イヤー』で、特別賞は開催年によって変化があるが、最近では『インポート・カー・オブ・ザ・イヤー』『デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー』『テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー』『パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー』『K CAR・オブ・ザ・イヤー』と『特別賞』となっている。なお、本賞が輸入車の場合、インポート・カー・オブ・ザ・イヤーは選ばれない。

毎年12月に行われる最終選考は、選考委員が各自25点を持ち、そのうち10点を1台に投じ、残りの15点を4台に任意に分配する方法となり、最も点数を獲得した1台が本賞のカー・オブ・ザ・イヤーを受賞する。なお、輸入車は、本国より遅れて日本市場に導入されることによる不公平を回避するため、輸入車の中で最高得点を獲得した1台が無条件でインポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するようになった(第25回の2004年から)。

RJCカー オブ ザ イヤー

はじまりは1992年。日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考は偏っていると批判をする人たちが集まってRJCカー オブ ザ イヤーがはじまったとされる。運営は『特定非営利活動法人日本自動車研究者ジャーナリスト会議(略称:RJC)』が行う。公式HPによると、表記は中黒を用いない『カーオブザイヤー』か、半角スペースで区切った『カー オブ ザ イヤー』が使用されている。年の表記は『2022年次』と年次の表記を用いている。

対象車は国産車と輸入車の乗用車、選考委員は40人で、フリーランスの自動車研究者とジャーナリストを中心に構成されている。毎年11月に、ノミネートされた車種のうち上位6台『6ベスト』を選出、12月に投票による最終選考が行われる。なお、ノミネートの基準や配点方法などは明示されておらず、最終選考の得点のみが公開されている。

賞は国産車の『RJCカーオブザイヤー』と輸入車の『RJCカーオブザイヤー』、『RJCテクノロジー オブザイヤー』で、このうちテクノロジー オブザイヤーは車種にではなく、車種に搭載された技術名に対して賞が与えられている。

また、開催年により功績があった人が受賞する『パーソン・オブ・ザ・イヤー』と、車種や技術など特定のカテゴリーによらない『特別賞』が選ばれている。

日本自動車殿堂 カーオブザイヤー

はじまりは、2001年。運営は『特定非営利活動法人日本自動車殿堂』、略称は『JAHFA(ジャファ)』。このNPOは、「日本における自動車産業・学術・文化などの発展に寄与し、豊かな自動車社会の構築に貢献した人々の偉業を讃え、殿堂入りとして顕彰し、永く後世に伝承してゆくことを主な活動」としており、前述2つのカーオブザイヤーとは方向性が異なり、人と車の両方にスポットをあてたものとなっている。

車とその技術にあてたイヤー賞は、国産車は『日本自動車殿堂カーオブザイヤー』、輸入車は『日本自動車殿堂インポートカーオブザイヤー』、国産車と輸入車両方のデザインとテクノロジーにスポットを当てた『日本自動車殿堂カーデザインオブザイヤー』と『日本自動車殿堂カーテクノロジーオブザイヤー』の4つがある。

年次は、前年度の東京モーターショー・プレスデーないしはそれに相当する日から1年間を対象期間としている。

選考委員は、選考準備委員会が選出した8名以上(評価理論にもとづく)の会員で構成され、評価項目は「実用・利便性」「経済性」「審美性」「先進性」「安全性」「環境性」などが設定され、選考委員の総合評価(必要に応じてAHP=階層分析法)をもって投票を行うとされている。なお、各賞で選考委員が異なり(複数賞を選考する委員もいる)、15〜20名で構成されている。

イヤー賞は、選考準備委員会が選定した「第1次ノミネート車」を選び、さらにその中から最大12台を「第2次ノミネート車」に選定、その次に選考委員が100点満点の総合評価で投票して、上位6台を選出、その中で最高点を獲得した1台が受賞となる。なお、上位6台のうち、上位3車の中に、明らかに同一カテゴリーとみなされる車が複数存在した場合はAHP(階層分析法)による評価を行い評価精度を高めている。

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日本カー・オブ・ザ・イヤー 2022−2023 受賞車

画像 メーカー 車種名 寸評
日本カー・オブ・ザ・イヤー 日産
サクラ三菱
eKクロス EV
軽自動車の規格に収めて、価格も抑えて日本のBEVの普及に貢献。走行性能も高く評価された。
インポート・カー・
オブ・ザ・イヤー
ヒョンデ
IONIQ 5
実用的な航続距離、高い走行性能、良好な乗り心地、充実した安全装備、V2Hの採用など総合的に高く評価された。
デザイン・カー・
オブ・ザ・イヤー
BMW
iX
BMWのアイデンティティ、キドニー・グリルを革新的に変化させ、新たな境地を切り開いたと評価された。
テクノロジー・カー・
オブ・ザ・イヤー
日産
エクストレイル
実用世界初の可変圧縮比エンジン『VCターボ』と、電動駆動4輪制御技術『e-4ORCE』を搭載、内燃機関とEVの革新的な技術が1台に集約されたと評価。
パフォーマンス・カー・
オブ・ザ・イヤー
ホンダ
シビック e:HEV
シビック タイプR
e:HEVは、洗練されたハイブリッドシステムでスマートな走りを見せるスポーツサルーンとして評価、タイプRは、優れたシャシー性能と空力、エンジンをはじめ高いパフォーマンスが評価された。

10ベスト

カー・オブ・ザ・イヤーの受賞には至りませんでしたが、10ベストにノミネートされたのは以下の6モデル。受賞しなかったからといって悪いクルマではありません。10ベストにノミネートされるだけでもすごいコトです。

トヨタ
クラウン
マツダ
CX-60
e-SKYACTIV D 3.3
日産
フェアレディZ
ルノー
アルカナ
ランドローバー
レンジローバー
スズキ
アルト

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RJCカーオブザイヤー 2022年次

画像 メーカー 車種名 寸評
RJCカーオブザイヤー 日産
サクラ三菱
eKクロス EV
軽自動車規格に日常使用で十分以上の航続距離、走行性能、上質な内外装、最新の安全装備など、実用EVとしての高い完成度が評価された。
RJCインポートカーオブザイヤー BMW
2シリーズ
アクティブツアラー
FFならではの広い居住空間を持ちながら、BMWらしい高い走行性能も実現したこと、先進性・上質感も高く評価された。
RJCテクノロジーオブザイヤー 「軽EVの電動化技術」 日産 サクラ
三菱 eKクロス EV
「軽EVの電動化技術」が受賞。小型化、低コスト化を実現、今後の小型EVの礎となる技術として高く評価された。

日本自動車殿堂

画像 メーカー 車種名 寸評
日本自動車殿堂
カーオブザイヤー
日産
サクラ三菱
eKクロス EV
国内EV試乗の拡大に貢献する軽規格で本格的なEVにしたこと、クラスを超えた力強い走り、安全性能の高さが評価された。
日本自動車殿堂
インポートカーオブザイヤー
メルセデス・ベンツ
EQS
高い空力特性と未来を感じる外装、完成度の高いEV専用プラットフォームなど、独自のテクノロジーが評価された。
日本自動車殿堂
カーデザインオブザイヤー
トヨタ
クラウン
クロスオーバー
環境・技術性能を融合したスマートな外装、使いやすさと楽しさを組み込んだ内装が評価された。
日本自動車殿堂
カーテクノロジーオブザイヤー
ドライバーズサポートと
緊急時対応の技術
マツダ CX-60
ドライバー異常時対応システム、ドライバー・パーソナライゼーション・システムなどが高く評価された。

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※この記事は、2022年12月時点での情報を元に執筆しています。

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