クルマに搭載される様々なものに電気を供給するバッテリー。クルマにとってなくてはならないパーツですが、バッテリーは消耗品なので定期的に交換する必要があります。バッテリーはどのくらいのサイクルで交換するべきか、交換するための費用などを解説します。
もっとも多いクルマのトラブルがバッテリー上がり
JAF(日本自動車連盟)によると、2020年度のJAFのロードサービス出動理由でもっとも多いのがバッテリー上がりになります。つまりクルマの修理で最も多いのがバッテリー絡みの修理といってもいいでしょう。
ちなみにここでいうバッテリーとは、ハイブリッド車やEVのモーターを動かすための駆動用モーターではありません。いわゆるエンジンのセルモーター(スターターモーター)を回したり、ヘッドライトを点灯したり、カーナビやエアコンを動かしたりするための電気を溜めているバッテリーのことを指します。駆動用バッテリーと区別するために、昨今では補機バッテリーと称して区別することもあります。
そんな補機バッテリーは、クルマの代表的な消耗部品のひとつとなります。つまり機能が落ちてくれば、新しいものに交換する必要があります。
なぜ機能が落ちてしまうのかといえば、充電と放電を繰り返すことで、バッテリーの構成物となるマイナス側の電極板にサルフェーションという結晶が付着してしまうから。サルフェーションは電気を通さないため、充電に支障が生じるようになり、バッテリー上がりにつながってしまうのです。
バッテリーの交換サイクルは?
それでは、どれくらいの期間が経過すると、バッテリー上がりが発生するようになってくるのでしょうか?一般的にいわれているバッテリー交換サイクルを見てみましょう。
軽自動車:3年
ガソリンエンジンの乗用車:2~5年
アイドリングストップ付き:2~3年
ハイブリッド車:4~5年
おおよそ上記の期間が、バッテリーの交換時期となります。アイドリングストップ機能の付く車種は、消費電力が大きなセルモーターを頻繁に回す必要があります。しかもエンジンが停止していてバッテリーが充電されていない状態(バッテリーはエンジンの動力を利用して発電するオルタネーターから充電されています)でもナビ、オーディオ、さらにはライトなどの灯火類が電気を消費します。そのためバッテリーの劣化が早く、結果的に交換サイクルも短くなってしまうのです。
バッテリーの交換目安について詳しく知る
バッテリーへの負担が大きい乗り方がある
もちろんアイドリングストップ車は、エンジンがかかっていない状態も想定して設計されており、バッテリーも専用品が装備されています。だから短くなっているとはいえ、2~3年というバッテリー交換サイクルを保つことができるのです。
ちなみにアイドリングストップ機能の付いていないクルマでも、使い方によってはアイドリングストップ車と非常に近い使用状況となっていることがあります。
例えば10分程度の運転を繰り返すような使い方もそのひとつ、またエンジンをかけたまま停車して、クルマの中で動画を観たり、エアコンやヘッドライトをつけたままにしたり、スマホやタブレットを充電したりするのも、アイドリングストップ時とそれほど変わらない状態であることも知っておきましょう。アイドリング領域ではオルタネーターはそれほど発電してくれてはいないのです。
そのような使い方をしているクルマは、バッテリーの交換サイクルが著しく短くなっている可能性が高くなります。「バッテリー交換をして1年しか経っていないのに、バッテリーが上がった」なんていう方は、クルマの使い方を確認されたほうがいいかもしれません。
バッテリーの交換費用は?
バッテリーが上がるようになってしまったら、運が良ければ補充電(オルタネーターからではなく、バッテリー充電器を用いて充電を行うこと)するだけで解決することもありますが、多くの場合、バッテリーを交換することになります。
かつてはクルマに必要な電力がそれほど大きくなかったので、ガソリンエンジンの乗用車用であれば、高くても実勢価格で1万円も出せばバッテリーを購入できました。
しかし昨今の乗用車はバッテリーからの電力を必要とする部分が大幅に増えており、結果として大容量のバッテリーを搭載するクルマが多くなっています。またアイドリングストップ機能対応のバッテリーは一般的なバッテリーよりも高性能なものとなります。
そのような大容量バッテリーや高性能バッテリーは、当然ながら高価なので、バッテリー交換を整備工場に依頼すると数万円の請求書が届くことも珍しくはありません。
ちなみに国産乗用車の場合のバッテリー価格は実勢価格として5,000~4万円ぐらい。交換費用は高くても数千円レベルとなります。
バッテリーの種類は?
カー用品店のバッテリー売り場に多くのバッテリーが展示されているのをご覧になった方も多いと思います。バッテリーにはまずサイズ的な種類と、構造(性能)的な種類があるので、バッテリーの売り場には多数のバッテリーが陳列されているのです。
まずはサイズ。国産の標準車のバッテリーには、60B19Lといった型式が記されています。それぞれの数字やアルファベットには意味があり、60は性能ランクを示し、Bは短断面(バッテリーを真上から見ると長方形をしています。その短いほうの辺を今度は真横から見たときの面)のサイズ、19は長側面の長さ(バッテリーを真上から見たときの長いほうの辺の長さ)、最後のLはバッテリー上面に備わる端子が左右どちらにあるかを示します(L:左側、R:右側)。
ハイブリッド車用のバッテリー(補機バッテリー)は標準車と基本的には同じで、型式の先頭にハイブリッド車用とわかる記号が付きます。アイドリングストップ車用はよりわかりやすい型式表示に電池工業会が型式を一新し、例えばM-65Rといった表示になっています。それぞれの意味としては、Mが外形寸法、65が性能ランク、Rが端子の位置を示しています。
続いて構造(性能)的な種類。大分類としては、開栓型かメンテナンスフリー型かに分類できます。
開栓型はカーバッテリーの基本形。バッテリー液(希硫酸)はバッテリーが充放電をするのに伴い蒸発するため、こまめに液量を確認し減っていればバッテリー補充液(純水)を補充する必要があります。
メンテナンスフリーバッテリーは、開栓型のメンテナンスの煩わしさをなくすために誕生したバッテリーとなります。気密性が高くバッテリー液の減少が少ない構造となっています。
このほか、アイドリングストップ車やハイブリッド車向けにオルタネーターからの充電が途切れることを前提に、充電性能などを高めたバッテリーが用意されています。
バッテリー交換サイクルを延ばすには?
消耗品となるバッテリーですが、交換費用が前述のように侮れない価格の車種も多くなってきました。
また1万円以下でも購入可能なバッテリーを搭載する車種(主にアイドリングストップが備わらない軽自動車やコンパクトカー)は、元々の対応消費電力量があまり大きくないので、使い方によってはバッテリーの劣化が早くなる傾向にあります。
いずれは交換する必要のあるバッテリーとはいえ、その交換サイクルを延ばせるなら、延ばしたいと思う方も少なくないはずです。
1ヵ月に1度ぐらいは、日中に渋滞や交差点(つまりは信号)の少ない道を30分以上ドライブする、これだけでもバッテリーが満充電となるので劣化を遅くすることができるはずです。
これが難しいようなら、バッテリー充電器を購入して、自宅で補充電するのもいいでしょう。昨今ではバッテリーの劣化の元となるサルフェーションを充電しながら除去するパルス充電器が比較的安価に買えるようになっています。
もちろん整備工場でもバッテリーの状態確認や補充電を行ってくれますので、プロに任せられればそれにこしたことはありません。
ただ補充電は急速充電してしまうと効果が薄れるばかりか、バッテリーの劣化を進める原因にもなりかねません。低電流で時間をかけて充電する必要があるので、クルマを預ける必要があります。そのような理由もあり、歩いて帰れる範囲に整備工場がある場合は、依頼するのもありでしょう(もちろん有料のサービスになります)。
バッテリー交換時に注意すべきこと
バッテリーの交換はDIYでもできなくはありませんが、感電やショートに対する知識と注意が必要です。
また、最近のクルマはECUと呼ばれる制御基板を複数装着しており、車両の経年・状態に合わせて制御数値を補正する学習機能を持つメモリーを搭載しています。バッテリーの交換を行うと、このメモリーの数値が初期値にリセットされる可能性があります。
整備工場ではバッテリー交換時にメモリーを保持させるためにECUに電力を供給する「メモリーバックアップ」という装置を使用することが多いようです。また、メモリーがリセットされた場合、車種によっては交換後の始動前に再学習のためにACCポジションで10秒待つ、などの手順が必要な場合もあります。さらに使用済みとなったバッテリーの廃棄処分も整備工場などであれば手間いらずです。
ディーラーや整備工場などでのバッテリー交換がおすすめな理由は、こんなところにもあるのです。
「カープレミアガレージ」とは
「カープレミアガレージ」では、国家資格を持った整備士が点検に対応するため、クルマに関する疑問点や不安点は何でもご相談いただけます。また、定期点検などのサービスも行っているため、長期的なクルマの管理も安心して任せることができます。
また、カープレミアでは「カープレミアパーツ」としてリビルト・中古部品を推奨しており、自社グループ会社においても、リユースの生産から販売まで自社工場を有し低価格の実現を進めています。
「カープレミアパーツ」とは?
カープレミアのグループ会社が提供する自動車パーツです。整備・修理の際に、主に「中古・リビルト部品」といった「リサイクル・リユース部品」などの低価格で安心のパーツを提供しています。
中古・リビルト部品って何?
中古部品(リユース)は、使用済み自動車等から取外され、テスターによる点検、清掃などを行い商品化された部品です。リビルト部品は、中古部品(コア)を分解洗浄、消耗品交換や故障個所の交換を行い、性能をほぼ新品同等に回復させた部品です。
リビルト部品をオススメする理由
1.新品部品を利用するよりもコストパフォーマンスが良い事
2.リサイクル、リユースといった資源の有効活用に繋がること。
3.品質基準をクリアした部品で安心して使用できること。
中古・リビルト部品のメリット
新品部品と比較して部品にもよりますが、20%~30%ほど部品代金が抑えられるケースがあります。
その他、万が一の故障時に0円で修理対応する故障保証や、24時間365日対応可能なロードサービスなどのサポートも充実しています。安心・快適なカーライフは、「カープレミアガレージ」にお任せください。
※故障保証の利用は車両購入時に別途加入が必要です。
バッテリーは必要になったら迷わず交換を
バッテリーが上がってしまうとクルマに搭載される電装品が動かせなくなるだけでなく、エンジンをスタートできずに走行できなくなります。だからこそバッテリーは定期的に点検し、必要があれば急いで交換してください。これがいつでもクルマを快適に利用するコツになります。
※この記事は、2022年5月時点での情報を元に執筆しています。