2022年2月28日発表、同年4月下旬にマイナーチェンジされて発売された「日産キャラバン」の試乗レポートをお届けします。三菱のディーゼルエンジンに、スカイラインのトランスミッションを組み合わせた、実質ビッグマイナーチェンジです!
「日産 キャラバン」とは?
日産 キャラバンは、キャブオーバータイプの商用バン・ワゴンで、初代は1973年にデビュー、現行モデルは2012年にフルモデルチェンジを受けた5代目となるロングセラーモデルです。
キャブオーバーとは、エンジンがフロントシートの下部にあり、前輪もフロントシートの下部に位置する形状のボディタイプのことをいいます。この形状では、ホイールベースが短くなり、直進安定性には欠けますが、小回りがよく利き、前席の足元空間や荷室が広く取れるというメリットがあり、商用車に多く採用されています。
ボディサイズは、4・5ナンバー枠目一杯の大きさのものをベースに、ワイドボディ、ロングボディのフルサイズをラインナップしています。
マイナーチェンジの変更点
トランスミッションはスカイラインと同じ7速ATへ多段化
現行モデルのガソリン車は、ディーゼル車よりも先の2021年10月20日にマイナーチェンジを実施。車名は、それまでの「NV350 キャラバン」から4代目までの車名「キャラバン」に戻されました。
このマイナーチェンジで、それまでの5速ATから7速ATへ多段化されました。この7速ATは「7M-ATx」という名称のトランスミッションで、北米市場で販売されている大型ピックアップトラックのナバラ、大型SUVのパトロール、日本市場ではスカイラインなどに採用されています。
エンジンは三菱の新開発ディーゼル
新型キャラバン ディーゼルのエンジン形式は「4N16」。三菱ファンならお気付きかと思いますが、「4N1●」は、三菱のディーゼルエンジンの形式名称です。
三菱のクリーンディーゼルは、「4N13」からはじまり「4N15」までが存在していました。4N16は、今回の新型キャラバンに搭載するために新開発されたものになります。
日産は、三菱とルノーの連合となっており(仲がいいようには見えませんが……)、そのアライアンスを活かして、ディーゼルエンジンが得意な三菱と、トランスミッションを開発生産する日産グループのジヤトコ(三菱はトヨタ系のアイシン)を組み合わせたわけです。
新型キャラバン ディーゼルの最高出力は132ps/3,250rpm、最大トルクは377N・m/2,000rpm。マイナーチェンジ前の最高出力129ps・最大トルク356N・mより向上しています。
シートも改良し乗り心地・快適性を向上
新型キャラバンはパワートレインの変更点が目立っていますが、地味ですがシートも改良、これが実に乗り心地と快適性に大きな貢献をしています。
ハイエースのシェアを着実に奪いにいっている新型キャラバン
キャラバンの永遠のライバルは、トヨタ ハイエース。日産はキャブオーバーバン・ワゴンのシェアを拡大しようとがんばってはいるものの苦戦。シェアは約7割がハイエース(姉妹車を含む)でしたが、今回のガソリン車・ディーゼル車のマイナーチェンジで販売台数を伸ばしています。
特に、新型キャラバンは個人ユーザーからの支持を獲得しています。グレード構成も個人向けの豪華仕様「グランド GX プレミアム」、AUTECHなどがライナップ、仕事とプライベートの両方で使いたい個人事業者ユーザーも獲得しています。
ワインディングが楽しいキャブバン
新型キャラバン ディーゼルは、とてもよく走ります。エンジンのトランスミッションのそれぞれの素性の良さに加えて相性も良い、日産らしさを感じる楽しい走りを見せます。
アクセルを踏み込んでからの応答性が良く、意のままに走る新型キャラバン。ワインディングを走るのが楽しいキャブバンでした。
試乗時は空荷でしたが、リアサスペンションの跳ねがそれほど気にならず(最大積載量1,000kg/2名乗車時の貨物車ですから、それなりの硬さは確保されている。空気圧は空荷時の指定空気圧で走行)、プライベートユースで嫌になることはないでしょう。
【動画】静岡・山梨の県境「三国峠」を走る!
★youtubu動画のリンク
【総合評価】
筆者が試乗したクルマを、10項目×5段階で評価、★1個を2点として100点満点の総合評価として採点します。各項目、評価の理由をお伝えしますが、あくまで筆者のインプレッションによるものですので、ご参考としてご覧ください。
No. | 項目 | 評価ポイント |
---|---|---|
1 | 内外装デザイン | デザインの良さ、ボディカラーやインテリアカラーのバリエーションなどを評価 |
2 | エンジン・トランスミッション | パワートレインの良し悪しを評価 |
3 | 足回り | 乗り心地の良さ、操縦安定性などを評価 |
4 | 燃費・電費 | 燃費、電費を評価 |
5 | 居住性 | 室内空間の広さ、静粛性などの快適性を評価 |
6 | 装備・使い勝手 | 装備の充実度、使い勝手の良さを評価 |
7 | 安全装備・運転支援 | 予防安全技術、運転支援システムなどの先進技術装備を評価 |
8 | 価格 | コストパフォーマンスの良さ、お買い得感を評価 |
9 | 乗りやすさ | 小回りが効くなどの取り回し性の良さ、普段使いでの運転のしやすさなどを評価。 |
10 | クルマの愉しさ | スペックを考慮しないで、純粋にクルマを所有するよろこびや、ドライビング・プレジャー(走る愉しさ)を筆者の独断と偏見で評価 |
1 | 内外装デザイン | ★★★★ | 商用キャブバンなのでデザインの自由度は少ないが、新しくなったフロントマスクは好感度アップ。メーター周りやステアリングなどが乗用車ライクでこれまた好感度アップ。 |
---|---|---|---|
2 | パワートレイン | ★★★★★ | 新開発エンジン+7速ATの組み合わせは◎。意のままに走る。 |
3 | 足回り | ★★★★ | 商用車基準で評価。乗用車基準で評価するなら、プライベートユースでも問題なしのレベルに達している。ただ、空荷走行しか体験していない。 |
4 | 燃費 | ★★★★ | WLTCモード燃費11.3km/L(2WD)の8割方はいく。ハイエース ディーゼル 2WD スーパー GLの9.2km/Lより上。 |
5 | 居住性 | ★★★★★ | キャブバンならではの広大な室内空間。 |
6 | 装備・使い勝手 | ★★★★ | 最上級グレードだけあって商用バンにしては十分な装備。 |
7 | 安全装備・運転支援 | ★★ | エマージェンシーブレーキ、踏み間違い防止などの先進安全装備は備えるが、プロパイロットはオプション設定もない。プラットフォームが対応していないため仕方ないが、それ以外、商用バンとしては日産らしい先進技術をひととおり装備する。 |
8 | 価格 | ★★★ | ボディサイズが大きいことを考えるとこんなものか。 |
9 | 乗りやすさ | ★★★ | 乗りやすい大きさではないが、扱いやすい。 |
10 | クルマの愉しさ | ★★★ | 商用バンとしてはおもしろい。個人的にはハイエースより走りの愉しさはアリ。 |
「商用キャブバンはハイエース」と決めている方、一度は新型キャラバンに乗っていただきたい、そんなクルマでした。
(撮影・文:宇野 智)
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※この記事は2022年7月現在の情報に基づいています。