クルマのタイヤを留める部品には、ナットとボルトの2種類あります。それぞれの特徴や、選び方のポイントをお伝えします。
ナットとボルトの違い
この画像は、下がナット、上がボルトです。
ボルトは、金属の棒にねじを切って、棒の一端に直径より大きい締め付け用の頭(六角形が多い)があるもので、ナットはボルトなどねじが切られた部分の山と直径にぴったりと合わせて作られた穴があり、回転しながら締め付けるものです。
ナットには、上の画像のものように貫通した穴があるタイプと、「袋ナット」と呼ばれる貫通した穴がなく、頭が袋状になったもの、ナットの両端に手で締め付け・緩めができる羽がついた「蝶ナット」などがあります。
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国産車はナット、外車はボルトを採用。その理由は?
国産車は、タイヤをナットで留める、ナット固定式が主流で、輸入車はボルトで固定するボルト固定式が主流となっています。
なぜ国産車はナット式で輸入車はボルト式が主流なのか?
タイヤ交換のとき、ホイールの穴と車体側のハブとの位置を合わせやすいのがナット固定式です。
ナット固定式(ナット式)は、ホイール取付け時のガイドの役割にもなるハブにスタッドボルト(ハブボルトとも)を備えているため、ホイールの穴にスタッドボルトを通すようにして取り付けができる点が優れます。
ボルト固定式(ボルト式)は、ホイールの穴とハブの穴の位置を合わせてからボルトを入れていきます。ナット固定式なら、道具を使わずにタイヤを取り付けることができますが、ボルト固定式は、タイヤとハブの位置を合わせながらボルトを入れ込むため、タイヤを支える道具がなければ、一人で取付け作業するのは非常に困難です。
作業性ではナット式が有利。締め付け剛性ではボルト式が有利。
車体とホイールの結合部分に着目すると、ナット式はスタッドボルト(ハブボルト)とハブの結合部分と、スタッドボルトとナットの結合部分の2点となります。ボルト式はボルトの結合部分の1点のみとなります。
結合部分は少ないほうが、締め付けたときの剛性(ものが変形しないように抵抗する性質)は高くなります。例えば、タイヤがもげるような尋常ではない力が加わったとき、接合部分が少ないほうが有利です。ナット式では、ハブとスタッドボルトの接合部分が先に破断するか、ナットとスタッドボルトの接合部分が先に破断するかどちらかになるだけで、破断リスクはボルト式の単純に倍です。
輸入車は、国産車より平均移動速度が高く設定されて設計されます。ドイツの制限速度上限なしのアウトバーンがあり、フランスの高速道路の制限速度は130km/hが基本で、欧州の農村部の平均移動速度は80km/h以上といわれています。
速度が高いとホイールとハブの接合部分への負担も高くなります。このことから、輸入車ではボルト式、国産車ではナット式が主流になっています。
なお、国産車でもグローバルで販売するモデルにボルト式の採用が増えています。特にトヨタはナット式からボルト式に移行しつつあります。例えば、レクサス ISはマイナーチェンジ時に、ホイール接合部分の剛性を高めるためにボルト式に変更されました。
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【事故の元】タイヤ交換時にナットの締め付け過ぎに注意
タイヤ交換時にナットを締め付ける力が強すぎると、スタッドボルト(ハブボルト)ないしはナットの山がつぶれてしまい、走行中に緩んでタイヤが外れてしまうことがあります。
タイヤのナットを締めるときのトルクは?
タイヤ交換時にホイールを取り付けるときには、自動車メーカーが指定するトルク(締め付ける力の強さ)が指定されています。
タイヤのナット締め付けトルクは、普通車で100〜120N・m、軽自動車で80〜100N・mがよくある規定値です。
このため、タイヤ交換時には、規定トルクで締め付けられるよう「トルクレンチ」を使用してタイヤを取り付けるのが基本です。
外出先でパンクしてスペアタイヤに交換するときなど、トルクレンチがない場合でナットを締めるときは、レンチに足を乗せて体重をかけるのは厳禁です。ねじ山がつぶれる原因となります。この場合は、手の力だけで緩まないようしっかりと締め、タイヤ交換後はあまりスピードを出さすにしばらく走行し緩みがないかどうかを確認、必要に応じて増し締めをするようにしてください。
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それでも締め付けトルクはあくまで目安
自動車メーカーは、ホイールに限らず、あらゆるナット、ボルトに締め付けトルクを規定しています。
しかし、締め付けトルクは「これくらいの力で締めれば外れない・パーツが破損しない」ための目安です。
ボルトとナットが締結する力は、締め付けトルクではなく「軸力」です。
エンジンのスペックにも使用されるトルクとは、軸が回転するときの回転力のことで、簡単にいえば「この軸は、○kgの重さのものを巻き上げることができますよ」という力の強さを示すものです。
ボルトを締めたとき、締め付け部分が軸方向に引っ張られ、同時に元に戻ろうとする力が発生します。この引っ張りと元に戻ろうとする力を利用して2つのものを固定します。これは、ばねを引っ張ったときに、元に戻ろうとする力と同じです。
例えば、2枚の板に(かまぼこ板を想像してください)、そこそこ強いバネを接着し、板を両手で広げると、ばねが戻ろうとする力を手に感じるでしょう。その力が、ボルトとナットでいう軸力のことになります。
本来なら、ナット・ボルトの締め付けはトルクではなく、軸力で管理されるべきですが、軸力は簡単には測定できません。どうしても軸力を計測したいときは「超音波ボルト軸力計」を使いますが、一般的な測定器ではありません。
そこで、メーカーは「このトルクで締め付ければ、確実にこの軸力は得られる」という計算をして、締め付けトルクを規定しています。
ここでポイントとなるのが、どのナット・ボルトを使うかです。
例えば、ねじ山が錆たナットは、同じトルクで締め付けても軸力は弱くなります。同じばねでも、錆びたばねと新品のばねでは、伸ばしたときの耐久性は異なり、錆びたばねはちぎれてしまうでしょう。ボルトとナットも同じです。
また、ナットやボルトのねじ山に油分や水分が付着すると軸力は落ちます。
締め付け規定トルクは、状態の良いボルト・ナットを使うことが前提となっています。
熟練した自動車整備士の中には、トルクレンチを使用せず、手で締め付けたときの軸力を感じながら、ボルトやナットの状態にあわせて締め付けるという、手ルクレンチともいわれる方法を使う人がいるようです。
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ホイールナットの種類
クルマのタイヤを取り付けるナットは「ホイールナット」や「ラグナット」などと呼ばれています。いくつかの種類がありますので、ホイールナットを買うときには注意が必要です。
ナット形状は3タイプ
ナット形状は以下の3タイプがあります。
平座面
トヨタの純正ホイールに採用されている、座面が平らなナット。
球座面
ホンダの純正ホイールに採用されている、座面が球状になっているナット。
テーパー座面
ほとんどの国産車で採用されている、座面の先端に向かって細くなっているナット。
ナットのサイズ
ボルトの直径と、ピッチ(山と山の間隔)の2点の組み合わせでナットのサイズが無数にわかれています。
ナットのサイズと表記
ナットのサイズは「M12×P1.5」という表記をします。Mはボルトの直径、Pはピッチサイズを示しています。
仕様
ナットのおもな仕様のひとつが、貫通タイプが袋ナットタイプかの形状です。前述した平座面、球座面、テーパー座面の各画像は、すべて袋ナットタイプ、本記事冒頭の画像が貫通タイプです。
このほか、材質による仕様の違いがあります。スポーツ走行するクルマのため、軽量化を目的としたジュラルミン製のものなどがあります。
ホイールナットの選び方
ホイールナットのメーカーのHPにある適合表から、クルマにあったナットを調べることができます。通常タイプのものであれば、色がメッキか黒かになるぐらいで、ほとんど選択肢がありません。
スポーツ走行をするためや、ドレスアップ目的のナット交換であれば、さまざまなショップやメーカーがそれぞれの独自製品を販売していますので、選択肢が増えます。
おすすめホイールナット
スポーツ走行・ドレスアップ目的のナット交換は、目的や好みが千差万別になりますので、ここでおすすめとして掲載してしまうと偏りが出てしまいます。ここでは、「普通のナットでいい」という方向けのおすすめホイールナットを紹介します。
KYO-EI
「普通のホイールナット」を販売する国産メーカーは、KYO-EI(協栄産業)ぐらいしか見当たりません。価格も手頃でおすすめです。
スタッドレスタイヤに履き替えやタイヤ交換のとき、ナットはそのまま流用してOK?
基本的には、そのまま流用してかまいません。ただ、ねじ山が錆びていたら、スタッドボルト(ハブボルト)と一緒にナットも交換することをおすすめします。
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愛車のタイヤ交換は安心でお得な整備工場へ!〜「カープレミア」とは
「カープレミアガレージ」では、国家資格を持った整備士が点検に対応するため、クルマに関する疑問点や不安点は何でもご相談いただけます。また、定期点検などのサービスも行っているため、長期的なクルマの管理も安心して任せることができます。
また、カープレミアでは「カープレミアパーツ」としてリビルト・中古部品を推奨しており、自社グループ会社においても、リユースの生産から販売まで自社工場を有し低価格の実現を進めています。
「カープレミアパーツ」とは?
カープレミアのグループ会社が提供する自動車パーツです。整備・修理の際に、主に「中古・リビルト部品」といった「リサイクル・リユース部品」などの低価格で安心のパーツを提供しています。
中古・リビルト部品って何?
中古部品(リユース)は、使用済み自動車等から取外され、テスターによる点検、清掃などを行い商品化された部品です。リビルト部品は、中古部品(コア)を分解洗浄、消耗品交換や故障個所の交換を行い、性能をほぼ新品同等に回復させた部品です。
リビルト部品をオススメする理由
1.新品部品を利用するよりもコストパフォーマンスが良い事
2.リサイクル、リユースといった資源の有効活用に繋がること。
3.品質基準をクリアした部品で安心して使用できること。
中古・リビルト部品のメリット
新品部品と比較して部品にもよりますが、20%~30%ほど部品代金が抑えられるケースがあります。
その他、万が一の故障時に0円で修理対応する故障保証や、24時間365日対応可能なロードサービスなどのサポートも充実しています。安心・快適なカーライフは、「カープレミアガレージ」にお任せください。
※故障保証の利用は車両購入時に別途加入が必要です。
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※この記事は、2023年3月時点での情報を元に執筆しています。