ライバル対決「トヨタ ノア(2022年〜)vs ホンダ ステップワゴン(2022年〜)」家族に遊びに便利なミドルサイズミニバン、買いはどっち?

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小さな子供のいるファミリーに絶大な人気を誇るのが、広大な室内空間を持つミドルサイズミニバンです。現在はトヨタのノア/ヴォクシーの兄弟車と、ホンダ ステップワゴン、日産 セレナがしのぎを削っていますが、2022年、ノア/ヴォクシーとステップワゴンが相次いでフルモデルチェンジしました。そこでノアとステップワゴン、2台の最新のミドルミニバンを比較してみたいと思います。

【外観スタイル】スクエアでシンプルなステップワゴンが目を引く

トヨタ ノア G

トヨタ ノア S-Z

ホンダ ステップワゴン エアー

ホンダ ステップワゴン スパーダ

2022年1月に発売された新型ノアは、人気の高かった先代モデルの正常進化と言えるデザインを採用。大きなフロントグリルとブラックアウトされたDピラーにより迫力と軽快感が与えられています。なお、標準系(Z/G/X)とエアロ系(S-Z/S-G)の2つをラインナップするのも先代同様で、エアロ系には大迫力の大型メッキグリルを採用しています。

3サイズは、全長4695mm×全幅1730mm×全高1895mm(4WDは1925mm)となり、全車3ナンバー化。全幅は先代エアロ系の1735mmに近いサイズとなりました。ボディカラーはグレードにより5または6色をラインナップしています。

一方、1月にスタイリングを公開し5月に正式発表となったステップワゴンはエクステリアが大幅に変更され、水平基調のスクエアなデザインとなりました。こちらも標準系となる「エアー」とエアロ系の「スパーダ」をラインナップしていますが、特徴的なのはフロントマスク。ノア/ヴォクシーや日産セレナ、そして先代ステップワゴンなどに採用される大型のメッキグリルを採用せず、両グレードで横基調のシンプルな造形としています。

なお、ステップワゴンも全幅を拡幅し、3サイズは4800mm(スパーダは4830mm)×全幅1750mm×全高1840mm(スパーダプレミアムラインは1845mm、4WDは1855mm)となりました。全幅の拡大とともに、全長が4800mmを超えたのもトピックです。設定されるボディカラーは5色ですが、エアーとスパーダではラインナップが異なります。

【インテリア】装備内容は近いが使い勝手には差がある

トヨタ ノア

ホンダ ステップワゴン

両車ともに横基調の広さを感じさせるインテリアデザインを採用。ロングスライドできる2列目のキャプテンシートも同じで、ミニバンらしい多彩なアレンジが可能です。

ただし、ステップワゴンの2列目をロングスライドさせるには左右席を中央に寄せなければなりませんが、ノアはその必要がありません。逆に、ステップワゴンに備わる横スライド機構は、ノアには搭載されていません。

快適性を高めるオットマンは、ステップワゴンがスパーダ以上で標準装備になり、ノアはS-ZとZでオプションです。なお、両モデルとも一部グレードを除き2列目がベンチシートとなる8人乗り仕様も用意されています。

3列目のシートのサイズはノアの方がやや大きいものの、クッションはステップワゴンの方が厚く、座り心地や前方の視界はステップワゴンの方が上です。

室内の寸法は、ノアが室内長2805mm×室内幅1470mm×室内高1405mm、ステップワゴンはそれぞれ2845mm×1545mm×1410mmです。数値の上ではステップワゴンの方が横方向の余裕が大きいですが、実際の感覚ではほぼ同等と言えるでしょう。

インパネは、角に丸みを持たせたすっきりとした造形のノア、明確に上下2段に分けたステップワゴンという違いがあります。ノアは要所にメッキパーツを用いて質感をアップ。ステップワゴンはエアーにファブリック、スパーダに合皮のソフトパッドを採用した心地いい室内を作り上げています。

【ラゲッジ】使い勝手ではノアの3列目跳ね上げ式が有利

トヨタ ノア

ホンダ ステップワゴン

フル乗車時のラゲッジスペースは、3列目の格納方法によって差があります。左右跳ね上げ式のノアのラゲッジはフラット、床下収納式のステップワゴンは大きなくぼみがあります。このくぼみの分ステップワゴンの方が荷室容量は大きいですが、ノアのフロア下は収納スペースになっているため、使い勝手ではノアの方が上と言えます。

3列目の格納方法はいずれも先代を踏襲したもので、ステップワゴンは左右6:4分割での床下収納式を採用。一方ノアは5:5分割の左右跳ね上げ式ですが、改良を受けてロックを外すと背もたれが倒れて跳ね上がり、側面に押し込むと自動で固定されるので非常に使いやすいです。

それぞれの利点は、ステップワゴンは床下収納のため後方左右の窓が使え、2列目を最後端に下げても開放感があること。ノアは通常のラゲッジスペースに荷物があっても3列目を格納できることでしょう。

ラゲッジにアクセスするリアゲートの電動機構は、ステップワゴンはスパーダ以上のグレードで標準装備、ノアはS-ZとZにオプション設定となります。ノアのパワーバックドアは車体側面後方にもスイッチを設け、手動タイプも開閉途中でストップできるフリーストップバックドアとして利便性を高めています。

【装備】先進装備はノアの圧勝。ステップワゴンは心地よさで勝負

※写真は兄弟車のヴォクシー

トヨタ ノア

ホンダ ステップワゴン

ノアの装備で注目は、ベースグレードを除きオプション設定となる高度運転支援技術「トヨタチームメイト」のアドバンストパークでしょう。

これは前向きやバック駐車を自動で行うもので、アクセルやブレーキ、ハンドル操作の必要がありません。さらにハイブリッド車は専用スマホアプリを使うことで車外にいても駐車と出庫を可能とするリモート機能も備える最先端の機能となっています。

プラットフォームを一新したことで先代モデルよりもフロア高が上がったノアですが、安価な助手席側ユニバーサルステップをオプション設定しています。これはスライドドアと連動した機械式で、33,000円と選びやすい価格設定。装着するとステップ高が200mmに下がるので、小さなお子さんやご高齢の家族がいるファミリーに非常に役立つ装備となっています。

ステップワゴンは、2列目キャプテンシートの横スライド機構に注目です。ノアはこの機能なしにロングスライドを実現したこともあり搭載していませんが、ステップワゴンは乗車定員こそ変わらないものの、2列目を中央に寄せればベンチシート風に使うことができ、チャイルドシートを装着したときなどはお子さんの近くに座ることができます。

もう1つは、水平のベルトラインが作り出す快適な車内です。後席になるほどヒップポイントを高くするエレベーションにより後席からの前方視界も改善。これらにより視野を安定させ、乗り物酔いしにくい車内を作り出しています。同時に、ダッシュボードとボンネットの見切りをベルトラインに合わせたことで、車両感覚をつかみやすくしています。

【先進安全装備】基本装備に差はないが、ノアはオプションで一歩先を行く

トヨタ ノア

ホンダ ステップワゴン

歩行者や自転車にも対応する緊急自動ブレーキ、全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロール(ACC)、車線の中央を維持して走行する車線維持システム、アクセルとブレーキの踏み間違い事故を防ぐ前後方向の誤発進抑制機能などの先進安全装備は両車ともに標準装備しています。

左右後方を走行する車両を検知するとインジケーターで注意を促すブラインドスポットモニターは、ステップワゴンはスパーダ以上に標準ですが、ノアはGグレード以上に安心降車アシスト(斜め後方からの接近車両を検知して警告を出したりスライドドアのオープン動作を停止させたりする機能)とともにオプション設定されています。

また、前走車や対向車がまぶしくないようヘッドライトの配光を変えるアダプティブヘッドライトは、ステップワゴンはスパーダ プレミアムラインにのみ標準で用意、ノアはZとS-Zグレードにオプション設定となります。

ノアの緊急自動ブレーキは、交差点での出会い頭の衝突にも対応。歩行者が急に車道に飛び出してくる可能性を考慮して走行車線をずらすプロアクティブドライビングアシストも全車に標準搭載しています。

また、高速道路上や自動車専用道路での渋滞時(40km/h以下)でACCと車線維持システムが作動中にはステアリングから手を離すことが可能なアドバンストドライブと、歩行者や自転車などと衝突の可能性が高い場合に車線内に余裕があれば操舵支援を行って衝突を回避する緊急時操舵支援はXグレードを除きオプション設定されています。

アドバンストドライブ作動時には、ドライバーの異常を検知すると警報を出しつつ減速し、ハザードとホーン、ストップランプで車外に異常を伝え、減速して停車。ドアを自動解錠しヘルプネットによる救命要請も行うドライバー異常時対応システムも使用できます。

ステップワゴンは渋滞時でも車線の中央を走るようアシストするトラフィックジャムアシストを標準搭載しますが、ノアのように手を離すことはできません。一方で、走行中に路側帯の人と衝突しそうなとき、音とディスプレイの警告とともにステアリング操作支援も行って回避する歩行者事故低減ステアリングは全車に標準装備されます。

このように機能ではノアの方が優れているものの、オプション設定が多い点には注意が必要でしょう。

【パワートレイン】いずれもガソリン車とハイブリッド車をラインナップ

トヨタ ノア

ホンダ ステップワゴン

ノアも1.8Lのハイブリッドと2Lガソリン車を用意。ステップワゴンはハイブリッドのe:HEVと1.5Lターボのガソリン車を設定しています。

ノアのハイブリッドシステムは、トヨタが得意とするシリーズ・パラレルハイブリッドの最新版です。これはモーター走行、エンジン走行、モーターアシストによるエンジン走行を状況により変えるもので、常に効率のいい走りが可能です。最高出力/最大トルクはエンジンが98馬力/14.5kgm、フロントモーターが95馬力/18.9kgmで、4WD車は41馬力/8.6kgmのリアモーターが追加されます。WLTCモード燃費はFFが23.0〜23.4km/L、4WDは22.0km/Lとステップワゴンよりも優れています。

2Lガソリン車は170馬力/20.6kgmの性能で、ダイレクトシフトCVTを組み合わせることで力強さと低燃費を両立しました。WLTCモード燃費はFF車が15.0〜15.1km/L、4WDは14.3〜14.4km/Lでこちらもステップワゴンに差を付けています。

2Lエンジンと2つのモーターを組み合わせたステップワゴンのe:HEVは、通常走行時はモーターのみで走りエンジンが発電するシリーズハイブリッドですが、高速巡行中などモーターの効率が悪い状況ではエンジン走行も行います。

最高出力/最大トルクは、モーターが184馬力/32.1kgm、エンジンが145馬力/17.8kgm、WLTCモード燃費は19.5〜20.0km/Lでいずれも先代モデルとほぼ同じで、エンジンの圧縮比アップやフリクション低減により熱効率を向上させ、車速とエンジン回転数を連動させた気持ちのいいフィーリングを実現しました。なお、e:HEVはFFのみの設定で、4WDは用意されていません。

1.5Lターボエンジンも、排気干渉の低減と過給圧の高効率化などにより加速フィールを改善しました。最高出力は150馬力、最大トルクは20.7kgm、WLTCモード燃費はFFが13.2〜13.9km/L、4WDは13.1〜13.3km/Lとなっています。

【価格】装備内容はステップワゴンが勝るが、ノアは安価な設定が魅力

トヨタ ノア

ホンダ ステップワゴン

ノアは、X(ガソリン・FF)の267万円からS-Z E-Four(ハイブリッド・4WD)の389万円まで. 一方、ステップワゴンの車両価格は、エアー(ガソリン・FF)の299万8600円からスパーダ プレミアムライン(ハイブリッド・FF)の384万6700円までとなります。

最もベーシックなグレード同士ではノアの方が安く、最上級グレードはノアの方が高価ですが、ステップワゴンのハイブリッド車には4WDの設定がないため、ハイブリッド・FF車の最上級グレード、S-Z(367万円)との比較だとノアの方が安価になります。これは標準装備される安全装備に差があるためで、オプションを装着していくとノアの方が高価になります。

ノアの人気グレードは最上級グレードであるこのS-Zです。迫力あるエアロや充実した装備、高い燃費性能が人気の理由のようです。ステップワゴンは中間グレードのe:HEVスパーダが一番人気ですが、e:HEVスパーダ プレミアムラインがそれに続いています。

【ノアがおすすめなのはこんな人】ミニバンでも個性を主張したい人や、燃費性能を重視する人に

トヨタ ノア

ノアは何といっても迫力あるフロントマスクが特徴です。ファミリーカーでも個性を表現したいという人に向いています。ハイブリッド車、ガソリン車ともに燃費性能もいいため、長距離走行が多い人にもおすすめできます。

また、3列目の格納方法が非常に簡単なので、ときには人を乗せ、ときには多くの荷物を積みたいというニーズにも応えてくれるでしょう。

なお、エアロ系の派手なフロントマスクが苦手な人は、ボディ同色のグリルを持つ標準グレードを選べばかなりすっきりとした外観になります。

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【ステップワゴンがおすすめなのはこんな人】シンプルでクリーンな外観と走行性能の高さが魅力

ホンダ ステップワゴン

ステップワゴン最大の特徴は、現在の流行に逆らったシンプルな外観です。エアロパーツを装備するスパーダ/スパーダ プレミアムラインでもそれは変わらず、威圧感のあるフロントマスクが苦手という人にはピッタリなミニバンと言えるでしょう。

先代でも定評のあった走行性能は、静粛性や乗り心地を含めてさらに改善されているので、多人数乗車でも大きな不満は出ないと思います。特に3列目の乗り心地はノアよりも優れているため、荷物よりも人を乗せる機会が多い方はステップワゴンが向いています。

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この記事は2022年8月の情現在報に基づいています。

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