ノア／ヴォクシーといったミドルサイズの3列シートミニバンがファミリー向けなのに対し、ラグジュアリーかつ高級感を高めたラージサイズミニバンが、アルファード／ヴェルファイア。多彩なシートアレンジや大空間がもたらす快適性、充実した装備内容でクラウンなど従来の高級セダンに代わる「大空間高級サルーン」として揺るぎない人気を誇ります。
【サマリー】「新しい高級車の概念」を創造したラージサイズミニバン
日産エルグランドが先鞭をつけたラージサイズの高級ミニバン市場。後発のアルファードは2002年にデビューし、08年に2代目にモデルチェンジ。いずれも最高級ミニバンとして確固たるブランドを築き上げ、2015年に待望の3代目にフルモデルチェンジしました。
3代目は「従来にない新しい高級車の概念を創造する」ことを目指し、大空間高級サルーンをキーワードに開発。高級セダンのような、しなやかな乗り心地や優れた操縦安定性に加えて、ミニバンならではのゆとりに満ちた大空間を実現し、揺るぎない存在感を誇ります。
3代目アルファードのおもな技術的トピックは次のとおり。
■新開発のダブルウイッシュボーンリヤサスペンション：広い室内空間や床下収納スペース、ロングスライドシート、低床フラットフロアなどを実現するために、コイルスプリングやショックアブソーバーを低く配置した新開発のダブルウイッシュボーンリヤサスペンションを採用。
■フロアの低床化：全高は1,880mm（先代比－10mm）としながら、従来型同等の室内高1,400mmを確保し、ゆとりの室内空間を実現。ステップ高も2ＷＤ・16インチタイヤ装着車で350mmと低く、ステップの幅も180mmに拡大したことで乗降性が向上。
3代目アルファードが目指したのは高級ミニバンではなく、高級セダンに匹敵する乗り心地と操縦安定性。それらを実現するために乗り心地に直結するリヤサスペンションの構造を見直し、徹底した振動・騒音対策や風切り音に有利な車両形状を追求することで、背の高いミニバンボディの弱点を克服。乗降性を高めるために低床化も図られ、各界のエグゼクティブに愛される「大空間高級サルーン」へと進化しました。
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【外観スタイル】ミニバンの王者にふさわしい豪華で勇壮なフォルム
「豪華・勇壮」をテーマにしたアルファードのエクステリア。ロアグリルと一体化した縦に厚みを持たせた大型フロントグリルを中心に、堂々かつ華やかさのあるフロントビューを表現。サイドビューは抜けの良さを際立たせたキャビンと、重厚で抑揚のあるアンダーボディにより、「威勢の良さ」と地を這うような「地べたスタンス」を表現。リアビューは大胆な立体構成と抑揚の効いたバックドアが存在感を与えます。ちなみに、ヴェルファイアのエクステリアデザインテーマは「大胆・不敵」です。
【インテリア】斬新な表現と手の込んだ造りを融合
「おもてなし」を重視した室内空間は、広々とした居心地のよさとラージサイズミニバンにふさわしい堂々とした車格感を追求。コクピットは重厚なセンタークラスターとシームレスな空間の広がりを融合した「斬新な構成」で広さと車格感を強調。一方で金属加飾部分は削り出した金属のシャープな面質を表現し、木目調加飾部は光の表現で工芸品のような味わい深さを演出することで「手の込んだ造り」を具現化しています。
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【走り・燃費】ハイブリッド車／ガソリン車ともに低燃費を実現
ハイブリッド車は2.5Ｌの2AR-FXE型アトキンソンサイクルエンジンに、６速シーケンシャルシフトマチックや電気式四輪駆動E-Four搭載のハイブリッドシステムを組み合わせて、JC08モード燃費19.4km/Lを達成。
2.5Lガソリン車は新搭載の2.5Ｌ 2AR-FE型エンジンに７速スポーツシーケンシャルシフトマチックを備えたSuper CVT-iを組み合わせて、アイドリングストップ機能のオプション設定によりJC08モード燃費12.8㎞/Lを実現。もっともパワフルな3.5Lガソリン車は先代モデルにも搭載され実績のあるV6 3.5Lの2GR-FE型エンジンに、6速ATを組み合わせることでJC08モード燃費9.5㎞/Lとしています。
【安全装備】シースルービューを世界初採用
運転支援ではドライバーの視点でクルマを透かしたような映像を表示する「シースルービュー」を世界初採用したパノラミックビューモニターを設定。安心・安全機能ではインテリジェントクリアランスソナー、ミリ波レーダー式のプリクラッシュセーフティシステムを採用。高速道路の渋滞など、加減速を繰り返す場面でドライバーの負担を軽減させる全車速追従式のレーダークルーズコントロールも一部グレードに設定しています。
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【グレード構成】標準ボディとエアロボディの2グレード構成
3代目アルファードはデザインの違いにより大きく2つのタイプに分かれています。
■標準ボディ（写真上）
大胆で押し出しの強い顔つきと、抑揚のあるバンパー造形により、アルファード独特の堂々かつ華やかさのあるフォルム。
■エアロボディ（写真上）顔の押し出しの強さと、ワイドで精悍な表情により、ダイナミックでパワフルなスタイルを演出。リアはアンダースポイラーと縦型のリフレクターによりエアロらしいワイドで低重心なスタイルを創出しています。
■エグゼクティブラウンジ
100mm拡張したエグゼクティブラウンジシートを採用し、高級サルーンを超える極上の寛ぎを追求。プレミアムな本革素材に加え、世界初の3Dプリント技術による、立体の陰影を組み合わせたオリーブ・アッシュパール木目調加飾や金属調素材があしらわれ、足まわりにも専用チューニングが施され、上質な乗り心地を実現しています。
【マイナーチェンジ＆改良一覧】安全運転支援や装備をブラッシュアップ
2017年12月：マイナーチェンジ トヨタセーフティセンスを標準装備
第二世代に進化した予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」をトヨタ車の中で初採用し、全車に標準装備。単眼カメラとミリ波レーダーの性能向上により、自転車の運転者や夜間の歩行者も検知できる「プリクラッシュセーフティ」や、レーダークルーズコントロール作動時に車線維持に必要な運転操作を支援する「レーントレーシングアシスト」を搭載。リアクロストラフィックアラートやブラインドスポットモニターも新たに設定し、安全運転支援を強化しました。
また3.5Lエンジンが新型に切り替わり、8ATに進化したこともトピックでした。このマイナーチェンジ以降、ヴェルファイアとの販売台数が逆転し、モデル末期まで販売ランキングTOP10に食い込むほどの人気モデルとなりました。
2018年10月：一部改良 インテリジェントクリアランスソナーを全グレードに標準装備
駐車場などでのアクセルの踏み間違いや踏み過ぎなどで起こる衝突被害の軽減に寄与するインテリジェントクリアランスソナーを全グレードに標準装備しました。
2021年5月：一部改良 ワンタッチスイッチ付きデュアルパワースライドドア、アクセサリーコンセントを全車標準装備に拡大
スマホやタブレットの普及でニーズの高いアクセサリーコンセントと、乗降性を高めるワンタッチスイッチ付きデュアルパワースライドドアを全車標準装備に拡大しました。
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【アルファードのおすすめモデル#1】コスパ抜群！2017年12月以降の2.5L7人乗り
現行アルファードを狙うなら、トヨタセーフティセンスが第2世代に進化し、ステアリング支援を加えた車線維持を行うマイナーチェンジ後のモデルにしぼりたいところ。ガソリンの2.5Ｌはレギュラー仕様で価格も手頃ですが、 V6モデルやハイブリッドとの外観上の差異は少なく、コスパが抜群。また海外での人気が高いエンジンを搭載しているためリセールバリューが高いことで知られています。
【アルファードのおすすめモデル#2】静かで余裕の動力性能！V6エンジン搭載車
トヨタの最上級ミニバンという車格感に合うパワーユニットは、動力性能にゆとりがあり、静粛性に優れたV型6気筒エンジンを搭載するグレードになります。マイナーチェンジでエンジンは換装されていますが、新旧ともに評価の高いエンジンです。
排気量は3.5Lで指定燃料もプレミアムガソリンなので維持費は掛かりますが、高速道路での追い越し加速やクルージングでは、それらを補って余りある満足感が得られるはずです。
世界的に見てもICE（純内燃機関）は減少傾向にあり、現行型が「純内燃機関の多気筒エンジン」を味わえる最後のチャンスになる可能性が大です。
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【まとめ】唯一無二の最上級ミニバンの地位は揺るがない
トヨタのフラッグシップミニバンに求められる「格」と「高い質感」を備えたアルファード。全幅1.8m超、全長約5mの堂々たるボディはミドルサイズミニバンでは得られない「ミニバンキング」の風格が漂います。
ライバルとしてはラグジュアリー系のSUVやFF化された新型クラウンが想定されますが、多人数乗車や多彩なシートアレンジなどミニバンのメリットは数多く、アルファードのブランドバリューや人気は当分揺るがないでしょう。
※この記事は2022年10月現在の情報に基づいています。
