2016年に導入された2代目ラージSUV「XC90」を皮切りに、新世代モデルの投入を開始したボルボ。さらなるプレミアム化を目指し、内外装の質感や装備の向上が図られる一方で、価格が上昇したのも事実。そこで新たなエントリーモデルとして投入されたのが、今回の主役、ボルボとして初提案となるコンパクトSUV「XC40」です。
【サマリー】親しみやすく上品なコンパクトボルボ
2018年3月に、ボルボのコンパクトカーである「40」シリーズ初となるコンパクトSUVとして日本上陸。小型車向けの新開発プラットフォーム「CMA」の初採用であることが大きな特徴で、新世代40シリーズは、現時点ではEVの「C40」を含め、ボルボ車のコンパクトカーは、SUVのみとなっています。
XC40は上位のミッドサイズやラージサイズのSUVの持つ質感や走りの良さを受け継ぎつつ、コンパクトな40シリーズの魅力として、若々しくカジュアルな雰囲気の内外装が与えられています。最新仕様では、BEVの「XC40リチャージ」も仲間入りしています。
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【外観スタイル】ブサカワが魅力のブルドックフェイス
XC40は、上位の60シリーズや90シリーズにはない愛らしさがチャームポイント。フロントマスクのモチーフには、ブルドッグが取り入れられ、親しみやすい雰囲気に仕上げられています。
もちろん、ボルボ車だとひと目でわかる要素として、伝統のスラッシュバーとアイアンマークを組み合わせたエンブレム付きの格子のフロントマスク、北欧神話のトールハンマーをモチーフとしたLEDヘッドライト、L字型のテールランプなど、新世代モデルのアイコンが盛り込まれています。
またXC40としては、後端がキックアップされたサイドウィンドウや特徴的な2トーンルーフなどの独自のデザインも取り入れられています。
ボディサイズは、全長4,440mm×全幅1,875mm×全高1,655mmと、コンパクトカーらしい全長ながら、ややワイドな全幅が与えられているため、SUVらしい力強さも感じられるものとなっています。
ちなみに、BEVも基本的なデザインやサイズは同等ですが、フロントグリルがパネル式のグリルレススタイルとなるなど差別化が図られています。
【インテリア】スカンジナビアンテイストに溢れる洒落た空間に
日本でも家具などで人気の高い北欧テイストですが、まさにXC40は、その魅力を凝縮した空間。ウッドパネルやテキスタイル素材などが温かみある空間を演出し、触感にも優れています。
ダッシュボードは、上位モデルに近いデザインですが、小物入れを充実させるなどパーソナルカーとしての魅力も高められています。
ユニークなのは、通常はドアパネルに内蔵されるスピーカーが存在しないこと。その代わりにドアポケットが大型化されています。しかし、移動時間を楽しめるオーディオ機能を簡素化したわけではありません。ダッシュボード内部に、スピーカーを備えることで、迫力のサウンドを提供してくれます。
またホイールベースも、2,700mmと長めなので、後席の快適性もばっちりです。
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【走り・燃費】快適性と安全性を重視した大人な走り
ビジュアル的には元気なXC40ですが、その走りはプレミアムカーの名に恥じないもの。その縁の下の力持ちとなるのは、XC40から採用されるコンパクトクラス向けの新世代プラットフォーム「CMA」で、EV化まで対応して設計されているのも特徴のひとつ。現在は、ガソリン仕様の48VマイルドハイブリッドとBEV「リチャージ」の2本立てとなっています。
マイルドハイブリッドは、2L直列4気筒エンジンを搭載。前輪駆動車「B3」は、163ps/265Nm仕様となり、燃費が14.8km/L(WLTC)に。全輪駆動車の「B4 AWD」は、197ps/300Nm仕様で、燃費が14.2km/L(WLTC)となり、いずれも10kW/40Nmの電気モーターによるアシストが行われます。
一方、BEVも、1モーターの前輪駆動と2モーターの4WDが用意されます。1モーターは、170kW(231ps)/330Nm仕様で、69kWhのバッテリーを搭載し、航続距離が502km(WLTC)。2モーターは、前後に150kW(204ps)/330Nm仕様の電気モーターを搭載。78kWhのバッテリーを搭載し、航続距離が484km(WLTC)と公表されています。
【安全装備】ボルボの安全を全部載せ!
長い歴史の中で、不変的価値としてボルボが大切にしているのが安全性能です。このため、世代を超えてボルボを愛用するファミリーも多いなど、絶大な信頼が寄せられています。
それは、最新の小さなボルボであるXC40でも同様。先進機能も上位モデルと同等の内容を誇ります。まず衝突被害軽減ブレーキでは、昼夜での歩行者や自転車に加え、大きなトナカイが住む北欧らしく大型動物までに対応しています。
この他にも、車線逸脱抑制機能、全車速追従支援付アダプティブクルーズコントロール(ACC)、ハイビームアシスト、360度カメラ、側後方接近車警報、衝突時ブレーキ維持支援機能など、充実しています。もちろん、いざという時に乗員を守り抜く堅牢なボディ作りも健在です。
【グレード構成】最新モデルよりグレード名称を刷新へ
最新式となる2023年モデルより、エントリーから「Pro(プロ)」、「Plus Pro(プラスプロ)」、「Ultimate(アルティメット)」の3タイプにグレード名が改められました。もちろん、上位になるほど装備がアップグレードされます。
従来までの表現との整合性では、「Pro」が、「Base(ベース)」、「Plus Pro」が、「Momentum(モメンタム)」、「Ultimate」が「Inscription(インスクリプション)」にそれぞれ相当します。
パワーユニットを意味する英数字の2文字については、英字が「T」だとピュアエンジン車、「B」だと48Vマイルドハイブリッド車となり、続く数字が大きいほど高性能となります。
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【マイナーチェンジ&改良一覧】電動化に対応しながら進化を続ける
2019年3月:一部仕様変更
グレード構成は、導入年度と同じ構成となり、「T4」のFF車と4WD車、「T5」の4WDが導入されます。一部改良としては、先進安全機能である側後方接近車警報機能の「ブラインドスポットインフォメーションシステム」にステアリングアシストが、駐車支援機能「パークアシストパイロット」に後方の衝突被害軽減ブレーキが追加されました。
2020年8月:パワーユニットの刷新を発表
XC40初となるプラグインハイブリッドを追加し、ガソリンエンジン車はすべてマイルドハイブリッド仕様に変更されました。
プラグインハイブリッド「Recharge Plug-in hybrid T5」は、132kW(180ps)/265Nmを発生する1.5L直列3気筒直噴ガソリンターボエンジンと60kW/160Nmの電気モーターを組み合わせたもの。トランスミッションは、7速DCTを搭載。電気のみでは45.6kmの走行を可能としています。
ガソリンエンジン車は、48Vマイルドハイブリッド仕様の2L直列4気筒直噴ターボエンジンに換装。出力の異なる「B4」と「B5」の2種類を設定。なお、ピュアガソリンエンジン仕様となる「T4」と「T5」は廃止となりました。
2021年11月には48Vマイルドハイブリッド仕様のトランスミッションを新開発7速DCTに変更。さらに新パワーユニットとして、48Vマイルドハイブリッド搭載の2L直列4気筒直噴ターボエンジン「B3」を新設定しました。B3は、最高出力120kW(163ps)、最大トルク265Nmを発生します。同時にグレード構成も見直され、前輪駆動車のパワーユニットが、「B4」から「B3」に変更されています。
2022年5月:BEV「XC40 Recharge」を追加
XC40と同じパッケージングとデザインを備えながら、パワートレインを完全電動化。前後輪に電気モーター搭載の4WD「Recharge Ultimate Twin Motor(リチャージ アルティメット ツインモーター)」と前輪側に電気モーターを搭載したFWD「Recharge Plus Single Motor(リチャージ プラス シングルモーター)」の2種類が用意されました。
またフロントマスクがパネルデザインとなるなど、デザインの一部を専用化することで、BEVであることがアピールされています。
2022年7月:グレード構成を刷新と初のフェイスリフトを実施
フロントヘッドライト、フロントバンパー、アルミホイールのデザインを一新。インテリアでは、Google搭載のインフォテイメントシステムを全
車に標準化し、メーターパネルデザインも一新しています。グレード構成も見直され、グレード名称がエントリーの「Plus」、「Plus Pro」、「Ultimate」の3タイプに。BEV「Recharge」の導入から、プラグインハイブリッド車が廃止となりました。
【XC40のおすすめモデル#1】スポーティでパワフル!XC40らしさに溢れた「T5 AWD Rデザイン」
高い安全性が評価され続けてきたボルボですが、同時に走りの良さにも定評があります。XC40のスポーツモデルというべき、存在が「T5 AWD Rデザイン」です。ピュアエンジンとなる2L直列4気筒直噴ターボは、最高出力252ps、最大トルク350Nmとパワフル。SUV+AWDという強みもあり、オールシーズンで楽しめるのも強みのひとつ。
内外装ともにスポーティな仕様となるのも魅力的で、特に他社では見られないオレンジのフロアカーペット仕様があったのも面白いところ。新車は入手不可となるT5ですが、スポーティなボルボ好き一押しの仕様です。
【XC40のおすすめモデル#2】走るスマホ感を味わうならば……「Plus Pro B3」
最新ボルボの話題のひとつが、Google搭載のインフォテイメントシステム。それを試すには、最新モデルを手にするしかありません。ただ高価なモデルを選ぶ必要はなく、エントリーモデルから先進安全機能を含め、全車標準となっています。
ただパワーテールゲートや後席用エアコンルーバー、キーレスエントリーが欲しいならば、「Plus Pro B3」を選ぶのがマスト。ボディカラーもエントリーの「Pro B3」より豊富です。ただシンプルな仕様で良いという方は、「Pro B3」でも最新ボルボの旨みは十分に味わえます。
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【まとめ】ラグジュアリーとなったボルボのフレンドリーな入門車
新世代プラットフォームの投入を皮切りに、さらなるプレミアム路線へと舵を切ったボルボ。ミッドサイズ以上のモデルが中心となり、これまでよりも手が届きにくい存在となりました。
その中で、コンパクトSUV「XC40」は、高価ながらも500万円切りのエントリー価格を提案するなど、ブランドエントリーとしての大きな役目を担っています。
また小さくとも安全装備を含めた先進機能は、上級車と同等を誇るのも魅力のひとつです。まさに初めてのボルボとして最適。また中古車でも、デビュー時に全面刷新を受けたモデルでもあるので、現代ボルボの良さを十分に味わうことができます。
※この記事は、2023年2月時点での情報で執筆しています