2010年6月、世界のマーケットをターゲットとしたクロスオーバーSUV、ジュークがデビューしました。個性的なデザインをまとい、スポーツ性を前面に押し出したのが特徴で、日本でも大きな話題になりました。その後、10年という長い期間販売されたコンパクトSUVをピックアップします。
【サマリー】日本のみならず、ヨーロッパやアメリカもターゲットにしたグローバルコンパクト
日産とルノーが共同で開発したコンパクトモデル用のBプラットフォームを使い、今後の発展が望めるクロスオーバーモデルとして開発されたスモールSUVがジュークです。
その最大の特徴が、まるでショーモデルかのような個性的なエクステリア。大きく張り出したフェンダーや、ヘッドライト風のポジションランプ、2ドアクーペのように見えるサイドウィンドウなど、遠目からもジュークだとすぐに分かるデザインを採用しています。なお、スタイリング優先のため後席はやや閉塞感が強く、ラゲッジスペースも決して広くはありません。
当初はライバル不在の状況だったこともあり、発売4ヵ月で国内では2万台を受注する人気モデルとなりました。また、ヨーロッパでの受注も3万台を超え、発売前のアメリカでも高い注目を集めました。のちの改良では、パーソナルユースを強く意識させるカラーリングや、純正チューンモデルのニスモの設定も話題となりました。
【外観スタイル】フォグランプに見えるヘッドライト。ヘッドライトに見えるポジションランプ
エクステリアデザインの見どころはライトの配置でしょう。ボンネット両端に配置されているヘッドライト風のものが実はポジションランプで、その下のフォグランプ風のものがヘッドライトなのです。この大胆な造形はジュークの最大の特徴と言えます。
また、ルーフがなだらかに後傾するクーペ風のスタイルは、スポーツクロスオーバーらしさを強調。4,135mm×1,765mm×1,565mmというショート&ワイドボディと相まって、パーソナル感が非常に強いモデルとなっています。
【インテリア】外観に負けず劣らずの個性的デザイン。配色もインパクト大
バイクの燃料タンクをモチーフにしたというセンターコンソールや、同じくバイクのメーターを思わせるシリンダー風メーター、スキューバダイビングのフィンを想起させるドアトリムなど、インテリアデザインもエクステリアに負けないインパクトを持っています。
配色も個性的です。初期モデルでは黒×赤をラインナップし、2014年のマイナーチェンジでは外板色だけでなく内装色も、黒をベースに赤や白、黄のパーツカラーを選べるパーソナライゼーションを採用しました。
【走り・燃費】1.5Lガソリンと1.6Lターボの2本立て。ニスモRSは214馬力に達する
発売当初は114馬力の1.5L直4DOHCガソリンエンジンのFFのみのラインナップでしたが、同年11月に1.6Lガソリンターボを追加しました(駆動方式はFFと4WDをラインナップ)。トランスミッションは全車CVTで、1.6Lターボはステップ変速が可能な6速マニュアルモードを搭載しています。
190馬力を発揮する1.6Lターボの4WDは、リヤ左右輪のトルク配分も行うトルクベクトル付きオールモード4×4-iを採用しています。また、2013年に追加されたスポーツバージョンのニスモは200馬力、2014年登場のニスモRSは214馬力を発揮するファクトリーチューンモデルです。
【安全装備】2015年の改良で追突被害軽減ブレーキを標準化
1.6Lターボは発売当初からVDC(横滑り防止装置)が搭載されていましたが、2013年のマイナーチェンジ時に1.5L車にもVDCを設定しました。
2015年11月に行われた一部改良では、全グレードに追突被害軽減ブレーキと車線逸脱警報装置が標準装備となりました。また、2018年5月には周囲の明るさや先行車や対向車のライトを検知してハイビームとロービームを自動切り替えするハイビームアシストをニスモと1.5Lのベーシッググレードを除き装備しています。
【グレード構成】基本グレードはシンプルだが、特別カラーや特別仕様車を多数ラインアップ
グレードは、1.5Lが15RSと15RX、1.6Lターボが16GT、ニスモ、ニスモRSという構成。価格は、基本モデルが169万500円〜245万1750円で、ニスモは285万750円(前期型)、ニスモRSは343万4400円となっていました。ニスモを除くモデルには、人気オプションを標準装備としたり、特別色を設定した特別仕様車を多数用意しています。
2014年のマイナーチェンジでは、エクステリアとインテリアのカラーを自由に組み合わせられる「パーソナライゼーション」を設定しました。これはボディカラー以外にドアミラーとドアハンドルを黒、赤、白、黄の4色から、インテリアもセンターコンソールや各種トリム、シート地を赤、白、黄の3色から選べるもので、計90通りの配色から好みのジュークを作り出せます。
さらに2015年には、ブルーのボディにボンネットやルーフをシルバーとした2トーンカラーの特別仕様車「ドレスアップ」を用意。2016年は配色にオレンジ×グレーを追加するなど、カラーコーディネートにこだわった仕様を用意しているのも特徴です。
【マイナーチェンジ&改良一覧】2010年に1.5Lを先行発売し、のちに1.6Lターボを追加
2010年6月にブランニューのコンパクトSUVとして登場したジューク。発売時は1.5Lのみの設定でしたが、当初から1.6Lターボのリリースが予告されていました。そして2010年11月、予告どおりターボを搭載する16GTを追加しています。
2012年6月には特別仕様車の設定と同時に、一部仕様とグレード体系を変更。助手席バニティミラーの採用や、センターコンソールの小物トレイの形状を変更して使い勝手を高め、1.5LはタイプVを標準グレードとし、1.6Lターボはインテリジェントキーやエンジンイモビライザー、プッシュエンジンスターター、電動格納式リモコンカラードドアミラー(ドアロック連動自動格納機能付き)、フォグランプを標準装備としつつ価格を抑えた16GTタイプV/16GT FOURタイプVの2グレードに変更。ボディカラーにメローゴールドを設定しました。
さらに2013年1月には16GT FOURをベースとするモータースポーツ由来のエアロパーツや専用エクステリアを採用し、最高出力を200馬力にアップしたニスモを設定。走りの性能をさらに高めています。
矢継ぎ早のマイナーチェンジで商品力をアップ
2013年8月のマイナーチェンジでは、1.5L車にアイドリングストップを採用して燃費を0.8km/Lアップの18.0km/Lとしました。また、1.5L車にもVDCを装備し全車に標準化しました。ボディカラーは、パッションレッドとナイトベールパープルを新設定しています。
2014年7月のマイナーチェンジは、エクステリアデザインを一部変更。フロントのVモーショングリルは立体感が増し、ブーメランLEDシェイプのシグネチャーポジションランプも採用しています。また、ドアミラーはブーメラン形状のターンランプを組み込んだ新デザインとしました。
同時に、内外装の配色を90通りの組み合わせから選べるパーソナライゼーションも採用。1.6LターボはロープレッシャークールドEGRをより広範囲に作動するよう改良し、摩擦抵抗や燃焼効率を改良することで燃費を向上。CVTのマニュアルモードを6速から7速として、心地いい加速を楽しめるようになりました。
ボディカラーは、サンライトイエローとアズライトブルー、スーパーブラックを設定しています。
なお、この改良時にスポーツグレードのニスモを廃止し、パフォーマンスをより高めたニスモRSの発売を予告しました。
スポーツ性を極めたニスモRSを追加。2015年には安全性能をアップ
2014年11月に追加されたニスモRSは、同年7月にマイナーチェンジした16GT FOURをベースにコンピューターのセッティングを改良して最高出力を214馬力までアップ。トルクも1kg-m向上した25.5kg-mとし、さらにCVTのマニュアルモードを8速に多段化しました。
空力に優れる外装パーツやレカロ社と共同開発した専用チューンのレカロ製スポーツシートも装備。加えて、18インチタイヤの採用、フィーリングと耐フェード性を高めたブレーキシステム、専用チューンの足まわり、オールモード4×4-iの最適化、車体剛性アップなど大幅なチューニングが施されています。
2015年11月と2018年5月には一部改良を実施。2015年は全グレードに追突被害軽減ブレーキと車線逸脱警報装置を標準化し、ニスモRSと共通のエアロパーツなどを採用するニスモを新設定しています。2018年は、周囲の状況に応じてハイビームとロービームを切り替えるハイビームアシストを標準設定としました(一部グレードを除く)。
【ジュークのおすすめモデル#1】2015年の改良以降の15RX
基本的には、追突被害軽減ブレーキを新採用した2015年の改良以降のモデルがおすすめです。ジュークの個性的なスタイルを楽しみたいのであれば、装備と価格のバランスがいい1.5Lでも十分と言えます。動力性能に余裕はありませんが、街乗り中心であれば大きな不満が出ることもないでしょう。
標準グレードは15RXですが、これをベースとする特別仕様車のVセレクションは、フォグランプやインテリジェントキー、プッシュエンジンスターター、エンジンイモビライザー、17インチアルミホイールを標準装備にした買い得モデル。こうした機能装備が欲しければ、Vセレクションを含めて探してみた方がいいでしょう。また、個性的な2トーン仕様のドレスアップはレアなモデルですが、目立つこと間違いなし!
【ジュークのおすすめモデル#2】走りを楽しむのであれば2015年以降の16GT FOUR
1.6Lターボを搭載する16GTは、2.5Lクラスのガソリンエンジンに匹敵する太いトルクを発揮するため、高速道路を使ったロングドライブも余裕でこなします。中でもトルクベクトルが備わる4WDモデル、16GT FOURは、ワインディングで走りを楽しみたいというスポーツ志向のドライバーも満足できるハンドリングが自慢。こちらも、追突被害軽減ブレーキを搭載する2015年以降のモデルをおすすめします。
その16GT FOURをベースに、専用パーツを装備したニスモを選ぶのもいいでしょう。2015年の改良以降のモデルであれば、専用外装のほか、NISMOのロゴ入り専用スエード調シート、18インチタイヤと専用サスペンション、車速感応型パワーステアリングを装備するなど差別化されています。スポーティさがグッと高まるこのニスモもターゲットに入れてみてください。
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【まとめ】実用性は最新モデルに譲るが、その個性的なスタイルを楽しみたい
設計が古いため基本的にはスタイルを楽しむモデルと言えますが、そのデザインは今でも強烈な個性を放っています。後席やラゲッジスペースは狭めでも、パーソナル感の強い前席まわりは十分に魅力的です。ターボモデルなら走りも楽しめ、特に4WDのハンドリングは一度味わってもらいたいほどの痛快さを持っています。