「EVは大雪で終了」「立ち往生で凍死」を考察!本当にEVはガソリン車より弱いのか?【カープレミア編集長のEV談義Vol.11】

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毎年冬になると、どこかでニュースになる大雪による立ち往生。ここ数年では、そんなニュースが出るたびに「EVは大丈夫か?」という声が上がります。「EVは大雪で終了」との声もありました。今回はその「大丈夫か?」「大雪で終了か?」「ガソリン車より弱いのか?」について考察します。

EVが大雪の中で立ち往生…その末路は?

まずは、論点を明確にしたい。「EVは大雪の中で立ち往生しても大丈夫なのか?」これには様々な論点が含まれています。分解すると、

・立ち往生したときに、暖房はどれだけ持つ?
・電欠したときの救援方法は?

の2点になるでしょう。

立ち往生したときに、暖房が使える時間は?

ガソリン車が1時間のアイドリングをしたときの標準的な燃料消費量は約1Lとされています。もう少し細分化すると、軽自動車では0.5Lほど、排気量1.3L程度のコンパクトカークラスで、0.8Lほど、2.0L・2.5Lクラスで1L 、3.0L以上のクラスになると2Lを超えるとされています。ただ、これはあくまで目安で、エンジンのタイプや気筒数、出力などの諸条件により大きく変わる可能性があることをお含みおきください。

ガソリンタンク容量は、軽自動車で30L程度、コンパクトカーで40L前後、ミドルクラスで50L、ラージクラスで60L程度となっています。

排気量が小さく燃費のいいクルマは燃料タンクが小さく、排気量が大きいクルマはその逆です。まぁ、当たり前のような話ですが。いずれにせよ、燃料満タンでアイドリングだけずっとしていたら、ざっと50時間ぐらいでガス欠になる、と計算して大きな間違いはないでしょう。

ガソリン車なら(ディーゼル車もですが、ICEや内燃機関車と書くよりガソリン車と書いたほうがわかりやすいので…)、アイドリング時に発生する熱を車内の暖房に使えます。エアコンをOFFにしても暖房は使えます。エアコンをOFFにすると、ウィンドウが曇ってしまいがちですが、大雪で立ち往生したとき、エアコンをONにするとコンプレッサーが回って燃料消費量が落ちてしまうので、OFFにしましょう。ウィンドウが曇っても問題ありません。むしろ、カーテン代わりの目隠しになってちょうどいいでしょう。

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では、問題のEVはどうでしょう。EVにはアイドリングがなく、電源をONにした待機状態での電力消費量は少ないものですが、大雪の立ち往生では、エアコンかシートヒーターを使わないと凍えて体調を崩してしまうでしょう(凍死するとは言いませんが、気象条件などが悪いと可能性がゼロではないでしょう。ただ、大雪で立ち往生して凍死した例は筆者は聞いたことがありません)。

EVでは、エアコンよりシートヒーターを使ったほうが、電力消費量を少なくすることができますし、そのほうが温かい(熱源が直接体にあたるため)ですね。車種や気温などの条件によりますが、エアコンで暖房を使用した電力消費量は0.7〜1.5kWh(700〜1,500W)、シートヒーターでは1シートあたりの電力消費量が0.04〜0.06Wh(40〜60W)が目安です。ちなみに、電気毛布1枚の標準的な電力消費量も40〜60W。家庭用エアコンや電気暖房器具の電力消費量は0.7〜1.5kWhが主流ですから、EVも家電と同じようなものですね。

EVのバッテリー容量は、軽EVのサクラで20kW、リーフで40kW・62kW。現在のミドルクラスEVは60〜70kWhあたりの容量が主流となっています。

満充電状態でエアコンを含めた総出力1kWh(1,000Wh)で使い続けたら、サクラなら20時間で電欠、60kWhのバッテリーなら60時間で電欠です。シートヒーターならさらに持ちます。1シートあたり50Whとして、4人が使ったら、0.2kWh(200W)、サクラなら100時間で電欠となります。シートヒーター以外の消費電力を除く単純計算ですが、結構な時間持ちます。

ここまでは机上計算で、実際にはシートヒーターだけでは寒くてかなわんとか、ふぶいてるとか気象条件が定まらないですし、実際に筆者がテストしたわけでもないので、目安としてとらえておいてください。

辛く見積もっても、EVのほうが大雪で立ち往生したときの生命の危機リスクは低い、と言えるのではないでしょうか?

ただし!これはあくまで、SOC(State Of Charge=充電率≒バッテリー残量)が十分にあるとき。ガソリン車も燃料が十分にあるとき、ですからどっこいどっこいです。しかーし!問題は、ガス欠・電欠になったときです。

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電欠したときの救援方法は?

ガソリン車は大雪で立ち往生中にガス欠になったら、ガソリンを補給すれば大丈夫です。当たり前です。しかし、EVはそうは簡単にいきません。昔のガラケーのように、バッテリーのカートリッジを交換する構造にもなっていません(この方式を考えている人はいます)。EVが電欠したら、基本的に車載車に載せて充電スポットまで移送するしかありません。
片側1車線の高速道路(地方に多い、新直轄式と呼ばれるやつですね)で、立ち往生が解消したとしても電欠したEVが1台でもあったら、明らかに邪魔ですね。

天候が回復せず、立ち往生が長引き、バタバタとガス欠・電欠車が出てきたら厄介です。ガソリン車には燃料を配れば一時難をしのげますが、EVには電気を配ることができません。代わりに、家庭用100Vが使える満充電のポータブルバッテリーと、電気毛布を配ってあげる必要があります。

EVが大雪の中で立ち往生…その末路は?

現時点でのお話になりますが、大雪で立ち往生、数日間脱出できない状況になったら、EVは電欠したらそこで終了となってしまいます。なので、雪の降る地域でEVに乗るなら、100Vが使える大容量ポータブルバッテリーと、人数分の電気毛布をクルマに積んでおく必要がありますね。

クルマは熱伝導性が良い鉄の塊なので、あっという間に冷えてしまい外気・雪の温度とクルマの温度がいっしょになってしまいます。ガソリン車なら、暖房のみならず、エンジン自体が高温になるので、周囲の雪も溶かしてくれますし、車体の温度の下降も緩やかです。しかし、EVはそれができません。

EVで冬を越すには、ガソリン車以上の万全な備えが必要です。

大雪が降ったとき、充電スポットの除雪はきちんとされるのだろうか?

そもそも、ガソリン車もEVも大雪の予想が出たらクルマに乗るな、というお話

毎年、大雪の予報が出ると一部の国民が騒いでいます、「EVやべー」とEVネガキャンが始まります。しかしですよ、大雪が警戒されるなら、EVのみならず、ガソリン車もクルマの利用は最小限にし、不要不急のクルマでの移動はしない、のが基本ではないでしょうか?

言い方が悪いですが、そもそも、ガソリン車もEVも大雪の予想が出たらクルマに乗るな、というお話なんです。どうしても大雪の中、クルマで移動しなければならないときは、十分に溝があり、適正な空気圧になったスタッドレスタイヤを履き、さらにタイヤチェーン(軽量で装着が楽な、布製チェーン、スノーソックスを用意し、防寒具と数日間は持つ食料、着替え、携帯緊急用トイレなどをクルマに積んでからにしましょう。

くれぐれも、ご安全に。

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(文:宇野 智)
※この記事は、2023年1月時点での情報で執筆しています。

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