大のドライブ好きのカープレミアマガジン編集長が自信を持っておすすめする絶景ドライブコースを紹介します。今回は、名曲の舞台となった伊豆半島の「天城越え」をご紹介。
「天城越え」とは？
昭和歌謡の代表曲、石川さゆりが歌う「天城越え」、川端康成の「伊豆の踊り子」、松本清張の「天城越え」などのテーマとなっている「天城山」の峠は、伊豆半島のほぼ中央に位置します。天城越えは、伊豆半島内陸部を通る下田街道（かつては「天城街道」「天城路」と呼んでいた）にある、天城山の峠を越える難所のことをいいます。天城街道は、清流が流れ山に囲まれた風光明媚な温泉郷があり、かつての文豪が訪れ愛したところ。
天城越えの起源をたどると、最古の記録は平安時代になるそうです。1905年（明治38年）に、現在では旧道となる「天城山隧道」が開通しました。この旧道は現在でもクルマで通行することができ、トンネルは「旧天城トンネル」の名称で当時の姿のまま残されています。
天城越えの見どころ・走りどころ
見晴らしのよいところが少ないですが、ところどころ山々が見え、当時の天城越えの厳しさを感じさせてくれます。
旧天城トンネルは、当時のまま残されてとてもレトロ。当時のガス燈の雰囲気を残した黄色いナトリウム灯が点灯していますが、とてもトンネル内は暗く、ちょっと怖さすら感じる雰囲気があります。
【動画】天城越え全走行シーン収録
旧天城峠・旧天城トンネル（天城山隧道）走行ルート
伊豆市街地方面から
旧天城トンネルへは、国道414号線からアクセスできます。伊豆市街地方面からの場合は、「道の駅 天城越え」を過ぎて約3kmほど走り、道路標識で左折すると「旧道」の案内があります。
少し走ると右手に「水生地下駐車場」が見えてきます。“水生地下（すいしょうちした）駐車場”ですので地下駐車場ではありません。
水生地下駐車場の左手、天城大橋の手前を左折して細い道を進むと旧天城峠です。
河津町方面から
河津町方面から国道414号を北上する場合は、「河津七滝ループ橋(七滝高架橋)」を登りきってから約5kmほど走ると「旧天城トンネル」への案内標識が見えますので、それに従って左折すると旧天城峠へ行けます。
旧天城峠・旧天城トンネルを走行するときの注意
旧天城峠は、ほとんど未舗装路です。一部の区間とトンネル内だけ舗装されています。路面が荒れているところが多く、轍にタイヤが取られないように注意して走行してください。また、路面が乾いていても滑りやすいので注意が必要です。さらに、道幅は3.5mと狭くすれ違い不可（一方通行ではない）トンネル内に入る前に対向車が進入しないかを確認し、進入してきそうならトンネルの手前で待ちましょう。
セブンツーをキメる橋「河津七滝ループ橋」
国道414号線、天城越えの山道に入る手前5kmほど南に、セブンツー（720度）回転する橋があります。「河津七滝ループ橋」と呼ばれる高低差45m、直径80mできれいに2回転半する円形ループ橋です。読み方は「かわづななだる」。6基の橋脚で支えられた美しい形をしています。専門用語では「3径間連続曲線箱桁4連」と呼ばれる橋の形式です。
この橋ができる前は、山沿いに国道がつづら折れになって通っていました。1978年に発生した伊豆大島近海地震で国道が崩落、その後に険しい山を越えるルートの利便性を高めるために着工され、1981年に河津七滝ループ橋が完成しました。そして河津七滝ループ橋を含めた「天城路」として、昭和61年に「日本の道路100選」に選定されました。
天城越えをドライブするとき、ぜひ走ってみてください。
旧天城トンネルの北側（伊豆市方面）で撮影。
天城越えをドライブしたのは、Hyundai（ヒョンデ）のEV「IONIQ 5」でした。試乗車はAWDで、未舗装路でも安心。20インチの大径タイヤを履いていますが、うねりや段差が連続するところでもしっかりと足が動いて良好な乗り心地でした。
天城越えの近くには、河津桜の原木がある発祥地があり、河津桜の見どころがたくさんあります。花見のシーズンは相当に混雑しますが、この時期にはぜひ一度は行っていただきたいおすすめドライブスポットです。
（撮影・文：宇野 智）
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※この記事は2022年11月現在の情報に基づいています。
